


ちょうど一年前に62才で急逝された 坪内祐三さんの最後のエッセー集です。
著者が3才の1962年ごろから 2000年頃までの 玉電松原駅を中心の沿線の様子が描いてあります。
同じころ私は小田急線の経堂駅の隣の千歳船橋に住んでいて(地図の左上方)著者の通っていた経堂駅北の赤堤小の隣の 緑ヶ丘中学校を卒業しました。
沖縄コンフィデンシャルシリーズの 交錯捜査・ブルードラゴン・楽園の涙 に次ぐ 4冊目、完結編です。
大学時代に観光で訪れた沖縄に魅せられ、卒業後沖縄県警の刑事になった 反町雄太28才が主人公。
検察庁から来た準キャリアの赤堀、同期でハーフの天久(あまく)ノエル、海兵隊MPのケネス の同年代と
反町の相棒のベテランの叩き上げ刑事の具志堅が 微妙に距離を取りながら 事件解決に挑みます。
中国マフィアが絡んだり 危険ドラッグが出回ったり、米軍基地の利権がかかわったり。
コンフィデンシャル=公開しないこと 内密であること が描かれます。
本作の レキオス とは ポルトガル語で琉球のこと。
普天間基地の辺野古移転を阻止する「美しい海を守る」 女性知事が誕生するまでが描かれています。
辺野古は即埋め立て中止、キャンプ・シュワブの中に飛行場を作り普天間から移転、兵舎はキャンプ外に建てる。
筈。
前知事は 知事に当選するには基地反対を唱えなければならないので 自民党を離党して当選した。
自民党とも共産党ともつながりがあった。
そういえば任期半ばで死亡した そんな知事もあったなあ。
by 風呼
アメリカのピュリッツァー賞作家 ウィラ・キャザー(1873ー1947)が1918年に発表した小説です。
ジムは10才の時 ヴァージニア州で農業を営んでいた両親が相次いで亡くなったので作男と共に ネブラスカに住む祖父母の元に引き取られる。
ネブラスカはアメリカのほぼ真ん中、夏は暑く、冬は寒い 大平原の州だ。
道中でボヘミアからの移民の一家に出会う。
片言の英語を喋れるのは 唯一 ジムより3,4才年上の アントニーアだけだった。
祖父母の農場の近くに住むという。
同郷人に騙されたも同然で買った そこは荒れ果てた草原で 住まいは横穴だった。
ジムの祖父母は人格者で 貧窮に喘ぐ一家に 優しく手を差し伸べるのだった。
器量も気立てもいい働き者のアントニーアは 祖母のお気に入りになった。
ジムはアントニーアに英語を教えたり 一緒に野原を走りまったりしていたが 13才になったので学校に行くために町へ引っ越した。
祖母はお気に入りの 男に交じって肉体労働もするアントニーアを救おうと 隣家の女中の職につける。
町にはそんな同じ境遇の同年代の女の子がたくさんいた。彼女たちは学校はおろか英語も満足に話せない移民の子だった。やがて アントニーアもその娘たちの影響を受けるようになり 隣家をやめて自由に生きるようになる。
ジムはその後地元の大学からハーバード大学に進み ニューヨークで弁護士として成功する。
およそ20年後、ジムは仕事のついでに アントニーアの元を訪ねる。
アントニーアは11人の子の母親になっていた。
働き者で徐々に土地も増やし 子供たちの一人も働きに出なくてもよい生活ぶりだった。
ジムには上流階級出の妻を貰ったが 子供はない。
町に働きに出た娘の何人かは 母親に家を建ててやったり 金儲けした者もあったが 成功した彼女たちは結婚は敢えてしていなかった。
歯は抜け 昔のように美貌ではなくなったが 心根は昔のまま、誰からも愛され大地のようにどっしりと構えている 圧倒的なアントニーアの存在感。
家族の愛を疑わない一家の ありようには つけ入る隙がない。
今年のアカデミー作品賞候補の 『ミナリ』の監督の リー・アイザック・チョンさんは この小説に感動して映画化を望むも 作者が映画化の禁止を遺言していた。 自身も韓国からの移民で 同じような体験をしていたと気づき その体験を映画化したそうです。
全米が共感した。 アメリカは移民の国だから 多かれ少なかれ みんなそんな道を通ってきたからです。
ミナリとは韓国語で 植物のセリの事だそうです。
久し振りに正しい姿勢で読みました。
by 風呼
”交錯捜査” (16年) ”ブルードラゴン” (17年)に次ぐ 沖縄県警物の三作目です。
大学時代に訪れた沖縄が気に入り 沖縄県警で刑事になった反町雄太(29才、一作ごとに年を取っている)と県警の同僚の天久ノエル・検察庁から出向の準キャリアの赤堀寛憲と アメリカ軍海兵隊MPのケネス・イームス、反町の相棒の定年まじかの叩き上げの刑事具志堅正治の 文字通りのコンフィデンシャル(部外秘、国家機密の の意味)の捜査活動を描いています。
”交錯捜査” ”ブルードラゴン” とも話がつながっていて 順番に読むと解りやすい。
沖縄基地返還に伴うカジノがらみのリゾート地建設の利権争い。
だがその裏に隠された政治がらみの事実があった。
その証拠のフラッシュメモリ(記憶装置)の存在を巡って 殺人事件が多発する。
中国マフィアも絡んでいるらしい。
前作にも登場した 中国マフィアのチャンが逮捕されるのですが もっと裏がありそうです。
”楽園の涙” とは 美しい海、温暖な気候の楽園のよう な沖縄の人々が 第二次大戦での過酷な運命を思い起こして 流す涙 なのでしょう。
島民の三分の一が死に 爆弾で受けた傷の後遺症のある人も多い ウチナンチューの気持ちは ヤマトンチューには 到底わからない。
なのに ウチナンチューは ヤマトンチューに 限りなく優しい。
by 風呼
コンフィデンシャル とは 公開しないこと 内密であること 。
沖縄が好きで県警の刑事として住みついた 26才の反町と 同期のノエル・検察庁の準キャリア赤堀の3人を描いた 沖縄県警シリーズの『交錯捜査』に次ぐ第二弾。 2017年刊。
沖縄と東京で 一般人に危険ドラッグがらみの事件が多発。
それはゾンビドラッグと呼ばれ、顔を食いちぎったりもする 人を狂暴にさせるものだった。
東南アジアを拠点とする ブルードラゴンと呼ばれるマフィアの仕業らしい。
沖縄にも製造拠点があるらしく 一般人に安く売って ドラッグの性能を確かめているらしい。
黒幕は 米軍の 元上官に恨みを持つ 脱走兵の将校らしい。
右腕に ブルーのドラゴンのタトゥがある。
米国では 少しでも黒人の血が混じっていれば 見た目は全くの白人でも黒人として扱われるという。
ブルードラゴンは 見た目は全く(とびっきり魅力的な)の白人だが 祖父が黒人なので 優秀なのに昇進がままならなかった。
米兵との混血の多い沖縄だが 肌の黒い子への いじめは激しく 親族からも嫌われるそうだ。
東京と沖縄の危険ドラッグ販売網は抑えられ ドラゴンタトゥの男も逮捕された。
内密に犯人逮捕に協力した者を 何とか司法取引で 罪を軽くしたい。
公にはできないが と 反町・ノエル・赤堀は思う。
by 風呼
大学時代に訪れた沖縄に魅せられた反町は 沖縄で刑事になる。
那覇市内の高級ホテルで 男女の遺体が発見された。
心中と見られたが 女から検出された体液は この男性のものではなかった。
反町のバディの沖縄出身の叩き上げ刑事、 同期の女性警官、警察庁から来た若い準キャリアと この難事件に立ち向かう。
やがて容疑者の遺体が海中から発見される。
事件は一件落着となるが 反町たち4人は 麻薬と米軍用地利権が背景にあると睨む。
どうやら中国マフィア、政府の要人が絡んでいるらしい。
米軍用地借用費は 沖縄全体で年間一千億円になり 全額日本政府の負担らしい。
賃料は年々値上がりする優良物件だという。
この殺人事件は 被疑者死亡で片を付けられる。
取り敢えず読み終えたが 消化不良だ。
これはシリーズものと気づいたので 次作を読みます。
by 風呼
自ら開発した 世界最速のスーパーコンピュータの完成発表を真近に控えた羽嶋は 11月27日夜、一本の電話を受ける。
それは25年前、少しの間だけ同棲、ある日突然姿を消した女性からのものだった。
存在すら知らなかった 自分の息子が交通事故で瀕死の重傷だという。
兎に角 病院に駆け付けたが 彼は集中治療室で意識は全くない状態だ。
深夜の新宿で酔っ払って車に轢かれたという。
ポケットから覚せい剤が発見され 本人からも陽性反応が出ていた。
一度も会ったことのない息子だが 生前の様子を聴いているうち 羽嶋は 殺された可能性が強いと確信する。
息子は 父親である自分の事は知っていて 父親を超えたいと願っていた 優秀な男だったことも解る。
日本海側に現在建設中の原発が 活断層上だと知って 世間に公表しようとして 殺されたのだ。
息子の名誉のため 真相を暴こうとした羽嶋に 身の危険が迫る。
新開発のコンピュータのお披露目まで間がないのに 悩まされ続けるパグ退治と平行して 物語はどんどん真相に迫っていきます。
話は 12月6日(土曜日)で終わっています。
濃い内容なのに たった10日間の出来事なんですね。
久し振りに読むのをやめられない状態に陥りました。
1999年作。
2012年に活断層上に建設されているのが発覚した 敦賀原発2号機を思い出しました。
反対派の先峰者が実は反対分子の気をそらせる為の賛成派だった 。
以前、学生運動のリーダーが 適当に暴れるよう、与党から報酬を受け取って いた そんなこともあったような。
コンピュータのことは良く分からないのですが 面白かったです。
by 風呼
ご存じ 探偵浅見光彦シリーズです。
島根県津和野の 名家の跡取りを巡っての 殺人事件。
きっちり組み立てられたストーリーに惹きこまれます。
丁寧な津和野の町の描写は 若いころ訪れた記憶を呼び覚ましました。
街中の清い水が流れる側溝を泳ぐ色鮮やかな鯉 何で突然こんなところにマリア堂? 等 。
端正な文章や筋書きに 読後感はなかなかですが
TVの 中村俊介で見る 浅見光彦シリーズも 風景が美しく 好きです。
「あの 後鳥羽伝説殺人事件 を解決した 探偵さん?」 とこの小説にも出てくる
”後鳥羽伝説殺人事件” のドラマを今日、BSフジの再放送で見ました。
母親役は 野際陽子さん、兄は 初代浅見光彦役の 榎本孝明さん。
名家の奥様役の 銀粉蝶さんと 野際陽子さんの 対面シーンは 美しい見ものでした。
色んな角度から楽しめる 浅見光彦シリーズです。
by 風呼