待ち合わせは
阪急梅田駅出口左にある
本屋の前
昔 一日一冊の
文庫本を読んでいた
ナヲコらしいと 思った
絶対に遅れるわけには いかない
早めに到着
暫く本屋の中で過ごし
時間になったのに
ナヲコは 現れない
何度も昨日のメールを確認する
10分過ぎに
携帯電話がなった
「どこにおるん
ブックファースト?
知らん そんなん」
紀伊国屋書店にいるという
「動かないで そこで待ってて。
すぐ行くから」
訊ねて 訊ねて 無事 会えました
昨日 何回言っても間違えるので
メモを持たせたのですが
と ナヲコのお嬢さんからお詫びのメールが来た
東京育ちの ナヲコには
本屋といえば 紀伊国屋書店なのだろう
梅田の紀伊国屋は
他所者には分りにくい場所にあるので
きっとお嬢さんが気を利かして
私にわかりやすい場所にしてくれたのだろう
最近二年の記憶が全くない
ナヲコ
二年前から年を取らない
ナヲコ
どうせ二年間 会っていないことだし
つるんでいた 高校時代の話をすれば いい
「ちゃこちゃん どうしてる?」
高校時代の仲間の消息を
何度も言わされたけれど
私だって
同じ事を二度三度は言うこともあるし
また 会おうね ナヲコ
今度会うときは
私は間違いなく 三才年上だね
by 風呼
知らない曲ばかり
知っている人の CD なのに
”Soucial Call" "Nice Work If You Can Get It" "The City Lights" " Get Out Of Town" "For All We Know" " Devil May Care" " Black Coffee" "Taking A Chance On Love" "Smile"
あっ Smileは 知っている
知らない曲ばかりですが
知っている人が 歌っているので
毎日 聞いていたら
あっという間に
知っている歌ばかりになりました
お気に入りは
”Get Out Town"
”Black Coffee"
そして 悪魔さえ気遣わせる
手がつけられない わ・た・し
”Devil May Care"
by 風呼
行きつけのクリーニング屋の脇の
坂の上
白髪交じりの おかっぱの
小柄な小母さんが
一人で住んでいて
人通りの多い
クリーニング屋通りに下りてきて
昼となく 夕となく
通る人誰もに
”こんにちわ こんにちわ” と
あいさつをしていた
自転車の私は
戸惑いながらも
軽く会釈して やりすごしていた
最近見かけない
クリーニング屋のおかみさんに訊いてみると
「朝 11時に起きるので
当然夜寝るのが遅い。
夜中の1時2時に裏の家を
じっと覗いていたりするので
近所の人が気味悪がって
親族を呼んで 施設にいれてもらった」 そう
今でこそ住宅地だが
おかみさんが嫁いできた50年前は
大地主ばかりで
店子は よそ者扱い
自治会も別だった そんなところ
むかし昔 集落には
近親結婚が多かったせいだろう
大抵どこにも 知恵遅れがいた
集落のはずれで
見知らぬ人が入ってくるのを 見張っていたり
可愛い子にちょっかいを出したり
大きな危害を与える訳ではないので
住民はみんな放っておいたが
大抵は色んな事情で 長生きできず
それが子供たちへの戒めにもなっていた
まともにあいさつを返すと
家までついて行ってしまったという
”こんにちわおばさん”
行動を制限された場所で
今日も同じメンバーに
にこにこ 「こんにちわ」 と
言い続けているのかな
by 風呼