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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

ナラダ・クリスマス・コレクション/various artists

2009年12月12日 12時47分21秒 | JAZZ-Fusion
 ピート・レヴィンとダニー・ゴットリーブが作ったクリスマス・アルバムは、サブタイに「ニューエイジ・クリスマス」とはあったものの、どこをどう聴いてもフュージョンだったけれど、このアルバムは表だってニューエイジという表記はないが、絵に描いたようなニュー・エイジ・ミュージックである。恐らくナラダというレーベル自体がニュー・エイジ専門のレーベルなのだろう。私はダークなアンビエント・ミュージックは好きだが、ニュー・エイジ・ミュージックは、ちと音楽があまりに奇麗事過ぎると感じてしまい、どうも苦手なクチなので、どうもそのあたりの知識は心許ないので確かなことはいえないが、バブルの頃は元祖ウィンダム・ヒルを筆頭に、こういうニュー・エイジ専門のレーベルが沢山できていたから、ナラダもそのひとつだったのだろうと思う。本作はこのナラダ・レーベルのアーティストが11組が集って、お馴染みのクリスマス・ミュージックを演奏している。もちろん、ニュー・エイジ・ミュージックだからして、素材となっているクリスマス・ミュージックはスタンダードではなく、教会音楽系のものばかりである。

 気がついたところを拾ってみると、キーボード奏者、ブルース・ミッチェルによる「もろびとこぞりて」は、打ち込みを併用したカラフルなシンセ・サウンドで、アルバムのオープニングに相応しい。スペンサーブリューワーは「キャロル・オブ・ベルズ」白玉シンセにアコギのアルペジオの組み合わせで綴る。ピーター・バフェットの「グリーンスリーブス」はイントロは物々しいが、本編は当時のスーパーマシーン、シンクラヴィアを駆使した箱庭的オーケストレーション。フリードマンによる「ザ・マン・フロム・セザリア」はブズーキやアコギにうっすらとしたシンセをかぶせた典型的なニューエイジ調。デビッド・ランツとポール・スピアによる「オー・ホーリー・ナイト」はウェットなアコピとファンタスティックなシンセ・サウンドが重なってかなりいいムード。ウィリアム・エルウッドはネルッサンス期のリュート音楽をベースにした哀愁たっぷりのサウンド。デビッド・アーカンストーンは1曲目と対応させたのか、カラフルでちょいポップなシンセ・サウンド....といったところか、前述のとおり個人的にはこういう音楽はあまり得意ではないので、「このアルバムの出来は悪くないけれど、まぁ、一枚もっていればいいか」という感じで、確か翌年出た続編は購入せずじまいだった。
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ピート・レヴィン&ダニー・ゴットリーブ/マスターズ・イン・ジス・ホール

2009年12月05日 16時07分17秒 | JAZZ-Fusion
 フュージョン畑のキーボード奏者ピート・レヴィンがダニー・ゴットリーブ(ドラマー)とコンビを組んで作った1990年に製作されたクリスマス・アルバム。ピート・レヴィンという人は、弟のベーシストでスティック使いでも知られるトニー・レヴィンは有名だが(弟同様、兄もスキンヘッドである-笑)、キーボードを弾く兄の方はそれほど有名ではないようで、ネットで調べてもギル・エヴァンス・オーケストラ、ジョン・スコのバンドに居たくらいでたいしたことは分からなかった(Wikiにも彼の項目はない)。ともあれ、ギル・エヴァンスやジョン・スコとやっていたのであれば、相当な実力派ではあろう。一方、ダニー・ゴットリーブの方はパット・メセニーを筆頭にニューヨークの頂上セッション何度も顔だす知名度の高いドラマーである。

 さて、このアルバムだが、ほぼ全編に渡って2人だけで演奏されているようで、ゲスト陣はほぼ皆無、キーボードとドラムだけで作られたアルバムになっている。アレンジはピート・レヴィンなようだが、さすがにキーボード奏者だけあって、ギター、ベース、ブラス等がいないという不足感を全く感じさせることなく、シンセサイザーだけで十分にカラフルで躍動的なサウンドを作っている。また1990年という時期の製作なだけに、一部「らしい」打ち込み等もあるものの、ダニー・ゴットリーブが生のタイコを叩いているの威力は絶大で、この手の少人数で作った打ち込み音楽にありがちな、機械的な冷たさや安っぽさがない-今聴いてもほとんど感じない-のは、そもそもこの音楽がしっかりとしたアレンジの基に作られたからだと思う。多少似たようなパターンのアレンジになってしまった曲がないでもないが、全体としてはなかなか良質なクリスマス・アルバムだと思う。ちなみに日本盤のサブタイは「ニューエイジ・クリスマス」とあるが、これはどこをどう聴いてもフュージョンだと思う。目立ったところをメモってみよう。

 「あら野のはてに」の邦題で知られる「Angels from the Realms of Glory」はクリスマスらしいファンタスティックはイントロに続き、上品なファンク・リズムをベースに、途中カリプソ風なムードも加味して、いかにもフュージョン的な心地よさを感じさせるアレンジで楽しめる。ゴスペル風にアレンジされた「The First Noel(牧人羊を)」はゴットリーブのブラシに乗ってヴィブラフォン風なシンセが演奏し、「Away In A Manger」は更にムーディーでスペイシーなアレンジが印象的(同じ頃のクインシー・ジョーンズなんかに近い感じ)。「God Keep You Merry, Gentlemen」は途中フォークロア風に展開し、「Carol Of The Bells」はお馴染みテーマはシーケンス・パターンのように配置して、そこに様々なサウンド・ブレンドしていくアレンジで後半はなかなかスケール大きな展開となる。お馴染みの「Silent Night」は渋い色彩、懲りに凝ったコード進行でもって、ありがちなサンウドとは一風変わったサウンドが印象的だ。これを聴くとピート・レヴィンがギル・エヴァンス・オーケストラ出身ということが納得できたりする。
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チック・コリア/ナウ・ヒー・シングス・ナウ・ヒー・ソブス

2009年11月28日 20時51分15秒 | JAZZ-Fusion
 先日とりあげた「トリオ・ミュージック」の三人が最初組んだアルバム(1968年発表)がこれ。いうまでもなくチック・コリアの名を一躍押し上げた、ジャズ・ピアノの大名盤でもある。多分、偶然だが、私このアルバムを初めて聴くのに前後して、ビル・エヴァンスとそれ以前のピアノ・トリオを集中的に聴いていた。そのせいもあって、このアルバムで聴けるある種の伝統と断絶したような斬新さやフレッシュな躍動感にずいぶん驚いたものだった。例えば、ハード・バップ系のピアノ・トリオを聴いていて、ビル・エヴァンスを聴くと非常にモダンな感じがするけれど、そのビル・エヴァンスの例えば「ライブ・アット・モントルー」のような比較的モダンな演奏の後でも、これを聴くとそれまでのジャズとはそももそも感覚的に違うとしかいいようがない斬新さを体感できるのだ。

 さて、本作だが「Steps - What Was」からはじまる。多少フリーがかったピアノ・ソロからオーソドックスなジャズへと流れが収束するように音楽が進み、込み入ったリズムをもったブリッジを経て、やがて急速な4ビートに雪崩れ込んでいく構成が見事、ピアノ・ソロもモードも飛び越え、時にフリーに接近しつつも、オーゾドックスな体裁を整えているあたりがいかにもチック・コリア的なクレバーさがあっていい。また、ドラム・ソロの後、その後のRTF的なスパニッシュ調になるのもいかにもチック・コリアだ。「Matrix」はやはり込み入ったテーマの後、急速な4ビートに雪崩れ込んでいくパターンで、ここでもコリアのシャープなピアノがめくるめくような展開をしていくところがいいし、ビトウスの鋭利で饒舌なフレーズ、ドライなスウィング感も、コリアの音楽にぴったりとマッチして斬新だ。

 先の2曲に比べると、旧B面の3曲は多少テンションが落ちる感じだが、タイトル曲はややおおらかな流動感があり、これはRTFに受け継がれていくように思う。「Now He Beats The Drums, Now He Stops」はたぶんフリーのインプロヴィゼーション、中間部ではオーソドックスなピアノ・トリオのスタイルとなるが、ここでは変幻自在なビトウスのベースが目立っている。最後の「The Law Of Falling And Catching Up」は短い点描主義の現代音楽みたいな音響系フリー・ジャズ、演奏時間は2分半くらいだから、ちょっと変わったアルバムのコーダとして楽しめるのがいい(ちなみにCDには8曲、30分近いボーナス・トラックが入っていて、本編の緊張感に対して、ボサノバ、スタンダード、モンク作品などリラックスしてやってりして、なかなか興味深い内容だったりするのだが、これについては別の機会に譲りたい)。

 という訳で、このトリオは「トリオ・ミュージック」「ライブ」も良かったが、やはりこちらは別格という感じがする。思えばこのアルバムを聴くきっかけになったのは、私があしげく通ったレコード・ショップのマスターがことあるごとに大推薦していた名盤という理由の方だが、やはり団塊の世代のジャズ・ファンにとって、このアルバムとは時代的にも「非フリー・ジャズ系のコンテンポラリーなジャズの名盤」だったのだろう。フリー・ジャズを意義面では認めるものの、やはり本音の部分ではフリーは音楽としてはちっともおもしろくない....みたいな人ほど、このアルバムをもてはやしたのではないか。そういう折衷音楽的なところが、実はこのアルバムの斬新さの実体であり、分かりやすいところでもあったと思う。かくいう私もそういうところが大好きなのだ。
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コリア,ビトウス,ヘインズ/トリオ・ミュージック -ミュージック・フロム・T.モンク-

2009年11月24日 22時57分53秒 | JAZZ-Fusion
 チック・コリア、ミロスラフ・ビトウス、ロイ・ヘインズのトリオが14年振りに再開してのアルバム「トリオ・ミュージック」のディスク2はセルニアス・モンク集である。モンクといえば、私のようなスタンダード・ナンバー好きには「ラウンド・ミッドナイト」として有名で、実際このアルバムにも同曲が収録されたりしているけれど、今一歩深度を深めたところで、ジャズ界のミューシャンズ・ミュージシャンというか、ジャズ界でもかなり特異な作曲家として、ジャズ・ミュージシャンの中でもリスペクトの対象になりやすいという存在でもある。私などモンクのユニークさというならある程度感知できるものの、その良さとなるとさっぱり実感できないというが正直なところなのだが(ちなみにデューク・エリントンにこれはもいえる)、それでも自宅にはモンク集といった企画のアルバムが少なからずあったりするから、やはりジャズ・ミュージシャンにとっては、一度は手がけてみたい素材なのだろうと思う。さっそく聴いてみよう。

 さて、本ディスクだが「リズム・ア・ニング」からスタートする。この曲はアコースティック・バンドの演奏で馴染み、遡ってこちらのヴァージョンを聴いたという感じだが、アレンジの大筋は同じだが、アコースティック・バンドでのきっちりかっちりとした演奏に比べると、ディスク1のインプロでトリオ自体が相当のいってしまっていたのか(笑)、かなりフリー....いやかっとんでいる演奏である。およそオリジナル曲を意識にしているコリアだけみたいなところがあり、ビトウスとヘインズはイケイケなノリで飛ばしまくっているという感じか。「ラウンド・ミッドナイト」「エロネル」は、前者は陰、後者は陽という色合いの違いはあるものの、アルバム中ではかなりオーソドックスなピアノ・トリオ演奏だ。「シンク・オブ・ワン」はアーシーなユーモラスさ滲ませた実にモンクらしいアクを感じさせる作品。多分、ジャズ・ミュージシャンこういうアクに、なにやら己のミュージシャン、インプロバイザーとして霊感を刺激されるのではないか?。3人の演奏も実に楽しそうだ。

 「リトル・ルーティ・トゥーティ」も実にモンクらしい、引きつったようなリフがポイントになっている。こういうリフというかモチーフをフックにして、実にスムースにチックのインプロに移行して、ビトウスのソロにバトンタッチするところでもこのリフをフックにしているあたりがおもしろい、ある意味フュージョン的な流れを感じさせる。ラストの「ハッケンサック」も同様だ(そういえばこれもアコースティック・バンドでやっていた)。「リフレクションズ」は、私の場合、ドナルド・フェイゲンのインスト作品で知ったのだけれど、あれはモンクの作品にひそむ都会的な哀感だとかヒューマンな感覚を実にモダンに表現した素晴らしい演奏で、個人的には大好きな演奏なのだけれど、このトリオによる詩的な演奏も負けず劣らず素晴らしい。割とフリージャズ的な奔放さが目立つこのアルバムでは、もっともスタティックな美しさを感じさせる演奏といってもよく、それが故にアルバム中でもひときわ光輝いているという感もある。
 
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コリア,ビトウス,ヘインズ/トリオ・ミュージック -トリオ・インプロヴィゼイションズ-

2009年11月24日 00時26分28秒 | JAZZ-Fusion
 チック・コリアが67年に出した「ナウ・ヒー・シングス」というアルバムは、発表当初からピアノ・トリオの名盤とされ、あれから40年を経た現在も既に「殿堂入りしたジャズ・アルバム」の一枚になっている。このアルバムは「ナウ・ヒー・シングス」のメンバー、つまりコリアにミロスラフ・ビトウスとロイ・ヘインズを加えたトリオが14年振りに会して作ったものだ。この再会劇は3人にとって、おそらくかなりの音楽的な手応えを感じたのだろう。本作はコンセプトがまるで違う2枚のディスクのセットであるし、これに続いてはライブ盤まで出しているのだから、レギュラー・トリオにこそならなかったものの、当時の3人がいかに「ノッていたか」分かろうものである。さて、今夜はまずこのアルバムから1枚目の方を聴いてみることしたい。

 本ディスクはひとくちにいえばインプロビゼーション集である。それもかなりフリーがかった自由なインプロがディスク全編に渡って演奏されているのだが、こういう演奏にありがちな独善性や垂れ流し状態をうまく回避しているのがいい。おそらく、オリジナル・テイクはそこそこの長さがあったとは思うのだが、このアルバムではそのエッセンスとでもいうべき部分のみを抽出して収録されているのだろう、どの曲も比較的短く切られているため-最長でも7分半程度-、フリー・ジャズの良質な音楽的瞬間のみを切り取って、あつめたような潔さがあるのである(まぁ、全編いいわけでもないけれど)。フリー・ジャズはもちろん優れたものも沢山あるけれど、単にミュージシャン・エゴを全開しているだけのものや、マスターベーションとしか思えないものが沢山あるのも事実だ。それは60年代後半から70年代にかけて大絶賛されたアメリカ、そしてヨーロッパで量産された「フリージャズの名盤」の大半が、現在では忘れ去られていることでも分かる(なにしろコルトレーンのフリーだって、今ではみんななかったことにしてるではないか-笑)。

 このディスクには、トリオによるインプロが5曲、ピアノとベースのインプロが2曲、そして限りなくフリーに近いコリアのオリジナルが1曲入っている。冒頭の「トリオ・インプロヴィゼイション1」はヘインズが刻む比較的オーソドックスな4ビートのリズムが主導しつつ、次第フリーがかっていく展開がスリリングだ。ビトウスは4ビートを敷衍したり、そこから遠く離れたりと変幻自在、コリアは天衣無縫にその上をかけめぐる。おそらく長大なインプロの真ん中あたりをカットしたのだろうが、このトリオのもっとも優れた部分が出た演奏といえる。「トリオ・インプロヴィゼイション2」はほぼ完全なフリーで、途中でコリアのピアノがやけにバルトークくさくなるのが笑える。「トリオ・インプロヴィゼイション4」はユニゾンで演奏される三連のモチーフを元に様々なヴェリエーションを展開、ここでもコリアはバルトーク風な演奏になる。2つの「デュエット・インプロヴィゼイション」はどちらも大筋で静的な演奏だが、ビトウスの自意識過剰でエキセントリックなアルコがあまりにでしゃばり過ぎで音楽的感興がそがれているところも散見する。

 「トリオ・インプロヴィゼイション4」はちょっと12音音楽を思わせる点描的なインプロ。こういうのは4分半くらいで切り上げる方が逆に緊張感が伝わる。「トリオ・インプロヴィゼイション5」は一番長い演奏で、ビトウスのアルコとコリアのピアノの特殊奏法もまじえたデュエットから、やがてヘインズが加わり、次第にテンションを上げていくが、爆発しそうでしないところが、ちともどかしい感じがしないでもない(笑)。「スリッパリー・ホエン・ウェット」はこれだけタイトルがついているが、冒頭のテーマこそコリアらしいものだが、それ以降はほぼ完全なフリー・インプロだろう。比較的リズムがはっきりしているため、全体の感触として「1」に近い。
 という訳で、こういう演奏を2時間も付き合いたいとは思わないが、このアルバムくらいの分量なら、私の場合、かろうじて実にいい感じできける。それが選択と編集の結果であるにしても、これは十分に良質なフリー・ジャズだろう。
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J. McLAUGHLIN Trio/Live at The RFH

2009年08月23日 16時32分32秒 | JAZZ-Fusion
 マクラフリンに、カイ・エクハルトのベース、トリロク・グルトゥのパーカスというトリオによる1989年のライヴ盤。エクハルトもグルトゥ初めて聞く人だが名前からしてインド系のミュージシャンだろう。特にグルトゥはドラムスではなく、あえてパーカスとクレジットされているあたり、これまでやってきたシャクティを含む一連のアコースティック路線のトリオ版かと思わせるものがあるが、出てくる音楽は、確かにそういう部分がないでもないが、全体としては「普通のジャズ」もしくは「オーソドックスなフュージョン」に近い。何しろ1曲目はマイルスの「ブルー・イン・グリーン」をボサ・ノヴァ風に料理したパフォーマンスなのである。80年代を通じてマクラフリンは比較的大所帯のバンド編成による作品ばかりを残してきたが、どうも「これだ!」という作品を残せなかった憾みがあり、ここは心機一転「最小限の編成で、自らのギターの可能を追求する」みたいな方向に舵をきったのかもしれない。

 収録曲では、2曲目の「Just Ideas/Jozy」はギター・シンセを使い、ミステリアスなムードを演出しつつ、妖しげに進行する作品で、その後のマクラフリン・ミュージックにはけっこうおなじみになるパターンである。3曲目の「Florianapolis」はアコギに持ち替えて、あえていえばシャクティ的な世界を展開している長尺作品だが、グルトゥのパーカスもドラムスのパターンに近いし、ベースはジャコ・スタイルだし、れるようなスピード感で演奏しているので、あれほど抹香臭い感じではない。後半4分ほどは火が出るようにホットな演奏である。4曲目の「Pasha's Love」の込み入ったリズムで処理されたテーマが印象的でこれまた後半はかなり激辛な盛り上がりをする。5曲目の「Mother Tongues」はギター・シンセ等も使い前半はジャム風な展開、後半は瞑想的になりギターとベースが繰り出すリフの上をパーカスのグルトゥが縦横に暴れる。ラストの「Blues for L.W.」は比較的オーソドックスで都会的なリラクゼーションを感じさせるプレイに始まり、その後とんでもない展開にもっていく。

 という訳で、いささかインプロがダレ気味なところはあるが、全体としてはなかなかおもしろい作品だ。やはり、この「おもしろさ」のキモは、パーカスのトリロク・グルトゥだろう。ドラムスっぽいプレイはいわずもがな、インド風に隙間を埋めていくパーカス、ラストの「Blues for L.W.」ではヴォイスまで使ってまさに暴れまくっている感じだ。この奇妙なハイテンション振りはやはりユニークとしかいいようがない。マクラフリンはこういう人見つけてくるが実にうまい。このトリオはこのあとベースをチェンジして、スタジオ録音も残すのだけれど、このパーカスならさもありなんである。はて、そちらはどんな内容なのだろう?。
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クラウス・オガーマン・フィーチャリング・マイケル・ブレッカー

2009年08月16日 03時48分08秒 | JAZZ-Fusion
 トミー・リピューマ、プロデュースによる1990年の作品。オガーマンはリピューマのプロデュースでフュージョン系の作品を70年代中盤以降、非常にゆっくりとしたペースで何枚か出しているが、さすがに高齢ということもあり、近年ではダイアナ・クラール以外はもっぱらクラシック系の作品のみに残った力を傾注しているようだから、これは最後の作品となるではないか。前作「City Scape」同様、マイケル・ブレッカーをソリストに迎えての作品だが、集まったメンツも、ブレッカーの他、ロベン・フォード、マーカス・ミラー、ヴィニー・カリウタ、スティーブ・ガッド、アラン・パスクァ、ランディ・ブレッカー、ポーリーニョ・ダ・コスタ、エディ・ゴメス他、錚々たるものである。

 さて、本作は初出時に「ブルーバール・トリステス」というタイトルを、日本で勝手につけたことからも分かるとおり、ラテン色がけっこう強く、比較的耳障りのいいサウンドでもって仕上げられているのが特徴だろう。アルバムは8分~10分程度の長い作品5つから構成されており、オガーマンが腕によりをかけた、スタンダードなフュージョン・サウンドと格調高いオーケストラがかもしだすハーモニーが存分に楽しめる寸法だ。
 1曲目「コルフ」は、ブレッカーを中心したすこしボサ・ノヴァの匂いもするテーマが一段落した後、転調して思わず視界が広がるような進行が素晴らしい。ブリッジのソロはロベン・フォードだが、なんともいえない「夜のムード」を醸し出しているのが素晴らしい。中間部のブレッカーはエレピとシンセ、そして木管で組み合わされたアンサンブルをバックにいつものことながら素晴らしいソロを展開する。

 2曲目「リリコスモス」は弦楽とシンセのモダンなハーモーニーで形成されたイントロがいかにもオガーマン的な温度感と感触があるが、リズムが入る主部ではかなりホットな展開になる、ラテン風に盛り上がるラストではランディ・ブレッカーのソロも登場するものの、全体のトーンとしては、「Gate of Dreams」的な雰囲気が濃厚だ。
 3曲目「アフター・ザ・ファイト」はAORっぽいリズムから、やはり木管を中心としたオーケストラのテーマがオガーマン以外の何者でもないセンスを感じさせていい。それにしても本作はシンセを多用してフル・オーケストラはあまり登場しないように思うが、そうした不足感を微塵も感じさせないのは、さすがオーケストラ編曲を知り尽くした人による作品という気がする。

 4曲目「アドニア」は木管と低弦によるオーケストラをバックにランディ・ブレッカーが吹くテーマの後、ムードがかわり本編とおぼしきパートに突入する組曲風な構成という点で、やはり「Gate of Dreams」的世界を感じさせる曲である。
 ラストの「ブルーバール・トリステス」は、ひょっとするとボーナス・トラック扱いかもしれない。ここではマイケル・ブレッカーは登場せず(リズム隊も異なる)、かつ、アルバム中、もっともオーケストラがフィーチャーされる曲でもある。また、ロベン・フォードがソロの主役として活躍するが、めずらしくクラシカル風なフレーズなど繰り出して、いかにもオガーマンを感じさせるヨーロッパ的世界ににじりよっているのがおもしろい。

 という訳で、このアルバム、GRPらしい極上のフュージョン・サウンドに、後期オガーマンらしいシリアスなムードが絶妙にバランスして素晴らしい仕上がりになっていると思う。私のような軟弱な人間だと、前々作の「Gate of Dreams」は、今となっていささか時代を感じさせる音楽だし、「City Scape」の方は、ちとシリアスな趣が勝ちすぎていると思うのだが、本作についてはそうした違和感は、発売後20年たった今聴いてもまったくない。少なくとも、私が考える「オガーマンのイメージ」にぴったりとハマる音楽が、コレであることは確かだ。
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FOURPLAY / Heartfelt

2009年07月09日 23時45分51秒 | JAZZ-Fusion
 2月にヘッズアップに移籍しての新作「エナジー」を取り上げたのがきっかけで、ここ数ヶ月くらいウォークマンでフォープレイを聴くことが実に多い。フォープレイというとやはりリトナーの居た初期の数枚が印象深く、ラリー・カールトンにギターをスウィッチして以降の作品は、メンバーの老練なテクニックに裏打ちされた上質なサウンドではあるものの、ちと下世話な色気のようなもがなくなってしまい、あまりに透明に脱色され過ぎたところがないでもなかった。「Bali Run」だとか「Chant」のような名曲に出会えたような記憶もなかったし、そろそろそれぞれのアルバムが、一体どれがどれで、発売順はどうなのか分からなくなってきたので(笑)、ここRCA以降の作品をウォークマンに入れて、移動中などに聴いてみたという訳である。本作はワーナーからRCA系のブルーバードに移籍第一作で2002年の作品で、しばらく前に取り上げた「ジャーニー」の前作に当たるアルバムでもあるが、今夜はこのアルバムのことをちらっと書いてみたい。

 て、このアルバムで一番印象的なのはなんといっても1曲目「Galaxia」だ。打ち込み大好きなボブ・ジェームスが仕切ったに違いないアンビエント・ハウス的な作品で、アコピとパッド系のうっすらしたシンセがひんやりとしたムードを醸しだし、そこに打ち込みのチャカポコと合わさったネーザン・イーストとハーヴィ・メイソンのゴリっとしたリズムが絡むあたりがまずはおもしろいし、中盤から後半にかけて、イースト、お得意のスキャット・ボーカルに導かれて、ちょいとロック的にギラギラしたギターが登場するあたりの流れはなかなかのカッコ良さ、「もう還暦も越えてるというのに、このオッサン連中、なかなかやるじゃねーか」という感じ。私はもともとボブ・ジェームスのこういう作品が大好きなのだが、この作品はそれにプラスして、フォープレイとしてバンドの良さが出ているのがいい。フォープレイらしい名曲というには、ちと躊躇してしまうところがあるが、とにかく、ウォークマンに入れたフォープレイの作品として一番聴いたものだと思う。

 まぁ、一曲目にこうした作品を配したせいもあるが、このアルバム全体にテクノ色が強いと思う。アンビエント・ハウス的な作品としては他に、バラード風な6曲目のタイトル・チューン、いかにもなテクノビートにカールトンのブルージーなギターが絡む8曲目の「Cafe L'Amour」とか、プチプチ・サウンドとスカスカなリズムに80年代風なフュージョンを合体させた11曲目「Karma」あたりも、そうした色彩が濃厚だ。あと、エレピがキャッチーな2曲目の「That's the Time」もそうした部類かもしれない。ともあれ、このアルバムをテクノっぽくしてしまった反動か、次の「ジャーニー」はけっこうナチュラルな仕上がりになり、以降、フォープレイはこのサイクルでアルバムを作っているようなところがないでもないと思う。「ボブ・ジェームスの仕切ったアルバム」→「バンドで作るアルバム」というサイクルと、言い換えてもいいかもしれないが....。ともあれ、このアルバムを聴いて、改めて以上のようなことを感じた次第。
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リターン・トゥ・フォーエバー/リターンズ

2009年03月12日 23時30分49秒 | JAZZ-Fusion
 昨年、再結成されたリターン・トゥ・フォーエバーのライブ。よくわからないが、チック・コリアも60歳を越え老境に達したせいなのか、近年....というか2003年の「ランデブー・イン・ニューヨーク」あたりを機会に、エレクトリック・バンドやアコースティック・バンドを本格的に復活させたりして、なにやら人生の総決算モードになっているような気もするが、そのしんがりがこのリターン・トゥ・フォーエバーというところなのかもしれない。メンツは、コリア、スタンリー・クラーク、アル・ディ・メオラ、レニー・ホワイトという黄金時代のメンツだし、曲目をみればこの時期の代表曲である「第7銀河の賛歌」「ヴァルカン・ワールズ」「ノー・ミステリー」「浪漫の騎士」といった曲がずらりと並んでいるから期待も高まろうものだ。

 曲はインプロ風なオープニングの後、いきなりメドレーで「第7銀河の賛歌」「ヴァルカン・ワールズ」と続く。メンバーのテクニックには全く衰えはない....などといったら嘘になるし、子細に聴けばホワイトは多少落ち着いちゃったし、クラークは少し枯れた感もなくはないが、全体に黄金時代のRTFらしいえげつないまでにトリッキーな仕掛けだとか、スピーディーなインタープレイ、テンションの高いソロといったところは、全く危なげなく往事のムードで再現されていて、全編に渡ってに元気いっぱい、お世辞でもなんでもなく、再結成されたエレクトリック・バンドなどより威勢がいいくらいだ。ディスク1と2のそれぞれのハイライトとなる、「ソング・トゥ・ザ・ファロア・キングズ 」そして「ロマンの騎士」といった大作も、きっちり隙なく再現しているのはさすがだ。ファンならたまらないのではないだろうか。

 ちなみ、曲に中にフィーチャーされたソロ・パートがスタジオ盤に比べかなり長目にアレンジされている。私は70年代のRTFがどんなライブをしていたか、寡聞にして知らないのだけれど、きっとこうしたパターンで演奏していたのだろと思う。いく分タレ流し気味ではあるが、随所に繰り出させれるソロを聴いていると、例えば「ソング・トゥ・ザ・ファロア・キングズ」のややレイジーなベースソロみたいなところなど聴くと、何故だか70年代後半のタバコの紫煙がけむる西新宿あたりへタイムスリップしたような気になってくる(笑)。特にコリアのエレピの細かいフレーズ、シンセのウネウネ、ディメオラの上り詰めるようなハイテンションなソロ、あとコリアらしい....ではなくRTFらしいスパニッシュ調の部分など、「なんだかコイツらとほとんど時間が止まってるんじゃないの」と思うくらいに、フュージョン最盛期のあの雰囲気が感じられるのは驚きであり、なんともノスタルジックな気分になってくる。

 あと、これもRTFではお約束なのか、メンバー4人のソロ・スペースも用意されていて、ここでも各人のかなり長尺なソロが披露されている。ディメオラはアコギで「パッション・グレース&ファイア」「地中海の舞踏」といったスーパー・ギター・トリオ絡みの作品に加え、コリアとのデュオで「スペイン」まで披露しているし、コリアのソロ(アコピ)では、途中にマイルスの「ソーラー」が出てきたりするのは楽しいところだ。クラークとホワイトは後半「ロマンの騎士」のメドレーの途中で登場するが、このあたりは映像付きで観てみたいものだ。
 という訳で、RTFファンには「聴かずに死ねるか」的な必聴作だと思う。予定があるのかどうか知らないが、できれば1作でいいから、このメンツでスタジオ録音もつくってもらいたいものだ。
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フォープレイ/エナジー

2009年02月18日 23時13分14秒 | JAZZ-Fusion
 またまたレーベルを移籍したフォープレイ、今度はヘッズアップというコンコード・レーベルの傘下にある新興レーベルに移ったようで、昨年後半に出た本作はそのレーベルかから第一作となる。結局、RCAのブルーバード(これも新興レーベルだったはず)には、「ハートフェルト」「ジャーニー」「X (ten)」しか残さなかったことになるが、当初の彼らといえばワーナー・レーベルを代表するスーパー・グループで、かつ文句なしに売れ筋のアーティストだった訳でもあるんだけど、アルバムを重ねるにつれセールスでも落ちているのだろうか、ワーナーからどんどんマイナーなレーベルに都落ちしているような気がするのだが(そういえば、ボブ・ジェームスもいつの間にかKochレーベルに移っているし)、なんか他に理由でもあるのだろうか?。

 ともあれ、本作も早いもので通算11作目、ラリー・カールトンが入ってからも7作目になるが、この新作もよく言えば不変の金太郎飴的なフォープレイ・サウンド、悪く云うと取り立てて新味のないワンパターンの音である。あえて本作の特徴を探しだすとすれば、今回は「ハートフェルト」や「X」にけっこう色濃く感じられた打ち込みを含むエレクトリックなサウンドをやる順番ではなく、「イエス、プリーズ!」とか「ジャーニー」あたりと共通するような、比較的ナチュラルでアコスティックなサウンドをやる回に当たっていたのかもしれない(考えてみると、調度交互にやっているように思うのだが、どうだろう?)。ともあれ、今回はアルバム全編を通じて、なだらかでナチュラルなサウンドが特徴になっていて、あまりハウス風のリズムだの、アンビエント風なサウンドはあまり出てこないのが特徴といえるかもしれない。
 あと、これはメンバーの年齢のせいもあるのだろうが、ますます枯れた音になってしまっている。いや、もちろんフォープレイらしいセンスの良さ、その洗練度は相変わらず他に追従を許さない、ある種孤高な佇まいすら感じるほどなのだが、今ひとつキャッチーなリフのある曲だとか、心の琴線に触れてくるようなメロディックな曲などがどうも見あたらないので(このあたりはボブ・ジェームスのソロも全く同じような趣である、当然かもしれないけれど)、アルバム全体の印象としては、いつもフォープレイの音は聞こえてくるけれど、全体に妙に平均化された、希薄なものにしてしまっているような気がする。

 もちろん、「そもそもそういう音楽をやるのがフォープレイなんだよ」というならば、確かにそうには違いないだろう。多分、本作をBGMとして何気なく車や部屋の中に流しておければ、回りの空気や雰囲気が一瞬にしてワングレード上がるに違いない。そういう音楽的な効能というか機能性みたいな点からいえば、フォープレイの音楽は確かにこれでいいのかもしれないけれど、それにしてもここまで来ると、極端に抽象化されたジャズ的なボキャブラリを使ったアンビエント・ミュージックみたいな気すらしてしまったりするのだが....。
 ちなみにお約束のゲスト・ボーカルだが、今回はエスペランザとヒラリー・ジェームス、あと気がついたところでは、「ルックス・ボーズ・ウェイズ」の途中でアップテンポな4ビートのピアノ・トリオになってみたり、「セバスチャン」では、なんだかジャック・ルーシェみたいなクラシカルさを見せたりするあたり、まぁ、どちらもお遊びなんだろうけれど、けっこうおもしろかった、もう少しあざとくやればよかったのに(笑)。
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GRP CHRISTMAS COLLECTION vol.3

2008年11月27日 20時43分12秒 | JAZZ-Fusion
 3年前の今頃にここにも書いたのだが、「GRP CHRISTMAS COLLECTION vol.1」というアルバムは、個人的に数あるジャズ系のクリスマス・コンピレーションでもほとんど決定盤と思っているアルバムである。あの仕上がりからすれば当然だろうが、私だけではなくきっと一般的にもこのアルバムは受けがよかったのだろう、これが出た翌年だったか柳の下のなんとやらで、さっそく「Vol.2」も出しているのだが、さすがにあの豪華絢爛だったVol.1に比べてしまうと、集ったアーティストといい、選曲といい、いささか落ち穂拾いみたいなところがないでもないアルバムになってしまっていたので、まさかVol.3はないと勝手に思っていたのだが、ご覧のとおり実は出ていたのである。先日、某アマゾンでこれの中古盤が1000円以下の価格で出品されていたのを発見したので、すかさず購入したものだが、もちろん今聴いているところである。

 なにせ14年も前のアルバムになってしまったが、ムード的にはVol.1の時と同じスムース・ジャズをベースした、豪華でおしゃれなクリスマス・アルバムではある。ただ、今回はそうそう初登場のアーティストがそろえられなかったのか、トム・スコット、デビッド・ベノワ、ダイアン・シューア、デイブ・グルーシンと再登場組が多いし、曲もかなりけっこう通好みので、全体としてはVol.2以上に地味な仕上がりになってしまっている。今回初登場のアーティストとしては、まず2曲目のBBキングがブルージーに決める「Merry Christmas, Baby」、ラムゼイ・ルイスがGRP路線を忠実に敷衍したムードでおしゃれに仕上げた「Hark! The Herald Angels Sing」 、イエロージャケッツがテクニカルなニューヨーク・フュージョン風に演奏した「Go Tell It on the Mountain」あたりが目立つところ。セルジオ・アルバトーレとキム・ベンシルははじめて聴く人だが、前者はムーディーなピアノとアコスティックなパースペクティブが気持ちよく、後者は打ち込みを多用したけっこう賑々しいひとりパフォーマンスである。あと、これも初登場、大ベテランのビリー・テイラーはトリオ編成でオーソドックスなスタイルだ

 リピーター組としては、Vol.1で「Have Yourself a Merry Little Christmas」ほ絢爛に演奏したトム・スコットが今回はトップで登場するものの、曲は知らないし演奏はカリプソ風でちょっと肩すかし気味、ダイアン・シューアは今回も貫禄十分で先行するBBキングに十分渡り合っている。デビッド・ベノワとデイブ・グルーシンは常なるペースで押し切っているというところか....。そんな訳で、このアルバム、そりゃ、もちろん凡百のクリスマス・アルバムに比べれば、依然としてGRPらしく豪華でセンスの良いスムース・ジャズ仕立てのクリスマス・コンピレーションになっていることは間違いないのだけれど、やはり全体に地味、新味にかけるというが正直なところである。
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Bob James / Ambient Mood

2008年09月26日 23時17分16秒 | JAZZ-Fusion
 iTunesでライブラリを増殖させる間に出来たコンピレーション。ボブ・ジェームスはピアニストというよりアレンジャーだし、もともとそういう方面が好きなのか、ごく80年代から打ち込みを取り入れているけれど、ワーナーに移籍してからはいよいよその傾向が強くなった。頭の中で出来上がった音楽のディテールまできっちり組み立てられる(んでしょう)ボブ・ジェームスのような人にとっては、打ち込みというのは多分最高のおもちゃなんじゃないと思うけれど、そんな彼が同じ頃から時にみせるようになったのがアンビエント・テクノっぽい音、このコンピレーションはそういうものばかり集めたものだ。

 作業中に聴いたら、温度感の低いビートがさぞや快適そうな曲ということで、アルバムを出してきてあちこちの曲をプレイしてみてはよさそうな曲ピックアップし構成したら、それをすぐさまCDRに焼いて、それを今度はiTunesに登録した訳なんだけど、考えてみればそんなことせずとも、彼のアルバム全部をいったんiTunesに取り込んで、その後この選曲でプレイリスト作ればいいことに気がついた(笑)。そらそーだよな。そもそもiTunesとかそういう風に使うもんなんだろーし....ということで、まだまだハードディスクに音楽をためるということへ、頭の切り替えがうまくいかないオッサンなのであった。

vol.1
Lotus Leave 6:03
Under Me 5:12
Restless 7:04
The River Returns 5:41
Playing With Fire 5:47
Mind games 4:40
Morning, Noon & Night 4:18
"...Stop That!" 4:46
Organza 5:57

vol.2
Take Me There 5:47
Raise The Roof 4:55
What's Up 4:16
Yogi's Dream 7:30
Maputo 6:52
More Than Friends 6:20
Xraxse 4:35
Night Sky 4:27
Far From Turtle 6:29
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DAVE KOZ & Friends / A Smooth Jazz Christmas

2007年12月23日 02時43分22秒 | JAZZ-Fusion
 昨年の今頃購入したはいいが、例によって昨年中に消化できず放置してあったもの。デイヴ・コーズという人サックス・プレイヤーは初めて聴く人だが、まぁ、このアルバムの場合、タイトルが全てを物語っているといってもいいだろう。一応、アウトライン的なところを書いておくと、スタジオ・ミュージシャンで構成されたと思われる9人からなるフュージョン・スタイルのバンドがベーシックな演奏し、その上にデイブ・コーズを筆頭に、ピアノにデビッド・ベノワ、ギターにピーター・ホワイト、トランペットにリック・ブラウン、ヴォーカルにケニー・ロギンスとべリンダ・ラッセルのソロや歌がのっかるクリスマス・アルバムというところだろう。けっこう新しいアルバムかと思っていたが、クレジットをみたら2001年の制作だから、それほど新しい作品という訳でもない。

 音楽的にはスムース・ジャズというより、私にはLAフュージョンといった方がしっくりとくる。1曲目は「Smooth Jazz Christmas Overture」という7曲のクリスマス・ソングの有名どころをメドレーで演奏しているが、「Let It Snow」ではコーズをフィーチャーしたまさしくスムース・ジャズ風なアレンジ、続く「Greensleeves」ではアール・クルー風なピーター・ホワイトのアコギのソロを伴った「黒いオルフェ」みたいなアレンジで、更に続く「Angel We Have」では、GRP風なジェントルでポップなデビッド・ベノワが登場といった感じで手を替え品を替えの趣向で楽しませてくれる。私の好きな「The Christmas Song」はアンサンブルによる演奏で各人の見せ場を少しずつフィチャーした仕上がりでこれはなかなか。もう一方の雄、「Have Yourself A Merry Little Christmas」はコーズとホワイトをフィーチャーしたややドゥーワップ風なオールディーズ・タイプの演奏でこれは今一歩という感じ。ちなみに8曲目の「Boogie Woogie Santa Claus」はケニー・ロギンスをフィーチャーしている。相変わらずのヴォーカルだが、けっこう落ち着き払ったところもあり、最近はもうすっかりポピュラー・ヴォーカリストになっちゃっている風情である。

 という訳で、全編に渡って多用なソリストが様々なヴァリエーションでクリスマス・ソングを楽しませてくれる楽しいアルバムなのだが、正直いって個人的な印象はいまひとつといったところか。何故かといえば、どうもこのアルバム全編に漂うLAフュージョン、あるいはウェスト・コースト・ジャズ的オプティミズム全開な明るさ、軽さといったものが、どうも個人的な好みからするとちとは陰りがなさすぎていまひとつ食い足りないという感じがしてしまうからだ。まぁ、そう思うとやはりGRPのクリスマス・アルバムは凄い作品だったと逆に思ったりしてしまうのだが。ちなみにこのアルバムの音楽監督はGRPに所属して、当のクリスマス・アルバムに参加していたデビッド・ベノワなのだが....。
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クローマ/ミュージック・オン・ザ・エッジ

2007年11月30日 23時57分05秒 | JAZZ-Fusion
 1991年に出た豪華メンバーによるフュージョン・セッション的ライブ盤。新生CTIの復活を記念したアルバムのひとつだったように記憶しているが、この作品に限っては大阪でのライブということからも伺える通り、日本で企画独自された作品らしい(同じ頃、映像もレーザーディスクでも出ていた)。メンツはジム・ベアートがキーボードと音楽監督に当たり、ドラムがデニス・チェンバース、ベースがマーク・イーガンというリズム・セクションで、これにマイク・スターン、ジョン・ヘリントン(ギター)、ホブ・バーグ(サックス)、ランディ・ブレッカー(トランペット)、ミノ・シヌル(パーカス)その他がソリストとしてのっかるという格好である。

 ステージはコープランドの「庶民のファンファーレ」を真ん中に置き、各種サンプリングなどでデコレイトしたSE風なオープニングで始まる。このちょいと長目な前奏はちょっと現音系というかアンビエントっぽいな雰囲気があり、けっこう気をもたせる前奏になっていて、およそCTIというイメージではないのだが、その分、次に出てくる「レッスンズ」のリズムがヤケに格好良く聴こえる寸法である。もっとも「レッスンズ」の方もCTIっぽい感じではなく、典型的な90年代型NYフュージョンといった風情のだが....。この後に続く作品も、このステージに参加したメンバーがそれぞれ持ち寄ったものがずらりと並んでいて、ほぼ典型的なNYの頂上セッション的な様相を呈している。途中「アランフェス協奏曲」が唐突に出てくるのは、このステージがCTI復活を記念したことを刻印するために選ばれたのだろう、まぁ、お約束といったところか。

 収録された曲では、やはりベアードの「レッスンズ」がいい。ベアードのシンコペしまくったキーボードのリフをテーマにふたりのギタリストのけっこうフリーなソロをフィーチャーしているが、そのスピード感溢れるリフがなんともカッコ良いのだ。マイク・スターン作の「アップサイド・ダウンサイド」もファンキーなリズムと細切れっぽいリフが、独特の都会的なセンスを醸し出していて、80年代の頃のスターン全盛期の片鱗を伺わせる仕上がりだ。という訳でこのアルバム、1曲目とラストはなかなか良いのだが、他の曲はどことなくメンツが気乗り薄というか、8分くらいの力で軽く流しているというか、ちと燃焼不足気味なのが食い足りない。ちなみに、「アランフェス協奏曲」はジム・ホールに敬意を表してか、テーマはギターで演奏され、続いてマイルスを彷彿とさせるブレッカーのトランペットが登場するという、盛りだくさんな趣向であるが、2分くらいで終わったしまう。
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チック・コリア/スリー・カルテッツ

2007年11月03日 21時01分22秒 | JAZZ-Fusion
 1969年のRTF以降、結果的にフュージョンと呼ばれるようななったジャズのメインストリームを歩んできた、チック・コリアのフュージョン期のほぼ最後を飾る1981年の作品である。ややテクニカルさを過剰にエスカレートさせたRTFを解散させた後、こんファンタジックなコンセプト・アルバムやスペイン指向などにも色目を使いつつ、徐々にポップで耳あたりの良い音楽に変貌してきたチック・コリアだが、ここでは一転してある意味シリアス、ゴリゴリとした感触の、非常に硬派なフュージョンといった仕上がりになっている。メンツはチックにスティーブ・ガッドのドラムにエディー・ゴメスのベース、それにマイケル・ブレッカーを加えたワン・ホーン・カルテットのみで編成され、曲によってゲスト陣を使い分けるようなことも一切なく、レギュラー・バンドの如き雰囲気にタイトに仕上げられている。

 前半を飾る3つの四重奏曲は、そのあたりをよく物語っていて、前述の通り、これまであったスペイン趣味やファンタジックなムード、曲芸的なソロの連打といったところはあまりなく、ソリストはむしろブレッカーにゆずり、全体は合金のようにタイトなアンサンブルでシリアスに進んでいく。非常に重厚かつ充実した演奏だが、やや息苦しさがあることも確かで、これまでの指向でいえば、チックのバルトークっぽさが全面に出ているといえるかもしれない。特に第1番と第3番はその傾向が強い。第2番はふたつのパートに分かれ、前者はエリントン、後者はコルトレーンへのトリビュートになっていて、こちらはフュージョンという枠から伝統的なジャズへ回帰しつつあることを匂わす内容となっている。ことにパート2はほとんどエレクトリック・バンドやアコスティック・バンドを予告するような、変幻自在なリズム・チェンジを駆使したモダンな4ビート作品になっている。
 ちなみにボーナス・トラックとして収録された4曲は、このアルバムの直後にスタートするヴィトウスとヘインズとのアコピ・トリオを先取りしたようなオーソドックスなピアノ・トリオに近づいた作品だ。
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