市原市議会議員 小沢美佳です

市政や議会の報告、日々の活動や想いを綴ります。
一番身近な地方政治の面白さが、皆さんに伝わりますように・・・

病院窓口で支払う、上乗せ料金について

2012-05-31 | 健康・医療
昨日の千葉日報の一面トップに、
旭中央病院 時間外救急に料金上乗せへ」という記事が載っていました。

旭市の国保旭中央病院が、時間外の外来患者に対し、診療費を最大5250円上乗せする「時間外選定療養費」を導入するというものです。
周辺の医療資源があまりにも少なく、同病院への軽症患者の時間外来院が集中し、
「キャパシティーがいっぱいいっぱい」「このままでは本当に受診が必要な命にかかわる人が診られない」とのこと。


「ところで、市原市の病院は上乗せしてるの?」
との素朴な疑問の声を受け、さっそく初診料について調べてみました。

まず、もともと日本の保険医療の診療報酬制度で定められている初診料は、窓口負担額810円ですね。
これに、休日だと750円が加算されます。
深夜(午後10時から午前6時)は1440円の加算。
その他(休日・深夜以外)の時間外は255円です。
これらの負担は診療報酬制度上の料金なので、全国一律です。

一方、今回の旭中央病院が導入する「時間外選定療養費」は、200床以上の病院に限り認められているもので、保険外の請求です。
従って、請求しない病院もあれば、1000円以下のところ、8000円以上のところなど、施設によってまちまちです。
ちなみに市原市内には200床以上の病院は3か所ありますが、いずれも請求はしていないとのことでした。

平成21年に導入した成田赤十字病院では、「風邪薬が切れたから」などの理由で夜間に救急外来を訪れる軽症患者が多く、医師の疲弊や退職につながっていましたが、導入後は救急外来数が3割以上減少しました。
同様の結果は他のいくつかの病院でも得られており、時間外受診の料金上乗せはコンビニ診療の抑制に一定の効果を上げているといえます。

ただ、窓口負担が増加することで、重症患者まで受診を控えるようなことがあってはなりませんね。
この点については、導入前と後での時間外入院患者(つまり、重症者)の人数には変化がなかったという統計結果を受けて、
影響はないとする意見があります。

難しい判断ですが、私は、結果的に地域の医療資源が守られるならば、積極的な導入もひとつの方法かと思っています。
もちろん、適切な金額や条件の設定、効果的な啓発方法など、十分な検討が必要なことは言うまでもありません。


ところで、病院が独自に設定できる保険外の料金は他にもたくさんあります。

そのうちの一つが「初診時選定療養費」。
時間外受診と同様、200床以上の大病院に認められているもので、他の医療機関からの紹介状を持たない患者に加算されるものです。
平成8年の健康保険法の改正によって、「高度・専門医療を担う大病院」と「かかりつけ医療を担う地域の医療機関」の機能分担を推進するために始まった制度です。いきなり大病院を受診するのは極力避けてください、ということですね。
こちらは
千葉県循環器病センター 787円、 千葉労災病院 3500円、 帝京大学ちば総合医療センター 2100円 
と、市内の大病院3施設ともに設定しています。


最後に、もひとつ。
これは診療報酬制度の枠内なのですが、「夜間・早朝等加算」という仕組みをご紹介しましょう。
こちらは、一定の基準を満たす診療所(19床以下の医療施設)に認められているもので、
例えば深夜や休日などの診療に対し、初診の患者一人につき診療報酬50点が加算されることになっています(窓口負担換算3割で150円)。
地域の開業医の休日や夜間の診療を報酬面で後押しすることで、その時間の患者の大病院への一極集中を緩和しようという狙いがあります。




今日は、受診時に上乗せされている費用についていくつか確認してみましたが、少しはお役に立てたでしょうか(^^)

いずれにしても、
医療保険制度や地域医療資源を適切に維持するためには、
安易な時間外の受診を避ける、地域のかかりつけ医と大病院を使い分ける、
そんな私たち一人一人の心がけが、とても大切なんですね。

里山を守り育てよう

2012-05-27 | 日々のあれこれ
良く晴れて汗ばむ陽気となった今日、地元八幡運動公園と八幡公民館にて「第36回八幡臨海まつり」が行われました。

キャッチフレーズは「手をつなごう八幡はひとつ」。
地元町会、商店会をはじめとする諸団体、臨海部などの企業群が協同で行うお祭りです。

野外ステージでは、和太鼓の演奏や踊り、バンド演奏などが繰り広げられ、


模擬店もたくさん立ち並んで大賑わい!


上総いちはら国府祭りのマスコット・オッサくんは、ここでも子供たちに大人気(^^)


もちろん、佐久間市長もお見えになりました。TV取材を受けてます。


毎年恒例の八幡臨海まつりですが、
大震災を経験した36回目の今回ほど、
皆が「企業も市原の住民のひとり」との意識を共有して、互いの連携の大切さを考えた年はなかったのではないでしょうか。



さて、午後は東海大付属望洋高校で行われた里山シンポジウムへ。
県内では、120あまりの団体が里山を守る活動をしています。そのうち、市原市は14団体です。

シンポジウムの午後の部では、県や市の担当課職員の方からの現状と課題などの説明のあと、
アートディレクターの北川フラムさんによる基調講演がありました。


北川フラムさんは、以前ブログでもご紹介しました。
来年度の市制50周年に向け、南市原の里山をアートによって活性化するというプロジェクトの仕掛け人でもあります。
講演では、北川さんがこれまで日本各地で手掛けてきたプロジェクトの一つとして、越後妻有の「大地の芸術祭」の例が紹介されました。
ご覧になった市原市民の皆さんは、どうお感じになりましたか?
来年の市原市の取り組みのイメージが、なんとなく見えてきたでしょうか。

講演の後は、佐久間市長、農民文学者の遠山あきさん、上古敷谷里山の会会長の林秀一さんのお三方によるパネルディスカッション。



95歳になられる遠山さんの言葉は、さすがにどれも重みがありました。

「今は過去の積み重ね。未来は今の積み重ね」

「文明が発達すると、人間は不器用になる」

「21世紀の間に必ず水危機が来る。水を育んでいる里山を本気で大切にしなければならない」

会場には、里山を守る活動をしている方が市外各地からも大勢訪れていました。
里山の魅力と、里山を愛する人々に触れることができた、貴重な時間でした。

スカイツリーを完成させた女性副所長

2012-05-25 | 日々のあれこれ
22日に開業して多くの日本人の注目を集めている世界一高い電波塔、東京スカイツリー。
その現場の建設工事事務所の副所長を務めた、服部道江さんの記事を目にしました。

大林組の生産設計部副部長である服部さんは、建設業界における女性管理職のパイオニア的存在と言われているそうです。

でも、
『パイオニアなんて大それたものじゃないんです。キャリア女性として目指す未来像もなかった。
仕事をすることが当たり前で、私はただ、目の前のことをひたすら片づけてきただけ』
と、肩に全く力が入っていないところに、とても惹かれました。

男社会の中でも、ことさら背伸びせず、自分のできることをコツコツと。
それができるのは、その仕事が本当に好きだからなのでしょうね。

『東京スカイツリーってあんなに大きいけれど、ひとりひとりが、小さなことを積み重ねて作り上げたものなんです』

今度スカイツリーを見上げた時、服部さんのこの言葉を思い出すことでしょう。

幼いお子さんを育てている方へ・・・

2012-05-24 | イベント
ずっと画策しておりました、小児救急医療に関する講演会。

講師の小児科ドクターがなかなか見つからず紆余曲折を経ましたが、
このたび市原市医師会のご協力でやっと開催の運びとなりましたのでお知らせします(^^)

「(仮称)いざというとき慌てない 子どもの病気とけがの基礎知識

7月26日(木)14時半から16時半、場所はサンハート。
光風台の「たむら医院」院長、田村雅治先生をお迎えしてお話を1時間、残り1時間は質問・意見交換の予定です。
ざっくばらんに自由に言い合える座談会のような感じにしたいな~と思っています。

もちろん保育付きですので、赤ちゃんや小さいお子さんをお連れでも構いません。
子育ての先輩の参加も大歓迎です。
お気軽に申し込んでくださいね。

これからチラシを作って宣伝です。
できれば、行政職員の方にも来ていただけたら嬉しいのですが、、平日だから難しいかな。
まだ2カ月先ですが、興味のある方は今からカレンダーに印をつけておいてください(笑)


そうそう、その前に、
療育相談会「育ちにくい子供について語り合いませんか」
も開催します。こちらはもうすっかり毎年の恒例となりましたね。

今年は、のぞみ牧場学園理事長の津田望さんに講師をお願いしました。
6月30日(土)13時半から15時半まで、場所は同じくサンハートです。

お問い合わせは、市民ネットまで!(^^)/

年を取れば・・・

2012-05-22 | 障がい者
今日は、長男の療育手帳判定日。
長男を連れて、千葉リハビリテーションセンター(千葉市緑区)内にある県中央障害者相談センターに行きました。

千葉リハセンター


療育手帳発行の判定場所は17歳までは児童相談所ですが、
18歳からは福祉法上の「児童」の扱いから外れるため、場所が変わります。

長男は、初めて連れてこられてきた場所に興味津々。建物の中に入った途端にあちこち走り回りだしました。
周りの視線を浴びながらやっとのことで捕まえて、建物内の一角にある相談センターの窓口を叩きました。



担当の心理判定員さんが、市の担当課職員の方の付添のもと、
日ごろの生活の様子の聞き取りや、カードや積み木を使った知能テストなど、手際よく進めていきました。

次回の判定は5年後。30歳代までは5年ごとで、それ以降50歳代までは10年ごとです。
60歳代以降は、認知症などと区別がつかないため、行われません。


そっか、年を取れば、結果的には皆一緒なのですね(^_^;)

お別れの会

2012-05-21 | 議会
今日は高橋利美議員のお別れの会でした。

思い起こせば昨年の選挙前、
早朝の五井駅改札口近くの通路で、道行く人々に丁寧に挨拶されている姿をお見かけしたのが最初でした。
朝夕一日も欠かさず駅に立ってらっしゃるのだと後に聞き、並の精神力ではないととても驚いたことを覚えています。

選挙後すぐに入院・手術され、ほどなく復帰されてから、何度かお話しさせていただく機会がありました。
「体調はいかがですか?」との問いかけに、
「少しずつだけど、何でも美味しく食べられているよ」
とその時は明るく笑って答えて下さっていたのですが、
今日のご親族のお話では、ご自分の状態を誰よりもよくご存じだったとのこと。
まだまだやりたい事もたくさんおありだったでしょうに、どんなお気持ちだったのだろうかと思うと、胸が痛みます。

三人のお子様のお別れの言葉は涙を誘いましたが、悲しみを乗り越えて強く一歩を踏み出す決意が感じられるものでした。
市原市議会議員は35人になってしまいましたが、私たちも市政を少しでも良くするとの共通の思いで皆頑張りますので、
どうか安らかに、天国でお見守り下さい。

合掌。

運動会から田植え祭まで

2012-05-19 | 日々のあれこれ
良く晴れて暑かったけれど、空気が乾燥していて爽やかな一日でしたね(^^)

今日は地元の小学校で一斉に運動会が開かれました。
子どものころから運動会は大好きだった私。今も見ているだけで興奮します(笑)

石塚小学校


こちらは、八幡小学校


徒競走の場合、来賓席のすぐ前にゴール地点がくることが多いのですが、今日は逆にスタート地点になる時がありました。
スタートラインに並んで緊張しながら前のグループが走り終わるのを待つ子供たちの表情を間近で見るのは、非常に面白かったです。
そわそわして落ち着かない子、前のグループの結果が気になる子、じっと一点を見据えて集中している子・・・と皆それぞれなのですが、
そんな子どもの表情(特に目)や様子を見て「この子が一着だろうな」と予測すると、たいてい当たるんです。

やはり一位になるのは、周りに惑わされずに自分のスタートに集中している子。
いずれにしても、子供たちの生き生きとした姿は今日の爽やかな青空にふさわしく、とても清々しい気持ちになりました。



さて、運動会の後に向かったのは、市民会館で開催中の「工芸作家展」。主催は市原市工芸会です。
こちらもご招待いただいたので初めて訪ねてみました。
会場には、木彫りやガラス工芸、押し花、着物の染色など、素晴らしい作品がずらりと並んでいました。

工芸会の方のお話では、市内には作品を展示する場が意外に少ないとのこと。
リタイヤした高齢者の方が、趣味で物づくりやアートに親しむ機会は今後ますます多くなります。
交通の便がよく、しかも安くて手軽に借りられるような発表の場が、これからはもっと必要とされるでしょう。

ちなみに、市民ネットの事務所の一角もギャラリーとして市民の皆さんに広く開放しておりますので、こちらもお気軽にご活用ください(^^)

写真は、日本刺繍の作品の横で微笑む作家の前田良子さん。


糸の染色からご自分で手掛けるのだそうです。
葉っぱや花びらの微妙な色の違いも、刺繍糸で表現されていて実に見事でした。



市民会館を後にして、次に向かったのは引きこもり・ニートの家族会の月例会。

そして閉会後は急いで電車に飛び乗り、千葉市花見川区へ。
こちらでは今日、障がい者の支援事業を行っているNPO法人千楽(ちらく)田植え祭が行われていました。
千楽では、農業を障がい者の福祉や雇用と結びつける「あぐりプロジェクト」という活動も行っていて、このプロジェクトの中心人物が、私の知人のOさん。
以前は海外で大使館の料理長を務めていたのですが、農業に目覚めて千葉の実家に帰ってきたという面白い経歴を持っている、エネルギーに満ちあふれた兄ちゃん(笑)です。

残念ながら私が駆け付けた時はすでに午後4時を回っていて、田植え体験はすっかり終了。
田んぼ近くのOさん宅の広いお庭で主だった参加者がバーベキューをしていました。

そこに集っていたのは、法人の副理事長でもあり「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」制定の中心となった毎日新聞社の野沢和弘さんをはじめ、県の障害福祉課の職員の方々など、千葉県の福祉を担うそうそうたるメンバー。
ついついメモ帳片手に福祉談議に夢中になり、「仕事を忘れなさい!」とOさんにたしなめられてしまいました(^_^;)



振り返れば今日はなかなか密度の濃い一日でしたが、充実感でいっぱいで疲れは全くありません。不思議なものですね。
また明日から頑張れそうです。

バリアフリーは当たり前!

2012-05-17 | 障がい者
前回紹介した、「第3次市原市障がい者基本計画」のSPコードについて。

今日もたまたま障がい者支援課の方とその話になり、「ところで、あのSPコードは素晴らしい配慮ですね!」と改めてお伝えしたところ、
その方は「いえ、そうじゃないんです」とおっしゃるんです。

「今の時代、パソコンでも音声読み上げソフトの普及など、バリアフリーの取り組みは当たり前です。
ましてや行政が市民の皆さんに向けた刊行物なのですから、
どんな方にも理解していただけるためにはSPコードを付けるなんてごく当然のことです」

・・・そう、そうですよね。
そう考えればこのSPコードは、障がい者に関する計画だけでなく、高齢者支援計画も、防災計画も、都市整備計画も、そして総合計画も、
庁内すべての部署が作成時にこのような意識を持って取り組むべきなのですね。

目からウロコでした。ぜひ他の部署にも広がってほしいと思います。


さて、今日の午前中は、市民ネットの福祉部会の活動として、
特別支援学校にお子さんを通わせているお母様方と一緒に、千葉市にある「NPO法人 みらい工房」さんを見学させていただきました。



昨年の6月に開設されたばかりのまだ新しい事業所で、
生活介護(障がい者が日中に捜索活動や生産活動などをして過ごすためのサービスの提供)、自立訓練(障がい者が地域で生活できるように生活訓練や労働体験を提供するサービス)、障がい児のための放課後等デイサービス、ケアホーム(共同生活住居)
といった事業を行っています。

私を含め、参加者が特に注目したのはやはりケアホーム
市原市内では、辰巳台の8部屋あるアパートを一棟まるまる借り上げ、7部屋を居室に、1部屋を共同スペースに活用しています。
区分6という最重度の障がいを持つ方も2名、ここで生活されています。
保護者の皆さんは、「うちの子はもう入所しかないと思っていましたが、地域で暮らせる道もあるんですね」と驚いた様子で熱心に説明に耳を傾けておられました。

障がい者に関する国の政策も、世の中の意識も、現在どんどんと変化している真っ最中です。
このような背景がある中で、昔のように「行政の福祉課にお願いすれば、施設を紹介してくれる」という時代ではなく、当事者や家族が自らの道を自らで探し選択しなければならないので、今や「知らなければ損」のしんどい時代と言えるでしょう。

でも、障がい者でも多様な生き方を選択できるという方向性は間違いではないと思います。今日の訪問が、参加された皆さんのお役に少しでも立てれば嬉しいことです。
私も先週訪れた札幌の施設に続き、よい勉強になりました。


実は、
みらい工房さんは、今年高等部を卒業したうちの長男もよく利用させていただいておりました。
おかげで母は安心して仕事ができました・・・。

写真は、長男がお気に入りだった場所。ここでいつもジャージャーと水を流して過ごしていたそうです(^_^;)

優秀なケアマネって?

2012-05-15 | 高齢者
一昨日の日曜日、
東京で行われた勉強会、「日本の介護保険」に参加してきました。
パネリストは、介護事業者、ケアマネージャー、東京都区議、行政それぞれの職種の方々でした。

ここで盛んに課題として挙げられていたのが、ケアマネージャーの質の差。
ケアマネージャーとは、介護保険制度で介護を受ける人のために個別にサービス計画を作成する専門職のことです。
どんなマネージメントをしても報酬に差はなく、質を高めるための動機づけもない、とのことでした。

いいケアマネとよろしくないケアマネ、人によってかなり差があるなんて、ちょっとショックです。
ケアマネは介護保険制度の要ですから、そんなことでは困ります。

でも、私がそのとき疑問に思ったのは、
「優秀なケアマネージャー」って、政府、介護事業者、そして利用者、三者それぞれで物差しが違うんじゃない?
という点。
質の高いマネジメントって、例えばどのような場合を指すのでしょう。
まだまだ現場を知らない私、もっと修業が必要です。。


さて、
下の写真は、今日手に入った「第3次市原市障がい者基本計画」の冊子の一部です。
各ページの下方隅には、ご覧のように切込みとSPコードが記されてあります。



早速この点について担当課に問い合わせました。
このSPコードに読み取り機器をかざすと、音声が流れる仕掛けなのだそうです。

今回の基本計画は、アンケートや協議会、シンポジウムなどを通して、障がい当事者からの意見を反映させながら作られました。
この視覚障害者に配慮した仕掛けも、当事者の声から生まれたものなのでしょう。

実に嬉しい配慮ですね(^^)

医療の要、家庭医 (札幌市視察報告 2)

2012-05-14 | 健康・医療
札幌市視察報告の最後は、2番目の目的である地域医療・家庭医療への取り組みについてです。

2日目の10日午後、北海道庁の議会棟にて保健福祉部医療政策課の職員の方から説明していただきました。



北海道の医師数は、人口10万人に対し218人。全国平均が219人ですから、ほぼ平均です。
一方わが千葉県は159人。全国でも下から3番目と、お恥ずかしい状況です。
これは意外に思われるかもしれませんが、最下位争いをしているのは千葉県、埼玉県、茨城県と、いずれも関東近郊です。
大きな原因の一つは、やはり医学部の少なさと言われています。いずれも、県に1、2か所(千葉県は千葉大のみ)しかありません。お隣東京都の13か所とは対照的ですね。

話が少しそれてしまいましたが、医師数が平均値の北海道は、それでも医師不足解消のための施策を積極的に展開しています。
なぜなら、札幌圏に全道の医師の約半分が集中するという、地域偏在が大きな課題としてあるからです。これは千葉県と一緒ですね。

例えば、
地域医療に興味がある医学生が地域で実習を受ける際の支援や、
地域の病院で幅広い診療を行う総合内科医を養成するセンターの設置と運営の支援、
女性医師が復職し、働きやすい環境づくりのための支援などなど、

医療対策協議会(会長は知事)が中心となって地域医療体制の確保に取り組んでいました。


そして、
次の日(11日)に訪れたのは、医療法人北海道家庭医療学センター。お話してくださったのは、理事長の草場先生です。



こちらでは、家庭医療の実践と、家庭医(総合診療医とも言います)を育てるための教育プログラムの提供が行われています。
直営の診療所はここ札幌と室蘭の2か所、他に自治体との契約で4ヵ所の診療所に医師を派遣しています。

ところで、家庭医って、なんでしょう?
地域や地域の人々と深いつながりがあって、どんな病気や怪我でも診てくれて、頼まれれば往診もする・・・
イメージとしては、古き良き時代のまち医者といったところでしょうか。

しかし、現代の医学教育は、消化器、循環器、整形外科、眼科・・・など、人間の体をパーツに分けてとらえ、それぞれに高度な専門性を持たせたものとなっていて、学生は各々の専門分野に分かれる仕組みになっています。
昔から存在している医局制度というものがこれです。
しかし、これでは一人の人間に対し何人もの専門医が関わらなければ全体を診ることが出来ません。
特に僻地の診療所などでは、患者を一人で一通り診ることができる家庭医の存在が絶対に必要なのです。災害時にも同様のことがいえますね。

ところが、日本では現在「家庭医」という分野は制度としては存在していません。
専門医療志向の医師会が、これまでずっと家庭医の存在を認めてこなかったことが大きな原因なのだそうです。

しかしこの5年ほどで、医師の絶対的不足や地域偏在、地域医療の重要性などが叫ばれるようになったことによって少しずつ認められるようになり、家庭医を志す医学生も増えてきているそうです。
「家庭医」がきちんと制度化され、現在1%ほどいる家庭医が全体の30%を占めるようになれば、日本の医療もだいぶ変わってくるだろうとのお話でした。
普段は家庭医が地域の医療をしっかりと担い、高度な医療が必要となった時点で専門医にバトンタッチする、というような棲み分けがきっちりとされることが大事なのですね。


ところで、
草場先生ご自身は福岡のご出身です。大学は京都で、家庭医にあこがれてとうとう北海道にまでたどり着きました。日本縦断の人生ですね。
お話は明快でとてもわかりやすく、穏やかな中にも家庭医療に対する熱い思いがひしひしと伝わってきました。
先生のお人柄に、視察団の女性陣はみなすっかり先生のファンになってしまったほどです(^_^;)

草場先生を囲んで。


3日間にわたる視察もこれで終了。
障害者福祉、医療共に最先端の現場を見ることができ、とても充実した内容でした。

千葉県議会市社無会派の皆さま、お誘いいただいて本当に有難うございました!!

皆さんの応援が励みになっています


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