市原市議会議員 小沢美佳です

市政や議会の報告、日々の活動や想いを綴ります。
一番身近な地方政治の面白さが、皆さんに伝わりますように・・・

全ての子どもたちに学びの機会を

2015-11-23 | 教育
明日は全議員に対する議案説明会。
この日を迎えると、「いよいよ定例議会が始まるな~」と気持ちが引き締まる気がします。
続く明後日は一般質問の通告締切日なのですが、なんと今回はその日から泊まりの視察の予定が!
なので、明日中に通告を済ませたいと思っています。

今回は、ま~題材を決めるのに悩んだこと!
悩んだ挙句にギリギリで急に決めたテーマもあります。担当部局の皆さん、不意打ちでスミマセン。。


写真は、YOUホールの1階ロビー。
ハロウィンが終わったら、すぐにクリスマスなんですね。


市では、「生活困窮世帯の子どもの学習支援事業」をこの夏から開始しています。
中学1・2年生の英語と、別室の中学3年生の数学の学習支援の様子を見させてもらいました。
20名の生徒に対し、ほぼ二人に一人の割合で支援員さん(先生)がいる体制です。
1・2年生はかなりのんびりムード(支援員さんたちは必死!)でしたが、3年生はさすがにどの子も目つきが違いました。もうすぐ受験ですものね。

お一人の支援員の方にお話を伺いました。
その方は一流企業を定年退職されたのですが、学生時代は家庭が経済的に貧しく苦学された経験から、退職したら自分と同じような境遇の子どもたちに勉強を教えてあげたいとずっと思っていたのだそうです。
誰もやらなければ自分で事業を立ち上げて、とまで思っていたところ、ちょうど市原市が新しくこの事業を始めることを知り、すぐに支援員に応募しました。
どんな家庭の子どもでも、等しく安心して教育を受けられるような社会になってほしい。経済的な支援はできないけれど、自分が勉強を教えることで、この子たちが少しでも自信を持ってもらえたら・・・と話されていました。

サンタクロースは、世界中のすべての子どもたちの下にプレゼントを届けにやって来るのだそうです。
それって、とても大切で深い意味が込められていたのかも・・・。
クリスマスツリーの灯を見ながら、そんなことをふと思いました。

アートいちはら2015秋

2015-11-22 | 観光
昨年春のアート×ミックスの感動が甦る?!
南市原を舞台に、「アートいちはら2015 秋」が始まりました。

こちらは連携会場の一つ、内田未来楽校


この古い校舎の味わいが何とも言えません。


迫力満点の芸術作品


IAAES(旧里見小学校)
こちらでは、多彩な体験型ワークショップも楽しめます。






里山食堂で、お昼ごはん。




アートハウスあそうばらの谷
「佐藤香展」。地域で採取した土を素材とした土絵が、古民家の空間に表現されていました。





市原市内の各地域で採れた土のサンプル。土って、実に多彩な色合いがあるんですね。


カフェ「おもいでの家」




残る開催期日は、明日23日、28日、29日の三日間。
関東で一番遅いと言われる南市原の紅葉とアート作品、そして里山の人々のおもてなしを、ぜひ味わってみて下さい(^^)/





地域に出向く薬剤師へ

2015-11-20 | くすり
昨晩、市原市薬剤師会在宅医療研究会(私も一応メンバーです)が開いた研修会に参加しました。
市原市でも今後在宅で医療介護を受けるお年寄りが増えることから、同研究会では、地域の薬剤師がどう在宅支援に関わっていくか、ということについて検討を重ねています。

これは意外に知られていないのですが、まちの薬局の薬剤師は、医師の指示があれば患者さんの自宅を訪問して、服薬の指導をしたり、残薬がないか確認したり、うまく飲めていないようであれば処方の工夫や変更を医師に提案したり、などの業務を行うことができます。
ただ、このことをよく理解しているのはケアマネージャーや医師さえもごくわずかで、なかなか広まらないのが現状です。

そこで私たち在宅医療研究会では、
「医師の指示を待っているだけじゃダメだ。薬局から医師に申し出る『薬局提案型居宅訪問』方式を広めよう」
ということになりました。その活動の一環が今回の研修会なのです。



研修会では、帝京ちば総合医療センターとその周辺の薬局で始まっている薬局提案型居宅訪問の仕組みの発表や、実際に訪問を行っている市内の薬局の事例報告がなされました。
そして、千葉市で薬剤師でありながらケアマネージャーとして居宅介護支援事務所を運営している吉松美津代さんの講演も行われました。



「薬局で、ご飯も食べられない人に『ご飯の後に薬を飲んでください』、毎日お風呂に入らない人に『お風呂の後にこの軟膏を塗ってください』なんて、何も考えずに指導してただ薬を渡しているようじゃダメ!」
吉松さんの熱弁は、若い薬剤師の皆さんにとって大いに刺激になったと思います。

厚労省は、先月「患者のための薬局ビジョン~「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へ~」を公表しました。
医療機関のそばにある薬局を俗に「門前薬局」と呼ぶのですが、現在多くの薬局がこの形態をとっています。でもこれだと、患者さんは違う医者にかかるたびに違う薬局から薬をもらうことになりますね。
そうではなく、どこの医者から処方された薬でも、自分の「かかりつけ薬局」で調剤してもらうようにする、というのが国の方針です。
服薬情報や管理の一元化によって、処方の重複や飲み合わせのチェックがしやすくなったり、患者さんのちょっとした体調の変化に気付くことができるなど、薬局が住民にとって身近な健康サポートステーションの機能を果たすことが可能になります。

そして、高齢の在宅患者のための居宅訪問の推進も、国の方針の大きな柱の一つです。

幸い市原市は、在宅研究会のメンバーの頑張りで、いい流れができつつあると感じています。
今後は地域の薬局同士の連携、拠点病院と薬局との連携、そして介護職と薬局の連携を、着実に進めていきたいと思っています。

保育と介護の現場を視察

2015-11-18 | 日々のあれこれ
前回のブログで、「『議会だより』に4か所も自分の写真が載っている」と書いたところ、
吉田みねゆき委員長からすぐさま「5か所では?」とご指摘が入りました(^_^;)。
そうでした、確かに・・・。
国府祭りの練り踊りときの、市原出身タレントの猫ひろしさんと市議会連の集合写真が小さく載ってるんですが、小さすぎて私自身も何処にいるのかわかりません。
別にどこにも影響があるわけではないのでお詫びはしませんが(笑)、訂正します。


さて、昨日は議員仲間何名かで、市内に新しくできた私立保育所と特別養護老人ホームを視察しました。

島野の「つぼみの森保育園」。外観の写真を撮り忘れたので、こちらはHPから。


まず驚いたのが、看護師さんが常駐しているナースルームがあること。これはものすごく安心ですね。


明るいオープンスペースが特徴的です。


お着替えも自分で出し入れします。カワイイ!!


これもびっくりしました。
5歳児クラスの体操です。


写真は準備体操の様子ですが、この後、壁逆立ち、三点倒立、ブリッジ、側転、片手側転、バック転など、先生の合図に合わせてどの子も次々とこなしていくんです。あまりにビックリしすぎて、カメラに収めるのも忘れてしまったくらいです。
あの横峯さくら選手の父親である横峯吉文氏が創設した、「ヨコミネ式教育」を実践しているそうです。

もう1か所訪ねたのは、喜多にある特養の「グリーンホーム」。
全個室・ユニット式で、こちらも広々と明るくとても気持ちの良い空間でした。



ベットに寝た状態でそのまま入浴できる装置。介護機器はどんどん進化しているんですね。

介護者の負担が軽くなるような技術開発は、大いに進めていただきたいものです。

保育園にも介護施設にも共通する大きな課題は、人材の確保。両施設の方からお話を伺って、やはりこれに尽きると感じました。
これまで女性が家庭で担ってきた、これら分野の給料や待遇が、現在の国の制度では全く評価されていません。結果的に若い人がなかなか入らない、入っても定着しない。不安定な人員体制は、保育や介護の質に大きな影響を与えます。これでは「女性が輝く社会」の掛け声が空しくなるばかりです。
「介護離職ゼロ」で特養を増やす前に、介護職員の地位向上・待遇改善が必要だと思うのですが・・・。

今回の視察は、自民党会派の田尻議員からお声をかけていただきました。有難いことです。

つぼみの森保育園前にて(前列右から2番目は大野園長先生)。

「議会だより」出ました

2015-11-16 | 議会
14日の千葉日報は凄かった!!


待ちに待った小湊鐡道トロッコ列車、15日からいよいよ運行開始♪

それにしても、全面広告(号外?)の、このインパクト。
一番びっくりしたのが、このほのぼのとした何とも言えない味のあるイラスト、どこかで見たことがあるなぁと思ったら、
加古里子さんだったんですね!
「だるまちゃんとてんぐちゃん」「どろぼうがっこう」「からすのおかしやさん」などなど、どこの保育所・幼稚園にも必ずおいてあるほどの超ポピュラーな絵本作家で、私も息子たちによく読み聞かせしてあげたものです。
この紙面は、大事にとっておこうと思っています。


それから、もうひとつ。翌15日の折り込みの「議会だより」、市原市民の皆さんはご覧になりましたか?


こちらも、一面はトロッコ列車。
議会で視察したときの写真で大きく飾られています。

中を開くと・・・


紙面構成がこれまでとガラリと変わっているんですが、気付いた方はどのくらいいるのかな・・・。
この中に、私が書いた記事がありますので、そのまま紹介しますね。

【広報委員会】
市原市議会では、広報活動を強化し拡充させるために、6月の改選後新たに7名の議員による広報委員会を設置しました。
議会基本条例を制定したのは3年前。より市民に開かれた議会を目指すため、「議会だより」に議員自ら執筆編集を行うページが初めて設けられました。
今回、さらにその取り組みを広げるために、正式に委員会を発足させ、広報紙全体の編集に議員が直接携わることになりました。
今後は編集だけでなく、市民の皆さまによりわかりやすく親しみやすい広報紙のあり方を研究し、改善を図って参ります。その他にもインターネットの活用など、広報活動全般の機能強化も目指します。
皆さまのご意見もぜひお寄せください。
(広報委員会副委員長 小沢美佳)

・・・ということで、ひとつよろしくお願いいたします(笑)。

昨日、ある方に「オザワさん、『議会だより』に4か所も写真が載ってたね」と言われ、「へ?そうだっけ?」と思って改めて確認したところ、確かに4か所写ってました。「ウォーリーを探せ」みたいですが。
でもその方も、肝心の記事は「読んでない」そうで・・・(^_^;)

多くの方が興味を持って読んでもらえるように、これから頑張ります!

緊急消防援助隊 全国合同訓練

2015-11-15 | 防災
昨日、時折小雨が降るあいにくのお天気のなか、「緊急消防援助隊 全国合同訓練」に行ってきました。
メイン総合訓練会場のスポレクパーク隣接地は、自宅から車で3分以内。目と鼻の先です。

緊急消防援助隊は、大災害時に都道府県の枠を超えて被災地に派遣される部隊で、阪神淡路大震災をきっかけに設置されました。いざというときにスムーズに連携体制が取れるように、5年ごとに全国持ち回りで合同訓練が行われており、今回は5回目になります。
今回は、全ての都道府県から約600隊(約2200人)、さらに警察・自衛隊・海上保安庁などの関係機関も加わって、過去最大の規模だそうです。

これほど大規模な訓練の様子をこの目で直に見ることができる機会なんて、おそらくもうないでしょう。
見学は自由でしたから、見に行かれた方も多いと思います。
とにかくバシャバシャと写真を撮りましたので、ほんの一部ですがご覧ください(^.^)。





















市原市内では、ここ以外にも臨海部では石油コンビナート等の災害対応訓練、山田橋の総合防災センターでは宿営訓練、養老川河川敷では救助訓練が行われました。
訓練に参加された隊員の皆さん、本当にお疲れ様でした。
こうした合同訓練や日々の厳しい訓練によって、私たちの生活が守られているのですね。

最後に、この写真。

「どうして逆さまに書いてあるんですか?」と居合わせた市民の方に聞かれて、暫く首をひねりましたが・・・

前を走る車がバックミラーで読みやすいように、こういう表記にしているのだそうです。なるほど!

「ネウボラ」勉強会

2015-11-13 | 子ども
今日から二日間、市原市で「緊急消防援助隊全国合同訓練」というビッグなイベントが開かれています。
全国から消防隊約600隊、警察、自衛隊、災害派遣医療チーム(DMAT)、あらゆる特殊車両やヘリコプターが市原市の会場に集結!
今日は夕方車を走らせていたら、訓練が終わったのでしょうか、長野県佐久市の緊急車両の列と出くわしました。
ちょうど下校時間帯で、道行く子どもたちが歓声を上げて手を振ったり、敬礼したり。微笑ましい一コマでした。
私も明日はスポレクパーク隣接地の会場に行ってきます。お天気がちょっと心配です。


さて今日は、同期議員の会「なでしこ会」の企画で、習志野市へ行ってきました。

皆さんは「ネウボラ」って聞いたことありますか?
フィンランドで進めている子育て支援政策で、妊娠から出産・子育てまで、全ての家庭と子どもに「切れ目のない支援」を行うというものです。フィンランド語で「アドバイスを受ける場所」という意味だそうです。

私も一応3人の育てを経験してきましたから、この「切れ目のない支援」の必要性は十分認識しています。
しかし残念ながら、日本ではこのような制度はまだ広まっていません。
日本のお役所は縦割りが基本ですし、それ以前に、結局はこのようなお母さんサイドに立った政策が、日本ではずっと後回しにされてきたんでしょうね。

ところが、このネウボラにすでに取り組んでいる数少ない自治体の一つが、同じ千葉県の習志野市なんです。
そこで今回は「習志野版ネウボラ」の取り組みを伺うために、市役所を訪ねました。

習志野市役所の庁舎は建て替え中で、現在は駅前の元ホテルが仮庁舎となっています。




健康福祉課の職員の方が丁寧に説明してくださいました。






「ネウボラ」なんてあまり耳慣れない言葉ですし、なんとなく実現困難な制度なんじゃないか、という印象をこれまで勝手に持っていたのですが、そんなことは決してない!とお話を伺って思いました。
習志野市では、母子健康手帳の交付窓口を子ども部に置き、常時保健師を配置。申請に訪れる妊婦さんひとりひとりに面接を行い、カルテを作成し、以降は地区ごとの担当保健師が出産・就学前まで一貫してフォロー。もちろん、地区の民生委員さんや、先輩ママによる「母子保健推進員」、その他さまざまな関係機関と連携を行っています。
実はこのしくみは、ネウボラが話題になる以前からずっと行っていたことであって、習志野市にとって特に目新しいものではありませんでした。
改めて検証したら、実はこれがネウボラだった、ということらしいのです。

な~んだ、切れ目のない支援(ネウボラ)って、そんなに難しく考える必要はなかったんだ!
と、ある意味目から鱗でした。
市原市だって、保健師さんや子育て支援員さんが一生懸命母子保健活動に務められている訳ですから、人員を適正に配置してもう少し仕組みを見直せば、実現は充分可能ではないか、という印象を強く持ちました。

習志野市仮庁舎の前で

左から、吉田議員、小沢、伊佐議員(以上なでしこ会メンバー)、菊岡議員、竹内議員。(この他、先に帰られた高槻議員も)

今回の勉強会では、なでしこ会以外の議員にも参加を呼びかけたのですが、ご覧のとおり、希望者は全員女性でした。
やっぱり、男性は子育て支援への関心が薄い??(^_^;)

姉崎中にて、キャラバン隊いちょう公演

2015-11-12 | キャラバン隊
昨日、久しぶりに「キャラバン隊いちょう」の公演に参加しました。

※「キャラバン隊いちょう」とは
長男が通っていた市原特別支援学校のPTA有志で7年前に結成された、出張公演チームです。
知的障害や自閉症など、一見では理解されにくく、周りからの誤解も多いこれら障害について、
疑似体験やお芝居などを使いながらわかりやすく伝えていきます。



今回は、特別支援学級で子どもたちを指導してらっしゃる先生方を対象に。
場所は姉崎中学校です。
私は毎度パワーポイント操作で裏方専門なのですが、今回は成り行きでMCも少し担当(^_^;)。
こういうの、苦手なんですけどね・・・。



講演の後、珍しく時間に余裕があったので、皆でざっくばらんにディスカッション。



実は、公演よりこちらの時間の方が大切なんじゃないかと、私は思っています。

10年後の「まちの姿」を語ろう

2015-11-10 | イベント
先のブログの、紫波町への視察報告を読んでくださった何人かの方から、
「いいところへ行きましたね」
と声をかけていただきました。
本当はお知らせしたいことはもっとたくさんあったのですが、睡魔に負けてしまいまして。。スミマセン(笑)。

でも、蛇足かもしれませんが敢えてもう一点。
これは青森市もそうだったのですが、説明して下さった行政マンが、とってもイケメン!!だったんです。
いえ、変な意味ではなくて(^_^;)、
自分たちが新しいまちの未来を創っていくんだという自信とやりがいに満ち溢れていたというか・・・。
こういう時の男性の顔って、キラキラしていて本当に素敵だと思います。

もちろん、市原市も決して負けてないと思います。
先日の日曜日は市内でこんな会議が開かれていたので傍聴しました。
第2回「いちはら未来会議」~市原市の目指すべき都市の状態について~


これは、現在市が策定している新しいまちづくり計画(新総合計画)を市民参加で進めるための、市民と行政との合同会議です。第1回目は先月行われました。

今回は、10代から90代までの各世代・各地区から無作為抽出で選ばれた約100名の市民委員の皆さんが、
「地域活力」「福祉・教育」「都市形成」「子育て・教育」「環境」という5つのカテゴリーごとの班に分かれて、市の現状を確認したうえで、「10年後の目指すべき都市像」を話し合いました。
もちろん、各班には職員も交じっています。



例えば、
「市原市の観光者の人数は最高が平成15年の418万人。平成26年は343万人で、そのうちの半分以上はゴルフ客。2番目はどこだと思いますか?正解は『こどもの国』で、30万人です」
なんてトリビア話を職員から聞くことができる機会なんて、なかなかありそうでないものです。
10代の若者とお年寄りが一緒に会議をするなんてことも、滅多にないことですよね。それだけでも意味があることだと思います。
無作為抽出ですから、ほとんどの方が初対面同士のはずなのですが、どの班もとても活発に議論が交わされていました。

会議も終盤になると、このように代表者が発表するまでになるのですから、不思議なものです。


最後の全体会議で、テーマごとの発表。


予定では、今後1月の第3回目の会議を経て、年度末には計画の基本構想の骨子案が出来上がる事になっています。
でも、行政と市民がフラットな関係で市政について語り合う、こんな機会は多ければ多いほどいいと思います。

そう言えば、先日のブログの紫波町でも100回以上住民説明会を開いたと聞きました。
実は、開発の舞台となった紫波中央駅の反対側の土地の住民の理解がなかなか得られず、苦労をされたようです。
当時の町長曰く、
「町長の役割は壊れたテープレコーダー。同じことをグルグル、グルグル何回もしゃべる。そうしているうちに、住民の人たちもやがて理解してくれるようになります」。
今となれば笑い話かもしれませんが、当時は大変だったと思います。
それでも、これが必ずまちの将来の利益になる、絶対に成し遂げるんだ、というトップの想いは必ず住民の心を動かすものです。
こういうトップダウンは、大いにアリですよね。

紫波町の開発に関わった東洋大学の根本教授も、こうアドバイスしたそうです。
「地域開発で一番よくないのは、みんなにいい顔をすること。いい顔なんかできないのに、嘘をついて、結局中途半端になる。それが通常、地域開発が失敗する原因です。一つ一つの地域に出向いて、100回でも200回でも説明を行うこと。その際は、住民の話を聞くだけではなく、行政の想いも伝えること」

市原市でも、今回の新総合計画づくりをきっかけに、こんな動きが育つことを願っています。

東北視察報告2 岩手県紫波町 オガールプロジェクト

2015-11-08 | お知らせ
紫波町(しわちょう)は、岩手県のほぼ中央に位置する自然豊かな人口約3万人の町です。
実は、東北のこの小さな町が、今回の視察のメイン。
お目当ては、いま全国から連日視察が殺到している紫波中央駅前都市整備事業オガールプロジェクト」です。
「オガール」とは、フランス語で駅を意味する「ガール」と、紫波の方言で成長を意味する「おがる」を掛け合わせた造語で、紫波町の持続的な発展の願いが込められています。

このオガールプロジェクトは、町が行う事業やサービスに、民間のお金や知恵・ノウハウを取り入れる「PPP(公民連携)」の先行事例として数多くの媒体に取り上げられています。
「公民連携」といっても、単純な連携とはちょっと違うんです。
これまで税金で行ってきた公共施設や公共サービスを、民間と共に「稼ぎ」「経営する」という新たな発想で開発を行い、今や年間80万人以上が訪れるというまちに発展しました。

かくいう私も、このまちの取り組みが紹介されていた『稼ぐまちが地方を変える(木下斉著)』という本を読んで、ぜひ実際にこの目で確かめてみたいと思っていました。
百聞は一見にしかず。
想像以上にすばらしいまちづくりと、まちづくりにかける行政マンはじめ住民の熱いマインドに触れることができて、大満足の視察となりました。

これが、H10年に開業した紫波中央駅です。

この素敵な駅舎が無人駅というからちょっとビックリ!

かつてこの駅前に広がっていたのは、約10.7ヘクタールの塩漬けの町有地。雑草が生い茂り、雪捨て場でしかありませんでした。
ここを事業用定期借地権として民間が借り受け、計画から開発、管理運営まで一貫して行っていて、現在は役所や図書館などの公共施設と、産直市場やフットボールセンター、宿泊施設、飲食店などの民間施設が複合して整備されています。

普通、こういった施設を作る際に行政がやりがちなのは、まず土地面積に合わせた容積率や補助金などの予算ありきでハコものの規模が計画され、建築されてからテナントが決まっていくのですが、これだとテナントが入らないというリスクが伴います。
しかし、このプロジェクトでは、まずテナントの誘致や調査にじっくり時間を費やし、テナントが決まってから建物のあり方が再検討されました。このように逆のアプローチで開発を行うことで、身の丈に合った施設が作られ、その分サービスを充実させることが可能になります。
これも民間の知恵なればこそ。採算が取れないハコものは決して建てないのです。

これは、中核施設の一つ、オガールベース

この中にビジネスホテルがあって、私たちもここに泊まりました。
地元の野菜をふんだんに使った朝食はとても美味しかったですよ。雑誌にも取り上げられたほどだそうです。

こちらは、もう一つの中核施設であるオガールプラザ内の地域交流センターで説明を受けているところです。



私たちの他に3つもの団体が同時に説明を受けていました。注目度の高さがわかりますね。

音楽スタジオ。高校生バンドからオヤジバンドまで、3年間で300団体の利用実績はスゴイ!


こちらの部屋では、ちょうどまちづくり講座が行われていました。


中庭ともつながっている、吹き抜けの市民交流スペース(2階から撮影)。
キッチンも完備されているので、利用範囲が広がりますね。


この施設の利用者は、町民だけではありません。もちろん利用料金の設定にも差はありません。
オガールプロジェクトのマーケットの対象は「半径30キロ圏内」なのだそうです。
町民だけならたった3万人。これでは商売になりません。半径30キロならば盛岡市も花巻市も入り、対象人数は60万人に膨らみます。これも民間の考え方ですね。
私も実際に訪れていた方に訊ねたところ、その方は盛岡市からハイキングの途中でここに立ち寄ったとおっしゃっていました。美味しいと評判のビジネスホテルのランチがお目当てなのだそうです。
オガールのことは、盛岡市の広報紙にも取り上げられていて、盛岡市民もよく知っているとのことでした。

オガールプラザには、子育て支援センターもあり、一時預かりや学童保育も行われています。


一番感心したのが、図書館です。

例えば、農業コーナーでは、地元の農家の皆さんと意見交換をしながら、必要な情報にアクセスできるような工夫がされていました。図書館運営に興味がある方なら、ここだけでもじっくり視察する価値があると思います。

こちらは紫波町庁舎。




ここまでの写真でお気づきと思いますが、木材がふんだんに使われているという印象を受けますよね?
町では、「循環型のまちづくり」も重要な理念として掲げていて、98%地元の木材が使用されています。
地元木材の利用は、森林資源の循環であると同時に、地域経済の循環でもあるんですね。
オガールにはエネルギーステーションもあって、木材チップを利用した熱供給システムによる町づくりも行っています。
エネルギー循環型都市に興味がある方は、この部分だけでも充分見ごたえアリですよ。

(もう見るのも聞くのも話すのも、ポイントがありすぎて困るくらい!!(+_+))

この施設も、本当に感心しました。


総合体育館?
・・・ではなく、なんと国際基準準拠のバレーボール専用体育館です。私たちも泊まったビジネスホテルに併設されています。
これは、ピンホールマーケティングという考え方だそうです。
全国どこにでもある多目的の体育館を作るのではなく、ここにだけしかない施設を作って営業を仕掛ける。
その結果、今ではバレーボールの選手や関係者が全国から訪れ、宿泊施設を利用していくそうです。

岩手県唯一のサッカー協会のフットボールセンターの誘致にも成功しました。

人工芝の地面の下は、雨水貯留浸透施設になっています。

これらの画期的なプロジェクトが進められたのは、何と言っても首長のリーダーシップがあればこそだったと思います。
紫波町では「公民連携室」という部署を設置し、公民連携基本計画の策定やプロジェクトの推進に際しては、なんと100回以上住民説明会市民会議を開いたのだそうです。
3万人の町で、ですよ。これも本当に驚きました。
また、ここでは詳しく述べませんが、もうひとり、やはり地域活性化に熱心なキーパーソンが、民間側にもいたということも重要なポイントです。
この方は、都市再生機構を経て家業の建設会社を継ぐために紫波町にUターンされたのですが、東洋大学の公民連携スクールで学んだ経験があり、それがご縁で東洋大学の根本祐二教授も、このプロジェクトに関わっています。
根本教授は、現在市原市でも計画策定のアドバイザーをお願いしている方ですから、この点は心強い限りです。


以上、なんとも中途半端でまとまりがない報告になってしまいましたが、興味がある方はぜひ紫波町に足を運んでみてください。
私も、事前に資料を読んである程度は想像していたのですが、やはり実際に見たりお話を伺わなければ分からないことが山ほどありました。
これが視察の醍醐味なのでしょうね。

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