市原市議会議員 小沢美佳です

市政や議会の報告、日々の活動や想いを綴ります。
一番身近な地方政治の面白さが、皆さんに伝わりますように・・・

医療の要、家庭医 (札幌市視察報告 2)

2012-05-14 | 健康・医療
札幌市視察報告の最後は、2番目の目的である地域医療・家庭医療への取り組みについてです。

2日目の10日午後、北海道庁の議会棟にて保健福祉部医療政策課の職員の方から説明していただきました。



北海道の医師数は、人口10万人に対し218人。全国平均が219人ですから、ほぼ平均です。
一方わが千葉県は159人。全国でも下から3番目と、お恥ずかしい状況です。
これは意外に思われるかもしれませんが、最下位争いをしているのは千葉県、埼玉県、茨城県と、いずれも関東近郊です。
大きな原因の一つは、やはり医学部の少なさと言われています。いずれも、県に1、2か所(千葉県は千葉大のみ)しかありません。お隣東京都の13か所とは対照的ですね。

話が少しそれてしまいましたが、医師数が平均値の北海道は、それでも医師不足解消のための施策を積極的に展開しています。
なぜなら、札幌圏に全道の医師の約半分が集中するという、地域偏在が大きな課題としてあるからです。これは千葉県と一緒ですね。

例えば、
地域医療に興味がある医学生が地域で実習を受ける際の支援や、
地域の病院で幅広い診療を行う総合内科医を養成するセンターの設置と運営の支援、
女性医師が復職し、働きやすい環境づくりのための支援などなど、

医療対策協議会(会長は知事)が中心となって地域医療体制の確保に取り組んでいました。


そして、
次の日(11日)に訪れたのは、医療法人北海道家庭医療学センター。お話してくださったのは、理事長の草場先生です。



こちらでは、家庭医療の実践と、家庭医(総合診療医とも言います)を育てるための教育プログラムの提供が行われています。
直営の診療所はここ札幌と室蘭の2か所、他に自治体との契約で4ヵ所の診療所に医師を派遣しています。

ところで、家庭医って、なんでしょう?
地域や地域の人々と深いつながりがあって、どんな病気や怪我でも診てくれて、頼まれれば往診もする・・・
イメージとしては、古き良き時代のまち医者といったところでしょうか。

しかし、現代の医学教育は、消化器、循環器、整形外科、眼科・・・など、人間の体をパーツに分けてとらえ、それぞれに高度な専門性を持たせたものとなっていて、学生は各々の専門分野に分かれる仕組みになっています。
昔から存在している医局制度というものがこれです。
しかし、これでは一人の人間に対し何人もの専門医が関わらなければ全体を診ることが出来ません。
特に僻地の診療所などでは、患者を一人で一通り診ることができる家庭医の存在が絶対に必要なのです。災害時にも同様のことがいえますね。

ところが、日本では現在「家庭医」という分野は制度としては存在していません。
専門医療志向の医師会が、これまでずっと家庭医の存在を認めてこなかったことが大きな原因なのだそうです。

しかしこの5年ほどで、医師の絶対的不足や地域偏在、地域医療の重要性などが叫ばれるようになったことによって少しずつ認められるようになり、家庭医を志す医学生も増えてきているそうです。
「家庭医」がきちんと制度化され、現在1%ほどいる家庭医が全体の30%を占めるようになれば、日本の医療もだいぶ変わってくるだろうとのお話でした。
普段は家庭医が地域の医療をしっかりと担い、高度な医療が必要となった時点で専門医にバトンタッチする、というような棲み分けがきっちりとされることが大事なのですね。


ところで、
草場先生ご自身は福岡のご出身です。大学は京都で、家庭医にあこがれてとうとう北海道にまでたどり着きました。日本縦断の人生ですね。
お話は明快でとてもわかりやすく、穏やかな中にも家庭医療に対する熱い思いがひしひしと伝わってきました。
先生のお人柄に、視察団の女性陣はみなすっかり先生のファンになってしまったほどです(^_^;)

草場先生を囲んで。


3日間にわたる視察もこれで終了。
障害者福祉、医療共に最先端の現場を見ることができ、とても充実した内容でした。

千葉県議会市社無会派の皆さま、お誘いいただいて本当に有難うございました!!

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