わが庵のガーデン、垣根はいまサザンカが満開です。この垣根、サザンカだけではなくナンテンや万両なども植わっているのですが、あまにもサザンカが目立っていますので、ついサザンカに目をとられて、ナンテンや万両にはあまり目がいきませぬ。
とりわけ、万両は葉っぱの下のほうに赤い実をつけるため、下の方から覗き込むようにしないとその姿を認めることは容易でありませぬ。ですからGGI、毎日のように万両さんの前を通るのですが、万両さんのことはほとんど気にとめておりませぬときどき、あっ、君そこにいたの?と気づくにすぎませぬ・・・、
その万両さんの実、今年は暖冬のせいでありませうか、冬になってもあまり赤くならなかったのですが、最近になってようやくいつもの通り真っ赤な輝きを放つようになりました。
今日の写真は万両さんの姿を下の方から、小津安二郎ふうのローアングルで撮ったものです。よろしければご覧になり、見事に赤くなった万両さんの実を愛でてやってくださいませ
ところで「万両」っていったどのくらいの価値があるのでせうか。あるとき江戸時代のことに詳しい知人に聞いてみました
「一両って、いまの貨幣価値でいうといったいどのくらいでせうか」
「どうしてそんなこと聞くの?君は千両箱でも持っているのか?」
「いや、千両どころではありません、実は万両あるのです、うちの垣根に万両が生えているのです。はじめ千両か万両か、どちらなのか自信がなかったのですが、鋭意情報収集に努め勉強しましたところ、葉っぱの上のほうに実がなるのが千両、下のほうに実がなるのが万両ということが判明、その結果わが庵には万両あることが決定的になったのです」
「それはよかったなあ、それでGGIはいったい自分がどのくらい金持ちなのか知りたいのだな・・・わかった、江戸時代の一両は、まあ、いまの貨幣価値でいえば10万円か20万円というところかなあ、だから仮に10万円とすると千両箱は1000×10万円=1億円ということになるなあ」
「そうですか、それなら万両はもっとすごいですね、一万×10万円は、えっと、えっと・・・え~、何と10億円だ!万両さんはほんとうの大金持ちということになりますね!」
10億円かあ、そんな大金持ちなのに万両さん、まるで人目を避けるようにひっそりと赤い実をつけているなんて、万両さんは謙虚なんだなあ、と感心してしまい、万両さんに敬意を払うべくその旨を伝えました。そうしましたら
「GGIさん、おほめ頂いてありがとうございます。でもね、ほんとうの大金持ちは謙虚なんですよ。目立たないように地味に暮らしているのです。たまたま運に恵まれていただけのことですから。オレはお金持ちだぞ、なんていう下品なそぶりは決してしないのです。ですから、いつであったか、GGIさんは二年ほど前に日記に、コガネムシは金持ちなのにどうして子どもに水飴しか買ってやらなかったのか、その理由が分らないとお書きになっていましたが、あれは誤解なのです、大誤解」
「誤解ではありません、ほんとうに、どう考えてもコガネムシの親の気持ちが分りかねたのです」
「そうですか。それにあの日記にコメントをお書きになった方は、コガネムシはケチンボだ、などとひどい替え歌をご披露なさっていましが、まったくの誤解です。あのですね。先ほどほんとうの大金持ちは地味に目立たぬように暮らしているのだと申しましたが、要するにほんとうの大金持ちはとても謙虚なのです。ですからコガネムシさんもカネがあるからといって子どもに贅沢させてはいけない、地道に暮らすことをおぼえさせなければならないと思ったのです、それで高いお菓子やケーキなんかではなく、水飴を買ってあげたのです。GGIさんたちは金持ちなのにどうして水飴なんだよ~とおっしゃいますが、そうではないのです。反対です。金持ちであるが故に、子どもに水飴を買ってあげたのです。水飴はいわば教育的配慮なのです。お分りですか?」
「分かりました、たしかに万両さんのおっしゃることは一理あります。でもねえ、コガネムシさんはこれ見よがしに金蔵なんか建てたりしているではありませんか。だからコガネムシは金持ちだけれども万両さんがおっしゃるように地味にひっそりなんか暮らしているとは言えないのではありませんか」
「そうですね、その点が、コガネムシさん、まずかったですね・・・こんどコガネムシさんに会ったら厳重注意しておきませう」
作詞:野口雨情 作曲:中山晋平
発表年:大正十一年(1922年)
黄金虫は金持ちだ
金蔵建てた蔵建てた
飴屋で水飴買つて来た
黄金虫は金持ちだ
金蔵建てた蔵建てた
子供に水飴 なめさせた
なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・
グッドナイト・グッドラック!
とりわけ、万両は葉っぱの下のほうに赤い実をつけるため、下の方から覗き込むようにしないとその姿を認めることは容易でありませぬ。ですからGGI、毎日のように万両さんの前を通るのですが、万両さんのことはほとんど気にとめておりませぬときどき、あっ、君そこにいたの?と気づくにすぎませぬ・・・、
その万両さんの実、今年は暖冬のせいでありませうか、冬になってもあまり赤くならなかったのですが、最近になってようやくいつもの通り真っ赤な輝きを放つようになりました。
今日の写真は万両さんの姿を下の方から、小津安二郎ふうのローアングルで撮ったものです。よろしければご覧になり、見事に赤くなった万両さんの実を愛でてやってくださいませ
ところで「万両」っていったどのくらいの価値があるのでせうか。あるとき江戸時代のことに詳しい知人に聞いてみました
「一両って、いまの貨幣価値でいうといったいどのくらいでせうか」
「どうしてそんなこと聞くの?君は千両箱でも持っているのか?」
「いや、千両どころではありません、実は万両あるのです、うちの垣根に万両が生えているのです。はじめ千両か万両か、どちらなのか自信がなかったのですが、鋭意情報収集に努め勉強しましたところ、葉っぱの上のほうに実がなるのが千両、下のほうに実がなるのが万両ということが判明、その結果わが庵には万両あることが決定的になったのです」
「それはよかったなあ、それでGGIはいったい自分がどのくらい金持ちなのか知りたいのだな・・・わかった、江戸時代の一両は、まあ、いまの貨幣価値でいえば10万円か20万円というところかなあ、だから仮に10万円とすると千両箱は1000×10万円=1億円ということになるなあ」
「そうですか、それなら万両はもっとすごいですね、一万×10万円は、えっと、えっと・・・え~、何と10億円だ!万両さんはほんとうの大金持ちということになりますね!」
10億円かあ、そんな大金持ちなのに万両さん、まるで人目を避けるようにひっそりと赤い実をつけているなんて、万両さんは謙虚なんだなあ、と感心してしまい、万両さんに敬意を払うべくその旨を伝えました。そうしましたら
「GGIさん、おほめ頂いてありがとうございます。でもね、ほんとうの大金持ちは謙虚なんですよ。目立たないように地味に暮らしているのです。たまたま運に恵まれていただけのことですから。オレはお金持ちだぞ、なんていう下品なそぶりは決してしないのです。ですから、いつであったか、GGIさんは二年ほど前に日記に、コガネムシは金持ちなのにどうして子どもに水飴しか買ってやらなかったのか、その理由が分らないとお書きになっていましたが、あれは誤解なのです、大誤解」
「誤解ではありません、ほんとうに、どう考えてもコガネムシの親の気持ちが分りかねたのです」
「そうですか。それにあの日記にコメントをお書きになった方は、コガネムシはケチンボだ、などとひどい替え歌をご披露なさっていましが、まったくの誤解です。あのですね。先ほどほんとうの大金持ちは地味に目立たぬように暮らしているのだと申しましたが、要するにほんとうの大金持ちはとても謙虚なのです。ですからコガネムシさんもカネがあるからといって子どもに贅沢させてはいけない、地道に暮らすことをおぼえさせなければならないと思ったのです、それで高いお菓子やケーキなんかではなく、水飴を買ってあげたのです。GGIさんたちは金持ちなのにどうして水飴なんだよ~とおっしゃいますが、そうではないのです。反対です。金持ちであるが故に、子どもに水飴を買ってあげたのです。水飴はいわば教育的配慮なのです。お分りですか?」
「分かりました、たしかに万両さんのおっしゃることは一理あります。でもねえ、コガネムシさんはこれ見よがしに金蔵なんか建てたりしているではありませんか。だからコガネムシは金持ちだけれども万両さんがおっしゃるように地味にひっそりなんか暮らしているとは言えないのではありませんか」
「そうですね、その点が、コガネムシさん、まずかったですね・・・こんどコガネムシさんに会ったら厳重注意しておきませう」
作詞:野口雨情 作曲:中山晋平
発表年:大正十一年(1922年)
黄金虫は金持ちだ
金蔵建てた蔵建てた
飴屋で水飴買つて来た
黄金虫は金持ちだ
金蔵建てた蔵建てた
子供に水飴 なめさせた
なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・
グッドナイト・グッドラック!