UGUG・GGIのかしこばか日記 

びわ湖畔を彷徨する独居性誇大妄想性イチャモン性前期高齢者の独白

ナショナルミュージック、驚愕の小学唱歌(その一):「蛍の光」

2019-04-10 01:12:17 | 日記
卒業式のシーズンが過ぎていまは入学式のシーズンですね

いまどきはどうなっているのかGGIには定かではないのですが、かつては卒業式は「蛍の光」が定番でありました。

この歌、戦前からある小学唱歌の一つですが、メロディーはイングランド民謡、歌詞は四番まであるのですが、みなさんの多くは一番しかご存知でないのではないか、よくてもご存知なのは二番までではないかと思います。

GGIもちゃんと覚えているのは一番の歌詞だけです。ところが、先日、岩波新書の「日本近現代史②:民権と憲法」(2006年12月:著者は牧原憲夫・元東京経済大学教授、日本近代史)を読んでいましたら、「蛍の光」について以下のように記されていました。

《それにしても(明治以降)国民意識の創出に唱歌はどうかかわるのか。一つは歌詞である。たとえば「ほたるのひかり まどのゆき」で始まる「蛍」の四番は次のようなものだった。

「千島のおくも おきなわも やしまのうちの まもりなり 
いたらんくにに いさおしく つとめよわが兄(せ) つつがなく」

千島列島も沖縄も日本の領土であり、八州(日本)の最先端で勇ましく兵役についてほしい、というわけだ。》

この四番の歌詞、GGIは全く知らなかったわけではありません。「千島の奥も」云々というフレーズが存在していることは、戦時中熱烈軍国少年であったと称するわが長兄から聞いて知っていたのですが、上記の説明を読みましてあらためて驚かされました。

この歌詞は1881年(明治14年)の小学唱歌集に載せられていた歌詞とされているのですが、いわゆる《琉球処分》により琉球藩を設置して沖縄を日本領土としたのが1872年(明治5年)、帝政ロシアと交渉して日露で勝手に談合して樺太(サハリン)と南千島を交換して南千島を日本領土にしたのが1875年(明治8年)(樺太・千島交換条約)ですから、これらの領土拡張の成果をさっそく取り入れたのが「ほたるのひかり」の四番の歌詞であるということができるでありませう。

このような内容の歌詞でありますから、戦前はともかく戦後は、もう卒業式で4番まで生徒に歌わすなんていうわけにはいかなくなったのでありませう・・・その結果、学校ではこの四番の歌詞はまったく歌われなくなってしまって、そのために私たちのほとんどは、そして私たちの世代だけではなくほとんどの日本人は、「蛍の光」の四番の歌詞のことなんかまったく知らないということになってしまっているのでありませう。

しかしながら、そんなことちっても知らなかったで済まして澄ましているのは良識ある日本国民としてはいかがなものでありませうか。

そこで、GGIは感心なことに、自国の歴史の重要な部分を知らないようではあまり大きな顔はできないなあと思い至りました。すなわち、もう少しこの小学唱歌について勉強してみたのです。

勉強しましたと申しましてもネットさんでウィキペディアさんなどをちょっぴり調べてみただけの話であります。しかし、やはり勉強はしてみるものでありました。成果があったのです。驚くべき成果です。

何と、「蛍の光」の四番の歌詞は時代の推移と共に、つまりわが日本による領土拡張の進捗状況に合わせて以下に示しますように何度も書き換えられていたのです!

• 千島の奥も 沖縄も 八洲の外の 守りなり
(明治初期、当初の歌詞です。まだ千島も沖縄も未だ領土化されていませんので「八州(日本の外」と表現されています)

• 千島の奥も 沖縄も 八洲の内の 守りなり
(先に引用した歌詞です。日露の千島樺太交換条約により南千島を領土化、「琉球処分」により沖縄の領土化に成功しましたので歌詞は、八洲の「外」から「内」に変更されました)

• 千島の奥も 台湾も 八洲の内の 守りなり
(日清戦争に勝ったので台湾を領土化しましたので歌詞が変更されています)

• 台湾の果ても 樺太も 八洲の内の 守りなり
(日露戦争に勝利したためサハリンの南半分すなわち南樺太を獲得、領土化に成功しましたので、さらにこのような歌詞に変更されました)

まあ、見事なものですね~・・・・見事すぎて言葉がありませぬ・・・

GGIはこの四番の歌詞の露骨な変遷ぶりを知ってあきれてしまいました。「蛍の光」は友との別れを惜しむ歌なんかではなく実は領土拡張讃美歌であったのですね。日本近現代史のダイジェス版であったのですね。かようなしだいですから、これはGGIによる邪推の域を出ないのですが、戦前は「国民意識」を向上させるべく卒業式では四番までしっかり歌わせていたのではないでせうか・・・

念のため1~3番の歌詞を以下に記しておきます。

一、蛍の光、窓の雪
  書(ふみ)読む月日、重ねつつ。
  いつしか年も、すぎの戸を、
  開けてぞ今朝は、別れ行く。

二、止まるも行くも、限りとて、
  互(かたみ)に思う、千萬(ちよろず)の
  心の端(はし)を、一言に、
  幸(さき)くと許(ばか)り、歌うなり。

三、筑紫の極み、陸(みち)の奥、
  海山遠く、隔つとも、
  その眞心(まごころ)は、隔て無く、
  一つに尽くせ、國の為。

まあ、一番と二番の歌詞は卒業式にふさわしいのですが、三番あたりから少し怪しくなってきて、四番で露骨に領土拡張に勤しむことになります。

全歌詞をお聞きになりたい方はユーチューブをご覧になってください。ちゃんと四番の歌詞まで歌っていますよ!

今日の写真はかつて受験時代にお世話になったもののその成果はたいしたものではなかった「蛍雪時代」の創刊号の表紙です。よろしければクリックしてご覧になってくださいませ

なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・

グッドナイト・グッドラック!