UGUG・GGIのかしこばか日記 

びわ湖畔を彷徨する独居性誇大妄想性イチャモン性前期高齢者の独白

戦争の素直なる反省、外骨とマクナマラ・・・・

2015-03-04 01:22:12 | 日記

先日の日記に、宮武外骨が敗戦直後の昭和21年5月に「アメリカ様」という本を著しており、これが70年近くを経てこのほど再版された(2014年2月:ちくま学芸文庫)と記しました

 この再版本の解説で西谷修という人物が《「アメリカ様」と「つよい日本」》という一文を書いています。そこで西谷氏は「どういう巡りあわせか満州国の設計者を自認しながら戦犯の科を免れて首相になった岸伸介の孫が、再登場で首相となり・・・・「強い日本を取り戻す」として集団的自衛権の容認など、様々に画策し、必死でアメリカにすり寄っているという、、このあんまりなタイミングで宮武外骨の『アメリカ様』が再刊される」という意味のことを書いています

 上記の「どういう巡り合わせか・・・このあんまりのタイミング」とはどういう意味味なのかは、「アメリカ様」で外骨が序文などで書いていることを読みますと 納得がいきます、外骨は序文で以下のように書いています

 《官僚や財閥と苟合(こうごう)して無謀の野心を起こした軍閥、その軍閥がわが国を亡ぼしたのであるが、この敗戦が我日本国の大なる幸福であり、われわれ国民の大なる仕合せであった。もしも(万一にも)こちらが勝ったのであるならば、軍閥は大々的に威張り、官僚や財閥までも共に威張り、憎々しい態度、肩で風切り、反身(そりみ)になってサーベルをがちゃつかせるに相違ない。その上、重税を課し、兵役を増し、軍備を倍加し、以って八紘一宇とやらの野心を突っ走り、侵略主義の領土を拡大するなどで、我々国民はどんなに苦しめられるか知れない。これを思えば敗戦の結果、聡連合軍のポッダム会議で決定された我日本の民主化の平和国とするべき意図の実行で、代表的のアメリカ様が御出張、マックァ―サー元帥の指導命令で日本の官僚、軍閥、財閥をたたけ付けて下さる壮絶の快挙、これに加え、我国開闢以来、初めて言論の自由、何という仕合せ、何という幸福であろう。皆これ勝って下さったアメリカ様、日本を負けさせて下さったアメリカ様のお蔭と感謝せねばならぬ。これは成るように成ったのだから、あきらめるのほかなし。いまさらグチを並べても追いつかず、理屈を言っても何の効なし。そこでこの「アメリカ様」を発行して自ら慰め、他を慰めんとするのである》

 このまことに素直、率直なる戦争反省の弁、敗戦当時のことなんか考えようともしないあのアベ君をはじめ、何やら敗戦についてグチを並べたり見苦しい屁理屈をこねたり、日本を強い国へなどと願っているもろもろの諸氏に読ませたいぐらいです、序文に続く「侵略主義でない平和理想国の日本」という一文でも外骨は「我日本がアメリカ様のお蔭で、侵略主義でない平和の理想国に変わったとして喜ぶのである」と記しています

 外骨がほめ殺したともいえる当のアメリカ様も、戦後は朝鮮戦争で勝てず、次いでベトナム戦争では泥沼に足をとられ敗北を喫しますが、ケネディ・ジョンソン両政権で国防長官を務め、戦争の拡大と泥沼化をすすめたロバート・マクナマラは「回顧:ベトナム戦争の悲劇と教訓」と題された著書(日本語版1997年5月)の中で、「ベトナム戦争はひどい誤りであった」として次のように記し、率直に戦争を反省しています、

 《共産主義の脅威を過大に評価し、ホーチミンの運動が民族主義の方向性を持つものであったことを全体として過小評価した・・・アメリカ国民をあざむくという大きな過ちを犯した。その点で、我々は間違った。恐るべき間違いだった。間違った訳を次世代に説明する責任を負っている》

 また彼は、後にテレビでも放映されたインタビューで「民族主義のパワーを過小評価してはいけない・・・・《崩壊した》国家を外国の軍事力で再建することはできない。アメリカの安全が脅かされているのでない限りは単独行動を起こすべきではないのだ」と述べています

 アベ氏は敗戦70周年を記念した首相談話なるもので、どうやら過去の反省はほどほどにして、あるいは村山談話を巧妙に骨抜きにして、未来志向を目いっぱい強調したいと思っているようにみえます、しかし、アベ氏をはじめ政治家諸氏よ、はまずはしっかり「過去のお勉強」ですよ、過ちは過ちとして認め、歴史の教訓をしっかり学び取らなければ未来もヘチマもないのですよ、腐った土台あるいは手抜きの土台にはまともな家は建ちませぬ・・・

 今夜の写真は外骨氏の著書(ちくま学芸文庫)を撮ったものです、よろしければクリックしてご覧くださいませ

 グッドナイト・グッドラック!