錦秋のわがハイドパークのかなた
湖にカモ軍団が「えり」の周囲に大挙してたむろしております
えさになる魚がいるせいでしょうか
「えり」というのは湖岸近くから沖合に向かい矢印のような形に網を張り、湖岸によってきた魚の習性をうまく利用し、誘導して閉じこめて捕まえるという、わが淡海であるところの琵琶湖に特有の定置網漁法の一種であります
カモ君たちは統率がとれておりません、それぞれ勝手な方向を向いて何やら元気いっぱいにさんざめいております
「おい、こっちの方が魚ようけいるぞ」
「オレ、腹いっぱいや、魚なんてどうでもええ、あっちの方へいくぞ」
「そっち行ったらあかん、そっち行ったら接続水域やぞ」
「接続水域でもかまわん、国際法では接続水域は航行自由ということになってるのや」
「そやけど、あそこでヘンなオッサンがオレたちのほう見てるぞ」
「平気、平気、あのオッサン、オレよう知ってるの、オレたちを目にしたら『ネギしょって来い!』というしか能のないGGIというオッサン、あのアホ・ヨッサリアンの兄弟や」
「おい、接続水域なんか突破して領海侵犯したろか」
「おい領海侵犯はヤバイのちゃう?」
「大丈夫や、領海なんていうのはアホな人間どもの我欲の産物や、気にすんな」
「了解!じゃあ行こか!」
「待ってくれ、オレ、今日IKOCAカード忘れてきた、スイカならあるけど」
「おまえアホか、なにしょもないこと言うてんねん、カモにカードなんかいるはずないやろ!」
ふと岸部に目をやりますと、すでに敵前上陸を敢行、ハイドパークの岸部をうろついているカモ君たちがおります
「おい、たいしたことなかったなあ、誰も邪魔するヤツおらん」
「そやなあ、ちょっと拍子抜けやなあ」
「そやけど、選挙終わったら《強くてしたたかな国》になるかもしれんという話やで」
「オレ、強くてしたたかな子とは付きあいたくないで」
「何しょもないこと言うてるんや、おまえがそんなもてるはずないやろ、心配しすぎ」
「おいみんな、一休みや、誰かタバコ持ってないか」
「タバコ忘れてきた、缶ビールなら持ってきたけどな」
「おまえアホやな、タバコとサケはワンセットやろ!」
「それ、ガンモドキやでぇ」
「なんのことや?」
「ガンのモトのワンセット、ガンの二大危険因子という意味や」
「あのなあ、おれたちはカモや、ガンやないで、だから心配いらん」
「おまえそんなノーテンキやから、しょっちゅうみんなからかもにされるんや」
「オレはカモやで、カモがかもにされてどこが悪いんや!」
「おまえのアホぶり、GGIが聞いたら七転八倒して喜ぶでぇ」
「そやけど、あのGGIのオッサン、今日はおとなしいなあ、何も言わん」
「あいつはメメシイおセンチ野郎やから錦秋に見とれてお得意の沈思黙考の芸を演じているんやろ、ほっとけあんなヤツ」
「おい!あそこ見てみろ、なんか野菜の束のようなものがようけ置いてあるぞ」
「どこや、あそこや、あれネギや、ネギの山や!」
「それに何か書いた紙がついているぞ、何て書いてあるのや、オマエ見てこい」
一羽のカモ君が偵察に来て、仲間のところへ戻っていきました
「報告いたします、あの紙には、《カモ君たちへ、ネギ、本日は大特価、一把22円で差し上げます、GGI商店》と書いてありました、以上、報告終わり」
隊長さんらしきカモ君、「ご苦労」と言ってしばらく考え込んでからのたまいました
「諸君、分かったぞ、あれは罠や、だから22円なのや、みんな気をつけろ!」
今夜もお時間を浪費させてしまいました、ゴメンナサイ
グッドナイト・グッドラック!