tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2022年3月期大手決算好調ですが

2022年05月13日 13時46分02秒 | 経済
コロナ禍で深刻、原油等資源価格上昇で痛手、悪い円安が心配、ロシア経済制裁でビジネス停滞・・・、何か八方塞がりの日本経済のようですが、3月期決算の数字が出てきました。

トヨタをはじめ自動車関連は円安で大幅増益、史上最高利益もありです。輸入原材料高・エネルギー価格上昇で、大変なはずの日本製鉄、JFEは黒字転換、石油元売り企業も資源高に加え政府補助金で過去最高益企業もといった決算報告を見ていますと、原油高、運安で日本経済は大変と言っている経済専門家の意見が「あれ一体何なの?」といった感じではないでしょうか。

確かに自動車産業の様な輸出産業は円安にあればその分利益が増えることは知られています。

では鉄鉱石やエネルギーを輸入する鉄鋼産業は何で黒字転換したり最高益が出たりするのでしょうか。
日本製鉄はトヨタとの鋼板などの値上げ交渉が成功しての結果だそうですから、他の鉄鋼会社も多分同様と思われます。これまでも確り利益を出していたところは史上最高益ということになるのでしょう。

このブログでいつも指摘していますが、輸入原材料が値上がりするのは世界共通なので、その分価格転嫁しても、誰も困らないし、国際競争力は変わらないのです。輸出企業は、輸入企業の価格転嫁を認めていいのです。

円安の場合も同じで、輸出企業は輸入企業の価格転嫁を受け入れればいいのです。この場合の結果は、日本の物価が「円安分だけ上昇する」という事です。

本来ならばその分国際競争力が低下するのですが、日本の場合は自家製インフレが小さく、諸外国(先進国も含めて)はある程度の自家製インフレ(賃金インフレ)が普通ですから現状心配の必要はないというのが実態でしょう。

ということで、3月期決算を見ますと、それなりン価格転嫁が進んでいる様子なのでみんな増益で結構と言うところではないでしょうか。

ところで、これは輸出部門と輸入部門の付加価値(当面は利益)の日本経済内部での分配の話ですが、次に重要になるのが「労使の分配」つまり増えた利益を賃金にどう分配するか「利益と賃金のバランス」という問題です。

多分6月のボーナスはいくらか増えるでしょうが、こうした利益は従業員の努力の結果ではありませんから、労使交渉にはなじまないなどと考える経営者もあるようです。

この考え方は大きな誤りで、従業員に配らないと利益が増え、投資が増えても消費が増えないという経済のアンバランスが生じます。

経済成長のためには、生産と消費がバランスよく増加することが必要です。できればデマンド・プル(消費が生産を引っ張る)くらいの方がいいという説もあります。

長い目で見て増益率と賃上げ率が同じような数字になるのが目安でしょう。
こうしたバランスは本来労使が話し合って決めるべきものでしょう。例えば、連合と経団連がそれぞれの方針を出し、それぞれの企業労使がそうしたものを参考に決めるというのがあるべき姿でしょう。

それが出来ないと、政府が十分な理解もないままに介入して、物事がうまくいかないような結果になるというのが従来でした。
さて、今回の問題も含め、「利益と賃金のバランス」の問題ははどんな展開になるのでしょうか。

カルミヤも過労だった?

2022年05月12日 15時04分15秒 | 環境
玄関わきのカルミヤについては道行く人も時にきれいですねと言ってくれます。



カルミヤが綺麗に花をつけるのは1年おきと言われ、我が家のカルミヤも綺麗に咲いた翌年は、去年咲かなかった枝に少し花をつける程度でっした。

一昨年の花の後、「花がらを取ってやれば毎年咲きますよ」と言うアドバイスを聞きました。そうか、実がなるのに養分を使うので、翌年は花目が出来ないのか、ということで、花がらをきれいに取ってみました。

これは当たりで、お陰様で昨年も沢山の花をくけてくれ、やっぱり教えてくれた通りだと喜んで、昨年も、花がらをしっかり取りました。

ところが、その後、木全体が、何か元気がなくなり、今年は新しい葉も少なくなって、数本に分かれている枝のうち、2本が枯れてしまいました。

「これはもう老木になって枯れるのか、残念だな」と思いましたが、考えてみれば、道路わきで、昔、最初の家を作る時砂利や砂を入れてセメントをこねた後でしたから、地味はカルミヤにとって過酷だったのではないかと反省しました。

肥料もやらずに毎年 綺麗な花を咲かせようと、ノーインプットでアウトプットだけ求めるのは過酷ではないかと気づくことにもなりました。

そんなことに気づいて、2月ごろでしたか、この反省に基づき、木の左右に金梃子で深い穴をあけ、野菜用に買ってあった粒の肥料をざらザラザラザラと入れて、その穴に上からバケツ水を沢山入れて、穴は崩れるままにしておきました。

これで手遅れかもしれないが、、少しでも若芽が出るようになれば、カルミヤのサバイバル、リバイバルが可能になるのですが、4月か5月になって何か反応があればと、あとはカルミヤの生命力頼みでした。

そして先週あたりからごく一部のまばらな葉の枝に写真のように花が咲いてくれました。しかしまだ新芽の伸びる様子はありません。

ところが、下の写真のように、一部葉の残っている枝の先から、何やら芽のようなものが出て来ているのです。
よく見ると、何か花芽のような気がするのですが、もう少し経たないと解らないような感じです。



肥料が効いてきたのかなという気もするのですが、これで、カルミヤが元気を取り戻してくれればと願っているところです。





経済安全保暲と国内生産、人材活用

2022年05月11日 15時24分12秒 | 科学技術
経済安全保暲法案は今日、成立の予定だそうです。

コロなというパンデミック、米中経済摩擦、そしてロシアの暴挙で対ロシア経済制裁と世界経済が混乱する中で、世界の平和と安定を前提に進行していた経済活動の国際分業、具体的にはサプライチェーンの国際化が、あちこちで不具合を生じています。

日本の場合も、安価な労働力や、自前の技術開発の手間を省こうなどなど、より安いコストと安易な経済運営を狙ったサプライチェーンの海外展開は、一転して生産の停滞を引き起こす事になったのです。

こうして状況変化により、出来るだけ国内で生産が完結するように心掛けようというのが経済安全保障の趣旨でしょう。
サプライチェーン強化、サイバー攻撃防御、官民協力で高度技術、高度な武器の特許非公開が4本柱だそうですが、要するに「自国で出来るだけ」というのが基本精神です。

国際関係が不安定になって、まさに「泥棒を見て縄をなう」ような面もないではないですが、これからの国際関係は益々不安定になると考えれば必要なるのでしょう。

然し、こうした、世界経済の混乱に対処するための「経済安全保障」という側面だけでは
ない、より本質的な見方も同時にしておく必要があるのではないでしょうか。

というのは、この所の日本の産業政策、産業企業の態度は、経済発展の本筋を外れ「コストの安さ」を求めることに重点を置き過ぎたという問題があったからです。

30年に及ぶ円高不況の中で、低コストを求め海外投資、国内空洞化は必然だった面もありますが、2013年以来、円高が解消しても、その惰性が続いていたことは反省に値するでしょう。

これは官民に共通する問題で、政府も企業も研究開発投資より海外展開に力を注いで、国内の技術開発は、韓国や中国に後れを取ってしまったことは明らかです。

これは同時に、国内の熟練した高度技術者の処遇にも関わってきます。賃金が高いというだけで高度熟練の軽視し、賃金カットや早期退職などで熟練技術の使い捨てに走り、熟練技術者の海外流出を招くといった事にもつながったようです。

こういう技術開発や保有する高度熟練技術を大切にしない傾向が技術立国こそが生きる道である日本の国力の低下を齎したことは否定できないでしょう。

今回の産業安全保障法案の成立が、自由圏対独裁国という、新たに生まれつつある地球的対立抗争に備えるためだけのものになるのか、日本の産業経済をその基盤から改めて活性化する役割をも果たし得るのかは、新法の運用次第でしょう。

エネルギーをはじめ資源、食糧についても海外依存が不可避の日本です。基本は世界の平和と安定を目指し、世界人類の進歩のための技術の研究開発において先進的立場を確立し、世界に貢献出来る日本であるための新法の活用を心がけてほしいものです。

家計調査(2022年3月)消費不振続く

2022年05月10日 14時20分51秒 | 経済
今日、総務省より標記3月の家計調査が発表になりました。
3月、オミクロン株の感染状況もいくらか鎮静化してきたこともあり、春闘も政府、連合、それに経団連も賃上げに積極的という状況の中で、家計の財布の紐もいくらか緩むのではないかと期待しながら数字をみましたが、現実は期待通りにはいきませんでした。

消費動向を少し長い目で見ますと2人以上所帯の消費支出はコロナの初期、2020年の3月にはまだ29万円台でしたが、4月、5月には26万円台、25万円台と急落、6月以降は26万円から28万円と低迷し年末消費でやっと31万円台という状況でした。

2021年に入っても、改めて低迷状態は続き、3月、4月と年末だけが30万円に載せましたが、それ以外の月は25万円台から28万円台と振るわず、結局この2年、消費支出は殆ど増えていないのです。

今年に入っては1月28万7千円、2月は25万7千円で、3月が30万7千円と増えましたが、偶々去年の3月が30万9千円だったので、前年同月比ではマイナスという結果です。

今年は、コロナの状況から言えば、3月、4月は新規感染者が徐々に減って、ゴールデンウィークに向けて、行楽環境に希望が出てきた時期ですから、消費行動も多少活発化の傾向が出てもいいかなと言える時期ですから、2人所帯の消費支出が30万円を超えたというのは見方によってはその兆しかなとも思われます。

一方、2人以上勤労者所帯について見ますと、3月の実収入は所帯主収入と配偶者収入が共に伸び、前年同月比3.8%と結構順調に伸びています。

消費者物価が1.5%の上昇ですからその分目減りで、今後の物価動向も心配ですが、収入額の増えるのは結構元気が出るのではないでしょうか。結果的に可処分所得は5.0%の増加以なっているのですが。なぜか消費支出はマイナス0.1で所得増にもかかわらず、減少しているのです。

結果的に2人以上勤労者所帯の平均消費性向は83.3で昨年3月の87.5より、4.2ポイントも低くなっています。

年度末の3月ですから、家計の支出は伸びやすいのですがサラリーマン所帯のこの消費不振の動きの理由は些か読めないところです。

過去の数字をさかのぼってみますと、昨年3月と4月、2人以上の所帯も、2人以上勤労者所帯も消費支出が特に大きくなっていて、このブログでも、理由は解らないが消費支出が積極化していると書いています。

去年が何故か3月、4月と消費が伸びたことの反動という面も無きにしもあらずですが、添えにしても今年の3月はという感じです。
ガソリン価格の急騰、消費者物価値上がりの予感、ソ連のウクライナ進行の憂慮など、の理由を挙げる向きもあるようですが、なかなか消費は伸びません。

このブログで指摘している「貯金貧乏」(貯金に利息が付かないため、自分で利息を付けるので貯金が多くなり生活は貧乏になる)にしても少し極端なので、ゴールデンウィークにかけての、また更にその後の消費性向に注目したいと思います。

当面する課題、コロナとロシア

2022年05月09日 20時40分00秒 | 労働問題
いま世界の多くの人々が考えているのは、コロナが何とか早く収まってくれないかという問題とロシアのウクライナ侵攻がなんとか早く収まってくれないかの2つではないでしょうか。

この2つが片付けば、世界中はぱっと明るくなり、みんなが「この世に生まれて来てよかった」と思うと言っては言い過ぎかもしれませんが、地球人類の国際関係、政治、経済、社会、毎日の生活も、大きな心配や制約やわだかまりはなくなるのでしょう。

コロナについては、多くの国々が次第に制限を見直しつつあります。平常に戻した国もあります。

日本でも、今年のゴールデンウィークは「十分気を付けてください」と言うだけで、交通手段の制限はありませんでした。
問題はそれで新規感染者がどうかという一点で、確かに東京では昨日は前週比600人の増の3011人、昨日の全国は42500人で2週間前の水準に戻ってしまったようです。

問題はこれからで、人の移動、観光地の賑わいの結果がどう出るかですが、もし、GW の人出の増加の影響が、予想外に小さい物であったらと願うのが人情ではないでしょうか。
この問題はコロナウィルス、オミクロン株、BA2の感染力次第ですが、ここ数日の新規感染者の数字が注目されるところです。

話変わってロシアのウクライナ侵攻の方ですが、情報が入り乱れる中で、比較的実態を示すのではないかと思われる数字を見てみますと、まずロシアの通貨ルーブルがあまり下がっていない事があります。

矢張り、原油、LNGの巨大な資源国の経済は強いと思われるところです。一方、市民の日常生活の面では消費者物価の上昇は3月に7%台を記録したそうですが、これはEUの状況と変わりません。

経済制裁が集中する中でもロシア経済は意外に強いという意見が出ているのもこうした数字によるものでしょう。

然しもう一方で、意外な数字が出ています。この3か月で、若者を中心に388万人が国外に出ているという数字です。
マスコミのルポルタージュなどもありますが、これは生活が苦しくなるという面もあるのでしょうが、多く聞こえる声は、プーチンの体制下で、ロシアにいても種々の可能性がなくなり、希望が持てなくなっているといったプーチン体制への批判が主因のようです。

反政府デモをして逮捕や拘束の憂き目を見るより出国を選ぶ方が賢明という人たちが増えているとすれば、これは政権としては重大な問題でしょう。

ウクライナ侵攻で多くの兵士の命が失われているという情報も含めて、これはプーチン政権の在り方が、こうした形で問われているという事でしょう。

ウクライナに侵攻しているのはロシアではなく、プーチンと軍隊だという言い方もあるようですが、こうした、プーチンの体制そのものを忌避するロシア人が増えるという問題は、侵攻が長引くほど進行するでしょう。

プーチン政権を正式に否定できるのは、外国ではなくロシア国民自体というのはその通りでしょう。そしてこの動きは今後さらに明瞭になるのではないでしょうか。
こちらの問題は、もしかしたら、時間が解決する問題なのかもしれません。

岸田首相、シティーで「岸田に投資を!」

2022年05月07日 11時46分36秒 | 経済
岸田総理は今回の海外歴訪の最後の訪問国イギリスで、国内では発表していない「資産所得倍増プラン」を発表し、「Invest in KISHIDA」と呼びかけたとマスコミが報じています。

場所はロンドンの「シティー」、世界で最も伝統ある金融市場です。

何せ、2000兆円の個人金融資産を持つ国の総理大臣の講演ですから、聴衆も熱心だったと思われますが、中身もかなりいい事が詰まっていたようです。

岸田総理の基本認識は、現在2000兆円の個人金融資産の半分を占める預貯金はゼロ金利で眠っているようなものだから、これをNISAなどの拡充・活用で、貯蓄から投資に振り向け、経済活動の活性化を推進する。

投資を進める分野は「人」「イノベーション」「スタートアップ」「グリーン・デジタル」の4本柱で、具体的項目として脱炭素化に10年で150兆円を充てる、機動的財政支出のために財政の単年度主義を見直すなどというもののようです。

ここまでやりますからぜひ日本に、岸田の政策に投資してくださいと、海外からの投資の呼び込みを意図した、国内では未発表の構想ですが、シティーの投資家たちの反応はどうだったのでしょうか。

その辺りは未だ解りませんが、円レートが正常化しても、相変わらず10年近くゼロ成長の日本経済に興味を持ってもらうのは容易なことではないでしょう。

勿論海外から投資が入ってくるというのは、日本経済が成長していると見られなければ無理でしょうし、円安で物価が安いからと言って賑わうのはインバウンドの旅行者誘致の方が早いのかもしれません。(問題はコロナですが)

やはり「岸田経済政策に投資を!」と言っても、まず日本企業が国内投資に熱心になり、日本経済の安定成長が常識化し、国内でも、ゼロ金利の貯蓄よりNISAなどの投信や株式投資の方が有利だと日本人自身が考えるようでなければ難しいでしょう。

この辺りは個人貯蓄の保有者の選択の問題で、日本では投信や株の売買は危険なもの、損することが多い物という認識が強すぎるのでしょう。
特に最近は、金融市場はマネーゲーマーの世界になっており、最近もそうですが乱高下が大きすぎます。

元本の減少を恐れる庶民は、まずは、ゼロ金利でも元本の減らない貯金です。利息が付かなければその分は月々の貯金額を増やして(自分で利息を付けて)消費を切り詰め、毎日の生活は貯金貧乏で将来に備えるのが現状でしょう。

銀行に預金があってもそれが生きず、投信や株式に投資すればそれが生きるという発想も必ずしも納得できません。銀行にはいくら貯金が集まっても、日本経済を活性化す能力がない仕組みになっているのでしょうか。

これらは総て、経済政策を財政と金融中心でしか考えられない政策当局の発想の貧困からくるものではないでしょうか。

今回のシティーでも岸田講演には、幸いなことに「人」「イノベーション」「スタートアップ」「グリーン・デジタル」といった具体的な政策分野が提示されています。

例えば「人」では教育訓練の充実、「イノベーション」ではそのベースとなる「発電・蓄電」にどのような具体的政策が可能か、岸田講演が生きるためには、まず国内で、国民が明日への期待を感じるような具体策とその効果の実証という基礎的段階が必要になるのでしょう。

オオムラサキ満開に、昨年より4日遅れ

2022年05月06日 12時09分12秒 | 経済
今年のゴールデンウィークはどう数えるのかとネットで見てみましたら、
.4/29~5/5までの7連休
.4/29~5/8までの10連休
という2通りの見方が出ていました。

私の様な、毎日が日曜日の老人には、そんな事はどうでもいいのかもしれませんが、やっぱり長い方がいいので、今日も休みにして10連休という事にしました。

   広がり過ぎたオオムラサキ


実は、これは多分にオオムラサキの開花状況が気になってのことでもあります。
昨年は5月2日に満開の写真をブログ載せていますが、今年は一昨日まで頂上の辺りには蕾があって満開ではないのです。

ちょうどGWの初めのころ気温の低い日があったからかも知れません。そしてやっと「こどもの日」端午の節句の昨日満開になりました。早速、撮ったのが上の写真です。

写真にしてみてやはり気になるのが、この角度だと電線が沢山入ってしまって邪魔になることと、同時に、おおむらさきの枝がどうも広がり過ぎてしまったようだという事です。

折角伸びているのに伐っては可哀想という気がすることもあり、この所伐らないでいましたが、どうも、もう少し立ち姿のを良くしなければという気もしてきました。

下の写真は玄関の南側の窓からのものですが、新芽を出した柘植の緑との対比が素敵だと思って撮ったものです。



米国金利、円レート、実体経済

2022年05月05日 22時04分13秒 | 経済
アメリカの中央銀行FRBのパウエル議長は、前回の0.25%の金利引き上げに続いて今日5月5日、0.5%の大幅引き上げを決めたとのことです。

アメリカの消費者物価の上昇が年率で、1月には7%を越え、2月には8%に近づき、3月には8%を越えるという状況を何とか鎮静させようと、思い切った金融引き締め政策を取るという事でしょう。

アメリカの場合は産業界の性質そのものが、マーケットメカニズムの信奉者のようで、値上げできる時には値上げしようという行動様式になるようで、消費者もそれにある程度容認的なのでしょう。

一方、労働市場の方も、労働組合も、それなら賃金の引き上げで対抗しようという思考回路が明確なようで、賃金の引き上げが目立ち、GAFAの一角Amazonで労働組合が結成されるといった状況が見られます。

一方アメリカ政府の方は、世界的情勢といった目で見れば、ウクライナで民主主義自由経済圏と独裁主義国家ロシアの戦争が始まり、現状はウクライナという局地戦ですが、ロシアは陰に陽に、核の使用も辞さないといった発言を繰り返しています。

こうした情勢認識が進む中で、世界戦争への拡大阻止のためにも、ウクライナ徹底支援のほうしんをかため、兵器等の軍事物資の支援徹底のための予算計上が必要といった状態で急きょ動いています。

こうしてインフレ対応策は、金融政策を中心に強力なものにするといった事に頼らざるを得ないということになるのでしょう。
FRBは次回の金利引き上げも0.5%、更にその後も0.5%を続けるといった可能性も示し、合わせて量的金融緩和の修正を積極化するといった方針も打出しています。

コロナで異常状態になった世界経済を、なんとかコロナウィルスを薬で抑えこんで、マスクが取れている主要国も増えていますが、兵器の増産という戦争経済の様相が入って来ている様子もあり、先行きが極めて不確かな経済状態になっています。

経済学の原則から言えば、日本が異次元緩和を継続するのであれば、日米金利差の拡大から、今後円安はとめどなく済むなどという観測も出たりして、日本では「悪い円安」などという言葉も生まれ、その結果、発生するインフレも「悪いインフレ」などと名付けられて、政府は選挙を控えて慌てています。

然し実体経済は、ロシア制裁で不自由な中でも、不自由は自由経済圏共通で、日本だけ不利ということではないので、コロナ禍改善の傾向もあり、日本だけに大きな経済変化が心配という状態は予想されていないようです。

日本の場合は、物価上昇は、未だ安全な範囲内にあるようで、一時131円を超えた円レートも128円台に戻ってみたり、といった方向不明の混乱状態という所でしょうか。

何せ、今の経済状態は、経済主導のものではなく、パンデミックや戦争によって、正常な市場経済がまともに働かない状態になっていることから発生しているのです。

誰にも先行きが見えていないという事は、先見性があると言われるマネーマーケットが、日々、一喜一憂、ボラティリティの大きい乱高下を繰り返すことからも理解できるのではないでしょか。

ここは地道に、実体経済の状態をしっかりと見極めながら、勝手、でたらめな情報は確りと選り分けて、状況の落ち着く日まで、徒に慌てずに、軽挙妄動を避けて、落着いた対応を心がけるべきでしょう。

核兵器まで登場する世界的混乱さえ避けて、世界が、特に良識ある先進主要国が混乱の解決に努力すれば、そのあとに来るのは、もう少しまともな世の中になるはずと考え、それぞれに早期の解決の道を協力して探すことが何よりも大事なようです。


人の心を和らげる『みどり』の日

2022年05月04日 16時25分22秒 | 環境
今年もまた「みどりの日」が来ました。我家の狭い庭も新緑でいっぱいです。

ゴールデンウィークの特定の休日に挟まって「みどりの日」があることは大変良い事だと思っています。

もともとは昭和天皇の誕生日が「みどりの日」でしたが、これが「昭和の日」になったのも大変良かったと思っていますし、「みどりの日」が祝日として5月4日に残されたことも、この祝日をここに残した人の知恵に敬意を表するところです。

「グリーン」という言葉は、公害などがない綺麗な空気(環境)を表す言葉として使われてきていますが、これは葉緑素の生み出す緑色が、人間だけで得なく、あらゆる動物にとって、最も大切なものだからでしょう..。
       実生のけやき


以前もこんなことを書いた記憶がありますが、炭酸ガスが充満していた地球大気の下で、植物が発生し、植物の持つ葉緑素が、光合成によって、酸素を作り出し、その酸素を吸って生きる動物が発生・進化したのです。

多分我々の海馬の奥には、原生動物の時代からの酸素を求める本能、そして緑色を見るとこれが酸素の素だと思って安心する要素が残っているのではないでしょうか。

そして日本人はその太古からの記憶を尊重し、世界でも有数な国土の7割が山林であるという日本列島の状態を守って来たのでしょう。

上の写真は、国分寺の我が家に住み始めて間もなく、庭に生えてきた小さなけやきを国分寺市の木だという事もあって鉢に植えたもので、何の変哲もないのですが、何十年もゴールデンウィークには出揃ってくれる若葉の新緑を楽しんできているものです。

この時期、この欅の緑、柘植の新芽の浅緑、百日紅の赤みを帯びた新芽の緑、地球柑(しまだいだい)や山茶花の光る緑などなど、いろいろな緑のシンフォニーが、人の心を和らげ、いっときマスコミの報ずる世界の混乱を忘れさせてくれるような、安心感と平穏をもたらしてくれるようです。

少なくとも年に一度、「みどりの日」には、美しい新緑とその中で働いている葉緑素に感謝する気持を新たにするのも、いいのではないでしょうか。

憲法記念日と戦争

2022年05月03日 13時34分51秒 | 国際政治
日本は世界でも平和憲法を掲げる数少ない国の一つです。

憲法記念日ですから、マスコミも平和憲法の是非についていろいろな立場からの意見を取り上げ、それぞれに主張や解説、論評など特集しています。

特に今年の場合はウクライナ問題があるので、平和憲法を掲げる日本でも、改憲についての議論が盛んです。

改憲の議論が出るたびに、特に賛成、反対の世論調査などの場合に、何時もはっきりしないのは改憲の中身が平和憲法をやめて戦争する国になろうという意見なのか、平和憲法については変えることは考えず、それ以外の点で、改正した方がいいという事なのか、必ずしもはっきりしない事でしょう。

平和憲法は、今は日本の立国の基本と考え、ついでにそれ以外の点も絶対に現状維持と言うのもおかしな話ですし、直接に戦争の出来る国にしようとは言わないけれども、そこに持っていくために、差し当たって外堀を埋めるような改正をしようという意見もあるわけで、改憲の中身はいつももやもやのようです。

やっぱり憲法論議の基本は、国政上の手続きや、利便性、国民の日常生活の合理性確保といった問題はともかく、日本が再び戦争をする国に逆戻りすることを選ぶかどうかという一点について議論を絞って、その他の問題とは別にした方が解り易いでしょう。

確かに、戦争をしないと言っても、正当防衛のための戦争は国際的に認められているわけですし、世界に独裁者がいる限り、狂気は常識では判断できませんから、不条理な侵略をうける可能性がゼロとはいかないでしょう。

しかし世界の多くの国に先駆けて、歴史を100年ほど先取りし、平和憲法を掲げ、80年近い年月を平和に過ごしてきた国が、ここにきて以前の戦争をする国に戻るというのは、あまりに情けない話ではないでしょうか。

この場合、戦争をしない国として自国の意地を通す論拠、戦争をする国に逆戻りして、戦争に巻きこまれる危険、この戦争に協力せよというお誘い、せっかく戦争をする国になったのだから何か少し動いてみようという誘惑など、いろいろな可能性が出て来ることになるのでしょう。

「毛を吹いて傷を求める」という言葉もありますが、余計なものを持つと、余計なことをしてみたくなる日本人もいないとは限りません。

それなら、筋を通して、戦争(国と国との争い)には関係しません、世界人類の意思決定による、国連の治安維持活動や警察活動には、国連のそうした組織の一員として適切な形で協力しますということではないでしょうか。

そうした世界人類のガバナンスを可能にする国連の体制の整備について、日本は積極的に動くといったことで、国連中心主義を旗印に、世界の平和、安定に協力するという道が、戦争をしない国日本としての進むべき方向なのではないでしょうか。

頑張る日銀、円安を試すのも一策?

2022年05月02日 14時46分10秒 | 経済
この所の様子を見ていますと、日銀はの為替政策は,,かなり徹底しているようです。

黒田総裁は、この程度の円安であれば、日本経済にとってはマイナスよりプラス効果の方が大きいと、今の所では、見ているのでしょう。

もうひとつは、2%インフレターゲットが明確になるまで円安を見極めてもいいということもあるのかもしれません。
その場合、目指したインフレの意味が、輸入インフレを含むものか、それとも、アメリカでいう「コアコア」、日本でいえば、「生鮮食品とエネルギー除く総合」を指しているのかという見方の違いがあります。

消費者物価の総合であれば、4月の数字が出ればほぼ確実に2%を達成しますが、「生鮮食品とエネルギーを除く総合」であれば、まだ1%に届くかどうかでしょう。

表面的な現象としては、海外価格と値上がりと円安で消費者物価が2%を突破しても、コロナや、ウクライナ問題が終息に向かえば、こうした異常事態による物価の値上がりは消えていくでしょうから、やっぱり日本の消費者物価は、諸外国に比して上がっていないということになる可能性も大きいわけです。

この辺りの多様な組み合わせをどう判断するかですが、恐らく、日銀がここまでやるのは、それなりの考え方と見通しをきちんと勘案してのことでしょう。

円安進行についても、今の日本経済のファンダメンタルズを考えれば、このままずるず円安が進むという可能性は高くないでしょうし、この程度の円安では、ある程度価格転嫁が進めば(政府は、多分選挙のために気にしすぎのようですが)日本経済としては、円安のメリットも考えれば、大きな問題は生じないでしょう。

なんといっても、ガソリンその他の値上がりは日本だけではなく、世界中そうなのですから、日本だけ「値上がりは困る」と言っても誰にもどうにも出来ない事なのですし、事が収まればまた下がることも十分あり得るといった現象も勘案するのが長期的視点からの見方ではないでしょうか。

ただ問題は、諸外国が、諸先進国も含めて、7%台の消費者物価上昇などと、かつてのオイルショックの時の様に、輸入インフレへの対応に相変わらず失敗しているのが現状だという事です。

日本だけが真面目にやって、自家製インフレを誘発するなどの失敗をせず、確りした対応をしていますと、輸入インフレへの対応に失敗(場合によってはスタグフレーション化の可能性もあり)、経済の健全化維持に苦労する国々から、上手く対応している日本は少しやり過ぎなので、「日本は円の切り上げを認めるべきではないか」などという意見が出て来ることが心配されます。

自由経済諸国は民主主義で、失敗した国の方が多いと、失敗しなかった国は少数意見という事で多数決になる恐れがあるように思うわけで、そんなことも、かつての経験から学んで(プラザ合意など)十分配慮しておくことも必要ではないかという気もします。