tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

家計調査(2022年3月)消費不振続く

2022年05月10日 14時20分51秒 | 経済
今日、総務省より標記3月の家計調査が発表になりました。
3月、オミクロン株の感染状況もいくらか鎮静化してきたこともあり、春闘も政府、連合、それに経団連も賃上げに積極的という状況の中で、家計の財布の紐もいくらか緩むのではないかと期待しながら数字をみましたが、現実は期待通りにはいきませんでした。

消費動向を少し長い目で見ますと2人以上所帯の消費支出はコロナの初期、2020年の3月にはまだ29万円台でしたが、4月、5月には26万円台、25万円台と急落、6月以降は26万円から28万円と低迷し年末消費でやっと31万円台という状況でした。

2021年に入っても、改めて低迷状態は続き、3月、4月と年末だけが30万円に載せましたが、それ以外の月は25万円台から28万円台と振るわず、結局この2年、消費支出は殆ど増えていないのです。

今年に入っては1月28万7千円、2月は25万7千円で、3月が30万7千円と増えましたが、偶々去年の3月が30万9千円だったので、前年同月比ではマイナスという結果です。

今年は、コロナの状況から言えば、3月、4月は新規感染者が徐々に減って、ゴールデンウィークに向けて、行楽環境に希望が出てきた時期ですから、消費行動も多少活発化の傾向が出てもいいかなと言える時期ですから、2人所帯の消費支出が30万円を超えたというのは見方によってはその兆しかなとも思われます。

一方、2人以上勤労者所帯について見ますと、3月の実収入は所帯主収入と配偶者収入が共に伸び、前年同月比3.8%と結構順調に伸びています。

消費者物価が1.5%の上昇ですからその分目減りで、今後の物価動向も心配ですが、収入額の増えるのは結構元気が出るのではないでしょうか。結果的に可処分所得は5.0%の増加以なっているのですが。なぜか消費支出はマイナス0.1で所得増にもかかわらず、減少しているのです。

結果的に2人以上勤労者所帯の平均消費性向は83.3で昨年3月の87.5より、4.2ポイントも低くなっています。

年度末の3月ですから、家計の支出は伸びやすいのですがサラリーマン所帯のこの消費不振の動きの理由は些か読めないところです。

過去の数字をさかのぼってみますと、昨年3月と4月、2人以上の所帯も、2人以上勤労者所帯も消費支出が特に大きくなっていて、このブログでも、理由は解らないが消費支出が積極化していると書いています。

去年が何故か3月、4月と消費が伸びたことの反動という面も無きにしもあらずですが、添えにしても今年の3月はという感じです。
ガソリン価格の急騰、消費者物価値上がりの予感、ソ連のウクライナ進行の憂慮など、の理由を挙げる向きもあるようですが、なかなか消費は伸びません。

このブログで指摘している「貯金貧乏」(貯金に利息が付かないため、自分で利息を付けるので貯金が多くなり生活は貧乏になる)にしても少し極端なので、ゴールデンウィークにかけての、また更にその後の消費性向に注目したいと思います。