今日、総務省より今年8月分の家計調査「家計収支編」が発表になりました。
今春闘の賃上げが、3.56%(連合調べ)と33年ぶりの高さになったので、家計も少し元気が出て、消費需要も活発になるとかと期待していましたが、家計の財布の紐はなかなか緩まないようです。
家計の中核である2人以上の世帯で見ますと消費者物価指数の上昇を差し引いた実質消費支出が昨年比でプラスになった月は、4月の0.5%と7月の0.1%だけで、8月はまたマイナス1.9%と昨年より大きく落ち込んでしまっています。
2人以上世帯では、自営業も含むため、収入の統計がありませんので、消費支出の減少という現状しかわかりませんが、消費支出の増加での景気回復を期待している日本経済としてはいささか残念な状態です。
毎月報告していますように、2人以上勤労者世帯の場合は収入・支出の両方が取れ、収入が増えて消費も増えたかどうかが解る平均消費性向が算出されていますから、そちらの方を見てみますと結果は下のグラフです。
緑の柱が今年の平均消費性向ですが、5月以降平均消費性向は前年比低下です。8月は昨年の69.3%から66.1%と3.2ポイントの大幅低下です。
消費者物価指数の上昇は基本的には沈静化ですが電気・ガスなどの公共料金が政府の補助金廃止で上がったりするという事情もあり、消費者心理に影響を与えるようです。
2人以上勤労者世帯の収入と支出の関係を見ますと下のグラフです。
6月の可処分所得(手取り収入)はボーナスが良かったせいで大幅に増えましたが、多分、差し当たって貯金で消費は伸びていません。7月、8月とボーナスの分は消え、可処分所得は減りましたが3月まで(賃上げ前)よりは増えています。消費の方は、所得の動きとはあまり関係なく微増です。家計はやはり堅実指向のようです。
今春の賃上げは、33年ぶりの大幅という事でしたが、家計が安心して消費を増やす所までは行かなかったようです。
連合は来春闘への準備を始めたようですが、今後の賃金と消費支出の動向からは目が離せません。