tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

今がチャンス、非正規の正規化と産業訓練の徹底を

2022年05月16日 16時09分05秒 | 経済
先行きのことは誰にも解りませんが、ロシアのウクライナ侵攻の問題は長引きそうだという見方が多くなってきました。

それだけではなく、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟問題に対する独裁国ロシアの反応が懸念されるという新たな問題が起き、世界の情勢は、何か不安定の度を増しているようです。

ロシアの様な独裁国は、独裁者の異常な意思決定ですべてが動きますから状況が複雑化すと世界中が先行きの判断が難しくなり、大変困るわけです。
そして予防的に走る方向は、防衛力、具体的には戦力の強化という事になります。

これは大変恐ろしく悲しい無駄かもしれない出費ですが、それが当面の経済活動に対しては活発化の効果を持つようです。

恐らく日本も例外ではないでしょう、そしてそれは日本の場合、これまでの産業政策の失敗で弱体化した技術開発力の再建という形で進むことになるのでしょう。

アメリカの経済活動も活発化するでしょう。インフレの進行の可能性も消えず、FRBは金利の引き上げを続けることになりそうです。
放置すれば日米金利差は開き、円安状態も続く可能性が大きくなります。

コロナの方は、現状では新規感染者がGW後もあまり増えていません。岸田政権も半導体などを中心に研究開発体制の積極支援に乗り出すようです。

産業界は前3月期の好調を、今期は落ち込むという予測で、抑制的に考えているようですが、状況によってはあえて悲観的にならなくてもいいのではないでしょか。

前3月期決算を心理的な転機として、この際、日本の能力を本気で積極的に生かすという意識転換をし、日本の産業復興に産業界の総力を挙げて取り組むという気概と姿勢に、思考回路や体質を変えたらどうでしょか。

こうした意識転換を為し得るのは、政府・財界の意識改革であり、それが、働く人たちの気持ちを前向き、積極的なものに変える力を持たなければなんらないでしょう。

いま日本がやらなければならない事は、働く人、もっと広く言えば日本の労働力人口の将来に向かう積極的な意識の醸成でしょう。
そしてそのきっかけは多分、就職氷河期の後遺症である、非正規労働力を安易に使うという腰の引けた雇用体制の蔓延でしょう。

この安易な雇用意識を捨て、日本の持つ労働力の徹底活用を考えることは恐らく労使双方にとって、意識転換のスタートになり得るのではないでしょうか。
出来るだけ多くの非正規労働者を、その潜在力に期待して正規に組み入れ、OJT、Off-JTで鍛え、持てる潜在能力の100%発揮につなげるのです。

政府は雇用保険2事業を雇用安定中心から能力開発中心に改め、企業は従業員への人材開発投資は設備投資に勝るという長期的視点に立って、非正規労働者の正規採用と従業員の教育訓練は企業の社会的責任と心得て、十分なカネをかけるべきでしょう。

日本人の潜在能力は、過去の経験から見れば世界に冠たるほどに大きいはずです。そして日本人の潜在能力が顕在能力に結実した時、日本経済の潜在成長力は、そのまま日本経済の現実の経済成長率になるのでしょう。

物をうごかすのにはキッカケが必要です、今はそのキッカケの時かもしれません。そしてキッカケを適切に活用できるかどうかは、リーダーに大きく依存します。

岸田政権、経団連、そして連合の姿勢はこの際、大変重要だと思っています。