tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

米国金利、円レート、実体経済

2022年05月05日 22時04分13秒 | 経済
アメリカの中央銀行FRBのパウエル議長は、前回の0.25%の金利引き上げに続いて今日5月5日、0.5%の大幅引き上げを決めたとのことです。

アメリカの消費者物価の上昇が年率で、1月には7%を越え、2月には8%に近づき、3月には8%を越えるという状況を何とか鎮静させようと、思い切った金融引き締め政策を取るという事でしょう。

アメリカの場合は産業界の性質そのものが、マーケットメカニズムの信奉者のようで、値上げできる時には値上げしようという行動様式になるようで、消費者もそれにある程度容認的なのでしょう。

一方、労働市場の方も、労働組合も、それなら賃金の引き上げで対抗しようという思考回路が明確なようで、賃金の引き上げが目立ち、GAFAの一角Amazonで労働組合が結成されるといった状況が見られます。

一方アメリカ政府の方は、世界的情勢といった目で見れば、ウクライナで民主主義自由経済圏と独裁主義国家ロシアの戦争が始まり、現状はウクライナという局地戦ですが、ロシアは陰に陽に、核の使用も辞さないといった発言を繰り返しています。

こうした情勢認識が進む中で、世界戦争への拡大阻止のためにも、ウクライナ徹底支援のほうしんをかため、兵器等の軍事物資の支援徹底のための予算計上が必要といった状態で急きょ動いています。

こうしてインフレ対応策は、金融政策を中心に強力なものにするといった事に頼らざるを得ないということになるのでしょう。
FRBは次回の金利引き上げも0.5%、更にその後も0.5%を続けるといった可能性も示し、合わせて量的金融緩和の修正を積極化するといった方針も打出しています。

コロナで異常状態になった世界経済を、なんとかコロナウィルスを薬で抑えこんで、マスクが取れている主要国も増えていますが、兵器の増産という戦争経済の様相が入って来ている様子もあり、先行きが極めて不確かな経済状態になっています。

経済学の原則から言えば、日本が異次元緩和を継続するのであれば、日米金利差の拡大から、今後円安はとめどなく済むなどという観測も出たりして、日本では「悪い円安」などという言葉も生まれ、その結果、発生するインフレも「悪いインフレ」などと名付けられて、政府は選挙を控えて慌てています。

然し実体経済は、ロシア制裁で不自由な中でも、不自由は自由経済圏共通で、日本だけ不利ということではないので、コロナ禍改善の傾向もあり、日本だけに大きな経済変化が心配という状態は予想されていないようです。

日本の場合は、物価上昇は、未だ安全な範囲内にあるようで、一時131円を超えた円レートも128円台に戻ってみたり、といった方向不明の混乱状態という所でしょうか。

何せ、今の経済状態は、経済主導のものではなく、パンデミックや戦争によって、正常な市場経済がまともに働かない状態になっていることから発生しているのです。

誰にも先行きが見えていないという事は、先見性があると言われるマネーマーケットが、日々、一喜一憂、ボラティリティの大きい乱高下を繰り返すことからも理解できるのではないでしょか。

ここは地道に、実体経済の状態をしっかりと見極めながら、勝手、でたらめな情報は確りと選り分けて、状況の落ち着く日まで、徒に慌てずに、軽挙妄動を避けて、落着いた対応を心がけるべきでしょう。

核兵器まで登場する世界的混乱さえ避けて、世界が、特に良識ある先進主要国が混乱の解決に努力すれば、そのあとに来るのは、もう少しまともな世の中になるはずと考え、それぞれに早期の解決の道を協力して探すことが何よりも大事なようです。


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