tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

習近平と民主主義の「トリセツ」

2022年05月31日 14時07分52秒 | 文化社会
今朝の朝日新聞に、中国の習近平国家主席が「領袖」と言う称号にこだわっているのではないかといった記事がありました。

日本でも「自民党の領袖」などと使われる言葉ですが、中国では、生前から領袖という称号を得ていたのは、今は毛沢東1人だという事です。

今年秋の党大会で「領袖」の称号を狙う事はすでに国内の一部でその称号をつけて習主席を礼賛する文書が出されている所から明らかなようですが、秋の党大会での最大の問題は、習国家主席が10年の任期を延長して終身制に踏み込むかどうかでしょう。

鄧小平が国家主席の任期制を定めてから、江沢民、胡錦濤と2期10年の任期で退任していますが、習近平は、混乱の時代には自分のような強力なリーダーが必要という事で、すでに3期目を当然のこととするような体制を固めているようです。

中國は、共産党一党独裁体制ですが、その共産党の中の政治や軍事などの幹部は投票によって決めるのですから、ここは民主主義ということになるのかもしれません。ところが習近平は、既に幹部の人選が推薦投票制だったものを面接制に改めているということで、考えていることは見え見えという事でしょう。

更に鄧小平が廃止した党主席(毛沢東が終身手放さなかった)の復活の議論も活発なようですから、今年の秋の党大会は、中国の行方を決めるという点でも、それが世界に与える影響がいかなるものになるのかという巨大な問題も含めて重大な関心事でしょう。

ところで、このブログでは「民主主義のトリセツ」というテーマで二回ほど書いてきました。
「民主主義を誤りなく取り扱う際の取扱説明書(トリセツ)」という趣旨で、さしあたって、これまで、4項目の注意点を挙げています。

その第一項目が、「 過去の経験から、リーダーの最長任期を決めたら、それを伸ばそうとする人をリーダーに選んではいけない。」ということになっています。

これは、大はプーチンから、小(?)は安倍晋三まで、リーダーとして歴史の教訓を学ばない人は、独裁者になる可能性が大きく、民主主義にとっては危険な人物の可能性が高いという認識によるものです。

毛沢東が晩年、文化大革命という大きな誤りに走ったことを教訓に、鄧小平は党主席を廃し、国家主席に2期10年という任期を決めたのでしょう。

習近平の従来の発言から読み取れることは、中国とか世界とかいう大きな社会は、民主主義で治められるものではない。もっと違った統治の原理が必要で、中国の目指しているものの方が優れているとしてきているように思われます。

自負心は結構ですが、最近のゼロ・コロナ政策に固執するような問題もありますし、人間は年齢とともに頑固になり、融通が利かなくなる事も考えられるので、先ほどの「民主主義のトリセツ」に従えば、

「習近平がこの秋の党大会で、任期延長あるいは終身主席につくようなことになると、中国にも、世界にも、種々の問題が発生する可能性が大きくなるとが予見される」

と心配しなければならないことになりそうです。
予見が当たらないことを願うばかりです。(でも、当たりそうですね・・・)