tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

メルケル首相から国民へ:スピーチの真髄

2020年04月25日 17時14分16秒 | 政治
メルケル首相から国民へ:スピーチの真髄
 満開の「あけぼの」のピンク、散り始めた色とりどりのチューリップの花びら、チューリップと押し合いながら狭い花壇の端に並んで咲き始めた「 釣鐘水仙」の紫色、ゴールデンウィークの時期は、我が家の狭い庭も「花いっぱい運動」に積極的に協力です。

 自然は本当に美しいと思いますが、今、世界に猛威を振るう新型コロナウィルスも自然の一環です。
 そして今、人類はあらゆる不自由に耐えて、人類を新型コロナウィルスから守るべく知恵を絞っているところです。

 新型コロナウィルスは、人間に対する攻撃力を持っていますが、人間は「 素手」でそれを防ぐしかない状態です。
 出来るのは防衛だけです。例年なら日本中が帰省や行楽に動くゴールデンウィーク期間中の「STAY HOME」要請もその一環です。

 今はまさに『非常時』です。非常時の不自由さにいかに耐えるかが問われているのです。ならば、耐えれば正常時が来るのか? 誰しも持つ大きな不安です。一部には政策に対する不信さえもあるのでしょう。

 各国のリーダーたちが対応に苦心する中で、ドイツのメルケル首相のTVでの国民に対する簡潔なスピーチが、世界中から大きな評価を受けているようです。

 すでにお聞きになった方、お読みになった方も多いと思いますが、さすがに「簡にして要を得た」立派なスピーチと強く感じました。
 人間同士の親しいコンタクト、普段ならば最も大切な行動が「非常時」の今は正反対の最も忌むべき行動になるという現実が、誰にも分かるように、十分な説得力をもって語られています。

 中でも、これだと感じたのは、スピーチの初めの部分に出てくる

「あらゆる取り組みの唯一の指針となるのは、ウイルスの感染拡大速度を遅くする、数カ月引き延ばす、そして時間を稼ぐということです。時間を稼ぎ、研究者に治療薬とワクチンを開発してもらうのです。」

というくだりです。これは、「一体いつまで我慢すればいいのだ」という問いにはっきり答えています。ここでは数か月と言っていますが、その背後にはロベルト・コッホ研究所への信頼もあるのでしょう。

 この説明で、今の 「非常時」が終わるためには「治療薬とワクチンの開発が必要」というも最も基本的な命題が、誰にもはっきり理解されるでしょう。
 おそらくそれを理解した国民は、「それなら、治療薬とワクチンの開発に政府は最大限の支援を」と考えるでしょう。

 この命題は、いま世界中の研究所や企業が、熾烈な競争をしているものでしょうし、開発に先んじれば、世界人類に最も称賛・感謝されるものではないでしょうか。
 
 翻って日本を見れば、多くの分野で、 研究開発費は絞りに絞られているようです。政府は、466億円の布マスクと12兆6千億の生活費援助のバラマキで、国民を喜ばせようと考えています。しかし、日本でも心ある国民はメルケルさんの言葉の意味をより重視するのではないでしょうか。

 対人接触のないこの旬日、新型コロナ問題の本質と日本の現状を、更にじっくりと沈思したいと思っています。