tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

「ばらまき」をするなら財政再建の将来像も示せ

2020年04月17日 20時56分06秒 | 政治
「ばらまき」をするなら財政再建の将来像も示せ
 アベノマスク1所帯2枚の466億円に続いて、全国の日本人1人当たり10万円の給付が決まりました。

 自民党の案では、当初は所得の減収になった家庭(人?)に30万円とか、1人10万円でも、所得制限をつけてとかいうものの様でしたが、結局、公明党の強い主張に沿うことになったのでしょう。

 確かに、所得制限や、減収の査定という事になると、時間がかかって給付の時期が遅くなり、所得補償に間に合わない、一律ならすぐでもできるという事はあるでしょう、しかし、みんなに配れば、必要な予算は、当然多くなるわけです。

 補正予算が国会を通る前に組み替えて、などというのは、今までなかったことだそうですが、事は急を要するという事で、まず実行となったのでしょう。

 しかしさすがに巨額ですね。1億2600万人に10万円となると、12兆6000億円でしょうか、GDPの2%以上に相当する金額です。
 GDPが増えて政府支出が増えるのならいいのですが、今年度はGDPは多分減ることになるのは必至でしょうから、その中で赤字国債8兆円の増発などということになり、経済は縮小、財政赤字は急増です。

 既に新型コロナ問題などがなくても、安倍財政(麻生財政?)は、プライマリー・バランス回復を目指して赤字が収斂するのではなく、赤字は発散して、制御不能になる方向に進んでいますから、当然のことながら、コロナ後の財政政策は大変です。

 考えてみれば、本当に12兆円が必要なのかという問題は、ほとんど議論もなく日本の片隅(失礼)で決まったことで、現実を見れば、例えば、我が家など老夫婦2人で、年金でつつましく暮らしていれば、年金額の減少は当面ありませんから(あるとすればマクロ経済スライドで来年以降減少でしょうか)、20万円頂かなくても生活が立ち行かいないことはないのですが、受け取り拒否などという愚かなことはせず、有難く頂戴するでしょう。

 益々進む格差社会化の中で、10万円が本当に生活の助けになり、神棚に上げてから使わせて頂くといった方から、はした金だけど呉れるなら貰っておくという人までいるのでしょう。
 
 問題はこうした「超公平」な「ばらまき」(マスクもそうですが)をやった後始末を、いずれ必要になる財政再建の時に、どのように処理していくかです。
 まさか財政再建ギブアップで、預金は封鎖、国際は償還できませんなどという事にはしないでしょうから、使ったカネ、出した赤字の始末は今から考えておかなければなりません。

 否応なしに迫られる財政再建、その時に、例えば、消費税引き上げで何年がかりでやるという方法を選ぶとか、所得税の累進度を高めて、格差社会化を是正するといった方法を選ぶとかなどなど、いずれは「国民負担に頼る」わけです。

緊急事態だからと使ってしまったカネですが、その始末の付け方をどうするかといった基本的な方向ぐらいは、今の段階で国民にはっきり示しておく必要があるのではないでしょうか。

 政治の役割は、困った時に国民の助けになることは勿論ですが、この国の将来に国民が長期的な信頼が持てるように、確りしたビジョンを常に国民に示しておくことも極めて重要です。
 長期ビジョンのない今だけのサービスは「ポピュリズム」の誹りを免れないでしょう。