tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

東芝の自己資本比率

2017年03月21日 17時04分52秒 | 経営
東芝の自己資本比率
 
 自己資本比率には 2つの見方があることを嘗て書きました。本来、保守主義の会計思想によれば、自己資本比率は高い方がいい、50%以上が望ましいという事だったと思います。

 しかしマネー資本主義が盛んになって、もう一つの考え方が出て来たようです。それを齎したのは、金融を活用する「 レバレッジ」という考え方です。

 レバレッジは梃子の事で、おカネを使うのにも梃子の原理を活用しようという事です。
 100万円の金を準備して、100万円の仕事をするのは梃子を使っていないので、100万円用意したら200万円借金して、300万円の仕事ができるはずだ。 つまり借金を梃子にして3倍の仕事をしようという事です。

 借金を梃子というより。「リスクを梃子」という事でしょう。そしてリスクを取ること積極的で優れた経営、借金のリスクを取らないのは保守的で怠慢というわけです。
 「物言う株主」などには、そうした意見も多いようですが、今回の東芝のケースはこの点からはどうなのでしょうか。

 東芝の自己資本比率の推移は上の図の通りです。良い時で20%(自己資本20、他人資本80で計100)、リーマンショックの時は1桁になっています。
 図はありませんが日立は30%超、三菱電機は50%超です。東芝は伝統的に自己資本比率はあまり高くありません。リスクを取る経営という姿勢でしょうか。

 勿論リスクを取る場合にはリスクの可能性をいかに読むかが大事でしょう。石橋を、叩かないで渡るか、叩いて渡るか、叩いて渡らないか、でしょう。叩いた時の音によります。

 たとえは別として、東芝の場合は運も悪かったのでしょう。結果的には、ウェスチングハウスと、その工事子会社に、1兆円ほどの自己資本をほとんど差し上げることになったようです。(トランプさんは喜ぶかな?)

 レバレッジを利かす経営は時に恐ろしい結果を生みます。このブログでは、常に自己資本比率の重視を言ってきていますが、矢張り自己資本比率を高めることは、 重要な企業目標であるべきだと考えています。