tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

1兆ドル必要はトランプのアメリカの話、日本は・・・

2017年03月02日 11時23分14秒 | 国際経済
1兆ドル必要はトランプのアメリカの話、日本は・・・
 昨日はトランプ大統領の両院議会演説に影響される前にと急ぎ、午前中に「トランプのアメリカ」を書きましたが、午後報道されたトランプ演説の内容からも、矢張り、本当の問題点は消えないように感じられます。

 演説そのものは、極めてまともだったように思います。特に脱線もなかったようで、名前はドナルドですが、今回の演説は説得調で「それが出来れば素晴らしい」という理想も随所にちりばめ、最後には「夢」を語り、「演説としては」素晴らしかったように思います。

 “America first” “ Make America great again” といった繰り返されるフレーズは、アメリカ人のプライドをくすぐる「殺し文句」でしょう。
 トランプ大統領自身の変化、共和党内の結束、アメリカ国民の融和、の3条件が、この演説で見れば、一歩前進と思われるところですが、その実現を願うところです。

 「言うは安く、行うは難し」です。演説の内容をどう実践していくかですが、経済・経営的な目から見れば、減税や画期的な医療システムなど収入減、コスト増に関わることは具体的中身は示されず、1兆円のインフラ投資といった支出増が目玉に置かれていることです(その分、他の財政支出が減るとのことですが、その中身は不明)。

 本来なら、そのためには「アメリカ人が勤勉に働かなければならない」という指摘になるはずです。アメリカを「偉大な国に再建」と言っても、それは、アメリカ人が働いて、「生産性」を上げなければ万年赤字国脱出不可能です。しかしトランプさんの頭の中には「生産性」という言葉はないようです。

 トランプさんの望みの綱は、海外企業がアメリカに投資し、その力で、アメリカの経済が活発化することのように見えます。人は入れないが、カネは入れる。これは確かにアメリカにとっては合理的です。しかし、コスト高のアメリカでどこまで可能でしょうか。

 生産性を上げず、コスト高を放置して「偉大な国」になるには、 ドル安でコスト高を消すか、他国のカネを上手に(安価に)活用するといった方法しかないでしょう。
 現状、マネーマーケットはアメリカの「まだ見ぬ将来」を買ってドル高、株高、日本もの円安で株高と快調の走り出しのようですが、長い目で見れば、まだ何もトランプ構想を支える経済基盤はないのです。

 日本としては、アメリカの実体経済の動きを見極め、アメリカは日本の巨大な貯蓄をどう見ているのか(ロス財務長官の日本の 年金基金に関する発言なども含めて)に十分注意を払いながら、アメリカが本当の「健全で」偉大な国になるように協力することが必要なように思われるところです。