tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

家計調査から消費動向指数へ

2017年03月23日 13時09分16秒 | 経済
家計調査から消費動向指数へ
 現状の日本経済の不振の最大の要因として、家計の消費支出(個人消費)が伸びないことは、このブログでも、家計調査の「平均消費性向」が上がらないという形で繰り返し触れてきていますが、総務省は、個人消費の動向についての指標として、新たに「消費動向指数」導入するという事になったようです。

 今までの家計調査は、かつては単身世帯の調査がなく2人以上所帯が中心でした。単身世帯の調査は平成7年から始まっていて、2人以上世帯は毎月ですが単身世帯は四半期だったりで、多少軽視の形ですが、だんだん充実し、今では全所帯の数字も出されています。

 ただ統計を利用する立場から見れば、なかでも使いやすいのは2人以上所帯の中の「勤労者所帯」で、いわば標準的、しかも大方の傾向はサラリーマン所帯の数字をつかめばわかるという事で、最近の「賃金は上がっても消費は伸びない」などの分析にはよく使われるわけです。

 しかし、総務省では、もっとしっかり個人消費全体をつかみたいという事でしょう、「消費動向指数」CTI(Consumption Trend Index) を個人消費の指標として使おうという事のようです。

 CTIの中身はまだ良く解りませんが、基本は小売業の基本統計である「商業動態統計」や業界統計など販売側の調査に置き、家計調査やネットアンケートなど消費者側の調査で補足という事のようです。
 いずれにしても、実額ではなく指数ですから、何パーセント上がった下がったという形でしょう。収入がいくらで、消費がいくらという具体的な金額を示す数字ではありません。

 官庁統計は、あらゆるデータのベースになる基本的なものですから、家計調査のような基礎データは大事で、いくつかの統計を合成したものになるほど正確性は落ちます。

 総務庁自身が、家計調査より強めの数字になるが、意図的に高い数字を出そうという事ではない」とコメントしているようですが、統計行革も言われた後で、新たな統計を作ることに早めの言い訳でしょうか。

 「李下に冠を…」とは言いませんが、消費不振が最大の問題になっている時期です。
 国際的にも評価の高い日本の官庁統計に新たな1つを新設するのですから、よりよく実態を表す、整合性のある指数になる事を願っています。