tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

移民、難民、経済問題から見る国境問題

2017年03月06日 10時43分51秒 | 政治
移民、難民、経済問題から見る国境問題
 トランプ大統領のメキシコ国境の「壁」建設問題がヨーロッパに飛び火したという事ではないでしょうが、EU諸国でも、首長選挙などで、移民流入問題もからんで国境線重視の考えが強まり、フランスでもルペン候補はイギリス続くEU離脱に積極的にまで言及しているようです。

 日本は島国なので、かつてのベトナムのボートピープル問題はありましたが、こうした問題に直面することは少なく、難民認定も、国際的にも難しい国と認識され(技能実習生の逃亡問題などはありますが)問題はあまり大きくない国でしょう。

 世界の人類社会には人種、宗教から貧富の差までいろいろな対立要因があります。その中で、国際的な統合の動きは、国連の活動からEUその他、地域統合の問題まで第二次大戦後次第に進んできました。

 今、何かその動きに対する反作用が広がりつつあるようです。アメリカでもヨーロッパでも、急進派と穏健派があり、行方は選挙が決めるわけですから結局は国民のより多くが急進派を選ぶか穏健派を選ぶかで決まることになるのでしょう。

 という事は、国民1人々々が、この問題に対して合理性のある、的確な考え方を持っていなければならないという事に帰着することになります。
 然し選挙は往々ムードに影響されることがあります。イギリスのEU離脱も、アメリカのトランプ大統領誕生も、結果は僅差で、多くの人が「予想外」と驚いたということは、冷静な判断力だけが支配したのではないのではないかとも感じさせるものでした。

 選挙の中では、「マル」か「バツ」か、コンピュータではありませんが「ゼロ」か「イチ」化の二分論の世界が一般的になりがちです。
 しかし、経済や移民、難民の問題は、二分論で解決できるほど簡単なものではありません。例えば、移民問題と難民問題とは大きく異なります。
 今、ヨーロッパに押し寄せているのはその混合のようです。

 移民は、目的とする国に定住しようという人たちです。難民は、今、難を逃れて他国に安全を求めますが、本来は自国に戻りたい人たちです。
 これに、時に、人種や宗教も絡んできます。

 NAFTAのような、経済的統合を目的とした経済的な連携協定は広まって来ていますが、これはモノや資本だけに関わるものです。一方、EUのように、経済的統合だけでなく、人の往来など社会的統合に踏み出しているものもあるわけです。

 最近のトランプ政策では、モノや資本の移動から人間の移動まで、皆ひっくるめて「アメリカ・ファースト」といった印象です。

 繰り返しますが、選挙は国民一人一人の知性の判断の結果です。最近のような、民主主義そのものが混乱した如き情勢の中では、選挙の結果を生み出す選挙権を持つ国民そのものが問われているのです。心しなければと思うところです。