司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

非上場会社の新株発行(平成17年改正前商法下)が有利発行に当たらない場合(最高裁判決)

2015-02-19 18:38:18 | 会社法(改正商法等)
最高裁平成27年2月19日第1小法廷判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84873

【裁判要旨】
非上場会社が株主以外の者に発行した新株の発行価額が商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)280条ノ2第2項にいう「特ニ有利ナル発行価額」に当たらない場合

「非上場会社が株主以外の者に新株を発行するに際し,客観的資料に基づく一応合理的な算定方法によって発行価額が決定されていたといえる場合には,その発行価額は,特別の事情のない限り,「特ニ有利ナル発行価額」には当たらないと解するのが相当である。」


 理由としては,「取締役会が,新株発行当時,客観的資料に基づく一応合理的な算定方法によって発行価額を決定していたにもかかわらず,裁判所が,事後的に,他の評価手法を用いたり,異なる予測値等を採用したりするなどして,改めて株価の算定を行った上,その算定結果と現実の発行価額とを比較して「特ニ有利ナル発行価額」に当たるか否かを判断するのは,取締役らの予測可能性を害することともなり,相当ではない」からとされている。

 いわゆる「アートネーチャー株主代表訴訟」である。

cf. 日経記事
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG19H44_Z10C15A2CR8000/
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共有に属する株式について,権利行使者の指定及び通知を欠く場合の議決権の行使(最高裁判決)

2015-02-19 18:16:22 | 会社法(改正商法等)
最高裁平成27年2月19日第1小法廷判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84875

【裁判要旨】
1 共有に属する株式について会社法106条本文の規定に基づく指定及び通知を欠いたまま権利が行使された場合における同条ただし書の株式会社の同意の効果
2 共有に属する株式についての議決権の行使の決定方法

「共有に属する株式について会社法106条本文の規定に基づく指定及び通知を欠いたまま当該株式についての権利が行使された場合において,当該権利の行使が民法の共有に関する規定に従ったものでないときは,株式会社が同条ただし書の同意をしても,当該権利の行使は,適法となるものではないと解するのが相当である。
 そして,共有に属する株式についての議決権の行使は,当該議決権の行使をもって直ちに株式を処分し,又は株式の内容を変更することになるなど特段の事情のない限り,株式の管理に関する行為として,民法252条本文により,各共有者の持分の価格に従い,その過半数で決せられるものと解するのが相当である。」


 すなわち,「会社法106条ただし書は・・・株式会社が当該同意をした場合には,共有に属する株式についての権利の行使の方法に関する特別の定めである同条本文の規定の適用が排除されることを定めたものと解される」というだけのことであって,当該権利の行使は民法の共有に関する規定に従ったものである必要があるのである。

会社法
 (共有者による権利の行使)
第106条 株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。

 別件であるが,下記は,東京高裁平成24年11月28日判決(判例タイムズ1389号256頁)についてである。

cf. 平成25年8月28日付け「会社法第106条ただし書の解釈」

 改めて考えると,本件最高裁判決の論旨は,確かに筋が通っている。上告人(会社)が被上告人(株式の共有者の一人)の意思を認識していただけに,結論としては是認することができる。しかし,立案担当者の立法意図とは明らかに異なるだけに,この判旨を一般化することについては,すっきりしない感がある。
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京都府消費生活審議会の委員の公募

2015-02-19 12:37:18 | 消費者問題
京都府消費生活審議会の委員の公募について
http://www.pref.kyoto.jp/shohi/news/press/2015/2/20150216.html

 任期は,委嘱の日(平成27年4月20日予定)から2年間。

 募集期間は,平成27年3月13日(金)まで。
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「ともに考え・学び・行動する 消費生活プラン(京都市消費者教育推進計画)」(案)

2015-02-19 11:50:50 | 消費者問題
「ともに考え・学び・行動する 消費生活プラン(京都市消費者教育推進計画)」(案)の市民意見募集
http://www.city.kyoto.lg.jp/templates/pubcomment/bunshi/0000178144.html

 意見募集は,平成27年3月11日(水)まで。

cf. 京都府消費者教育推進計画
http://www.pref.kyoto.jp/shohi/news/20130312.html
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「会社分割に伴う不動産の所有権の移転登記等の税率の軽減」の廃止と経過措置

2015-02-19 10:42:31 | 会社法(改正商法等)
 平成27年税制改正により「会社分割に伴う不動産の所有権の移転登記等の税率の軽減」は廃止されるが,改正後の経過措置については,次のとおりである。

法律案要綱
○ 会社分割に伴う不動産の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置は、適用期限の到来をもって廃止することとする。(旧租税特別措置法第81条関係)

改正附則
 (登録免許税の特例に関する経過措置)
第98条 株式会社が、施行日前に新設分割又は吸収分割により不動産に関する権利を取得した場合における当該不動産に関する旧租税特別措置法第81条第1項各号に掲げる事項についての登記に係る登録免許税については、なお従前の例による。
2~7 【略】

 というわけで,改正による廃止前の租税特別措置法第81条第1項の規定に,「なお従前の例による」場合を織り込むと,次のとおりである。

【なお従前の例による経過措置】
租税特別措置法
 (会社分割に伴う不動産の所有権の移転登記等の税率の軽減)
第81条 株式会社が、平成18年4月1日から平成27年3月31日までの間に新設分割又は吸収分割により不動産に関する権利を取得し、当該不動産に関する権利の移転について登記を受ける場合には、当該登記に係る登録免許税の税率は、財務省令で定めるところにより当該新設分割又は当該吸収分割により当該権利を取得した日以後3年以内に登記を受けるものに限り、登録免許税法第9条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる事項の区分に応じ、当該各号に定める割合とする。

 一 所有権の移転 ①から④までに掲げる場合の区分に応じ①から④までに定める割合
  ① 平成21年4月1日から平成23年3月31日までに新設分割又は吸収分割を行つた場合 1000分の8
  ② 平成23年4月1日から平成24年3月31日までの間に新設分割又は吸収分割を行つた場合 1000分の13
  ③ 平成24年4月1日から平成26年3月31日までに新設分割又は吸収分割を行つた場合 1000分の15
  ④ 平成26年4月1日から平成27年3月31日までの間に新設分割又は吸収分割を行つた場合 1000分の18
  ※ 平成27年4月1日以後に新設分割又は吸収分割を行つた場合 1000分の20

 二 地上権、永小作権、賃借権又は採石権の移転 ①から④までに掲げる場合の区分に応じ①から④までに定める割合
  ① 平成21年4月1日から平成23年3月31日までに新設分割又は吸収分割を行つた場合 1000分の4
  ② 平成23年4月1日から平成24年3月31日までの間に新設分割又は吸収分割を行つた場合 1000分の6.5
  ③ 平成24年4月1日から平成26年3月31日までに新設分割又は吸収分割を行つた場合 1000分の7.5
  ④ 平成26年4月1日から平成27年3月31日までの間に新設分割又は吸収分割を行つた場合 1000分の9
  ※ 平成27年4月1日以後に新設分割又は吸収分割を行つた場合 1000分の10

 三 先取特権、質権又は抵当権の移転 ①又は②に掲げる場合の区分に応じ①又は②に定める割合
  ① 平成21年4月1日から平成23年3月31日までに新設分割又は吸収分割を行つた場合 1000分の1.4
  ② 平成23年4月1日から平成24年3月31日までの間に新設分割又は吸収分割を行つた場合 1000分の1.8
  ※ 平成24年4月1日以後に新設分割又は吸収分割を行つた場合 1000分の2

 四 根抵当権の法人の分割による移転 ①又は②に掲げる場合の区分に応じ①又は②に定める割合
  ① 平成21年4月1日から平成23年3月31日までに新設分割又は吸収分割を行つた場合 1000分の1.4
  ② 平成23年4月1日から平成24年3月31日までの間に新設分割又は吸収分割を行つた場合 1000分の1.8
  ※ 平成24年4月1日以後に新設分割又は吸収分割を行つた場合 1000分の2

2~6 【略】
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所得税法等の一部を改正する法律案

2015-02-19 10:06:10 | 不動産登記法その他
所得税法等の一部を改正する法律案
http://www.mof.go.jp/about_mof/bills/189diet/index.htm

 「法律案」は,33のPDFに分割して掲載されているが,見出しもなく,画像のみで検索することもできない。毎年そうだが,不親切極まりない。

 不動産登記関係では,目ぼしいものは少ないですね。

4 資産課税
(7)認定民間都市再生事業計画に基づき建築物を建築した場合の所有権の保存登記に対する登録免許税の税率の軽減措置について、都市再生緊急整備地域内で特定民間都市再生事業の用に供する建築物の建築をした場合の軽減税率を 1,000 分の 3.5(現行 1,000 分の3)に引き上げた上、その適用期限を2年延長することとする。(租税特別措置法第83条関係)

(8)特定目的会社が資産流動化計画に基づき特定不動産を取得した場合等の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置について、適用対象となる不動産の範囲に倉庫及びその敷地を加えた上、その適用期限を2年延長することとする。(租税特別措置法第83 条の2関係)

(9)次に掲げる租税特別措置の適用期限を2年延長することとする。
① 土地の売買による所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置(租税特別措置法第72関係)
② 住宅用家屋の所有権の保存登記若しくは移転登記又は住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記に対する登録免許税の税率の軽減措置(租税特別措置法第72条の2、第73条、第75条関係)
③ 利用権設定等促進事業により農用地等を取得した場合の所有権の移転登記に対する登録免許税の税率の軽減措置(租税特別措置法第 77 条関係)
④ 信用保証協会等が受ける抵当権の設定登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置(租税特別措置法第78条関係)
⑤ 特例事業者が不動産特定共同事業契約により不動産を取得した場合の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置(租税特別措置法第83条の3関係)
(10)会社分割に伴う不動産の所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置は、適用期限の到来をもって廃止することとする。(旧租税特別措置法第81条関係)
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