司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

税理士が弁護士法第23条の2の照会に応じたことが不法行為と認定

2015-02-23 20:14:20 | いろいろ
 税理士が弁護士法第23条の2の照会に応じて,納税義務者の確定申告書等の写しを提供したことが不法行為を構成するとされた事例として,大阪高裁平成26年8月28日判決(判例時報第2243号35頁)がある。なお,本件は,上告受理申立てがされており,未確定であるようである。

 税理士法第38条の守秘義務に違反するとされたものである。

【事案の要旨】
 Xは,税理士であるYに確定申告書の作成及び提出などを継続的に依頼していた。その後,Yは,税理士法人を設立し,代表社員に就任した。

 某弁護士会は,同税理士法人に対し,弁護士法第23条の2に基づく照会をし,同税理士法人は,Xの承諾を得ないまま,Xの確定申告書及び総勘定元帳の各写しをCD-Rの形式で提供した。

 Xは,この行為がXのプライバシー権を侵害する不法行為に当たるとして,Yに対し,損害賠償請求を行った。

 第1審(京都地裁)は,Xの請求を全部棄却したので,Xが控訴。

【裁判要旨】
 税理士法第38条に基づく守秘義務は,税理士業務の根幹に関わる極めて重要な義務であるから,税理士は,弁護士法第23条の2照会によって納税者のプライバシーに関する事項について報告を求められた場合,正当な理由があるときは,報告を拒絶すべきであり,それにもかかわらず照会に応じて報告をしたときは,税理士法第38条の守秘義務に違反するものというべきであり,当該納税者に対して不法行為責任を負うものと解される。



 私が目にしたことがある照会書には,弁護士会の会長名の注意書が添えられており,「個人情報保護法の例外で,本人の同意を得る必要はありません。どうぞ回答してください。」とあった。仮にこの税理士が同様の注意書を見て回答したとして,敗訴が確定したら,この税理士は,弁護士会に対して,損害賠償請求をするのでは?



cf. 最高裁昭和56年4月14日第3小法廷判決
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=56331

「弁護士法二三条の二に基づき前科及び犯罪経歴の照会を受けたいわゆる政令指定都市の区長が、照会文書中に照会を必要とする事由としては「中央労働委員会、京都地方裁判所に提出するため」との記載があつたにすぎないのに、漫然と右照会に応じて前科及び犯罪経歴のすべてを報告することは、前科及び犯罪経歴については、従来通達により一般の身元照会には応じない取扱いであり、弁護士法二三条の二に基づく照会にも回答できないとの趣旨の自治省行政課長回答があつたなど、原判示の事実関係のもとにおいては、過失による違法な公権力の行使にあたる。」
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社外取締役の積極活用と「業務執行」

2015-02-23 15:12:03 | 会社法(改正商法等)
 旬刊商事法務2015年1月25日号に,「平成26年会社法改正を踏まえた実務の検討(1) コーポレート・ガバナンスに関する規律の見直し」がある。

 そのうち,31頁以下に,「社外取締役の積極活用と『業務執行』」と題して,社外取締役の行為における「業務執行」該当性について詳細に論じられている。

 基本的には,「社外取締役の積極的な活用を推進する観点からは,社外取締役の活動範囲をできる限り広く認める柔軟な解釈が望まれる」という観点から,「『業務執行』の範囲について限定的な解釈が志向されるべきである」として,「社外取締役が行い得ない『業務執行』とは,業務執行者の指揮命令系統に属して行われるものに限られるとの解釈」の立場に立つものであるようだ。

 「業務執行」該当性に関する最新の,かつ,稀有の論稿であり,参考になると思われる。
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顧問,相談役等の「使用人」への該当性

2015-02-23 15:02:28 | 会社法(改正商法等)
 旬刊商事法務2015年1月25日号に,「平成26年会社法改正を踏まえた実務の検討(1) コーポレート・ガバナンスに関する規律の見直し」がある。

 そのうち,「実務では,過去要件との関係で,顧問,相談役,買収防衛策等における独立委員会の委員や,会社が任意に設置した諮問委員会(報酬諮問委員会等)の委員などの形で会社と関係を有していた者の「使用人」への該当性が問題となり得る」として,「肩書や契約形態のいかんを問わず,その実態が業務執行者からの指揮命令を受けて活動していたものである場合には,社外取締役としての要件を欠くとの評価もあり得る」旨が述べられており,平成5年商法改正当時の立案担当者の見解が紹介されている。

 個別具体的判断ということになろうが,難しいですね。
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京町家の宿泊ブーム

2015-02-23 12:56:05 | 私の京都
朝日新聞記事
http://www.asahi.com/shopping/travel/SDI201502187521.html?iref=comtop_fbox_d2_03

 京町家の空き家の利活用による解消も,喫緊の課題となっている。

 ステイではなく,定住の増加が期待される。
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京都家庭裁判所「各種手続の概要,書式(種類別)」

2015-02-23 09:36:26 | 家事事件(成年後見等)
京都家庭裁判所「各種手続の概要,書式(種類別)」
http://www.courts.go.jp/kyoto/saiban/katei/k_syosiki01/index.html

 京都家庭裁判所の「各種手続の概要,書式(種類別)」が充実している。

 「遺産分割」の書式集の「事情説明書」は,司法書士が依頼者から事情を聴取するためのチェック・シートとしても有用。
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