司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

「監査役の監査の範囲に関する登記」と「役員等の責任の免除に関する規定の登記」の矛盾抵触の是正(2)

2015-02-13 16:50:24 | 会社法(改正商法等)
 コメント欄で御指摘のあった件。

cf. 平成27年2月13日付け『「監査役の監査の範囲に関する登記」と「役員等の責任の免除に関する規定の登記」の矛盾抵触の是正』

 平成17年改正前商法及び旧商法監査特例法においては,業務監査権限を有する者の存しない旧小会社であっても,取締役会決議による責任の一部免除を行う旨の定款の定めを設けることが認められていた(旧商法監査特例法第25条は,平成17年改正前商法第266条の規定を適用除外とはしていなかった。)。

 これに対し,平成26年改正会社法では,取締役会決議による一部免除に関する定款の定めは,業務監査権限を有する者が存する株式会社,すなわち監査役設置会社(会社法第2条第9号),監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社においてのみ,これを置くことを認めている(会社法第426条)が,会社法施行時の経過措置規定(会社法整備法第78条)により,会社法施行日前の行為に関する責任の免除については,なお従前の例によることとされ,この点は,平成26年改正会社法整備法によっても維持(※改正されていない。)されている。よって,業務監査権限を有する者が存しない株式会社であっても,取締役会決議による責任の一部免除が引き続き可能である。

 したがって,平成17年改正前商法下の旧小会社(会社法の下での「公開会社」を除く。)であって,取締役会決議による責任の一部免除を行う旨の定款の定めを設けていた株式会社においても,会社法施行日前の行為に関する責任の免除を行うための根拠規定として,当該定款の定めを残しておく必要があるということになる。

cf. 郡谷大輔編著「会社法施行前後の法律問題」(商事法務)120頁

 というわけで,平成17年改正前商法下の「取締役会決議による責任の一部免除を行う旨の定款の定め」の登記については,「監査役の監査の範囲に関する登記」と矛盾抵触しないことから,有効なものとして存置することとなる。

 ただし,最高裁平成20年1月28日第2小法廷判決は,「商法266条1項5号に基づく会社の取締役に対する損害賠償請求権の消滅時効期間は,商法522条所定の5年ではなく,民法167条1項により10年と解するのが相当である。」と判示している。よって,平成28年5月1日時点における訴訟の係属等の有無によって,同日以降に定款変更&定款の定めの廃止の登記について判断することになろうか。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=35631

cf. 平成20年1月28日付け「取締役の責任、消滅時効は10年」
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法務大臣閣議後記者会見の概要(商業登記規則等の一部を改正する省令の公布について)

2015-02-13 15:53:56 | 会社法(改正商法等)
法務大臣閣議後記者会見の概要(平成27年2月3日)
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00619.html

「本日,商業登記規則等の一部を改正する省令が公布されましたので,改めてその改正の内容を二点御報告いたします。」
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代表取締役の予選問題

2015-02-13 15:30:56 | 会社法(改正商法等)
 月刊登記情報2015年2月号に,「座談会 商業登記の現状と今後の展望(下)」があり,席上取り上げられている論点の一に,「代表取締役の予選問題」がある。

 任期満了による改選前に,改選後の代表取締役を選定するというケースは,会社以外の法人の場合と同様であるが,そうでないケースも議論の俎上に上がっている。

 例えば,平成○年3月26日開催の取締役会において,任期中の取締役Aを代表取締役に選定する決議(ただし,同年4月1日から就任するものとする。)は,もちろん有効であるが,他の取締役BCが3月31日終了時点で辞任して,新たに4月1日から取締役DEFが就任するケースがあり,この場合に,Aを代表取締役に選定した決議の効力如何という話である。

 例えば,代表取締役Aのみを残して,他の取締役が目まぐるしく交替する株式会社は,しばしば見受けられるところである。過半数が入れ替わったから代表取締役を選定し直せ,という議論は聞かない。

 会社法施行時に,取締役会の設置又は廃止の際に,代表取締役の選定方式が変更されるので,代表取締役を選定し直せ,という論が登場した(私は,未だに納得し難いが。)が,同列に議論することではないであろう。

 ところで,会社法第363条第3項に,「取締役会は,取締役の中から代表取締役を選定しなければならない」とある。

 したがって,代表取締役を選定する時点において,そもそも取締役に就任すらしていない者を選定することはできないのはもちろんである。

 問題は,「代表取締役を選定する時点における取締役」の中から選べばそれでよい(就任時点においては,取締役に異動があっても可)と考えるのか,「代表取締役に就任する時点における取締役」の中から選ばなければならないと考えるのか,という点である。

 上記登記情報を見る限り,商事課は,後者に親和する立場に立つようである。

 しかし,後者を突き詰めると,取締役に異動があるたびに,代表取締役を選定し直せ,という話になってしまうが,会社法はそのような極論を要求しているのか,と言えば,そうではないであろう。

 代表取締役は,これを「選定する時点における取締役」の中から選ばなければならない(選定後,就任までの間に取締役に異動があっても可)という考え方が自然であるように思うのだが。

 とまれ,上記登記情報において示された商事課の消極的見解は,実務に混乱を生じさせるおそれがあると思われるので,登記申請の際には,留意すべきである。
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「公益法人の会計に関する諸課題の検討状況について(最終報告書素案)」

2015-02-13 15:21:38 | 法人制度
「公益法人の会計に関する諸課題の検討状況について(最終報告書素案)」
https://www.koeki-info.go.jp/pictis_portal/common/index.do?contentsKind=120&gyouseiNo=00&contentsNo=00009&syousaiUp=0&procNo=oshirasedetail&renNo=1&contentsType=&houjinSerNo=&oshiraseNo=&bunNo=&meiNo=&seiriNo=&edaNo=455&iinkaiNo=undefined&topFlg=0

 公益法人informationにおいて公表されている。
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「成年後見実務の運用と諸問題」

2015-02-13 13:10:33 | 家事事件(成年後見等)
東京三弁護士会合同研修「成年後見実務の運用と諸問題」
http://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2013_07/p36-40.pdf

 2013年2月14日現在の東京家裁の運用であり,その後の変更もあると思われるが,実務の参考になりそうである。
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有責配偶者からの離婚請求の可否

2015-02-13 12:39:49 | 家事事件(成年後見等)
有責配偶者からの離婚請求が認められた事例 by 弁護士江木大輔のブログ
http://ameblo.jp/egidaisuke/entry-11986501295.html

 有責配偶者からの離婚請求を否定した一審東京地裁判決を覆し,比較的緩やかな基準で認容したとされる東京高裁平成26年6月12日判決(判時2237号47頁)である。

 なお,本件は,最高裁に上告受理申立てがされているようである。
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閉店しない「閉店セール」は,景表法上問題あり?

2015-02-13 12:11:59 | 消費者問題
日本テレビニュース

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20150213-00000002-nnn-soci


 立教大学の学生さんが実態調査を行ったそうで,消費者庁に要望書を提出するとのことである。
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「京都マラソン2015」のマラソンコースに御注意

2015-02-13 10:09:43 | 私の京都
京都マラソン2015
http://www.kyoto-marathon.com/outline/course.php

 今年は,2月15日(日)に開催される予定である。

 当日,マラソンに関係なく,物見遊山で上洛される方(もちろん地元の方も)は,マラソンコースに十分注意しないと,長時間にわたって足止めを食う羽目になりますよ。
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「監査役の監査の範囲に関する登記」と「役員等の責任の免除に関する規定の登記」の矛盾抵触の是正

2015-02-13 10:01:11 | 会社法(改正商法等)
 平成26年改正会社法により登記事項として追加される「監査役の監査の範囲に関する登記」を施行日後に登記申請するにあたって,留意しなければならないのが,「役員等の責任の免除に関する規定の登記」の問題である。

cf. 司法書士のオシゴト「会計限定の登記と責任免除の登記」
http://blog.goo.ne.jp/chararineko/e/4dcfdda6f74cc1d70e4ce769bddbf5c7

 この定款の定めは,本来,監査役設置会社(会社法第2条第9号)でなければ設けることができない(会社法第426条第1項)。

 しかし,会社法施行時の登記通達では,「なお,当該規定の設定による変更の登記は,監査役設置会社(取締役が2人以上ある場合に限る )又は委員会設置会社でなければ,することができないが,監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めの有無については,添付書面から明らかな場合を除き,審査を要しないものとする。」とされていたことから,監査役を置く株式会社であって,会社法第2条第9号の監査役設置会社ではない(会計監査に限定されている)にもかかわらず,この登記がされてしまっているケースがまま見受けられるようである。

 改正法の施行日後に,「監査役の監査の範囲に関する登記」を登記申請するにあたって,「役員等の責任の免除に関する規定の登記」がされている場合には,その矛盾が是正されなければならない。

 すなわち,「登記された事項が無効による抹消の登記」(商業登記法第134条第1項第2号本文)を申請する必要がある。

cf. 平成25年4月4日付け「安易な更正,抹消の登記の禁止」

 「抹消の登記」を申請するにあたっては,「登記の抹消の申請書に添付すべき書面について」(法務省民商第897号平成24年4月3日付法務省民事局商事課長通知)が発出されており,「登記の抹消の申請書には,登記された事項につき無効の原因があることを証する書面を添付しなければならないとされているところ,無効原因証書の作成者が,当該申請書に記載された抹消すべき登記事項に係る登記の申請書に添付された書面の作成者と異なる場合には,裁判書の謄本その他の公務員が職務上作成した書面が添付されている場合を除き,当該登記の抹消の申請は受理することができない」という取扱いであることに留意すべきである。
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渋谷区,同性婚に「パートナーシップ証明」

2015-02-13 08:51:44 | 家事事件(成年後見等)
日経記事
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG11H1C_R10C15A2CR8000/

 条例の制定により対応する模様。日本では,全国初。

 なお,任意後見契約を相互に締結することを条件とするようである。
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取引スキーム別契約書作成に役立つ税務知識Q&A

2015-02-13 08:42:54 | 会社法(改正商法等)
森・濱田松本法律事務所税務プラクティスグループ編「取引スキーム別契約書作成に役立つ税務知識Q&A」(中央経済社)
http://www.biz-book.jp/%E5%8F%96%E5%BC%95%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%A0%E5%88%A5%E5%A5%91%E7%B4%84%E6%9B%B8%E4%BD%9C%E6%88%90%E3%81%AB%E5%BD%B9%E7%AB%8B%E3%81%A4%E7%A8%8E%E5%8B%99%E7%9F%A5%E8%AD%98%EF%BC%B1%EF%BC%86%EF%BC%A1/isbn/978-4-502-11171-6

 法律実務家の立場からの簡明な解説である。お薦め。
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日弁連「消費者安全法改正に伴う関係内閣府令(案)及びガイドライン(案)に関する意見書」

2015-02-13 08:36:32 | 消費者問題
消費者安全法改正に伴う関係内閣府令(案)及びガイドライン(案)に関する意見書 by 日弁連
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2015/150206.html

 消費生活相談に関する改正省令についての意見書である。
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セガのグループ再編

2015-02-13 08:36:08 | 会社法(改正商法等)
株式会社セガのニュースリリース
http://sega.co.jp/wp-content/uploads/2015/02/nr150212_1.pdf

 平成27年4月1日に大がかりなグループ再編を実施。
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