司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

社外性の充足又は喪失による社外取締役の登記の変更の登記

2015-02-06 20:19:24 | 会社法(改正商法等)
 平成26年改正会社法によれば,取締役又は監査役がその任期中に社外性を充足したり,喪失したりということがあり得ることとなる。この場合の変更の登記の申請については,如何?

 通達からは明らかではないが,登記記録例を見る限り,次のとおりである。

(1)社外性を充足した場合
 既登記の任期中の取締役であって,社外取締役の要件を満たしていなかったものが,社外取締役の要件を満たすこととなった場合には,「取締役何某は,社外取締役である」旨の登記を申請しなければならない。変更原因及び変更年月日を申請書に記載することは要しない。この場合,取締役何某について,「平成○年○月△日(※申請日)社外取締役の登記」と記録される。

(2)社外性を喪失した場合
 既登記の任期中の取締役であって,社外取締役の登記がされていたものが,社外取締役の要件を満たさないこととなった場合には,社外取締役である旨の抹消登記を申請しなければならない。社外取締役の要件を満たさないこととなる変更原因は,諸々あるわけであるが,登記実務の取扱いは,一律に「社外性喪失」と登記するものとされた。登記すべき事項は,「社外取締役何某が社外性を喪失した」旨及び変更年月日である。登記上は,「平成○年○月○日社外性喪失 平成○年○月△日登記」と記録される。

 (1)(2)のいずれも,委任状以外の添付書面を要しない。

 社外監査役の登記の変更の登記についても同様である。


 結婚することにより社外性を喪失したり,離婚することにより社外性を充足したりということがあることから,登記実務の取扱いが注目されていたが,なるほどの感。
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「会社法の一部を改正する法律等の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて(通達)」等

2015-02-06 18:40:40 | 会社法(改正商法等)
 「会社法の一部を改正する法律等の施行に伴う商業・法人登記事務の取扱いについて(通達)」〔平成27年2月6日付法務省民商第13号〕及び「会社法の一部を改正する法律等の施行に伴う商業・法人登記記録例について(依命通知)」〔平成27年2月6日付法務省民商第14号〕が発出されている。

 迅速な対応。ありがたいです。適宜御確認くださいね。


 監査役の監査の範囲に関する登記の経過措置は,次のとおりである。

「改正法の施行の際現に監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社が,経過措置の終了後に監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある旨の登記をする場合の登記の申請書には,定款又は監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定めの設定の決議をした株主総会の議事録を添付しなければならない。
 なお,会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第53条の規定により,監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるものとみなされた株式会社については,当該定めの設定の決議をしていないため株主総会の議事録を添付することができず,定款によっても監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあることを確認することができない場合には,上記の添付書面に代えて,上記の添付書面を添付することができないことを確認することができる書面を添付しなければならない。具体的には,代表者の作成に係る証明書(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第53条の規定により,監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがあるとみなされた株式会社であり,かつ,定款又は株主総会の議事録のいずれも添付することができないことを記載したもの)等がこれに該当する。」

 第1パラグラフには,「経過措置の終了後に」とあるが,整備法第22条第1項の規定による猶予期間中であっても,取締役の変更の登記等と同時に,この登記を申請することもあり得る,というか公示の観点からはそれが望ましいと考えられるので,「経過措置の終了後に」という文言は,不要であろう。

 第2パラグラフは,ある意味救済措置で,寛容な取扱いであるが,会社法整備法第53条による「みなし規定」の手当てが漏れているのであれば,本来は,それに気付いた時点で手当てをすべきである(取締役としての善管注意義務の範疇である。)から,原則どおり,定款を添付しなければならないものとすることでよいと考える。

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成年後見人が受領した報酬に係る収入金額の収入すべき時期について

2015-02-06 15:53:11 | 家事事件(成年後見等)
成年後見人が受領した報酬に係る収入金額の収入すべき時期について by 国税庁
https://www.nta.go.jp/nagoya/shiraberu/bunshokaito/shotoku/150122/01.htm#besshi1

【事実の経緯】
 平成17年に家庭裁判所から成年後見人として選任され,その後、・・・後見事務に対する報酬を受領していませんでした。
 そのため,平成26年に家庭裁判所に対して,成年後見人選任時から平成26年までの本件後見事務に係る「成年後見人に対する報酬の付与」の申立てを行ったところ,本件後見事務に係る報酬を付与する旨の審判の告知がされたため,成年被後見人から成年後見人選任時から本件報酬付与申立てまでの間の本件後見事務に対する報酬を受領しました。

【回答要旨】
 本件報酬の収入すべき時期は,当該審判の告知によってその効力が生じた時と解してよい。



 照会者は,専門職後見人ではないようであるが,専門職後見人についても同様であろう。
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改正商業登記規則の施行後の「就任承諾書」の実務について(3)

2015-02-06 12:36:01 | 会社法(改正商法等)
 未だ民事局長通達が発出されていないのであるが,「本人確認証明書」として認められるものは,おそらく不動産登記規則第72条第2項各号に掲げる書類に準ずることになろう。

 「旅券等」にあっては,「住所」の記載があるものに限られるわけだが。また,2号及び3号に掲げる書類にあっては,「生年月日」の記載がなくてもよいわけであるが。

 通達では,どこまで例示列挙されるのでしょうね。

 本件におけるただし書部分の取扱いについては,「第一号及び第二号に掲げる書類及び有効期間又は有効期限のある第三号に掲げる書類にあっては,就任承諾書の作成日において有効なものに限る。」とすべきであろう。


不動産登記規則
 (資格者代理人による本人確認情報の提供)
第72条 【略】
2 前項第三号に規定する場合において、資格者代理人が申請人について確認をするときは、次に掲げる方法のいずれかにより行うものとする。ただし、第一号及び第二号に掲げる書類及び有効期間又は有効期限のある第三号に掲げる書類にあっては、資格者代理人が提示を受ける日において有効なものに限る。
 一 運転免許証(道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第九十二条第一項 に規定する運転免許証をいう。)、住民基本台帳カード(住民基本台帳法第三十条の四十四第一項に規定する住民基本台帳カードをいう。ただし、住民基本台帳法施行規則(平成十一年自治省令第三十五号)別記様式第二の様式によるものに限る。)、旅券等(出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第二条第五号に規定する旅券及び同条第六号に規定する乗員手帳をいう。ただし、当該申請人の氏名及び生年月日の記載があるものに限る。)、在留カード(同法第十九条の三に規定する在留カードをいう。)、特別永住者証明書(日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成三年法律第七十一号)第七条に規定する特別永住者証明書をいう。)又は運転経歴証明書(道路交通法第百四条の四に規定する運転経歴証明書をいう。)のうちいずれか一以上の提示を求める方法
 二 国民健康保険、健康保険、船員保険、後期高齢者医療若しくは介護保険の被保険者証、健康保険日雇特例被保険者手帳、国家公務員共済組合若しくは地方公務員共済組合の組合員証、私立学校教職員共済制度の加入者証、国民年金手帳(国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第十三条第一項 に規定する国民年金手帳をいう。)、児童扶養手当証書、特別児童扶養手当証書、母子健康手帳、身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳又は戦傷病者手帳であって、当該申請人の氏名、住所及び生年月日の記載があるもののうちいずれか二以上の提示を求める方法
 三 前号に掲げる書類のうちいずれか一以上及び官公庁から発行され、又は発給された書類その他これに準ずるものであって、当該申請人の氏名、住所及び生年月日の記載があるもののうちいずれか一以上の提示を求める方法
3 【略】
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上御霊神社が「景観重要建造物」に指定

2015-02-06 12:10:44 | 私の京都
京都新聞記事
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20150206000019

「市が指定を寺社に広げた背景には、上京区の出世稲荷神社が社殿修復費を捻出できず土地を売却して左京区大原に移転したり、上京区の梨木神社が社殿維持のため境内へのマンション建設を決めたことなどがある。」(上掲記事)

 千客万来の観光寺院と違って,神社は,厳しい財政状況にあるところが多いことから,補助金が十分とはいえないにしても,よいことであろう。
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eラーニング「種類株式」

2015-02-06 10:56:25 | 会社法(改正商法等)
 日司連研修総合ポータルのeラーニングに,「種類株式」(第1講~第3講)がアップされている。

 講師は,岡田高紀さん(京都司法書士会)。「商業登記全書第3巻『株式・種類株式』」(中央経済社)の「種類株式」についても担当していただいた方で,信頼のおける内容です。司法書士の方は,是非視聴してください。

cf. 編著「商業登記全書第3巻『株式・種類株式』」(中央経済社)2009年6月刊
http://www.biz-book.jp/%E5%95%86%E6%A5%AD%E7%99%BB%E8%A8%98%E5%85%A8%E6%9B%B8%EF%BC%8F%EF%BC%93%E6%A0%AA%E5%BC%8F%E3%83%BB%E7%A8%AE%E9%A1%9E%E6%A0%AA%E5%BC%8F/isbn/978-4-502-97490-8

 同じく,eラーニングの商業・法人登記分野(基礎講座)「第1講 役員変更の登記の実務」「第2講 会社合併の登記の実務」は,私が講師を務めています。こちらも,ぜひ。
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平成26年改正会社法の施行に伴う「会社法施行規則等の一部を改正する省令」が公布

2015-02-06 08:33:03 | 会社法(改正商法等)
「会社法施行規則等の一部を改正する省令」(平成27年法務省令第6号)
http://kanpou.npb.go.jp/20150206/20150206g00028/20150206g000280001f.html

 本日,公布された。

 なお,株主総会参考書類の経過措置については,「施行日前に招集の手続が開始された株主総会又は種類株主総会に係る株主総会参考書類の記載については,なお従前の例による」と改められている(改正省令附則第2条第5項)。

cf. 平成27年2月6日付け「会社法の改正に伴う会社更生法施行令及び会社法施行規則等の改正に関する意見募集の結果について」

平成27年1月23日付け「会社法の改正に伴う会社更生法施行令の一部を改正する政令が公布」
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会社法の改正に伴う会社更生法施行令及び会社法施行規則等の改正に関する意見募集の結果について

2015-02-06 07:31:21 | 会社法(改正商法等)
会社法の改正に伴う会社更生法施行令及び会社法施行規則等の改正に関する意見募集の結果について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080119&Mode=2

 パブコメの結果が公表されたということで,「会社法施行規則等の一部を改正する省令」(平成27年法務省令第6号)は,本日公布される見込みである。

 寄せられた意見に対する法務省の考え方は,「原案は相当」ばかりで,修正はほとんどないようである。



(8) ウェブ開示事項(会社法施行規則第94条・第133条関係)
③ 改正後の会社法施行規則第94条第1項の規定の適用時期を明確にすべきであるとの意見が寄せられた。

(当省の考え方)
 原案の説明資料において記載した株主総会参考書類の経過措置については,御指摘も踏まえ,前記(7)⑯のとおり,「施行日前に招集の手続が開始された株主総会又は種類株主総会に係る株主総会参考書類の記載については,なお従前の例による」と改めることとした(改正省令附則第2条第5項)。これにより,会社法施行規則第94条第1項の規定は,当該経過措置の対象とならない(改正後の同項の規定は,改正省令の施行日から適用される。)こととなる。
※ 21頁

(7) 株主総会参考書類記載事項(会社法施行規則第74条・第74条の122・第74条の3・第76条・第77条・第81条・第85条の3関係)
⑯ 原案の説明資料において,株主総会参考書類についての経過措置として,「施行日前に招集の手続が開始された株主総会又は種類株主総会に係る株主総会参考書類については,なお従前の例による」とする案が記載されていたことについて,「招集の手続が開始された」の概念を明確にすることを求める意見が寄せられた。

(当省の考え方)
 御指摘の経過措置は,改正省令の施行日前に改正前の会社法施行規則の株主総会参考書類に係る規律を前提に株主総会又は種類株主総会の招集手続が開始された場合にまで,改正後の新たな規律を適用すると,改めて招集手続をやり直すことが必要になる等,無用な混乱やコストを生じさせることになることから,そのような事態が生じないように設けることとしたものである。したがって,「招集の手続が開始された」の意義も,そのような招集手続のやり直しが必要になってしまう時点,すなわち,株主総会参考書類の記載事項が(取締役会設置会社においては取締役会の決議によって)決定された時点を指すものとして,当該経過措置を設けることとしている(会社法第298条第1項第5号・第4項,同規則第63条第3号イ参照)。この点をより明らかにするために,当該経過措置の文言を,「施行日前に招集の手続が開始された株主総会又は種類株主総会に係る株主総会参考書類の記載については,なお従前の例による」と改めることとした(改正省令附則第2条第5項)。なお,前記の解釈は,御指摘の経過措置以外の「招集の手続が開始された」という文言を用いた経過措置の全てにつき当然に及ぶものではない。
※ 19頁

cf. 平成27年1月23日付け「会社法の改正に伴う会社更生法施行令の一部を改正する政令が公布」
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