司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

社外性の充足又は喪失による社外取締役の登記の変更の登記(2)

2015-02-07 12:48:22 | 会社法(改正商法等)
 任期中の取締役であって,平成26年会社法改正前の社外取締役の要件を満たしていたものの,改正後の社外取締役の要件を満たさないこととなる場合があり得る。この場合の変更の登記の申請については,如何?

 通達からは明らかではないが,登記記録例を見る限り,次のとおりである。

改正附則
 (社外取締役及び社外監査役の要件に関する経過措置)
第4条 この法律の施行の際現に旧会社法第2条第15号に規定する社外取締役又は同条第16号に規定する社外監査役を置く株式会社の社外取締役又は社外監査役については、この法律の施行後最初に終了する事業年度に関する定時株主総会の終結の時までは、新会社法第2条第15号又は第16号の規定にかかわらず、なお従前の例による。

 改正附則第4条の規定により,例えば3月決算の株式会社であって,「施行の際現に旧会社法第2条第15号に規定する社外取締役を置く株式会社」の取締役の「社外性」については,平成28年6月総会までは,「なお従前の例による」ということになる。

 したがって,平成28年6月総会の終結の時をもって社外取締役の要件を満たさないこととなった場合には,社外取締役である旨の抹消登記を申請しなければならない。登記すべき事項は,「社外取締役何某が社外性を喪失した」旨及び変更年月日(※改正法施行後最初に終了する事業年度に関する定時株主総会の終結の日)である。登記上は,「平成○年○月○日社外性喪失 平成○年○月△日登記」と記録される。

 添付書面は,定時株主総会議事録であるかとも思われるが,他の理由による「社外性喪失」の場合には添付書面を要しないことから,本件経過措置による場合も,委任状を除き添付書面は要しないと解される。

 社外監査役の登記の変更の登記についても同様である。

cf. 平成26年7月24日付け『改正会社法における「社外取締役及び社外監査役の要件に関する経過措置」』
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