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香港問題への対応 G7共同声明について

2020-06-12 15:15:00 | 国際
安倍晋三首相は6月10日の衆院予算委員会で、中国による香港への国家安全法導入方針を受け、先進7カ国(G7)で共同声明を出すことを目指す考えを強調した。

 「一国二制度を前提に、G7で声明を発出するという考え方の下に、(議論を)リードしていきたい」と語った。G7について「普遍的価値を共有する国々が集まり、世界をリードすることは大きな意義がある」とも指摘した。


報道によってはこうした共同声明を出す動きに対して「中国への包囲網の形成」といった見方をする向きもあるようだが、そもそも

「なぜ中国はG7のメンバーとして招かれないのか?」

を前提として考えるべきだろう。

中国への包囲網である以前に、そもそもG7は「中国のような国は駄目だ」という価値観を共有している事が設立趣旨なのである。「自由」「民主主義」「人権尊重」「法の支配」「世界平和/国際秩序」…こうした項目は先進国としての大前提である。だから価値観が共有できて経済力もある先進国の首脳が集まって議論することに意味があるのだ。ここに「なぜこのグループに習近平が呼ばれないのか?」の答えがある。

世界平和を希求する人々の中に世界平和に関心が無く、ひたすら中国が世界を支配する事(中華思想)ばかり考えている習近平がG7の中に入ってきたところで何か意味のあるコミュニケーションが成立するだろうか。どう考えても「否」である。基本的な価値観に相違があり、パラダイムの相違または乖離といった方がいいかもしれない。世界の秩序をどのように構築するか、という議論をする時に「秩序なんかどうでもいい」という価値観の人が入ってきたら根本的に議論は成り立つ訳がない。だから「呼ばれない」のだ。当然である。

ロシアがなぜG8から弾かれたかといえば、クリミアに侵攻したからである。世界の平和と秩序を尊重する意志が無い事が判明したからであり、それで基本的価値観の相違が激しい事がバレてしまったので、それで「出ていって下さい」となったのである。

なので、G7への見方として「中国包囲網」というのは今更おかしいのであり、元々そういうポリシーを持つグループなのだ、ということだ。国際秩序を破壊する国に対して先進各国がどのように秩序を保っていけるかを考え議論する場なのである。


今回、中国に関して香港問題も含めて日本が議論をリードしてG7としての共同声明を発出するとしているのは、別に議長役を気取るとかそういう意味ではなく真に文字通りの意味である。その理由は、安倍総理の在任期間がドイツのメルケル首相についで長いからである。そのメルケル首相はトランプ大統領とも会話ができないし、恐らくイギリスのボリス・ジョンソン首相とも話ができないと思われる。このメンバーの中ではコミュニケーションできない人として認識されているのだ。なので、最もキャリアが長いメルケル首相が話のまとめ役になるのは無理であろうし議論の中心に居る事はできないだろう、と。

前回のG7もそうだったが、ここ2~3年は安倍総理がまとめ役なのである。トランプ氏とメルケル氏がコミュニケーションできないだけではなく、トランプ大統領とカナダのトルドー首相もコミュニケーションできないのだ。あるシーンに於いては「あいつ嫌いだから」と聞えよがしにトランプ氏が言ったという話もある。

なので・・・参加各首脳の間を取り持たないと共同声明が成立しないので、日本の安倍総理がこれのまとめ役になるであろうことが予想され期待されているのだ。

そして、ここが大事だが、この共同声明の中にG7としての、日本としての香港問題に対する本当の考え方を練り込む、ということになると思われるので、そこにも期待したいところである。



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