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EV過剰生産のはけ口は日本? 中国

2024-08-13 15:15:15 | 国際

EV(電気自動車)では世界的にはイーロン・マスク氏のテスラ社が先鞭をつけ、近年では中国のバッテリーメーカーに過ぎなかったBYD社のEVがその安さを背景に世界的に売れているようだ。そもそも中国で「なんでEVか?」と言われれば、「環境がどうとか」とか「SDGsが~」とかは関係なく、従来の内燃機関を使った自動車を作っても日本車や世界的メーカーのレベルには遠く達しないので、「それならば」ということでEVで儲けようとしたのである。なぜならEVの方が作るのが簡単だからだ。内燃機関は最高水準技術の塊であり、とても中国人には作れるものではなかった、というオチである。

ところが、「それじゃぁ」、ということでEVを作ってみたが、中国製EVは質が悪く、年中、あちこちでバッテリーの爆発事故(*1)を起こしている。先般などはディーラーにおいてあるEVから燃えだして建物が全焼した、という有り様である。酷いものだが、そんな低品質な車を女優の長澤まさみさんを起用したCMで日本人に売り込もうと必死である。「ありかも、BYD」と言っているが、「何が」「どう」「あり」なのかさっぱり理解不能なのだが。(笑)具体的な機能では訴求できないのでイメージだけで売ろうとしている、という事であろうし、これで日本人がEVを買ってくれると思っているのだろう、中国人は。

 

さて、一方でEVの国際事情だが、アメリカでもヨーロッパでもEVというものがそもそも「使える代物ではない」事実がバレてきたようで、EVの売れ行きはガタッと落ちてきているようだ。この辺は当ブログでも過去記事に詳しいのでご参照いただければ幸いである。↓

 

EV最先進国ノルウェーがEVをやめる?

EVが使いもんにならない当然の理由

 

中国には数多のEVメーカーがあり、その中で勢いがあるとされているEVメーカーの代表格がBYD社である。上述の通り日本にも進出している。BYD社は中国国内で売りまくっているのはもちろんだが、世界中に売りまくろうと必死になっている。だが、アメリカでもヨーロッパでも関税を上げられてしまって思惑通りには売れないようだ。しかし製品は既に作ってしまっている。しかも過剰生産と言えるほど作り過ぎている。在庫は溜まっている。欧米で買ってくれないなら・・・ということでそれが日本へなだれ込んでくる、というのがあり得るストーリーである。

アメリカもヨーロッパも関税を上げることでこの中国製EVが流入することを抑止しているのだが、日本はこれができないのである。

なぜか。

関税を上げられないから、である。

どうしてか?

この辺の事情を数量政策学者である高橋洋一氏の解説を基調に記してゆく。

 

日本には「関税定率法」という法律がある。WTOの前身であるGATT(関税貿易一般協定)が決めた国際ルールを前提として組まれた法律である。

何かの折に関税を変えるのは特殊関税というカテゴリーがあり、これにはセーフガードとか緊急関税とか、いくつかある。国内の産業を守るためにある規定であり、これ自体はどこの国にも普通にあるものだ。だがしかし、日本の場合はここが弱いのである。その理由は、法律の中味がWTOのルールに縛られるような内容になっていて、日本が「関税を上げたい」と思っても、WTOの動きを関連付けないといけないようになっているのだ。つまり自ら自分の自由を束縛するような法律であり、なかなか関税を変えにくい制度になっているのだ。もうこの時点で「阿呆か」と言いたくなるが、先を続ける。

一方、アメリカには通商法301条があり、これはWTOとは無関係に勝手に関税を上げられる法律なのである。ヨーロッパの場合は調査した後でなら関税を変えられるようになっているのだ。

ところが、日本の場合は調査した後もなんとなくWTOのお墨付きが無いと関税を上げられないという法体系になっていて、自縄自縛みたいな阿呆な法律になっているのだ。言い換えれば、生真面目に作り過ぎた、ということになろう。

昔はGATTがしっかりしていたからまだ良かったが、今や国連と同じでかなりいい加減になっている。WTOのルールは全部無視しているのが実情だ。中国・アメリカ・ヨーロッパも全部同じである。そういう時に「日本だけは守ります」と言ったところで「それ、何か意味がありますか?」ということだ。

だから法改正が必然となる時代が来た、と言えるのである。しかし、財務省は認めないのだ。「法改正すると国際批判を受ける」などと財務官僚は言うのだが、「他国は全部守ってないんだよ!」という実態を無視しているのが財務省の阿呆官僚である。こうして日本人の変な生真面目さと対応の鈍さでなかなか法改正が実現しないのが実態である。まして中国はこうした日本の政治家や官僚をハニトラやマネトラで手なづけて法改正をさせないようにしている可能性もある、と筆者は考えている。なぜなら、立法問題であり、国会が承認しないと成立しない問題だからだ。

 

アメリカの場合は中国製太陽光パネルなど、必要と思ったら議会なんか関係なく、遠慮なしにすぐに関税を上げる。これは中国も同じだ。

だから中国の余剰EVはますます日本に流れ込んでくるのである。太陽光パネルも同じだ。そうなると、日本が中国の過剰生産のはけ口になる、ということになる。これは日本の産業にもマイナスだが、こうすることで日本が国際的な批判を受ける恐れ出てくるのだ。これこそ政治できちんとクリアすべき問題と言えよう。

中国としては過剰生産したEVを「アメリカに売れない」、「ヨーロッパにも売れない」、「途上国にも売れない」となると「じゃぁ日本で」となって全部日本で捌こうとするだろう。だから 長澤まさみ まで動員しているのだ。(笑)

 

もっと酷い話がある。

日本はEV購入に補助金を出している。これがマイナス関税の役割を果たしてしまっているのだ。普通の国は関税を上げて輸入を止めているのに、日本はそもそも関税も低く、その上に補助金という形のマイナス関税をやって差し上げているのだ。だから相対的に日本市場の方が売りやすくなる、ということだ。

日本がやるべき事は即刻「補助金を廃止すべき」であり、「関税も上げること」なのである。

関税を上げると言うと、すぐに「自由貿易態勢に反する」という輩が湧いて出てくるのだが、中国もアメリカもヨーロッパも全部が「自由貿易態勢に反している」のが実情なのだ。文句を言う輩はここが理解できているのだろうか?この状況下で崇高な理念だけ語っていてもしょうがないだろう。そうでなければ中国の過剰生産品を日本が全部引き受けるのか、ということにもなりかねない。とんでもないことである。

 

政治家達が一刻も早くこの現状に気づいて正しい対応をされるよう望まれるところだ。

 

 

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(*1)

中国製EV爆発事故の一例

↑中国から発信された映像。この他にも炎上事故も多数。車内に閉じ込められて焼死した事故も起きている。このような有り様が日常茶飯事なのである。

 

 

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