PATEX HUNTER

マルクス経済学の視点で、「パテック・フィリップ」と「ロレックス」の世界を中立的私見で、社会科学的に分析しています。

ロレックスという時計について。

2005-08-03 | 時計
 アメリカ合衆国ではPOWER WATCHと呼ばれる、ロレックスという時計は、その製品の完成度、信頼性、満足度…購入前、購入時、購入後のすべてにおいてパーフェクトと言えます。
もとより他の数多ある時計ブランドと比較してのことですが、トータルで素晴らしい時計です。

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 世界有名企業、例えば、メルセデスベンツやコカコーラなどと並び、世界中の誰もが知っている企業50社の1社に選ばれている時計メーカーはここだけです。

 その起業史は、今日の買収合併のベンチャー企業の先駆けともいえ、経済学者のシュンペーターやチャンドラーの言うところの経営革新、一番手企業を目指した歴史でもあります。

 付け加えると、ロレックス社は時計というものの技術革新の歴史から言えば〝ニッチ市場の開拓の歴史〟とも言えましょう。

 日本ではよく、〝ひとのやらないことをしなさい‥そうすれば成功する〟と言われます。ニッチ市場とは人の気が付かない〝隙間〟市場のことで、腕時計の発想は、一部の富裕階級の特注や嗜好品として19世紀後半にはその存在が認められますが、ビクトリア仕草が紳士的であった懐中時計が極めて一般的であった当時、ボーア戦争(南アフリカ戦争1899年~1902年)で兵士が懐中時計を腕に巻いた新聞記事や飛行機や自動車の登場により、瞬時に時間がわかるリストウォッチ製造に乗り出したハンスウィルスドルフ(ドイツ系スイス人1881年~1960年)は、腕時計の量産と普及(1926年世界初の防水腕時計登場、1931年自動巻腕時計登場 )に向けて革新し、今日の腕時計という製品の基礎を構築しました。

腕時計は脱成熟化製品の好例といえ、特にロレックスは通常革新→革命的革新→(ニッチ市場経由)→構築的革新を行ったといえます。

 時計は時刻さえわかればいいということであれば、携帯電話もありますし、街を歩いても役場に入っても、駅の構内でも、バスの中でも、、どこにでも時計はあり、時を知らせてくれるので、わざわざ1ドルウォッチ的なリストウォッチさえも日常には必要はないでしょう。

 でも、なぜ、これほどまでに高級時計、特に宣伝をしなくても〝ロレックス〟と言う時計はよく売れるのでしょうか。
不思議ですよね。
ステータスシンボルや見栄や虚栄でということであれば、パテック・フィリップやバセロン・コンスタンチン、ブレゲの方がロレックスよりもずっとアッパークラスです。

 それでも時計好きな人々はロレックスがいいのです。
 それは、価格帯が広くて、ある程度のステイタスがあり、先ほど言ったように、万人みんなが知っているという安心感と信頼感が認知されているからです。

 でもそれらはとても大切なことですが、一番にロレックスが求められる理由は〝機能がデザインを決定する〟…この優位な機能によるデザインに魅せられて、ロレックスファンは絶えないのだと思います。

 ロレックスの時計ケースに刻印されている〝ORIG ROLEX DESIGN〟はこのことを端的に言い表しています。

 ロレックスのデザインの歴史はバブルバックというモデルが文字盤や時計ケースによって当時は異常ともいえる、デザインのバリエーションで登場しました。
 この1930年代からの顧客ニーズを探求した創業者の姿勢には先見の明さえ感じますが、その創業者が他のブランドのように時計職人としてのスタートではなく、時計商社の顧客相談係でサラリーを得ていた経歴とも関係が、どうもありそうですね。

 …今日のお話はここまでです。


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