鬼山竜也の住宅業界 商売の王道

良い家づくりに真剣に取り組んでいる方々が、お客様のためにより良い仕事が出来るようになるためのヒントになれば、嬉しいです。

【第180回】 しくみだけで会社は回らない

2011年06月29日 | 住宅コンサルタントとして
しくみをつくっていくことは、企業としてとても大切なことです。

しくみという言葉を定義すれば、
「パターン化され、誰もがやらざるを得ない仕事」ということになるでしょう。

例えば、発注ミスが多く、利益が垂れ流しになっている会社があったとします。
その要因は、担当者が自分で発注しているものの、
発注前にミスが無いかどうかのチェックは各自任せとなっており、
実際は大半のスタッフがチェックをせず発注していた・・・。

こうした場合、しくみとして社内で一番優秀な事務スタッフの方が
必ずチェックし、発注業務をその方に集約する、とします。
その方のハンコが無い発注書は受付ない。

こうしたパターン化し、誰もがそれに従わざるを得ないことがしくみです。

組織がまだ少人数の場合だと、
トップがスタッフ全員の仕事をほぼすべて把握出来ますので、
こうしたしくみなどつくる必要もありません、

ただ、組織が10名を超え、30名を超えてくると、
当然ながらスタッフ一人一人の仕事の進め方なども理解出来なくなってきますから、
しくみをつくっていく必要性が出てきます。

しかしながら、しくみが機能する上で欠かすことが出来ないものがあります。

それは、「スタッフのマインドの共有」です。

何のために働くのか?
どこを会社として目指しているのか?
3年後、どういう会社になりたいのか?
スタッフはどうあるべきか?
お客様とは、我が社にとってどういう存在か?

こうしたことを全社員で共有していなければ、しくみは万全とは言えないと思うのです。

例えば、工事途中でクレームが発生したとします。
クレームが発生したとしたら、必ず上司に報告しなければならない、というルールを設定し、
どういうフローで、どういう書面で報告するのか、というしくみをつくったとします。

しかしながら、このしくみはつくっただけでは100%機能しないのです。
なぜならば、クレームを報告するということは、自分の評価を下げることにつながるので、
出来る限り自分の力で解決し、バレないようにしたいと考えるスタッフもいるからです。

これを真の意味で機能させようとした場合、どんなことが必要なのでしょうか?

そのベースにあるのは、スタッフのマインドを共有すること。
そして、自分にとって都合の悪いことでも、その原因をみんなで共有し、
同じ過ちを犯さないことで、他のお客様にご迷惑をおかけしないようになる、ということを
全員で理解しておく必要があるのです。

お客様に最高のものをご提供する。
お客様にご迷惑をおかけしない。
こうした道徳的な考え方を共有しておかなければ、
ルールを守らない人も出てくる可能性があるのです。

そういう意味で、しくみは万全ではありませんし、
しくみやルールをつくれば会社が回るというものでもないのです。

しくみよりももっと大切なこと。
そこに経営者が気づけるか気づけないかが、
その会社の未来を左右すると個人的に思っています。
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