フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

演歌の詩

2008-10-13 19:57:53 | Weblog
今日はクラウンなごや演歌まつりが市民会館プルニエホールで行われ、その司会を担当して来ました。
「舞台の袖で数多くの演歌を聴いていて飽きませんか?」とよく尋ねられますが、答えは「飽きませんよ」です。歌を聴くというより詩を聴いていると、人生が迫って来るものが数多くあります。皆さんは演歌の詩は「女、男、酒、涙、港、雨」という演歌言葉の羅列ではないかと思われるでしょうが、余韻、余情を大切にする日本語で構成されている詩は、想像力を働かせてくれる詩なのです。
アグネスチャンが来日したときに「夜の新宿 裏通り 肩を寄せ合う 通り雨~」と聴いて「それがどうしたんですか?」と思ったそうですが、その行間を読み取る楽しみをまだ知らなかったのでしょう。
又、演歌の詩の舞台は北国が圧倒的に多くなっています。厳しい冬の辛い詩ばかりですが、そこに自分の人生をだぶらせて耐える事から希望を見出しています。
残念ながら昭和30年代から50年代の演歌の黄金期からずいぶん遠ざかりました。会場の皆さんもそうした時代をささえてきた人が殆どかもしれません。どうしても後に続く人に演歌を知ってもらわなくてはいけません。演歌を聴く際には、演歌の歌詞の中のドラマ性に想像力を働かせてみて下さい。日本語の奥ゆかしさも同時に味わう事ができる筈です。