4. 不耕起栽培を日系移住者がリード
パラグアイでは1980年代に入ると不耕起栽培が導入され,栽培技術として定着した。不耕起栽培の導入は,イグアス日系移住地の窪田勇,深見明伸氏らが率先して進めたもので,現在は殆どの大豆栽培が不耕起である。不耕起栽培は土壌浸食を軽減して環境保全に役立つたばかりでなく,適期播種を可能にして収量の高位安定に大きく貢献した。
イグアス農協前には「パラグアイの耕起栽培はこの地から広まった」と刻まれた記念碑が建っている。大豆栽培の開始から商業作物としての定着,不耕起栽培技術の率先導入など,日系人移住者は大豆生産を常にリードしてきた。
5. 大豆食品の広まり
南米各国の歴史を紐解いてみると,「第2次世界大戦がもたらした食糧不足は,大豆の食品利用を促した」との記録が残されている。当時,大豆粉や豆乳の利用などを促進する法律が作られたりしたが,食品としての十分な広がりはなかった。もっぱら油脂原料としての輸出作物として取り扱われてきた。
しかし昨今,健康食品として大豆を利用しようとする機運が高まり,豆乳,醤油,豆腐など大豆製品が南米各国のスーパーに並ぶようになった。牛肉が主食のアルゼンチンでも日本食のブームが来ている。GM大豆の拡大やエネルギー活用との対極にあるが,大豆の食品利用が新たな流れを作るかもしれない。
参照:土屋武彦2009「南米ダイズ生産の発展に寄与した日本」農林水産技術同友会報47,12-15
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