先日,「造幣局がアジアL国の硬貨製造を受注した」旨の発表があった。地球上には,貨幣を自国で製造せず(できず),外国に発注している国が多々ある。このニュースは,わが国製造技術の優秀さと信用が認められた結果で,喜ばしいことだ。貨幣製造や切手印刷など海外からの受注拡大を期待したい。
このニュースを聞いたとき,南米での暮らしの一コマを思い出した。
「ヨーロッパのB国に製造依頼していた紙幣が,港に着き,銀行の金庫に搬入される前に何億ドル相当が行方不明になっている」と,テレビや新聞が報じた。時はまさに,国を二分する国政選挙の最中である。
「○党が横領したのだろう,警察が頑張っても解決しない,うやむやになるさ・・・」と,怒りと羨望,諦めが交差して,巷が姦しい。
そして数日後,
「紙幣のデザインを変え再度製造する」と,大統領が発表した。
さて,その結末はどうなったんだっけ・・・? 話題にする人もいない。
これも選挙中の話である。
「昨日,銀行に強盗が入り,ガードマンが死亡した」
「聞いたよ,大きな被害があったそうだ」
「あの銀行は時々利用するので知っている。日中なのに恐ろしいね」
「多額の金が銀行に運び込まれた直後のことだそうだ。強盗は情報を得ていたのだろう。奪われた金は選挙資金に流れるとの噂があるよ」,真偽は分からない。
それ以降,警備員が自動小銃を抱えて巡回する姿が目立つようになった。選挙中は銀行へ近づくのを止めよう・・・。
ある額の紙幣(例えば千円札)が,時に不足することがある。
「どうしたのだろう?」と頭を傾けたら,解説してくれる人がいた。
「大豆の収穫期に入ったからだ。臨時の労働者に支払うために,農場主が集めた」
「いやいや,選挙の投票日が近いからね」
本当らしく聞こえるのも,南米だからなのだろうか。