チリの北部アタカマ砂漠は,世界で最も雨の降らない地帯として知られている。理科年表によれば,チリ最北部のアリカ年間1.1mm,アントファンガスタ2.0mmである。東京の年間降水量1,400mmやボリビアの首都ラパスの668mmと比べてみても一目瞭然。
このような谷間にも過酷な営みに耐える人々がいる。17世紀の頃に教会を建て,布教に尽力したミッションがいる。アンデスの湧水が谷の底に集まり,その水を溜め,動物と日々を暮す人々がいる。今は,訪れる観光客に民芸品を売り,生活の糧をえている。ラウカ国立公園のパリナコタもそのような集落である。
一転して,太平洋に面したアリカの町は,雨が全く降らないのに,公園や住宅の周辺には花が溢れる。公園の花壇には灌水チューブが設置され,街路の草花には散水車が走る。常春の町。この地の人々は,水の有難さを我々よりずっと強く感じていることだろう。
ホテルのプライベートビーチで太平洋に沈む夕日を眺める。あの方向が日本。ここは地球の反対側。