竹取翁と万葉集のお勉強

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拾遺和歌集 巻5 歌番号278から282まで

2024年09月20日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻5

歌番号 278

詞書 清慎公、五十の賀し侍りける時の屏風に

詠人 もとすけ

原文 安遠也幾乃 三止利乃以止遠 久利可衛之 以久良者可利乃 者留遠部奴良无

和歌 あをやきの みとりのいとを くりかへし いくらはかりの はるをへぬらむ

読下 あをやきの緑の糸をくり返しいくらはかりのはるをへぬらん

解釈 青柳の枝の緑を糸として繰る、その言葉の響きのように、繰り返しどれほどの春の訪れを経たのでしょうか。

 

歌番号 279 拾遺抄記載

詞書 清慎公、五十の賀し侍りける時の屏風に

詠人 かねもり

原文 和可也止尓 佐遣留佐久良乃 者奈左可利 知止世美留止毛 安可之止曽遠毛飛

和歌 わかやとに さけるさくらの はなさかり ちとせみるとも あかしとそおもふ

読下 わかやとにさけるさくらの花さかりちとせ見るともあかしとそ思ふ

解釈 私の屋敷に咲いている桜の花は盛りです、これから貴方が千歳を繰り返し眺めても飽きることは無いと思います。

 

歌番号 280 拾遺抄記載

詞書 おなし人の七十賀し侍りけるに、竹のつゑをつくりて

詠人 よしのふ

原文 幾美可多女 遣不幾留多遣乃 川恵奈礼者 万多毛川幾世奴 与々曽己毛礼留

和歌 きみかため けふきるたけの つゑなれは またもつきせぬ よよそこもれる

読下 君かためけふきる竹の杖なれはまたもつきせぬ世世そこもれる

解釈 貴方のために今日に切った竹の杖ではありますが、今日を区切りとしてまだこれからも尽くさない、世々が竹の杖に願い籠っています。

 

歌番号 281 拾遺抄記載

詞書 おなし人の七十賀し侍りけるに、竹のつゑをつくりて

詠人 よしのふ

原文 久良為也万 美祢万天川个留 川恵奈礼止 以満与呂川与乃 佐可乃多女奈利

和歌 くらゐやま みねまてつける つゑなれと いまよろつよの さかのためなり

読下 位山峯まてつける杖なれと今よろつよのさかのためなり

解釈 飛騨にある位山、その峯の頂まで突いた杖ですが、今は位を極めた貴方がこの後の万代の命の坂を峯まで登り極めるためにあります。

 

歌番号 282 拾遺抄記載

詞書 一条摂政、中将に侍りける時、父の大臣の五十賀し侍りける屏風に

詠人 小野好古朝臣

原文 布久可世尓 与曽乃毛美知者 知利久礼止 幾美可止幾者乃 可个曽乃止个幾

和歌 ふくかせに よそのもみちは ちりくれと きみかときはの かけそのとけき

読下 吹く風によその紅葉はちりくれと君かときはの影そのとけき

解釈 吹く風に他の屋敷の紅葉は散ってしまいましたが、貴方の常盤のお姿は散る心配もなく安心していられます。

 

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