竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
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万葉集 集歌1222と集歌1197まで

2020年11月30日 | 新訓 万葉集
集歌一二二二 
原文 玉津嶋 雖見不飽 何為而 裹持将去 不見人之為
訓読 玉津(たまつ)島(しま)見れども飽かずいかにせに包(つと)持(も)ち行かむ見ぬ人しため
私訳 玉津嶋よ、眺めていても飽きることはない。どのようにしてこの景色を包み込んで持って行こうか。この景色を見たことのない人のために。
注意 歌順に乱れあります。集歌一一九三の歌の注意を参照のこと。

集歌一一九四 
原文 木國之 狭日鹿乃浦尓 出見者 海人之燎火 浪間従所見
訓読 紀(き)し国し雑賀(さひが)の浦に出で見れば海人(あま)し燎火(ともしび)浪間(なみま)ゆそ見ゆ
私訳 紀の国の雑賀の入り江に出て眺めると、海人の焚くともしびが浪間に見える。
注意 西本願寺本では集歌一一九四から集歌一二〇七までは集歌一二二二の後に配置されます。このため、国歌大観の歌番号と配置順が一致しません。また、集歌一二〇八は集歌一二一〇の後に位置します。

集歌一一九五 
原文 麻衣 著者夏樫 木國之 妹背之山二 麻蒔吾妹
訓読 麻衣(あさころも)着ればなつかし紀(き)し国し妹(いも)背(せ)し山に麻(あさ)蒔く吾妹(わぎも)
私訳 麻の衣を着ると偲ばれる、紀の国の妹背の山に麻を蒔く(または、朝まで抱いていた)私の愛しい貴女。
左注 右七首者、藤原卿作。未審年月。
注訓 右の七首は、藤原卿の作る。未だ年月は審(つばび)らかならず。
注意 原文の「麻蒔吾妹」は、標準解釈では「麻蒔く吾妹」とそのままに訓じます。

集歌一一九六 
原文 欲得裹登 乞者令取 貝拾 吾乎沾莫 奥津白浪
訓読 つともがと乞(こ)はば取らせむ貝(かい)拾(ひり)ふ吾を濡らすな沖つ白浪
私訳 土産に欲しいと願ったら、それを取らすでしょう。その土産の貝を拾う私を濡らすな。沖からの白波よ。

集歌一一九七 
原文 手取之 柄二忘跡 礒人之曰師 戀忘貝 言二師有来
訓読 手に取りしからに忘ると磯人(いそひと)し云ひし恋忘れ貝言(こと)にしありけり
私訳 「手に取った、だから、愛しい人のことを忘れる」、又は、「恋忘れ貝とは、その手に取った貝殻の片身」と磯の人の語った、その恋忘れ貝よ。美しさは、その言葉の通りでした。

コメント
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