竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

万葉集 集歌1217から集歌1221まで

2020年11月27日 | 新訓 万葉集
集歌一二一七 
原文 玉津嶋 見之善雲 吾無 京徃而 戀幕思者
訓読 玉津島(たまつしま)見てしよけくも吾(わ)れはなし京(みやこ)に往(い)きに恋ひまく思へば
私訳 玉津嶋よ、眺めて良かったことは私にはない。奈良の都に帰り往いくのに、この景色を思い出し恋焦がれると思うと。

集歌一二一八 
原文 黒牛乃海 紅丹穂經 百礒城乃 大宮人四 朝入為良霜
訓読 黒牛(くろうし)の海(うみ)紅(くれなゐ)色付(にほふ)ももしきの大宮人し漁(あさり)すらしも
私訳 黒牛の海は朝焼けに紅色に照り映えている。たくさんの岩を積み上げた立派な大宮に仕える宮人が集うその姿は、まるで浜辺で漁をしているようだ。

集歌一二一九 
原文 若浦尓 白浪立而 奥風 寒暮者 山跡之所念
訓読 若浦(わかうら)に白浪立ちに沖つ風寒(さむ)き暮(ゆふへ)は大和しそ念(も)ゆ
私訳 和歌の浦に白波が立つので、沖からの風が寒い夕暮れは、大和が偲ばれます。

集歌一二二〇 
原文 為妹 玉乎拾跡 木國之 湯等乃三埼二 此日鞍四通
訓読 妹しため玉を拾(ひり)ふと紀(き)し国し由良(ゆら)の御崎(みさき)にこの日暮らしつ
私訳 愛しい貴女のために玉を拾おうと紀の国の由良の御崎に、この一日を過ごしました。

集歌一二二一 
原文 吾舟乃 梶者莫引 自山跡 戀来之心 未飽九二
訓読 吾が舟の梶(かぢ)はな引きそ大和より恋ひ来(こ)し心いまだ飽かなくに
私訳 私の乗る舟の梶は、帰り舟の梶を引かないでくれ。大和からこの景色を恋い慕って来た私の気持ちはいまだこの景色に飽きてはいない。
コメント
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