麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

さるぐつわ

2014年02月16日 | 鑑賞
昨夜は東京演劇アンサンブルの
研究生公演『さるぐつわ』を拝見。
作/アルフォンソ・サストレ
訳/佐竹謙一
演出/三由寛子
於/ブレヒトの芝居小屋

スペイン戦争終結後、国家元首となった
フランコの圧政時代に書かれた戯曲。
日本人にとっては難しいテーマの作品で、
「卒公」ともいえる公演に普通選ばない。

日本演劇界の中でも特異な立ち位置に
60年間すっくと立ち続ける、
さすがは東京演劇アンサンブル!!
骨の強さが違います。

出演者全員が約1000文字超の
まさに「論文」を当日リーフレットに掲載。
まず客席について最初に驚くことだ。
「一年間みんなと一緒に学べて、
泣いたこともあったけど楽しかった」
みたいなお決まりの卒公コメントではない。
戯曲を、更にその背景の「時代」を
研究し解析する作業から得た「思い」を
綴る力作である。

驚く…と書いたけれど、
アンサンブルという劇団を何度か見れば
本公演ではお馴染みのこと。
その精神が、研究生にも当たり前に
継承されていることへの「驚き」だと、
付け加えておこう。

正直「俳優」としての技術においては
これからなのである。

日本のサッカー少年のテクニックは凄い。
技術や戦術を教えられるからである。
一方、海外では楽しむことが第一義。
これは正誤の問題でなく方向性。
あくまで全般論です)
うまく良いところが取り入れられたら
そりゃ最高だけど、それはまた別の話。

『さるぐつわ』の話に戻ります。
演劇と向き合うにはどうすべきかを
学んだ七人(劇団員一人が客演)の
門出となる素敵な三時間超。

ボールを蹴り始めたサッカー小僧の
「監督」とも言うべき三由寛子の
我慢強い「演出」が一人ひとりに
明確に伝わった「試合」であったことも
特筆に値するので、ここに書く。

東京演劇アンサンブルの創立者にして、
偉大な指導者であった広渡常敏亡きあと、
俳優の中から演出家が生まれ、
「ヒロワタリイズム」を継承しているが、
三由もその中の一人として光り始めた。

さらに来月、制作部の小森明子の
演出デビュー作『屠畜場の聖ヨハンナ』が
60周年記念公演第一弾として控えている。
こちらも要注目!!

あれ? 舞台に刺激されて
「堅い」ブログになっちゃった

【文中敬称略】
コメント
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