Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

7月のBGM

2013-07-31 | 音楽
2013年7月に聴いていた愛すべき音楽たち。

■R35 Sweet J-Ballads/various artists
90年代のJ-POPのバラードを集めたコンピ盤。SAY YES、Get Along Together、何も言えなくて・・・夏、夏の日の1993、世界中の誰よりきっと・・・僕には社会人になってからの数年間のヒット曲たち。20代半ばの頃だけにそれぞれの曲にあの頃の思い出がつきまとう。これまででもっとも遅い時間まで働いて、もっとも繁華街に繰り出して、もっともカラオケ通いして鬱憤を晴らしていた時代。このコンピ盤に収められてる曲はどれもカラオケでハモったことがある曲ばっかり。歌詞カードほぼ不要(笑)。「何も言えなくて・・・夏」は、お互いよき理解者だった同僚の女性が辞める送別会で(涙こらえて)歌ったっけ・・・。
R35 Sweet J-Ballads

■Top Pop 80's/various artists
こちらもコンピ盤。80年代の洋楽ヒットが収められているのだが、ビリー・オーシャン、サバイバー、ティアーズ・フォー・フィアーズ、スティックス・・・。しかしローマン・ホリデイやロバート・テッパー、フロック・オブ・シーガルズと敢えて王道を外した選曲が好き。僕がこのCDを手にする理由は、レイフ・ギャレットのNew York City Nights(「哀愁でいと」の原曲)と、映画「コブラ」の主題歌だったジョン・キャファティのVoice Of America's Sons。ストリートロックはアメリカ庶民の心だゼ。
TOP POP 80'S

■ぱみゅぱみゅレボリューション/きゃりーぱみゅぱみゅ
シングル曲はきちんと聴いているのだが、アルバムを全編聴くのは初めて。最新作でなく前作を今さらながら聴いた。中田ヤスタカの遊び心が炸裂。個人的には「スキすぎてキレそう」が好き。新作も聴かねば。
ぱみゅぱみゅレボリューション(通常盤)

■Innuendo/Queen
Queenにしかできない特徴のひとつは起伏あるアレンジの楽曲。表題作やShow Must Go On、These Are The Days Of Our Livesなど秀作ぞろい、フレディ・マーキュリー存命中の渾身の一作。久々に"らしさ"を感じたアルバムだったよな、と発売当時を思い出す。
Innuendo

■Magia/Kalafina
昨年劇場版を観て感激したアニメ、「魔法少女まどか☆マギカ」テレビシリーズを改めて見ている。思いっきりダークな展開だけど目をそらすことができない。エンディングで流れるMagiaは、劇場で観たとき曲の迫力と大音量ゆえの音圧に圧倒された。梶浦由記は「ガンダムSEED」の「暁の車」とともにいい仕事。
Magia(アニメ盤)

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ザナドゥ - 80's Movie Hits! -

2013-07-27 | 80's Movie Hits !

- 80's Movie Hits! - 目次はこちら

■Xanadu/Electric Light Orchestra & Olivia Newton-John
from「ザナドゥ/Xanadu」(1980年・アメリカ)

監督=ロバート・グリーンウッド
主演=オリビア・ニュートン・ジョン マイケル・ベック ジーン・ケリー

 2000年のシドニー五輪開会式出演、2003年の来日公演が話題となったオリビア・ニュートン・ジョン。若い世代には誰?って存在かもしれないが、70~80年代に大活躍した洋楽アイドルとして絶大な人気があったのだゾ。初期はカントリー系のヒットが多かった。 Take Me Home Country Road はオリビアの歌で初めて聴いたという方も多いと思うのだ。70年代の代表曲は、何と言っても75年の全米No.1 Have You Ever Been Mellow(そよ風の誘惑)。CFにもしばしば使われ、世代を越えて愛されている名曲だ。I Honestly Love You(愛の告白) も胸に迫るバラード。後に尾崎亜美が”失恋の痛手を癒す歌”としてオリビアのことを歌うことになるが、それはまさにこの頃のイメージだろう。その清純派がレオタード姿で歌った81年の Physical (全米10週連続1位)は、セクシーな歌詞(放送禁止にも!)も手伝って話題をさらったものだ。

 さて「ザナドゥ」は、78年の「グリース」の大ヒットに続け!と製作されたロック・ミュージカル映画。ちなみに製作は「マトリックス」のジョエル・シルバーであった。”音楽の殿堂”を作り成功させようとする青年(マイケル・ベック)をめぐる物語で、オリビアは壁画から現れた妖精という役どころだ。特筆すべきは往年のミュージカル・スタア、ジーン・ケリーが出演していること。残念ながら遺作となってしまったが、老いてなお華麗なタップと歌を披露してくれる。そしてオリビアはこの映画に出演していたダンサー、マット・ラッタンジーとこの後結婚することになる。

 サントラはジャフ・リン率いるELOと、ジョン・ファーラーがプロデュース。レコードはELOサイドとONJサイドに分かれていた。サントラはポップスのお手本のような充実ぶり。タイトルソング Xanadu は全米8位・全英1位を記録したスケールの大きなポップナンバーで、オリビアのファルセットが印象的。ジェフ・リンはオリビアのファルセットが使いたくて、わざと高音を多用したメロディを書いたという。同じくシングルカットされた Magic は全米1位を獲得。どこかミステリアスなメロディが実にかっこいい。僕はELOサイドの All Over The World がお気に入り。言っておきたい。これは、映画を観ない方が純粋に音楽を楽しめるかも(笑)。ラジー賞大量ノミネート+監督賞受賞という記録が物語る通り映画としては失敗作。”音楽の殿堂”と聞こえはよいのだが、要はトホホなローラーディスコ。ジャズオーケストラとロックバンドの共演も無理があるし、ジーン・ケリーがKISSみたいな化粧の若人たちとローラースケートする場面なんざぁ、何が見せたいんだか・・・(泣)。

Olivia Newton John & ELO - Xanadu


※Olivia Newton-John関連の曲が流れる主な映画
1975年・「ジョーズ」 = I Honestly Love You
1978年・「グリース」 = You're The One That I Want Hopelessly Devoted To You 他
1980年・「ザナドゥ」 = Xanadu Magic 他
1983年・「セカンド・チャンス」 = Twist Of Fate Take A Chance 他
1995年・「耳をすませば」 = Take Me Home Country Road
1997年・「フェイス/オフ」 = Over The Rainbow
2001年・「ウェディング・プランナー」 = I Honestly Love You




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バティニョールおじさん

2013-07-26 | 映画(は行)

■「バティニョールおじさん/Monsieur Batignole」(2002年・フランス)

監督=ジェラール・ジュニョー
主演=ジェラール・ジュニョー ジュール・シトリック ミシェル・ガルシア 

 最近やたらと血を見たので(「キル・ビル」のことね・笑)、人間味のあるものを妙に観たくなりました。第2次大戦中、占領下のパリで肉屋を営む主人公バティニョール。娘のフィアンセが隣のユダヤ人一家をチクったことから、ドイツ軍協力者となった彼。しかしユダヤ人一家の息子シモンが収容所から逃げてきたのをかくまったことをきっかけに、次第に彼を救おうと思うようになる・・・。

 バティニョール氏はシモン少年を最上階の女中部屋にかくまうのだが、何せ少年だけにじっとしてはいられないし、世の中に対して疑問だらけだ。彼の身を守ろうとするバティニョール氏の懸命さはどこか笑いを誘う。「戦場のピアニスト」でエイドリアン・ブロディが音も立てずに静かに暮らしていたのを観ているだけに、あれでよく見つからないよなぁと思えるところはある。それもバティニョールおじさんの努力のおかげなのだ。最初はただのお人好しから始まったことだが、次第にバティニョール氏自信が人種を超えて人間を守ろうとする姿勢に変わっていく。クライマックスで最大の危機に陥るが、「自分はユダヤ人だ。この子の父親だ。」と嘘を言い、そしてユダヤ人に対するフランス人や警察・ドイツに味方する人々の仕打ちに猛烈に抗議するのだ。ここはとても感動的。ジュニョー監督は、戦時下のパリで肉屋をしていた自分の祖父をモデルに、あの時代に生きていたら自分はどういう行動がとれたか?と自問自答してこの物語を作り上げたそうだ。

 監督・主演のジェラール・ジュニョーは、パトリス・ルコント監督作にも出演しているコメディ畑の俳優さん。優れたコメディアンは、人間を観る眼が違う。本作でも脇役の一人一人まで、その人の生き方が感じられる。それだけに映画全体が嘘くさくないし、深みが出てくるのだ。例えば逃げてきた主人公たちに好意的な警察官や、レジスタンスに関わっていると名乗る青年、アパートの最上階に住む青年・・・。ドイツ協力者となる娘のフィアンセが不気味な雰囲気で印象的だが、あの時代にああやってドイツにすり寄っていった人々もいたのだなぁ。「愛と哀しみのボレロ」ではドイツ兵の恋人になったとして、エブリーヌ・ブイックスが責められる場面が出てくる。本作でもシモンが隠れている部屋の隣室でドイツ将校とセックスをする女性が出てくる。「(ドイツ兵とは寝ても)私はユダヤ人を売ったりしないわ!」と主人公に言い放つ。そんな端役まで当時のフランスが見えてくる。

 ジュール・シュトリック扮するシモン少年はインテリ家庭で育った頭の切れる子で、学のなさそうなバティニョール氏との対比が面白い。これは彼らの逃避行を追ったロードムービーでもあり、対照的な二人を中心に据えたバディムービーでもある。

(2003年筆)

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ドラえもん のび太のワンニャン時空伝

2013-07-25 | 映画(た行)

■「ドラえもん のび太のワンニャン時空伝/Doraemon : Nobita with Wan Nyan Time Space Tradition」(2004年・日本)

監督=芝山努
主演=大山のぶ代 小原乃梨子 野村道子 たてかべ和也 肝付兼太  

 2005年4月、25年間続いた「ドラえもん」の声優がメンバーチェンジすることになった。かつて清水ミチ子に「ぼく、大山のぶ代の声を出しているドラえもんです。」とネタにされたこともあったけど、ここまで国民的に愛され、また声のイメージも定着しているものもないだろう。もし孫悟空の声優が野沢雅子からほかの人になったってここまで話題にはならないだろうしね。そんな「ドラえもん」の劇場版は25年間数々の名作を送り出してきた。「のび太の恐竜」は傑作だったし、「のび太の結婚前夜」や「ぼくの生まれた日」など忘れがたいサイドストーリーもあった。この「ワンニャン時空伝」は代替わり前の声優陣による劇場版最終作となる。

 劇場版「ドラえもん」の魅力はTVシリーズよりも格段にスケールアップしている点だ。けっこう高度なSF的設定が大人の鑑賞に耐える作品にしてくれている。本作もタイムマシンを使った伏線の張り方にしても、3億年前に超古代文明を生み出すきっかけを作るストーリーにしても見事。さらに悪党ネコジャラ(声・泉谷しげる!)との息詰まる攻防、カーチェイスにしてもエンターテイメントとして誰もが楽しめる映画になっている。僕はそれ程多くを観ているわけではないけれど、本作は間違いなく「ドラえもん」劇場版の中でも屈指の傑作であることは間違いない。ペットを平気で捨てる人間の傲慢さに対する憤りがこの物語の根底にある。そのメッセージが未就学児童たちにも伝わればいいな。1000年で他の惑星への移住が可能なほど高度な文明を築いた犬猫たち、「明日また来るからね」の言葉を信じてイチが待ち続けた気の遠くなる時間、しかしのび太たちにとってはたった1日の冒険でしかない・・・。時間の重みを感じさせるラストが何ともいえない余韻を残してくれる。

(2005年筆)



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スコルピオンの恋まじない

2013-07-24 | 映画(さ行)

■「スコルピオンの恋まじない/The Curse Of The Jade Scorpion」(2001年・アメリカ)

監督=ウディ・アレン
主演=ウディ・アレン ヘレン・ハント シャーリーズ・セロン ダン・エイクロイド

ウディ・アレン映画が好きな僕ですが、正直なところ、公開当時この映画を観ることを避けていた。それはロマコメ色を強調した邦題と予告編、それにヘレン・ハントがアレン映画のヒロインとしてピンとこなかったせい。確かに原題そのままの「ジェイド・スコルピオンの呪い」ではハマープロのホラー映画みたいになってしまう。犬猿の仲である男女を物語の中心に考えるとこういう邦題しかなかったのかな。

ウディ・アレンの旧作が観たくなってやっと観たのだが、いやいや食わず嫌いでした。誤解が誤解を呼ぶ巻き込まれ型サスペンスコメディとして十分に楽しめる。ウディ・アレンが演ずるのは、見かけは冴えないがスゴ腕の保険調査員。社内改革のためとしてこれまたやり手の女性(ヘレン・ハント)とは、やり方をめぐって常に対立する関係。同僚と行った酒場で、怪しげな催眠術師に呪文をかけられる二人。二人は愛し合う仲になるという呪文だったので同僚たちは大盛り上がり。ところがこの催眠術師が悪党で、催眠状態の人を使って泥棒をさせていたのだった。会社では顧客の宝石が盗まれて大騒ぎになるのだが、状況証拠から主人公が追い詰められていく・・・。主人公に関わる個性ある登場人物が楽しい。社長のダン・エイクロイド、主人公を誘惑するシャーリーズ・セロン、同僚の一人エリザベス・バークレーなど芸達者だらけ。特にシャーリーズ・セロンは彼女らしいブロンド美女役で妖艶。出番が少ないのがなによりも残念。

主人公が真犯人に迫る展開の筋道は、理詰めで見れば物足りない。というかかなり大ざっぱな印象を受ける。しかし、この映画はお気楽に楽しむべき映画。最近のアレン作品のように、観た後で男と女の関係について考えさせられるようなものとは違う。あるがままに楽しむべき娯楽作。ところで、ウディ・アレンはこの映画でビリー・ワイルダー監督へのオマージュを捧げているように思えるのだ。独身保険調査員が主人公で、同僚が社長と不倫関係・・・とくれば名作「アパートの鍵貸します」のシチュエーション。そして妖艶な美女に迫られるところは、同じ保険調査員が主人公の傑作サスペンス「深夜の告白」。最後のロマンスの展開もワイルダー作品など往年のクラシックを思わせる。そういう意味ではアレンご本人も楽しんで撮っている映画。こっちもあるがままに楽しむがよし。



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暑中お見舞い申し上げます。

2013-07-19 | Weblog

暑い日々が続きますが、みなさまお体に気をつけて。



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パラダイス - 80's Movie Hits ! -

2013-07-18 | 80's Movie Hits !

- 80's Movie Hits! - 目次はこちら

■Paradise/Phoebe Cates
from「パラダイス/Paradise」(1982年・カナダ)

監督=スチュワート・ギラード
主演=フィービー・ケイツ ウィリー・エイムス リチャード・カーノック

 80年代銀幕アイドルの中でも、特に日本での人気が高かったのは何と言ってもフィービー・ケイツだろう。母親が中国系なので、ルックスが日本人にとっては親しみやすい。ピンク色のビキニがまぶしかったビールのCFを覚えているでしょうか?。ディスコでスカウトされた後、「セブンティーン」や「エル」誌で表紙を飾るモデルとなった。雑誌を見たプロデューサーが彼女を気に入り、カリブ海でモデルの仕事中の彼女にスクリーン・テストしたい旨の電報が届く。そして、いきなり本作での主役デビューとなった。

 砂漠のオアシスにティーンエンジャーの男女(と猿が1匹)が取り残され、いつしか二人は愛と性に目覚める・・・とまぁ「青い珊瑚礁」の陸地版というお話(先に製作した方が勝ちだからこんな言い方されるんだろうけど)。当時高校生だった僕らには「パラダイス」は衝撃でした。洞窟で水浴びする場面、水面にトップレスの自分を映す場面、お話はどうでもよくって目に焼き付いたシーンの何と多いことか。「ゴールデン洋画劇場」で予告編が流れた翌日はクラスでも話題になっていたし、親の目を気にしながら観たよな記憶が・・・。あぁ若気の至り。でも不思議といやらしさはなく、健康的なイメージの方が先だったけど。フィービー本人が歌う主題歌 Paradise は、イタリア・チャートで10週連続首位を独占した記録がある(ちなみに「ラ・ブーム」の主題歌 Reality は8週連続首位だったとか)。この曲の作者は、ドーンの大ヒット曲 Tie A Yellow Ribbon Round The Ole Oak Tree(幸せの黄色いリボン) を手がけたL・ラッセル・ブラウン。歌詞の中に
 ♪you kissed me once, I kissed you twice~
と出てくるのだが、これって女のコの方が積極的なお話だからこんな歌詞なんだ、とか言いながら仲間内で納得していた(恥)。

 本作を含む初期3作品はヌードシーンがあったが、以後そうした場面は全くなくなり、スピルバーグに起用された「グレムリン」でファン層を広げた。それからは「天使とデート」「再会の街 ブライト・ライツ ビッグ・シティ」などがあるが、あまり目立った役柄でもなかった。ケビン・クラインと結婚し、現在は舞台での活動が多くなっている。チェーホフやシェークスピア作品を演じているそうだから、「初体験リッジモント・ハイ」でニンジンしゃぶってる彼女しか知らない輩は驚きだろうな。2001年には、その「リッジモント・ハイ」でフィービーに性の手ほどきを受けていたジェニファー・ジェイソン・リー監督作「アニバーサリーの夜に」で久々の映画出演をした。ともあれ80年代青春組の僕らにとっては、あの「パラダイス」の”水浴び”と「リッジモント・ハイ」の”赤いビキニ”で永遠の存在となったのだった(笑)。



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マトリックス 三部作

2013-07-16 | 映画(ま行)

■「マトリックス/The Matrix」(1999年・アメリカ)

●1999年アカデミー賞 編集賞・音響効果賞・音響賞・視覚効果賞
●2000年英国アカデミー賞 音響賞・視覚効果賞

監督=ラリー&アンディ・ウォシャウスキー
主演=キアヌ・リーブス ローレンス・フィッシュバーン キャリー・アン・モス

 幼い頃、こんな夢をみた。近未来社会、人間は機械によって育てられ過去の人物の記憶・経験を疑似体験でインプットされる。ある日そのマシーンから偶然に解放された主人公(多分自分なんだろうな)が、その世界の秘密を知る・・・てな筋で、不思議と何度もこの夢をみたのです。

 で、「マトリックス」を観て、同様の設定、人工子宮までが登場するのに驚きと感動を覚えたのです。ある意味、運命の一本!。映画としては、サイバーパンクの雰囲気と、脱ハリウッドなカンフーアクションで、実に魅力的な娯楽作となっている。破滅的な未来像が、物語の痛快さとは逆に心に残るが、これも世紀末ゆえ・・・なのか。監督が同い年ってのも、この映画に惚れた理由かな。

(1999年筆)


■「マトリックス リローデッド/The Matrix Reloaded」(2003年・アメリカ)

監督=ラリー&アンディ・ウォシャウスキー
主演=キアヌ・リーブス キャリー・アン・モス ローレンス・フィッシュバーン

 映画にお金をかけるというのはこういうことだろう。高速道のカーチェスといい、VFXの凝りようといい、これはまさに”映画バカによる映画バカのための映画”。全長3キロにも及ぶ高速道のセットを実際に作ったというから驚くし、俳優たちを実際にスタント訓練して撮影するという念の入れよう。メイキングでまた感動してしまった。誰も見たことのない映像という見せ場がとにかく満載で飽きることはない。今回はエージェント・スミスの大活躍(大増殖)にとにかく圧倒される。あんな群衆アクションなんてジャッキー・チェン映画でさえやったことがないだろう。

 でも「マトリックス」の魅力はそんなビジュアル面だけではない。ガキにもわかるアクションがある上に、大人が唸るその宗教的とも言えるテーマの深さ。エジプトで上映禁止騒ぎがあったけど、”ザイオン”が”約束の地”を指すらしく、ユダヤ人のシオニズム(祖国復帰運動)を支持する映画であるから、という理由なのね(ちなみに「ガンダム」の”ジオン”も同義とか)。前作でもキリストの復活をサイバーパンクに仕立て上げた訳で、ウォシャウスキー兄弟のシナリオの構成力と世界観には今回もすげぇと言わざるを得ない。前作ほどではないけれど、今回も印象的なキーワードが散りばめられていて、実に楽しい。もうお腹いっぱい。今回は脇役キャラまで作り込みがすごいから目が離せない。僕が気に入ったのはランベール・ウィルソン扮するメロビンジアンとモニカ・ベルリッチ扮するパーセフォニー夫妻。妙に人間くさいところが面白いよね。汚い言葉はフランス語ってのがいい。

 とはいえ前半のザイオンの場面はややダレてしまったし、ザイオンの群衆の中に白人が少ないのも妙に気になった。踊り狂っていたのは黒人ばかりではないか。高速道路のシーンでボコスカ壊れるのは日本車が多かった気がするのは僕だけ?(別に経済摩擦を反映している、というつもりはないけどさ)。あー!もう完結編が待ちきれないよ!。

(2003年筆)


■「マトリックス レボリューションズ/The Matrix Revolutions」(2003年・アメリカ)

監督=ラリー&アンディ・ウォシャウスキー
主演=キアヌ・リーブス キャリー・アン・モス ローレンス・フィッシュバーン

 良くも悪しくも完結編。始まりがあるものにはすべて終わりがある、んだからそれは受け入れなくちゃね。んで、待ちに待った完結編だが、ハッキリ言おう。期待と違う。もっとアーキテクトとの関わりがあったり、ザイオン評議会の人々との政治ドラマがあったりを期待してたんだけどな。「マトリックス」の独特の世界観は久々に頭使わせる奥深いものだった。それは派手なSFX以上にこのシリーズの魅力だったはずだ。ところが、見せ場見せ場の連続たる本作には、正直頭はいらない。次から次へとうようよ出てくるセンティネルの大群にあっけにとられ、「スーパーマン」?と見違えるようなクライマックスに唖然としていればそれでよいのだぁ。

 でも今まで派手さがなかった現実世界の場面をここまで大スペクタクルにしたのは、確かにすごい。まるでパトレイバーの様な戦闘用ロボットや無数のセンティネルなど、SFX技術のすごさを実感させられる。そして何よりも僕の心に残ったのは、「ブルース・リーの魂は不滅なんだ」ということ。クライマックスの格闘シーンで、スミスを手招きするネオにその姿を重ねてしまった。シリーズを重ねる毎に随分大仕掛けの映画になっちゃったけど、それでも拳を交えるファイトシーンがやっぱり見せ場なのだ。それは嬉しいじゃない。たとえそれが天下一武闘会のようだとしても(僕はスミスがだんだんピッコロ大魔王に見えてきた・笑)。それにしてもジャパニメーションの影響力・・・すごいね。それが一番の感想かな。閑話休題。オラクルのところにいたインド系の女の子もスミスの魔手にかかってしまうのだが、それって小さなスミスができたのだろうか?そう考えるとそれが一番見たかったのだけど(笑)。

(2003年筆)






コメント (2)
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パロディ放送局U.H.F - 80's Movie Hits ! -

2013-07-14 | 80's Movie Hits !

- 80's Movie Hits! - 目次はこちら

■Money For Nothing/Beverly Hillbillies/"Weird Al" Yankovic
From「パロディ放送局U.H.F./U.H.F.」(1989年・アメリカ)

監督=ジェイ・レヴィ
主演=アル・ヤンコビック ヴィクトリア・ジャクソン スー・アン・ランドン

 2002年に出版された80年代ポップスガイド本「ザ・ゴールデン80s」は、なかなかよくできた本だ。執筆陣の”あの頃”への思いがあちこちからにじみ出ている。僕がその中でも特に嬉しかったのは、アル・ヤンコビックをホール&オーツやマイケル・ジャクソンと同等に扱っていたこと。知らない人の為に敢えて例えるならば、アル・ヤンコビックはアメリカの嘉門達夫?ダンス☆マン?そんなところか。何と言っても代表曲はマイケルの Beat It の替え歌 Eat It(今夜もEAT IT)。ビデオでもしっかりパロっていて、MTV時代だからこそウケた人かもしれないな。他にもマドンナ(Like A Surgeon)、ニルヴァーナ(Smells Like Nirvana)、ジェームズ・ブラウン(Living With A Hernia)等々の見事なパロディのヒットがある。2002年にリリースされたベスト盤に収録されている、「スターウォーズ エピソード1」のパロディ(The Saga Begins)が僕はたまらなく好きだけど。そうしたパロディ屋だけでなく、アコーディオンを手にしてポルカを演奏するのも彼の芸。これもヒット曲を次々とメドレーにして実に楽しい。

 さて、そのヤンコビックが主演・脚本・音楽を担当した映画が「パロディ放送局U.H.F.」。オタクな無職の主人公がひょんな事から潰れかけたテレビ局チャンネル62を任される。予算も乏しい、借金の返済期限も迫るという状況の中。子供番組で相棒のスタンレーが偶然放ったギャグが大ウケし、一躍世間の注目を浴びることに。そこから先はアルのパロディ精神が大爆発。だが借金に追われることには変わりなく、返済のためのチャリティー番組を放送する。敵役の邪魔も入るし、相棒も捕まったりするけれど、カンパが集まりハッピーエンド!ってなお話。

 ヤンコビックが手がけた替え歌も本編で登場するが、それがダイアー・ストレイツの Money For Nothing の替え歌。ドラマの再放送くらいしかできない・・・と頭を抱えながら眠り込んだ主人公が、夢の中で歌うという場面。そのドラマ「ビバリー・ヒルビリーズ」を歌った内容。「ビバリー~」は60年代に放送されたアメリカのTVドラマで、1993年にリメイク映画化「ビバリー・ヒルビリーズ/じゃじゃ馬億万長者」が製作されている(ちなみにリー・トンプソンも出演)。このパロディ曲の映像は、オリジナルのPVと同様にCGが使われ、四角い頭のアルが踊る!歌う!のだ。ギターはちゃんとマーク・ノップラー本人が弾いているという気合いの入った替え歌なのだ。主題歌にあたるロックンロールナンバー ♪U.H.F. もかっこいい。これは替え歌でなくオリジナル。そして本編で出てくる数々のパロディ番組が何と言っても見どころ。特に”今度のオレは黙っちゃいない!”というナレーションにのせてガンジーに扮したアルがマシンガンをブッ放つ「ガンドヒー2」!。最高です。ビデオ屋さんでこの映画見つけたら即チェックしてくれ!。



Gandhi 2


※"Weird Al" Yankovic 関連の歌が流れる主な映画
1987年・「スペースボール」 = (Six Words Long) This Song's Just
1989年・「パロディ放送局U.H.F.」 = U.H.F. Spatula City Fun Zone 他
1994年・「フリントストーン」 = Bedrock Anthem
1996年・「スパイ・ハード」 = Spy Hard Theme



◆アル・ヤンコビックをマイケル・ジャクソンと同列で扱ってくれている(笑)素晴らしい80's洋楽ガイド本
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華麗なるギャツビー

2013-07-13 | 映画(か行)

■「華麗なるギャツビー/The Great Gatsby」(2013年・アメリカ)

監督=バズ・ラーマン
主演=レオナルド・ディカプリオ トビー・マグワイア キャリー・マリガン ジョエル・エルガートン

 フィッツジェラルドの原作だぞ、あのロバート・レッドフォード版のリメイクだぞ、「ムーラン・ルージュ」のバズ・ラーマンだぞ。そんな期待を胸に映画館へ。だがしかし。だんだんと気持ちが萎えてくる自分が銀幕の前にいる。「ムーラン・ルージュ」で感じた昂揚感やワクワクした気持ちはみじんも感じられない。同じようにど派手で絢爛たる映画なのに。申し訳ないが、バズ・ラーマン監督作だったら同郷役者と監督の同窓会映画「オーストラリア」の方がずっと好きだ。

 良家の娘と結婚するには金持ちにならなければダメだ。そう信じた主人公が成り上がり、かつて愛した女性が住む家の対岸に大豪邸を建てる。大きなお城に住む、孤独な富豪ギャツビーの人物像に迫るお話。それなりに頑張ってる映画だとは思うのだけれども、どうしてこうも気持ちをノセてくれないのだろう。映画前半で感じたその気持ちは、クライマックスを経て最後まで変わらなかった。

 凝りに凝った映像で名作文学を再構築しているのだけれど、現代的にせねばならないという強迫観念なのか、映画全編に鳴り響く音楽が邪魔で仕方ない。いい台詞言ってるんだろうけど、バックに流れるヴォーカル入りの音楽が邪魔をする。同じ気持ちを味わったのは、ロックをひたすらタレ流し続けた「ドリヴン」以来かも。「ムーラン・ルージュ」のときは、ミュージカル映画だからそれでよかった。でも世界恐慌で崩れ去る前の、空前の好景気に浮かれていた1920年代を描くのに、パーティの余興くらいしか当時流行ったジャズが流れないのも残念。直線的なアールデコ風のタイトル場面やポスターなどのデザインは、バズ・ラーマンの絢爛たる映画のイメージを高める上でもいい仕事だとは思ったが。バブル景気的な狂騒の20年代の中で心を置き忘れてきたハイソな人々。原作者フィッツジェラルドは、そんな浮かれたアメリカを逃れてパリにいた時代(「ミッドナイト・イン・パリ」に出てきますね)。主人公はそんな時代に、一途に自分の思いを貫いた人物のはずなのだ。だけど観ていてそこに共感できない。人妻を奪いたいだけの未練男にしか感じられないのが残念。

 先日、日本文学の研究で知られるロバート・キャンベル教授の講演を聴く機会があり、その中で文学作品における"間(ま)"についてお話されていた。575の限られた字数の中で表現する日本の文化。文字に現れないことから広がるイメージ。それを感じさせるのが"間"。ところが「華麗なるギャツビー」には"間"がない。説明くさいスローモーションで台詞の内容を再現させて、ダンスフロアのように絶えず流され続ける音楽。そこには"間"を感ずる心の余裕はない。せめて対岸で光る、船着き場の緑の光を見つめるギャツビー氏くらいは、じっくりとその切ない思いを感じさせてくれて欲しかったのだが。

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