Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

2022年12月のプレイリスト

2022-12-31 | 今日のBGM


◆2022年12月のプレイリスト◆

12月に聴いていた愛すべき30曲


今年もお世話になりました。


1 恋におちて-Fall in love-(宮本浩次)

カバー作品集「秋の日に」より。歪んだギターでほぼ弾き語り。歌詞が心に響く。

2 Got A Hold On Me(Christine McVie)

R.I.P. 。大好きだった一曲を聴く。

3 Here, There & Everywhere(TM Network)

ライブ上映会に参戦。昔の曲がアップデートされてる。変わったことと変わらないことに感激。

4 Super Freak(Mick Jones)

映画「リトル・ミス・サンシャイン」のクライマックス。おじいちゃん、その振り付けいかんでしょ🤣

5 Psychedelic Drive(LiSA)

初期のトガってたLiSA、めちゃくちゃカッコよかった。テレビでライブ見て惚れた。

6 愛に形がないのならどうして壊れたりするの(栗山千明)

恋愛において相手を型にはめてしまうこと、はまってしまうことの辛さ。巧みな言葉選びがいい。

7 Heartache Tonight(The Eagles)

初めて聴いたイーグルスって、これだった気がする。

8 悲しい気持ち(Just A Man In Love)(桑田佳祐)

ベスト盤を聴く。サザンは苦手だけど、桑田さんのソロは好きな曲が多いのだ。

9 I'll Be Over You(Toto)

ザAOR。マイケル・マクドナルドのボーカルが挟まるからなおさら。PVが好き。

10 街(Endracheri)

堂本剛のソロ作。歌詞が突き刺さる。


11 Tomorrow Is Today(Billy Joel)

繰り返される毎日に感じる閉塞感の歌なのに、どうしてこんなに感動的なのか。

12 カタオモイ(Aimer)

50代男子も泣けるラブソング🥹。なんでこんなに胸にくるんだろ💧

13 青春コンプレックス(結束バンド)

アニメ「ぼっち・ざ・ロック」OP曲。現在どハマり中。

14 Not Hopeless(The Winery Dogs)

Mr.Big、Dream Theaterのメンバーだもん。速弾きユニゾン+7拍子、ヤバっ。

15 ラヴ・イズ・エヴリシング(木村昇)

ルパン三世第2シーズンED曲。持ち歌にしたいんだよなー🎤

16 All The Things She Said(t.A.T.u.)

トレバー・ホーンのプロデュース作。哀愁を感じるメロディが好き。

17 NIPPON(LiSA)

世間はサッカーWCで盛り上がる。僕のヘッドフォンの中はこれで盛り上がる。椎名林檎のカバー、LiSAを選んで大正解。

18 ドゥ・ユー・リメンバー・ミー(岡崎友紀)

和製Be My Babyを意識したという名曲。ribbonのカバーも好き♡

19 Distance〜求め合うには遠すぎて(Access)

ミディアム8ビートの切ないヤツ、好きなパターン♪

20 白い花(ZONE)

冬になると聴かずにいられない切ないラブソング。サビのメロディが好き。


21 Starship Troopers(Yes)

プログレのはこういう大作は、流し聴くのが申し訳ないと思ってしまう。

22 SUBWAY HERO(井上鑑)

大好きなアルバム「預言者の夢」収録。高校時代、自分の中でカッコいい音楽の基準はこのアルバムだったな。

23 Let's Talk About Me(The Alan Parsons Project)

大学時代にカッコいい音楽の基準と思ってたのはAlan Parsons。プログレ(ちょっと)好きな、ジャンル無節操に聴く自分にはすごく合っていると今でも思う。

24 綿雪&銀紙星(八神純子)

大好きなアルバム「Full Moon」収録のクリスマスソング🎄

25 降誕節(戸川純)

いたってストレートなクリスマスソングなのに、クセ強い曲に感じるのはなぜw🎄

26 転がる岩、君に朝が降る(ASIAN KUNG-FU GENERATION)

アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」最終回のEDでカバーされた。

27 映画時代(佐藤隆)

アルバム「男と女」収録。クロード・ルルーシュの名前が歌詞に出てくる。

28 Gambler(Madonna)

配信で聴けるようになったのか(懐)

29 I Know Him So Well(Elain Paige & Barbara Dickson)

Abbaのベニーとビョルンが手がけたミュージカルナンバー。ホイットニーもカバーした名曲。

30 旅愁(テレサ・テン)

「必殺」シリーズのED曲だった西崎みどりの名曲をアジアの歌姫がカバー。

31 Heros(David Bowie)

NHKのドキュメント番組「バタフライ・エフェクト」再放送で、この曲がベルリンで演奏された意義を考える。音楽に現状を変える力はないけれど、きっかけを与えることはできる。2022年は混沌とした状況にモヤモヤしながら暮れていく。来年はよい年になりますように。











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ぼっち・ざ・ろっく!

2022-12-29 | テレビ・アニメ

若い頃を音楽と過ごした自分には、「ぼっち・ざ・ろっく!」はたまらなく愛おしい青春音楽アニメ。



最初からスキルの高い主人公が活躍する話は成長がなくて嫌い。しかし。このアニメのヒロイン後藤ひとりは、ギターすご腕なのになかなか活躍できない。それは周囲とうまくやれないコミュ障だから、陰キャだから。バンドメンバーとの日常や彼女のキャラが巻き起こす騒動を描いたストーリー。

(ごめんなさい、自分の話ですが)
大学時代に軽音楽系のサークルに入った時、変に陽気でノリのいい先輩方が怖くて仕方なかった。高校時代からオリジナル書いてて、幅広く音楽の知識も心意気も、拙いテクニックもあった(つもりの)僕。しかし、"コピーを突き詰めて演奏や情感から学ぶことこそ探究である"みたいな風潮があって、自作曲やりたい!とか絶対言えない空気があった。今で言うパリピ系の先輩方からはイジられたし、そういう関わりからはいつも逃げて回っていた。それでも、使える鍵盤弾きだとキャラも含めてだんだん理解されるようになった。

だからヒロイン後藤ひとりに共感できる自分がいる。彼女が乗り越えなければならない障害物は自分自身。「敵を見間違えるんじゃないぞ」とのひと言をかけられる回は泣くかと思った。好きなことをやっているはずなのに、僕も顔を上げられなかったんだもの。

ロックは反体制の音楽と呼ばれた時代もあった。一般に浸透するものとなってからも、社会や文化に様々な影響を与えてきた音楽だ。デビッド・ボウイがHEROSを歌わなかったら、ベルリンの壁崩壊はもっと先だったかもしれない。しかし現在の多様化した音楽シーンの中で、ロックはそうした位置づけではなくなっている。

それでも何かを打ち破るのがロック。後藤ひとりが少しずつ成長に向かう姿こそが、自分という壁を打ち破るロックなのだ。

それがロック、君のロック。
(これ、みうらじゅんの「アイデン&ティティ」に出てくるフレーズだ)

周囲の波長とうまく合わせられないし、妄想激しいから、突飛な言動をしてしまう。アニメはそこを痛々しいまでに描いてみせる。陰キャを笑いものにして、と不快に感じる視聴者もいるかもしれない。でもこのアニメは社会不適合者めいた存在にして笑いのネタにしてるのとは違う。その言動の背景にあるものをきちんと示してくれている。だから共感できるし、支持がある。

僕らだって、苦手な上司の前でドギマギしたり、得意なことをわかって欲しいけどチャンスがなかったり。そんな日々を過ごしてるじゃないか。何が違う、そんなに変わりはしないじゃない。

初ライブ回、「このままじゃ嫌だ!」演奏中に覚醒する場面のカッコ良さ。学園祭ライブでギターのトラブルを乗り越える妙技。君はまさにギターヒーローだ。ドラムの虹夏から「ぼっちちゃんのロックを聴かせてよ!」と言われるタイトル回収エピソードは泣けた。最終回のEDがアジカンのカバーとか、素晴らしいじゃん。

新しいギターを手にする最終回。本作のようなアニメがきっかけで、誰かが音楽を始めてくれたら嬉しい。「響けユーフォニアム」の時は久美子の立て看が、「バンドリ!」の時はRoseliaのポスターが楽器店を飾った。きっと今度はぼっちちゃんだ!w






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すずめの戸締り

2022-12-25 | 映画(さ行)

◼️「すずめの戸締り」(2022年・日本版)

監督=新海誠
声の出演=原菜乃華 松村北斗 深津絵里 神木隆之介

白状します。新海誠の新作、完全にナメてました。「君の名は。」のエンターテイメント色は好きだったけど、「天気の子」は現代社会深掘りと突っ走る二人をちょっと冷めて観ていた。ところが「すずめの戸締り」はエンターテイメントに徹しながら、災害というテーマの重さ、人間ドラマの深さをきちんと描ききる秀作に仕上がっている。きちんと楽しませてくれて、きちんとハラハラさせてくれて、きちんと笑わせてくれて、大切なことを示してくれる。観てよかった。貴重な平日休みを青塗りCG映画なんぞに費やさないで正解だったよ。

玄関の鍵をかけたり開けたり、自転車の鍵を回す場面が繰り返し流される。僕らも出かけるために戸締りをし、車のイグニションキーを回し(古い車に🚗乗っててすみません💧)、帰宅すればドアを開けて安らぎを得る。映画のストーリー自体は災厄を封じ込める為に鍵をかける話。「お返し申す!」と鍵をかける前に、そこで暮らし過ごした人々の思いを受け止める。みんな「行ってきます」「ただいま」の度に鍵を回していたんだよな。それは住処を守るためためだったり、新たな一日に一歩を踏み出すためだったり。なんか、毎朝無言で家を出る自分がなんか恥ずかしく思えてきたり。

一方で開かれるものは心の扉。すずめが感じていた気持ち。環さんが今まで口にできなかった気持ち。心に鍵をかけていたものが溢れ出る辛い場面。でもその後、自転車で目指す場所に向かう場面に涙がにじむ。千果のバイクもそうだけど、真っ直ぐに顔を合わせないから言えるひと言なのかも。

それにしても、震災をテーマにする勇気は讃えられるべき。真っ黒に塗られた絵日記に書かれた3.11の文字に視界がにじむ。後ろ戸が開かれる場所を列島縦断する中で、神戸が出てくるのも阪神淡路の悲劇も忘れないでというメッセージに見える。九州在住の身としては、それなら話のスタートは宮崎じゃなくて熊本やろ!と言いたくなるけれど、阿蘇山からミミズが登場するのはちょっと違う気もするね。

随所に感じるのはジブリへのオマージュ。ミミズの造形は「もののけ姫」のでいだらぼっちを思わせる。神木隆之介君が「ルージュの伝言」聴きながら「旅立ちにはこれでしょ。猫もいるし。」とか露骨に言うし、そしてエンドクレジットで描かれるその後の御礼参りの温かさはもちろん…言うまでもないよね😊




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クライ・マッチョ

2022-12-24 | 映画(か行)

◼️「クライ・マッチョ/Cry Macho」(2021年・アメリカ)

監督=クリント・イーストウッド  
主演=クリント・イーストウッド  エドゥアルド・ミネット ドワイト・ヨーカム

クリント・イーストウッド翁の新作が公開されるたびに、"これが最後になるかもしれない"と覚悟にも似た気持ちでスクリーンやディスプレイに向かう。「グラン・トリノ」も「運び屋」もそうだった。監督に専念するのではなく、助演で若手をサポートするのでもない。あくまでスクリーンのど真ん中に立ち続ける。健康上難しいとか、老醜を晒したくない映画スターもいるだろう。しかし90歳を超える今でもイーストウッドは、男の生き方をスクリーンで演じ続ける。それだけで神々しい。

かつてロデオスターとして活躍した主人公マイクは、恩義のある元雇い主からメキシコにいる10代の息子ラフォを連れ帰って欲しいと頼まれる。ラフォは母親の親権下にあるため誘拐にもなる。ラフォは家を出て、闘鶏で生活費を稼ぎながらストリートで暮らしていた。カウボーイや強い男に憧れるラフォは、父親の元に行きたいとマイクに告げる。しかしアメリカ国境へと向かう旅は多難なものとなった。

男が本当に強いとはどういうことなのか。タイトルにもあり、ラフォが闘鶏にも名付けた"マッチョ"は肉体的な力強さをイメージしがちだ。ところがマイクはラフォに言う。
「マッチョは過大評価されすぎだ。」

イーストウッド監督作は異なるものを対比させながら、その変化や意味をにじませる演出がよくある。本作でもそれは発揮されている。ラフォにとっての父親と母親。彼が憧れる力強や富を持つ父と、男遊びに興じる母親。アメリカとメキシコ。父が持つ富がある国、アメ公マイクは経済的にも劣るメキシコにやって来た。少年と老人。少年が憧れる強さと、それがない老人。

追手から目立たないために、マイクがいかにもアメリカ人な服装からメキシコ庶民の服装に変える。そのあたりから対比は和らぎを見せ始める。ラフォが考えるマッチョでない老人マイクが、野生馬を馴らしたり、周囲の人々に優しさを見せながら、次々と生きる術を示す。老人だからこそ知っている生きる知恵と経験、人間力。それはイーストウッドのフィルモグラフィーにも重なって見える。50代の頃に一度主演のオファーがあった脚本だったと聞く。当時の自分にはまだ早いと断ったが、よりによって90歳を超えてその役を演ずるとは。

安らぎを感じるラストシーンにホッとする。人生の終わりが近づく中であんなふうに寄り添える人が現れるって素敵だ。

僕には男として憧れる伯父がいる。70代で再婚し、周りの人々の面倒まで看た。健康でボケてもせず、けっこうな年齢まで車を乗り回し、最期まで趣味を満喫し、人を楽しませ自分も楽しんでいた。90代で先日亡くなったのだが、借金も財産もきれいに残さなかった。見習いたいと思っている方だ。そんな気持ちがあったから「クライ・マッチョ」の老人が僕にはやたらカッコよく見えたのかもしれないな。




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海がきこえる

2022-12-22 | 映画(あ行)

◼️「海がきこえる」(1993年・日本)

監督=望月智充
声の出演=飛田展男 坂本洋子 関俊彦 荒木香恵

もともとはテレビ特番のために製作されたスタジオジブリ作品。ファンタジーも冒険もなく、尺も短く、しかも未成年の飲酒喫煙シーンを含むので地上波放送には不向きなのだろう。1993年の初放送以来なかなかテレビで観る機会がなかったが、2011年に金曜ロードショーが「ゲド戦記」と抱き合わせ4時間枠で放送。地上波での放送はそれっきりである。その録画を今回改めて鑑賞。

宮崎駿も高畑勲も関係していない、当時のジブリ若手だけで製作された本作。初めて観た時は他のジブリ作品とのギャップを感じて、どうもピンとこなかった。今改めて観ると、社会や親世代に対する苛立ち、行き場のないモヤモヤした気持ちや、高校生から大学生になって広がる視野といった、青春映画らしい感情の動きがジブリアニメらしい繊細な仕事で描かれていることに気付かされる。

東京から時期外れに編入してきた里伽子。主人公杜崎拓は親友の松野豊が彼女に好意を抱いていることに気づいていた。周囲とうまく馴染めない彼女の行動に巻き込まれる拓。彼のまっすぐな性格と里伽子は衝突を繰り返す。大学生になって最初の地元での同窓会。拓は東京から帰省して参加したが、里伽子の姿はなかった。彼女は「会いたい人がいるから」と東京にいると知らされる。

拓と松野が仲良くなるきっかけとなる、修学旅行中止をめぐるエピソードが好き。冷静に先まで見てる松野と、感情が先でうまく言葉で表現できない拓。性格の違いもここでうまく示されてる。ガンダム で言うと「そんな大人修正してやる!」みたいな勢い。あ、声優同じ人やったw。

同窓会での会話に、その年頃の生々しい気持ちの動きが感じられてキュンとくる。
「世界が狭かったのよ」
「自分のことがいちばんわかってなかった」
そんな周囲の言葉で自分の気持ちに気付かされる、いや自分の気持ちを確信する主人公。爽やかな無言のラストシーン。二人はこれからどんな風景を一緒に見ることになるのだろう。

中坊が求婚してやったぁーとか言ってる「耳をすませば」よりも好き。こんな話に胸がキュンとくる自分はまだイケてるのだ、と勝手に思うおっさんである。そんな僕に友人は「高校時代に何か心残りな忘れものがあんじゃないの?」と言う。そうかもしれないな🤔



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リトル・ミス・サンシャイン

2022-12-20 | 映画(ら行)

◼️「リトル・ミス・サンシャイン/Little Miss Sunshine」(2006年・アメリカ)

監督=ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ハリス
主演=グレッグ・キニア トニ・コレット スティーブ・カレル アビゲイル・ブレスリン

不祥事で活動自粛していた映画コメンテーター有村昆氏が、テレビ番組「ロンドンハーツ」でイジられてるのをテレビで見た。ひと言だけインタビューして引っ込ませる意地悪な企画。唯一の質問は「活動自粛中にどんな映画を観てましたか」。自分の蒔いた種で離婚にも発展した。映画で発散してたのかな、逆にどーんと重いの観てたのかな。有村氏の答えは「リトル・ミス・サンシャイン」だった。

ミスコンの全米大会に、7歳のオリーブが繰り上げで地区代表として出場できるようになった。オリーブの父親リチャードは自己啓発セミナーでひと山当てると意気込んでおり、母シェリルは気が気でない。さらに自殺未遂をしたシェリルの兄フランクと一緒に暮らすことになり、オリーブの兄ドウェーンはパイロットになる夢を達成するまで口をきかない無言の誓いを実行中。オリーブのミスコンの振り付けを担当したのは、ドラッグ中毒で口の悪い祖父エドウィン。問題だらけの家族は、フォルクスワーゲンの黄色いバンで一路、ミスコン会場のあるカリフォルニアを目指す。その珍道中を描いた物語。

カリフォルニアへの道中は、次々と事態が悪化していく。冒頭自信満々だったリチャードは自己啓発セミナーのアイディアが受け入れられず、破産の危機。ドウェーンはパイロットとなる上での更なる問題が発覚。そして祖父エドウィンが…。映画とはいえ、ここまで追い詰められるなんて…と辛すぎる展開に驚くが、そこを勢いと話しかけるフランクの優しさで乗り越えていく様子が面白い。特に祖父の× ×が積まれた荷台を警察官に見られる場面の緊張感と、予想を超えたトラブル回避に大笑い。

ミスコンに集う人々のお高く止まった感は、様々な映画で目にしてきたが、主催者側まで選民意識に支配されてるような様子にイライラする。オリーブには世界が違うぞ。出場をやめさせようとするリチャードとドウェーンだが、ここまで頑張ってきたからとオリーブはステージに向かう。ここで祖父の振り付けがとんでもない事態を引き起こす。
ダメだよ!おじいちゃん!🤣
ミック・ジョーンズのSuper Freakをバックに開き直った家族が繰り広げる大騒ぎ。サイコーやんw。

「女とヤリまくれ」とけしかける祖父役アラン・アーキン。経験こそ価値みたいな言い方するお年寄りいるよね。ここにちょっとイラッとしたが、ところどころ良いこと言う。「お前は内面も外見もキレイだから大好きなんだ」言われたら嬉しいよな。

やってることはやっぱり問題だらけなんだけど、この旅で一家の結束力はきっと高まったはず。そして観ている僕らを勇気づけてくれる行動や台詞が散りばめられていて、とても励まされた気持ちになる。ポンコツ車で走り出す一家に幸あれ。





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楽園追放-Expelled from Paradise-

2022-12-18 | 映画(ら行)

◼️「楽園追放-Expelled from Paradise-」(2014年・日本)

監督=水島精二
声の出演=釘宮理恵 三木眞一郎 神谷浩史

長男からのおススメ作品。人類のほとんどが肉体を捨ててデータ化され、ディーヴァと呼ばれる仮想空間で理想的な生活を送る未来。そこに突然地球からの不正アクセス。メッセージの内容は人類が生活可能な惑星を探す旅への勧誘だった。既に理想的な生活を謳歌している人類に、新たなフロンティア開発は無用だが、不正アクセスという脅威からディーヴァの幹部たちは捜査官としてアンジェラ三等官を地球に送り込む。彼女は地球での協力者ディンゴと共に謎に挑む。

電脳世界とリアルワールドのお話だから、あー、また「攻殻機動隊」の亜流かよ、と思っているとなかなか面白い着地点にたどり着く。マテリアルとしての肉体を与えられるアンジェラ、生身の人間であるディンゴ、そして自我が目覚めたAI。機械と人間の境目が曖昧な存在を通じて、人間の存在について考えさせる。なるほど「攻殻」ほどハードでなく受け入れやすい。そしてディーヴァで暮らす身体を捨てた人々の現実。

音楽がそれぞれの登場人物をつなぐ一つの要素になってるのも好印象。心地よい環境音楽しかディーヴァでは聴いてこなかったアンジェラに、ディンゴはロックは骨で感じる音楽だと語る。AIが「好き」という感覚を説明するくだりがいい。システム的にはノイズでしかないのに、プロセッサの処理能力を活性化させる現象で、自我を認識するきっかけになった。あー、わかるわかる。上手いこと表現するよな。

クライマックスはハイスピードのバトルが展開されて、ロボットアニメとしての見応え十分。







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チリンの鈴

2022-12-15 | 映画(た行)

◼️「チリンの鈴」(1978年・日本)

監督=波多正美
声の出演=松島みのり 神谷明 加藤精三

2009年、生息地の美術館で「やなせたかしの世界展」が催された。長男(当時9歳)は未就学児時代にアンパンマンにどハマりして育ったので一緒に出かけた。やなせたかし氏は戦争で正義の脆さと飢餓を経験した。飢えた人を救うのが本当の英雄、甘いものは疲れた人に力をくれる。その経験がアンパンマンへとつながっている。誰も死なない、それぞれのいいところが発揮される幸せな世界。

その展覧会である絵本の原画に目を奪われた。緑色の背景に子羊が描かれた作品、「チリンの鈴」である。1978年にサンリオがアニメーション映画化して、僕は多分映画館で小学生の頃に観ているように思う。タイトルを目にして、おぼろげながら猛烈に悲しい物語を思い出した。タイトルは忘れてもその悲しさだけが記憶に刻まれていたのだろう。原画はストーリーと共に全てが展示されていた。文章を読みながらゆっくりと歩みを進めた。

チリンは羊の子。ある日おおかみのウォーに群れが襲われ、母親は自分をかばって死んでしまう。生き残ったチリンは、ウォーのように強くなりたい、とウォーに弟子入りを頼み込む。数年経って、チリンは得体の知れないけだものに成長した。ある晩、チリンの生まれ故郷の牧場を襲うことにしたウォー。チリンは番犬を退け、羊たちがいる小屋へと向かう。そこで見た光景にチリンの復讐心が再びよみがえる。

これだ。子供の時観たアニメの話だ。やなせたかしだったのか。他の作品にはない、復讐と死を描く悲しい結末に再び触れて、初めて観た時の、心にぽっかり穴があくような感覚を思い出した。無常観と悲しみ、むなしさに彩られた傑作。長男は売店で再び「チリンの鈴」のページをめくっていた。多分、心に響く何かがあったのだろう。

配信でアニメを観られることを知ってウン十年ぶりに再鑑賞。サンリオ映画の幸福な内容を期待していたら、衝撃を受けること必至。若き日の神谷明が「僕は羊だ!」と叫ぶクライマックス。加藤精三演ずる狼ウーの最期のひと言は「巨人の星」の星一徹並みに強く心に残る。昔の子供向けアニメだから技術や演出はその頃らしいクオリティだけど、暗い岩山や成長したチリンのデザインはインパクトがある。そして心に残る作品になり得たのは、やっぱりやなせたかしの物語の力。





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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊

2022-12-14 | 映画(は行)

◼️「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊/The French Dispatch」(2021年・アメリカ)

監督=ウェス・アンダーソン
主演=ビル・マーレイ ベネチオ・デル・トロ エイドリアン・ブロディ フランシス・マクドーマンド レア・セドゥ

(注意・嫌いな理由を散々書いてます)
ウェス・アンダーソン監督作がどうも好きになれない。初めて観た「ロイヤル・テネンバウムス」は楽しめた。世間がオシャレ映画とキャーキャー言ってるグランドなんちゃらも、ちゃんと映画館で観た。申し訳ないけど、好かん。キャスティング以外の好きなところを挙げる自信がないので、グランドなんちゃらはレビューを放棄している。色彩と独特な構図でなーんかごまかされたような気持ちになったのだ。個人の感想です。ファンの皆さま、ごめんなさい。

「フレンチ・ディスパッチ…(以下略)」は、活字文化に対するリスペクトあふれる作品と聞いて、文系男子としてちょっと心惹かれた。監督と相性悪い気がするけど、この題材ならイケるかも。かなり期待していた。

映画冒頭、この雑誌「フレンチ・ディスパッチ」が出版業界でどんな位置付けのものか、現在に至る沿革が早口で語られる。編集長が急死したことで、現在編集中のものが最終号となる。掲載される4つの記事をコミカルに描くオムニバス形式だ。

雑誌「ニューヨーカー」からインスパイアされたと聞く。確かに洗練されたハイセンスな雑誌のコラムや記事を読んでるような"外観"(ここ大事ね)で出来あがっている。各エピソードの最初に映し出されるイラスト、ちょっと好き。最初は街を走ってリポートする「自転車レポート」。ところどころに寒いギャグを挟みつつ、淡々と街の様子が描かれる。

続く「確固たる(コンクリートの)名作」では、刑務所に収監されている男が描いた前衛芸術の秘話。鉄格子が映り込む映像だけに、ウェス・アンダーソン監督が好きな縦と横の線、正面から顔を見据えるショットが冴え渡る。というか、この監督これしかできないでしょ。撮影現場で大工が使う直角定規差し金やら水準器でも使ってんじゃないの?と思えるくらいに、真正面から見据えたシンメトリーぽい映像が続く。顔認証かよ。この無機質で淡々とストーリーだけ追ってく作風が、アンダーソン監督作の特徴であり、僕が嫌いなところ。愛しのレアたんや芸達者なエイドリアン・ブロディがいなかったら投げ出してたかも。

やっと映像に躍動感が出てくるのは「宣誓書の改訂」。学生運動のリーダーと記者自身の関係を告白するようなエピソード。やっと人間らしい話が出てきた。この微妙な三角関係や世代ギャップは話としては面白いのに、また舞台劇のような背景チェンジや色彩を突然変える演出で、話に浸らせてくれない。中年女性記者が最終号で秘め事を告白する感じがいいのに、アンダーソン監督はそれを茶化してるように思えて仕方ない。

最後の「警察署長の食事室」は、美食家署長が抱える天才シェフを取材していた記者が遭遇した事件の顛末。お話としては面白い。だが、雑誌社が苦境の記者を救ってくれたエピソードが語られていい感じで進んでいたのに、だんだんと記者目線なのか、署長目線なのか、シェフの活躍物語なのか、話の視点が定まらなくなってくる。ここでもやっぱり縦横に線が引かれる構図は健在。方眼紙の中でもの考えてんじゃないの?これを最後まで貫くかと思ったら、唐突にアニメーション化。ここで初めて画面から直線が消える。結局ビジュアルで驚かせたいんじゃない。

そして編集長の死をスタッフと記者が迎えるクライマックス。デスクの上に横たわる死体の横で記事書きますか。死体を囲んで思い出話しますか。しかも編集長がどこまでみんなに慕われていたのかが、ほぼ語られずに迎えるこの場面。申し訳ない。上っ面の話じゃん。人懐っこい笑顔のビル・マーレイ編集長だから慕われてたんだろうなって含みがあるのかもしれないけど、それってストーリー語ることを放棄して、キャスティングに頼ってるだけでしょ。だからパブリックイメージが強いキャストだらけにしてるんじゃないの。映像ばっかり凝って、喜怒哀楽が伝わってこないのが残念で仕方ない。「ロイヤル・テネンバウムス」は、ちゃんと情が感じられたぞ。活字文化へのリスペクト?、だったらそれを支える編集者や記者こそ讃えるべきでしょ。

ふぅ。言いたいことは言わせていただきました。やっぱりウェス・アンダーソン監督は僕には向かないみたい😞。






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ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語

2022-12-11 | 映画(さ行)

◼️「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語/Little Women」(2021年・アメリカ)

監督=グレタ・ガーウィグ
主演=シアーシャ・ローナン エマ・ワトソン フローレンス・ビュー エリザ・スカンレン ローラ・ダーン

子供向けの世界名作文学全集めいた本が自宅にあった。買ってくれた親には申し訳ないが、兄妹3人で繰り返し読む本は偏っていた。妹たちのはお気に入りは「秘密の花園」と「若草物語」。四人姉妹の誰に感情移入したのかはわからないが、ジョーが髪の毛切るところでいつも泣くとか、ベスがいなくなるところのページが傷んでるとか、言ってたのを覚えている。僕はとりあえず登場人物と筋は知ってる程度で、どハマりしてはいない。だって、その頃の僕はジュール・ベルヌとH・G・ウェルズばっかり読んでたんだもの。

さて、本題。邦題が気に食わないのが理由で観るのをためらっていた本作。なんで終活自分史みたいな邦題になるんよ。家族の物語なんだぞ。しかもサブタイトルで「若草物語」を添えてさ。でも、ふとシアーシャの笑顔が見たくなった。「若草物語」は今回が7回目の映画化だが、不勉強なことに僕はどれも観ていなかった。ウィノナ・ライダーの時も観なかったくらいだから、どっかで女子向けな文学作品だと敬遠していたのかもしれない。でも今までスルーしていた分だけ家族の歴史を刻むドラマにしんみりしたような気もする。

グレタ・ガーウィグ監督は物語の時系列を敢えて崩して、四人が一緒に過ごした少女時代をジョーの回想で示しながら今と対比させる編集を施した。演じてる面々の顔立ちに年齢の差を感じられないから、ちょっと混乱しそうにも思った。少女時代も妻となってもエマたんはエマたんだもんなw。でも時系列が交差する構成にしたのは、僕は効果的だと思った。例えば作家に憧れるジョーの小説家に対する向き合い方の変化は、こうして示したことによって、変わった理由や本当に貫きたかったことが見えてくる。少女時代の自己満足、周りを喜ばせたこと、お金のための軽い読み物、それを批判されたこと、ベスのために書いた物語、誰かの為に書くこと、誰に何を伝えたいのか、そしてたどり着くのは自分と家族の歩んだ日々。これら今と過去を対比することで、今ジョーが進もうとしているのが、しっかりとした一歩に感じられたのだ。

それだけに、執筆を始めたジョーが原稿を部屋中に広げる場面がとても胸に迫ってくる。そこには、これまでの楽しかった日々、悲しかったことが綴られているはずだ。それは邦題の通り彼女の生い立ちでもあるが、家族の物語である。ラストを見届けて、やっぱり邦題は「若草物語」を貫いて欲しかったとも思った。

それにしてもキャスティングがいい。シアーシャ・ローナンは自分に正直で真っ直ぐなジョーには適任。エイミー結婚の報を聞く場面の微妙な表情と、母親とのアイコンタクトに泣かされた。それだけにクライマックスの笑顔が本当に素敵だ。エイミー役フローレンス・ビューは、末っ子の抑え込まれた感情から求婚に葛藤する場面がよかった。「私はいつもジョーの次」と怒ってた彼女が、この後出演するアメコミもので姉妹的関係を演じているのも何かのご縁。母親のローラ・ダーンは、若い頃演じたハジけた役柄を知ってるだけに、落ち着いて娘に向き合う姿が感慨深い。








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