Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

2022年5月のプレイリスト

2022-05-31 | 音楽

◆2022年5月に聴いていた愛すべき31曲

Feel Like Dance(globe)
シスター(フィロソフィーのダンス)
こんな渋くてカッコいいアイドルソングがあるのかっ😳
名うての泥棒猫(石川さゆり)
カラオケで歌いたいっ🎤
日本の米は世界一(打首獄門同好会)
ショートケーキのサンバ(小島麻由美)
Basket Case(PUFFY)
Green Dayの素敵なカバー🎸
La ballade de Johnny Jane(ジョニー・ジェーンのバラード)(Jane Birkin)
映画「ジュ・テーム・モア・ノン・プリュ」観てからしばらくリピートしてました📀
なんだったんだ?7DAYS(バービーボーイズ)
ゴールデンウィークの終わりにタイトルどおりのことを思ったもので😩
Let's Get It On(Marvin Gaye)
Bob's Jazz(Candy Dulfer)

ユメ語るよりユメ歌おう(Aqours)
ニュアンスしましょ(香坂みゆき)
僕らの戦場(シェリル starring May'n & ランカ=中島愛)
マクロス40周年記念盤より📀
NIGHT BIRDS(タマラ・チャンプリン)
角松敏生プロデュースのシャカタクカバー。「vocaland」収録。めちゃくちゃ好き❤️
M八七(米津玄師)
映画「シン・ウルトラマン」主題歌🎥
Late In The Evening(Paul Simon)
夢を手に、戻れる場所もない日々を(フランシュシュ)
風の強い日は嫌いか?(ホワイト竜)
「ゾンビランドサガ リベンジ」は名曲ぞろい😭
T'en va Pas(哀しみのアダージョ)(Elsa)
Time Will Crawl(David Bowie)

ハチミツ(スピッツ)
星が永遠を照らしてる(結城アイラ)
エアロフォンで練習中🎷
I Can't Go For That(小林香織)
ホール&オーツのサックスカバー🎷
さよならの風景(Invitations)(大野方栄)
シャカタクの日本語詞カバー
Rise(Herb Alpert)
エアロフォン吹き始めてからインスト曲に惹かれるのです🎺
Feel So Good(Chuck Mangione)
高校時代吹奏楽部で演奏した曲🎺
Another Colony(TRUE)
「負けちゃいけなーい」って歌詞が聴くたびに胸に刺さる
Inbetween Days(The Cure)
フランス映画「Summer of 85」で素敵な使われ方をしていた。
Top Gun Anthem(Harold Faltermeyer )
「トップガン」と言えばDanger Zoneよりもこっちでしょ!
Eye In The Sky(佐藤竹善)
Alan Parsons Projectのカバー。

GOOD NIGHT BABY(あいみょん)
これを聴きたくなる時は人恋しくなってるんです。




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トップガン マーヴェリック

2022-05-29 | 映画(た行)

◼️「トップガン マーヴェリック/Topgun Marverick」(2020年・アメリカ)

監督=ジョセフ・コシンスキー
主演=トム・クルーズ ジェニファー・コネリー マイルズ・テラー ジョン・ハム

もぉー、おじさん世代直撃弾。

Topgun Anthemの電子ドラムが映画館に流れ始め、前作と同じトップガンの説明書きからタイトル。空母の滑走路で働く人々が映され、テイクオフと共にケニー・ロギンスのDanger Zone。1986年の前作のまんまだ。われらがトム君はカワサキのバイクにまたがり、基地へと突っ走る。さっきチケット売り場で僕の前にいたTomcatのワッペン付きTシャツ着てたおじさん感激してるんじゃね?。とか言ってる僕も「トップガン」ゆかりの座席番号F-14に座ってるんだが😝。

ところが時代は変わっている。無人機の開発が進み、主人公のような無鉄砲で命令に黙って従わないパイロットは不要になっているのだ。DXとか慣れない言葉や技術に日々追いたてられるスクリーンのこっち側のおじさんたちは思う。あぁ、マーヴェリックもこんな扱いされる時代なのか。ある任務のために集められたパイロットに指導をするよう命令が下される。「教えるか、もう飛ばないかだ」。年齢重ねるといろんな理由から現場を外される。おじさん世代はもう共感しかない。

集められた若手たちは、ウン十年前のマーヴェリックと同様に自信に満ちた生意気な連中ばかりだ。その中にかつての相棒グースの息子がいた。面と向かうとまともに話もできない。過去の辛い記憶が彼を苦しめる。いざ空の上ではそんな若手を翻弄するマーヴェリックがやたらカッコいい。いいぞ、おじさんをナメたらあかんぞ。経験値ってやつが違うんだからな。スクリーンのこっち側のおじさんたちもさぞかし痛快に思っているはずだ。

だが、マーヴェリックの作戦や指導や態度はは上官たちとことごとく対立し、彼は苦境に立つ。中間管理職として日々奮闘しているスクリーンのこっち側のおじさんたちは、上官に立ち向かうマーヴェリックの言動にヒヤヒヤしながらも、立ち向かう姿を誇らしく思う。しかし彼らが挑む作戦は、「スターウォーズEP4」のクライマックスを思い出さずにはいられない困難なもの。どうすんだマーヴェリック。いくら君でもフォースは使えまい。果たして作戦は成功できるのか?

酒場で流れてるデビッド・ボウイやパワーステーションもツボなんだけど(細かい?)、何よりもマーヴェリックの理解者、唯一の弱いところを見せられる相手であるペニーの存在が大きい。僕らも分からない奴らとの日常に疲れる日々。分かってくれる誰かって大切だよなぁ🥲。ペニーを演ずるジェニファー・コネリー、年齢重ねてますます美しい。家までバイクで送ってもらって、ドアを閉めずに黙って家に入るOKサイン。それを見てニタニタしてしまったのは、トムだけじゃないはず。おっと💦

おじさん世代が若いもんに実力を見せつけ、お互いを理解し合っていく様子が素晴らしい。これまで若い役者に負けないぞと身体を張って頑張ってきたトム君が、歳相応のカッコよさを発揮した映画だとも言える。だからCG全盛のこの時代に、トム君がスクリーンで本物を観客に見せようと頑張り続ける姿が、これまで以上に響く。こういう映画スターって、もうハリウッドじゃ絶滅危惧種じゃないだろか。大昔なら活動屋精神と呼ぶようなトム君の映画への向き合い方。時にクレイジーだから真似る必要はないけれど、その真摯な気持ちから学ぶことはきっと多々あるはずだ。そしてその心意気は、スクリーンのこっち側のおじさん世代も確実に勇気づけてくれている。明日からも頑張ろう。大嫌いな「トップガン」の続編を観てこんな気持ちになるなんて。歳とったのかな💧。





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ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー

2022-05-28 | 映画(ら行)

◼️「ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー/Rebel In The Rye」(2017年・アメリカ)

監督=ダニー・ストロング
主演=ニコラス・ホルト ケヴィン・スペイシー ゾーイ・ドゥイッチ ホープ・デイヴィス

作家志望だった若き日から、成功を収めた後隠遁生活に入るまで。J・D・サリンジャーの半生を描いた伝記映画。僕は熱心な文学青年でなかったからサリンジャーは「ナインストーリーズ」をつまみ食いした程度。作家自身についてあまりに知らなかったので、脚色も主観も誇張もあるだろうけど、こういう触れ方もいいかなとこの映画「ライ麦畑の反逆児」に手を出した。

確かに反逆児。表現を学ぶために大学で講義を受けながらも、教授の指導に対していちいち皮肉を返す。憧れだったニューヨーカー誌から掲載のラブコールがあったのに原稿の修正を拒否。文壇や業界、世間に媚びない彼の姿勢は、文学に対するひたむきな気持ち故なんだけど、他人の考えや意見に理解を示そうとしないので、一般から見ればやはり反抗的に映るのだろう。そして最後は世間からも背を向けてしまう。

第二次世界大戦に従軍し、戦場の悲惨な光景や経験から、一時は作品を書く気力を失ってしまう。このPTSDの描写は生々しく、「帰還兵なら誰にでもあること」と医師にも突き放され、一人苦しむ姿はなんとも痛々しい。

大学の恩師の支えとアドバイスもあって、その後のサリンジャーは「ライ麦畑でつかまえて」で成功を収める。しかし、多くの読者の共感を呼ぶ成功が、彼の日常をこの上なく不安に陥いるきっかけにもなった。世界中から届くファンレターを読まなくなったのはこうした原因があったのだ。ジョン・レノンを殺害したマーク・チャップマンが「ライ麦…」を持っていたことも知られている。フランソワ・オゾンのある映画で、このことを例に挙げて文学の無力さを説く人物が出てくる。影響力の怖さはあるけれど、文学は決して無力ではない。一部の人々に過激な影響になったかもしれないが、多くの人には支えになったのは間違いないのだから。

マイ・ニューヨーク・ダイアリー」と合わせて観ると、何故サリンジャーが人を避けるようになって、老舗出版社が彼を守ろうとしていたのか、背景を理解するのにきっとこの映画は役立つ。恩師役ケビン・スペイシー、ルーシー・ボーイントンも印象的な好助演。



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ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ

2022-05-27 | 映画(さ行)

◼️「ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ/Je t'aime moi non plus」(1975年・フランス)

監督=セルジュ・ゲンスブール
主演=ジェーン・バーキン ジョー・ダレッサンドロ ユーグ・ケステル ミシェル・ブラン

セルジュ・ゲンスブールが自身の代表作である名曲Je t'aime moi non plus をタイトルに冠した脚本を手がけ、監督した作品。不快だとか美しくないとかいろいろと噂は聞いていた。確かに好きな人には響くだろうし、嫌悪感を抱く人もいるだろう。

もともと、セルジュは音楽において"聴衆を不快にすること"を持論にしていたこともある。それだけにいろんな物議を醸すこともあった挑発者だ。不快にならずとも、彼の作品や言動は僕らを「いいのか?」「どうしてそんなことを?」「そんなんで大丈夫なのか?」と不安定な気持ちにさせることも少なくない。そういう意味で本作は、僕の期待を裏切らなかった。フロントガラスに広がるカラスの血、ゴミ捨て場、埃まみれのドライブイン、ジェーンのヌードの上を飛ぶ蝿、同性愛者を罵る言葉。ちっとも美しくなんかない。その場で感じる香りや埃っぽさまで想像するとなおさらだ。

ところがオルガンの音色にアレンジされた名曲Je t'aime moi non plusや、ラグタイムピアノのようなLa ballade de Johnny Janeが流れると見え方が一変する。さっきまで生々しいとしか思えなかったシーンが、美しく見えてくる。身体を寄せあって踊る二人、湖で寝そべる二つの裸、トラックの荷台で絡み合う二人。美しい場面が際立ってくる。

惚れた女にここまで演じさせるか、とこっちが不安になるくらいにジェーンは肌を晒し続けるし、セルジュのカメラアングルも容赦ない。好きになったトラックドライバーがゲイだったことから、「男だと思って抱いて」と言う切ない表情。そして痛みに声をあげながら彼を受け入れようとする。最後の最後までジェーン・バーキンのこれでもかという熱演あっての映画。特に彼女の眼が強く印象に残る。パブミラーに映った彼を見つめる視線。下着を放り投げてワンピースを頭まで捲り上げ、ベッドの縁から見つめる姿。

好きな映画かと言われたら、好きじゃない。でも忘れがたい魅力がある。「シャルロット・フォー・エヴァー」もそうだったけど。

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ニューヨーク・ニューヨーク

2022-05-24 | 映画(な行)

◼️「ニューヨーク・ニューヨーク/New York, New York」(1977年・アメリカ)

監督=マーチン・スコセッシ
主演=ロバート・デ・ニーロ ライザ・ミネリ ライオネル・スタンダー バリー・プリマス

マーチン・スコセッシ作品は、「タクシードライバー」を筆頭にニューヨークを舞台にした作品が多い。この「ニューヨーク・ニューヨーク」は、往年のハリウッドミュージカルへの愛と、大都会ニューヨークへの思い入れが込められた作品。スコセッシ監督は、古くからあるスタジオ撮影に現代の感覚を取り入れようと試みた。

いかにもセットだとわかる背景や、わざと歩道を高くするなどデフォルメされた街並み。衣装もやたらと色彩が鮮やかで、襟が大きかったり、異常な量の肩パットが入れられたりとこちらもデフォルメされている。デ・ニーロが身につける鮮やか茶系のスーツが好き。でも、平成の初めに黒シャツにオーバーサイズ気味の紫色のソフトスーツ(「ガンダム 鉄血のオルフェンズ」オルガ・イツカをイメージしてください)を着ていた僕ですら、これは着れないと思う。あ、関係ねえな(笑)。

スタジオに用意された作り物の背景と夢物語を、演者の実力とパフォーマンスで盛り上げる。これは従来のハリウッド製ミュージカル、またライザ・ミネリが得意としてきたところだ。そこにスコセッシは最大限の敬意を払っている。劇中演じられるミュージカル「Happy Endings」は、単独の作品になりそうなくらい凝ったものだし、何よりもニューヨークに強いこだわりがあるスコセッシが、ハリウッドのスタジオにニューヨークを作り上げて撮ったなんてかなりの冒険。

一方でロバート・デ・ニーロとスコセッシは即興の演技や演出を好む。例えば、この映画でのプロポーズ場面は生々しくてやたら長い。また二人の出会いの場面もテーブルを挟んで口説き続けるデ・ニーロに、ライザ・ミネリは「No !」の台詞だけで応酬を続ける。デ・ニーロのアドリブにライザは影響を受けたという。この映画、スコセッシには失敗作だの、ミュージカルシーンを切れば秀作だのと言われているが、舞台裏を知れば知るほど僕は深みを感じるんだけどなー。

好意的でない感想もある映画だが、劇中、妻に捧げる曲として作られた表題曲New York, New Yorkの素晴らしさは、誰しもが認めるところ。フランク・シナトラもカヴァーし、日本ではビールのCM等で使われ、ご当地ニューヨーク市では非公式市歌として親しまれている。

利己的で危ないサックス吹きは、この頃のデ・ニーロのイメージそのまま。プレイする姿もカッコいい。そしてスター街道を突っ走るライザ・ミネリは、エンターテイナーとしての彼女自身が重なる。そんな根っからの表現者二人のすれ違い。切ないラストシーンが心にしみる。

ラ・ラ・ランド」(大嫌い)がこの作品へのオマージュという話もあるけれど、こっちは舞台のミュージカル場面を含む人間ドラマであって、あっちは音楽映画としてのミュージカル。あんな辛気臭いミュージカルとは違うのだよ。



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ハイ・フィデリティ

2022-05-21 | 映画(は行)

◼️「ハイ・フィデリティ/High Fidelity」(2000年・アメリカ)

監督=スティーブン・フリアーズ
主演=ジョン・キューザック ジャック・ブラック リサ・ボネット ジョエル・カーター キャサリン・ゼダ・ジョーンズ

音楽オタクの中古レコード店主の一方的な自己分析と失恋遍歴を延々聞かされる映画。終始カメラ目線のジョン・キューザックが観客に語りかけ、大失恋トップ5をランキングつけて紹介する。ところどころウザっ!と感じて、「でもさ、彼女側の気持ちはどーなん?」と画面に向かってジョンを諭してやりたい気持ちになりつつ(それって、映画に引き込まれているってことでもあるのだけど・笑)、ことの成り行きを見守る113分。

長く映画ファンやってると、こうした観客に語りかけてくる映画にも何本か出くわしている。一方的な解説付きでストーリーを追うのはウディ・アレン作品みたいだし、80年代育ち組は偏った持論を押しつけてくる主人公に「フェリスはある朝突然に」あたりを思い浮かべるのではないだろか。この両方がミックスされてる感覚。過去に失恋した5人に会いに行く展開は、往年の名作「舞踏会の手帖」?いや、それは考えすぎだww

個性的な登場人物たち、何よりもジャック・ブラックの芸達者ぶりが素晴らしい。冒頭いきなり店に現れて、カトリーナ&ウェイブスのWalking On Sunshineを流して踊り狂う姿に心を持っていかれた🤣。レコード店で踊るおバカに心くすぐられるのは、ジョン・クライヤー(「プリティ・イン・ピンク」)以来やぞ。ラストでマービン・ゲイのLet's Get It Onを歌う姿にまたやられました。

スティービー・ワンダーのI Just Called To Say I Love You(心の愛)を買い求めに来た客に、「駄作だ」と言い放つ最悪の(でもサイコーな)接客に笑い転げる。昔友達としレンタルビデオ屋になるなら、どんな店主になる?と話してたことがあって、僕の答えは、
「タイタニック観るようなヤツはうちの客じゃねえ!って言ってみたい!」
あー、まさにこれだよ。ジャックありがとう。ディスっておきながら、映画の最後はスティービーの楽曲で締めくくる選曲がなんとも粋じゃん。これこそ音楽への敬意。

トップ5をいろいろ選出する場面が出てくる。製作当時なら、音楽オタクが知識をバトルさせてるウザさがあったんだろうけど、今やこうした偏った持論はTwitterで日々絶え間なく、しかも一方的に流れてくる。でも映画に出てくる彼らは、それを面と向かって語り合えてるところがいいし、音楽の趣味を切り口にリアルで人とつながっていく感覚が、コロナ禍の今だからか、妙に羨ましくも見える。そして自分で選曲したカセットを作る姿がなんとも懐かしくて。今はプレイリストが作れても、それを手渡しする場面なんてない。それでも、今も昔も音楽は人をつないでくれる大切なものなのだ。それは変わらない。

製作資本はアメリカだけど、製作会社は英国ワーキングタイトル社。この会社の映画はフェバリット作が多い。この映画も全体的にはかなり好きなんだけど、音楽ネタの楽しさが心に残って、主題のラブコメ部分は、モテない男のひがみ根性なのか(笑)ちょっとノレなかったんでしたw。




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シン・ウルトラマン

2022-05-17 | 映画(さ行)

◼️「シン・ウルトラマン」(2022年・日本)

監督=樋口真嗣
主演=斎藤工 長澤まさみ 西島秀俊 有岡大貴 早見あかり

オリジナルへのリスペクトと愛がパンパンに詰まった作品。日本の特撮作品が積み上げてきた偉大な歴史を再構築するのは良いことだと思う。「ゴジラ」の偉業や影響力は言うまでもないのだが、我々庶民にとっては毎回ゴジラの新作を映画館で観られていた訳ではない。一方で「ウルトラマン」は僕らのそばにいたヒーローであり特撮作品。シリーズから勇気や諦めない大切さはもちろん、いろんな矛盾があることを学びながら大きくなった。

「シン・ウルトラマン」は冒頭、意外にも「ウルトラQ」のテーマ曲から始まる。ゴメス、マンモスフラワーから始まって、いくつかの"禍威獣"が紹介される。そしてその対策チームとして"禍特隊"が組織されて、最前線の自衛隊と組んで対応にあたっている。そこには「シン・ゴジラ」と同様に、会議や報告、政治的な圧力や根回し…という現実味ある描写。危機に対する分析が主な任務で、ビートルや特殊潜航艇のようなメカが登場することはない。そこはオールドファンにはちょっと残念かな。

シリーズの中からいくつかのエピソードをピックアップして関連づけを加えた脚本の面白さ。日本でだけ禍威獣の脅威が頻発する理由づけに、オリジナルでは支配下の星人がいるメフィラス星人を絡める発想がナイス👍。シリーズへの思い入れがある人にとっては、バルタン星人や実相寺昭雄監督作のダークなエピソード、激しいバトルを期待してもっとパワフルな怪獣をセレクトして欲しかったかも。

庵野秀明セレクトは厄介な相手ばかり。そこには「エヴァ」の影がチラつく。ネロンガは電気つながりでヤシマ作戦がチラつくし、使徒みたいなガボラのツラ構え、エヴァっぽく巨大化したメフィラス星人、クライマックスに登場する最後の相手の造形は、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」に登場する戦艦にも見える(この扱いは許し難いと思うオールドファン多いかも)。工場地帯でのバトルアクションはエヴァそのものだ。

禍威獣→異星人と続いて、クライマックスには過酷な試練が待っている。地球にとっての人類とは。人類は異星人であるウルトラマンが守るべき価値のあるものなのか。ウルトラマンのシリーズが幾度となく向き合ってきた命題だ。平成シリーズでウルトラマンに触れてきた世代なら「ガイア」シリーズが描いた矛盾が印象的だろう。「シン・ウルトラマン」のクライマックスは、「ウルトラマンコスモス」劇場版第3作でウルトラマンジャスティスが"宇宙正義"として人類に下すジャッジに酷似している…いや、ほぼ同じ展開と言っていい。しかし、この危機にどう立ち向かうのかが、この映画の見どころだし肝だ。そこは見届けて欲しい。

メフィラスが人間の姿で現れる場面が好き。平和な日常を映しながら、その影で異星人二人の会話が交わされる。
「私の好きな言葉です」
ちょっとマイブームになりそww



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ゲンスブールと女たち

2022-05-13 | 映画(か行)

◼️「ゲンスブールと女たち/Gainsbourg (Vie Heroique)(2010年・フランス)

監督=ジョアン・スファール
主演=エリック・エルモスニーノ ルーシー・ゴードン レティシア・カスタ ダグ・ジョーンズ

セルジュ・ゲンスブールは憧れの不良老人。彼の音楽や後の世代への影響は偉業だが、それと共に彼がプロデュースした女性達への関わり方にも強く惹かれる。映画「ゲンスブールと女たち」はそんな彼の女性遍歴と、それぞれに関係する名曲たちが延々と描かれるのだろうと想像していたのだが、予想以上に伝記映画としてバランスが取れていると感じた。人柄にも迫りつつ、数々の楽曲が随所に散りばめられ、スキャンダラスな恋愛遍歴やアーティストとして物議を醸したエピソードをうまく配置している。

音楽アーティストの伝記映画は、いわゆる成功物語になりがち。親が厳しかったり、家庭環境が貧しかったり、音楽家になったけど認めてもらえなくて。そして偉業を成し遂げて、認めてくれなかった人から認められて感動的なラストへ。「ボヘミアン・ラプソディ」や「ストックホルムでワルツを」も基本線はそうだ。しかし伝記映画としての「ゲンスブールと女たち」は違う。本人の型にはまらない奔放さや身勝手が、愛している人を遠ざけていくラストが切ない。新たなアジア系の恋人(バンブー)との間に生まれた男の子を自分の本名であるリュシアンと名付ける。
「フランスを支配した父親だぞ」
その言葉の虚しくて悲しい響き。

ゲンスブールのディスコグラフィーや楽曲を知った上で観るとエピソードの数々が楽しくて仕方ない。選曲や劇中使われ方がとても凝っている。ピアノの練習に厳しい父親のもとで、クラシックを練習しているのだが、これが後に自身でカバー(名曲「ジェーン・B」)するショパン楽曲。ブリジット・バルドー初登場シーンで流れる「イニシャルB.B.」のカッコよさ。特にバルドーとイチャイチャしながら歌う場面では、二人が密かにレコーディングしてバルドーの夫の怒りを買った究極のラブソング「ジュテーム・モア・ノンプリュ」のメロディをチラ見せするだけ、というオシャレさ。その「ジュテーム」をジェーンと録音し、初めてプロデューサーに聴かせる場面では、それがいかにセンセーショナルな楽曲だったのかが示され、二人がバスタブで抱き合う場面はPVとして撮ったのかと思うくらいにマッチして美しい。ジュリエット・グレコと名曲「ジャバネーズ」を歌う場面が切なくて好き。

セルジュ本人が容姿にコンプレックスを抱いていたことも色濃く描かれる。それが原因で自信をもって物事に向き合えない。そんな彼をデフォルメした"分身"が彼に事あるごとに助言する。このファンタジックな演出は、コミック作家でもある監督の持ち味だ。しかし成功して自信をつけたセルジュは、次第に分身を必要としなくなっていく。それは自分自身を見失い、行動に歯止めが効かなくなっていくのと重なる。そして愛するジェーンに去られ、もはや分身も現れなくなり、セルジュは出会ったばかりのバンブーに側にいてくれと激しい言葉を浴びせるのだ。理解者となる誰かが欲しかった。描かれるセルジュの心の弱さ。音楽を楽しむ以上に、僕にはとても共感できる部分だった。ジタンの煙の向こうで歌っていたカッコいいセルジュが、わかってくれる誰かが欲しいと思っていた自分と重なる。

あ、セルジュのような女性遍歴はございませんので、念のためw。





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ライトスタッフ

2022-05-07 | 映画(ら行)

◼️「ライトスタッフ/The Right Stuff」(1983年・アメリカ)

監督=フィリップ・カウフマン
主演=サム・シェパード スコット・グレン フレッド・ウォード エド・ハリス デニス・クエイド

宇宙開発競争で米ソが火花を散らしていた1950年代、アメリカのマーキュリー計画の舞台裏を描いた大作。80年代育ちとしては観ておくべき作品だと思うのだが、今回が初鑑賞。屈強な野郎ばっかりの映画だもの、当時の僕はそこで敬遠したんだろな(恥)。

ソビエトに先を越されてばかりの宇宙開発に、焦り始めたアメリカは有人宇宙飛行を実現させるべく、プロジェクトに参加する宇宙飛行士を集める。音速の壁に挑み続けてきたテストパイロットから志願者を募る。選ばれた7人は、困難な任務に挑むと決まっただけでまだ何もやってないのに英雄視される。その一方で開発者たちは彼らを宇宙船を操縦する役割だとは思っていない。そのギャップは次第に埋まり、計画の裏側で男たちが思い悩みつつもタフに向き合う様子が感動的だ。

シリアスな場面も多い中、散りばめられたユーモラスな場面が楽しい。初めての有人飛行の発射前に、尿意を堪えるパイロットに管制室は我慢しろと言い続けるのだが、そこにはウォーターサーバーで水を汲んだり、コーヒーをすする職員の姿が重なる編集のセンス。メキシコ人をからかうコメディアンを真似るパイロットの一人が、メキシコ人のスタッフから逆襲される場面も面白い。

「スペース・カウボーイ」でクリント・イーストウッドが「グレン議員も飛んだゼ」と高齢の自分たちが認められないことに反論する場面がある。「ライトスタッフ」でエド・ハリスが演じたのが、マーキュリー計画の一員で、後に77歳でスペースシャトルに搭乗する若き日のジョン・グレン。

ところで、この映画が製作されたのは冷戦真っ只中の1980年代。「ライトスタッフ」の後数年間には、名だたる反ソビエト的な作品が登場する。同じ年には防衛システムが少年にハッキングされる「ウォー・ゲーム」、翌年はソビエトがアメリカ本土に攻めてくる「若き勇者たち」、その翌年が少年がミグを撃ち落とす「アイアンイーグル」、ボクシングの米ソ対決「ロッキー4」。そして「トップガン」と続く。「ライトスタッフ」では、ロケットの炎を向こうで高笑いをするソビエト人がなんとも不気味な印象で映される。これも時代か。

ラストのイェーガーの勇姿。一事を貫く男のカッコよさにシビれる。







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グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち

2022-05-06 | 映画(か行)





◼️「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち/Good Will Hunting」(1998年・アメリカ)

監督=ガス・ヴァン・サント
主演=マット・デイモン ベン・アフレック ロビン・ウィリアムズ ステラン・スカルスガルト

ロビン・ウィリアムズは大好きな俳優の一人。僕が映画に夢中になり始めて映画雑誌を買い始めた頃、「ポパイ」で映画デビューした記事を目にしていた。その後の大活躍。好きな作品もたくさんあるし、彼が演じた人物や台詞に勇気づけられたこともある。2014年に亡くなるまでその活躍を観ることができたのは、同時代に映画ファンでいられたからだ。主演作で高く評価されて人気もあった彼だが、アカデミー賞を受賞したのはこの「グッド・ウィル・ハンティング」の助演賞のみ。だからどうだと言うつもりはない。この映画のマグワイア教授と同様、決して世間の評価を気にしてなどいないだろうし。

初めて観たのは日本公開当時。生息地の映画館での試写会だった。世間は「タイタニック」にキャアキャア言ってた頃で、僕はハリウッド大作離れが激しくなり、ヒューマンドラマに飢えていたから、当時の僕にはまさに"アタリ"だった。ベン・アフレックとマット・デイモンが手がけた脚本、ガス・ヴァン・サント監督の映像のつくり、ロビン・ウィリアムズの演技。文句のつけようがなかった。

さて。2022年4月にNHKが「多様性を考える」番組の一つとしてこの映画を放送した。なんでこの映画なんだろう。性的マイノリティが登場する場面なんてなかったし。「トーチソング・トリロジー」の方がいいんじゃない?と思った。ところが今回改めて観て、この映画を選んだ意味を考えさせられた。

この映画に登場する人物には様々な人がいる。(多少ネタバレを含む)孤児、里親による虐待、若くして遺産を相続したリッチ、学会で賞を獲得した成功者、妻を亡くして立ち直れない者、場末でくすぶってる者、才能ある者。出自、生い立ち、ついて回る過去がそれぞれを縛り付ける。ウィルを中心にした人物それぞれが抱えているものが観客に示される。それは対比される関係もあれば、才能への嫉妬めいた一方的なものもある。

僕らは多様性という言葉に向き合う時に、誰かをカテゴリーにはめ込んでいるのではなかろうか。性的嗜好が昔と違って呼び名が増えているように、宗教や人種の違いなど世の中には様々な人がいる。人々の生い立ちや生き方、考え方だって同じように様々だ。それを多様性と呼ぶことは間違いではない。尊重されるべきだし、否定されるべきではない。

この映画を番組のひと枠に選んだのは、ロビン・ウィリアムズが言う
「君のせいじゃない」
の台詞とあの場面が決め手だったのでは。それは"赦し"ではなくて、目の前にいる相手を"認めている"こと。誰もが欲しいのは理解してくれる誰かなのだ。マット・デイモンとロビン・ウィリアムズのこの場面と台詞が、視聴者に訴えたかったメッセージだと僕は思う。

(蛇足)
社会人になって最初の会社を辞める前の時期。先輩たちから、
「なんでお前がここにいるんだよ。」
と言われて、疎外感を感じていた。それから数年が経って、この映画を観た。ベン・アフレックが「親友だから言うけどな…」と、マット・デイモンに諭す場面。ベン・アフレックの顔に先輩が重なった。




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