Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

6月のBGM

2015-06-30 | 音楽
2015年6月に聴いていた愛すべき音楽たち。

■ノイタミナ FAN BEST/various
フジテレビ深夜アニメ枠「ノイタミナ」楽曲を集めたコンピ盤。「はちクロ」のYUKIをはじめ、「のだめ」「あの花」「サイコパス」など人気作のOP、EDがズラリ。アニメを見たことないものも多いが、一般的なアニソンの派手さとは違い、作品のテーマに沿った曲作りと凝ったアレンジが楽しい。欲を言えば「テルマエロマエ」(チャットモンキー)、「ブラックロックシューター」(初音ミク)、「龍ケ嬢七々々の埋蔵金」(私立恵比寿中学)「東のエデン」(Oasis)、それに「ピンポン」ED(メレンゲ)「墓場鬼太郎」ED(中川翔子)が欲しいところ。
ノイタミナ FAN BEST(Blu-ray Disc付)

YUKI 『ドラマチック~Co beau ver.~』


あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない ED secret base


■Achtung Baby/U2
このアルバムがリリースされた90年代初め。WTOの貿易交渉の中で著作権が問題視され、洋楽のCDレンタルが発売日同時に解禁されなくなった。思えばあの頃から、僕はしばらく洋楽離れが続き、同僚とのカラオケネタになりそうな邦楽ばっかり聴いていたっけ。僕がこのアルバムを手にするのは、リリースからかなり経ってからだった。まぁ、すぐに買えばよかったんだろうけど。社会人なりたてだったし、深夜まで忙しく仕事してた頃。そんな中でも、「自分の好きなことだけは時代について行かなきゃ!」と変なモチベーションを持つようになり、今の(マニアックな?)自分がある。音楽って記憶を呼び起こすキーになる。このアルバムもそのひとつ。
Achtung Baby

U2 - One - Anton Corbjin Version


■Moving Pictures/Rush
1曲目のTom Sawyerが特に好き。初めてMTV系番組で初めて聴いてからお気に入りだった。昔の話だが、プログレッシブロックを(ちょっと)好きと公言したら、ビーチボーイズ好きの友人に「友達なくすよ」と言われたことがある。某FM局のDJさんと仲良くなり、某レコード店の店長さんと呑もう!という話になった時に、僕がプログレも好きと聞いた店長さんに敬遠されたことがある(笑)。独特の様式美と大げさなアレンジ、やたら長い演奏時間。ウンチク語りたがるファンが多いジャンルなので、煙たがられるのかなぁ。あのオフコースだって、カンザスやボストンの影響をもろに受けてるんだけどねぇ。
Moving Pictures

Rush - Tom Sawyer


■The Best Of Extream/Extream
僕の90年代は洋楽離れ時代だったが、フレディ・マーキュリー追悼コンサートはそれを食い止める意味あるものだった。中でもExtreamが披露した圧巻のクィーンメドレーは素晴らしいのなんの。以後、後追いで聴くようになる。Cupid's Deadのキメがビシバシキマる演奏は、何度聴いても快感。音楽の引き出しが豊富なバンド。センセイと呼ばれる仕事していた頃、ある年の学園祭。隣のクラスにいたギタースゴ腕男子にアコギ弾いてもらって、恐れ多くもMore Than Wordsを歌った。あれはいい思い出だな。
The Best of Extreme

Extreme - More Than Words


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バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

2015-06-06 | 映画(は行)

■「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)/Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance)」(2014年・アメリカ)

●2014年アカデミー賞 作品賞・監督賞・脚本賞・撮影賞
●2014年ゴールデングローブ賞 男優賞(コメディ/ミュージカル部門)・脚本賞
●2014年LA批評家協会賞 撮影賞

監督=アレハンドロ・G・イニャリトゥ
主演=マイケル・キートン ザック・ガリフィナーキス エドワード・ノートン エマ・ストーン ナオミ・ワッツ

 2014年アカデミー賞のノミネート作品は、アメリカの大手映画会社の作品が少なく、インディペンデント系の作品が多かった。大手が派手なアクション、CG、アメコミ原作にキャアキャア言っている中、独創的な試みや斬新な切り口、テーマに挑む映画はすっかりメジャー映画会社の手から離れてしまった。そんな象徴的な年にオスカーを制したのが本作「バードマン」だ。かつて"バードマン"という娯楽作品で一世を風靡した男優リーガン・トムソンが主人公。今や落ち目の彼は、レイモンド・カーヴァーの小説を自らの脚色、主演で舞台俳優として新境地に挑もうとしていた。ところが共演する男優がトラブルで降板。代わりにやって来たマイクとは衝突するし、映画俳優を一流と認めない女性新聞記者は上演前から酷評すると宣言するし、アシスタントをさせている娘サムとは不仲だし、とにかく平穏な心ではいられない。次第に追い詰められて、荒れていくリーガンは、かつて自分が演じたヒーロー、バードマンの幻影を見て、会話するようになる。そして迫る初日の舞台。挑戦は成功するのか、それとも・・・。

 とにかくこの映画に驚かされるのが、全編に漂う緊張感だ。それぞれの場面に切れ目がない、いや切れ目を感じさせない編集にある。映像のつながりからいえば、いわゆるワンシーンワンカットに見えるように作られている。最新の映像技術やカメラワーク、巧みな編集作業によるものだが、それが自然に展開していくから次にどう展開するのか目が離せない。そしてドラマー、アントニオ・サンチェスの手による音楽。即興で音楽をつけた?とも伝えられるが、その見事なハマリ具合は、緻密な計算の上でやってるとしか思えない。それでも型にはまらない、自由な印象を受ける。複雑なドラムパターンや緻密なプレイが、登場人物の心理を表現するなんてこと、これまでの映画ではあり得なかった。映画という表現の新たな次元を見せつけられたような気がする。

 そんな切れ目ない映像が、銀幕に映し出された物語をよりリアルなものに感じさせる。だがその一方で、唐突に挿入されるファンタジックな映像。バードマンが「DEATH NOTE」の死神リュークの様に現れて話しかけ、リーガンの体が宙を舞い、指を鳴らすと突然市街地で戦闘が起こる。その唐突さ。そして何事もなかったかのように現実に引き戻される。そのリアルとファンタジーの振り幅が、観ていてどうしてこんなに心地よいのだろう。中国のジャ・ジャンクー監督も映画「長江哀歌」で唐突なリアルとファンタジーのスイッチを試みている。ストーリーに関係なく、オブジェがロケットになって打ち上げられたり、男女の劇的な再会場面でビルが崩れ落ちたりと自由奔放な表現があった。だが、あれはとにかく意味が(というか監督の意図が)全く理解できなくて、それまでのシリアスな空気を何故壊す?と怒りさえ感じた。しかし「バードマン」のリアルとファンタジーの振り幅はもっと豪快だ。それでも僕らがこの映画に苛立ちを感じないのは、リアル部分のドラマの深みと、ファンタジー部分に込められたリーガンの気持ちが理解できるからに違いない。かつてのバードマンのように空を飛ぶリーガンは、現実逃避でもあり、かつての自分に自信を取り戻そうとする気持ちでもあり、アイデンティティの確認でもある。

 「人間には幻想が必要なんだ。空気と同じようにね。」とは「ウディ・アレンの影と霧」に出てくる台詞。同じように「映画には夢が必要なんだ」と僕は思う。現実の厳しさに思い悩むリーガンの姿やダメ親父っぷりを銀幕のこっち側で観ながら、僕はいつの間にかダメな自分をリーガンに重ねていた。物語の結末も確かに夢をくれるけれども、挿入されるファンタジックな映像にこそ僕は夢を与えられたように思う。80年代「スーパーマン」のキャッチコピーみたく「あなたも空を飛べる」なんて言う気はない。ダメ男が頑張る映画にもらう勇気こそが、日々を生きる僕らの夢かもしれない。それでいいじゃない。賛否が分かれる無言のラストシーンだが、エマ・ストーンの表情を僕は肯定的に捉えたい。個人的お気に入り女優、アンドレア・ライズボローがこの映画でもいい仕事。

映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』日本版予告編




コメント (2)
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