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Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

裸の銃を持つ男PART33 1/3最後の侮辱

2025-05-21 | 映画(は行)


◼️「裸の銃を持つ男PART33 1/3最後の侮辱/The Naked Gun 33 1/3 : The Final Insult」(1994年・アメリカ)

監督=ピーター・シーガル
主演=レスリー・ニールセン プリシラ・=プレスリー ジョージ・ケネディ

レスリー・ニールセンのフランク・ドレビン警部シリーズ第3作。バカバカしさは相変わらず。だが、下品でベタな笑いが多かったこれまでとは違って、クスッと笑える小ネタとパロディを詰め込んでいる。それだけに公開当時だから伝わるギャグも多いし、ちょっとやり過ぎと思えるネタもある。前2作よりも観る人を選ぶ作品かもしれない。

いきなり冒頭に登場するのは、ブライアン・デ・パルマ監督作「アンタッチャブル」。駅階段の銃撃戦シーン(それ自体も「戦艦ポチョムキン」のオデッサの階段が元ネタ)のパロディ。シリーズ伝統の有名人そっくりさんも交えて派手な幕開けになっている。他にも「大脱走」「サタデーナイト・フィーバー」「テルマ&ルイーズ」を思わせる場面も。

退職したドレビンに警察から事件捜査の協力依頼が来る。もう銃は握らないと妻ジェーンに約束したが、そこは長年やってきた刑事の性(さが)。二人は仲違い。ドレビンは爆弾魔ロッコに近づくために刑務所に潜入し、接近に成功。ロッコと共に脱獄したドレビンは、ロッコが仕掛ける次なる爆破を阻止できるのか。

クライマックスはアカデミー賞授賞式。仕掛けられた爆弾を阻止するためにドレビンが大舞台に紛れ込んで騒動を巻き起こす。ここでもパロディがあれこれ炸裂。授賞式に招待されたスターの一人として、われらがアル・ヤンコビック登場!🤣(どんだけ好きなんだ、オレ)。アカデミー賞にノミネートされた作品も「ジュラシックパーク」などヒット作のパロディ。

リチャード・アッテンボロー(「ガンジー」でオスカー受賞)が監督賞候補となっているのは、マザー・テレサが暴食とダンスをするミュージカル映画!🤣。アル・ヤンコビックがかつてやった銃をブッ放す「ガンジー」のパロディを思い出す私(どんだけ好きなんだw)。

プレゼンターとしてマリエル・ヘミングウェイやラクウェル・ウェルチ、ジェームズ・アール・ジョーンズらがクレジットなしで登場する。映画ファンとしてはこうした小ネタが楽しくて仕方ない。プレゼンターの一人で登場するオリンピア・デュカキスは、助演賞を獲得したアカデミー賞授賞式で民主党大統領候補の甥を応援するスピーチをした人でもある。前作の民主党ネタの続きととるのは深読みのしすぎ?😁

ただ郵便労組過激派が暴徒として登場する場面や、FBI長官J・エドガー・フーパーを女装趣味のゲイとする小ネタはちょっと不謹慎な気もする。悪ノリもほどほどに。色仕掛けより緩衝材のプチプチの場面は好き🤣。爆弾魔ロッコ役がフレッド・ウォードっていいキャスティング。

エンドクレジットにも悪戯が仕込んであるのだが、今回は
"駐車している青のホンダアコード、ライトがついています"
と出てきます。探してみてねーw





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裸の銃を持つ男PART2 1/2

2025-05-19 | 映画(は行)


◼️「裸の銃を持つ男PART2 1/2/The Naked Gun 2 1/2 : The Smell Of Fear」(1991年・アメリカ)

監督=デヴィッド・ザッカー
主演=レスリー・ニールセン プリシラ・プレスリー ジョージ・ケネディ

フランク・ドレビン警部、今度はエネルギー業界にはびこる悪を打ち砕く大活躍。くだらないけど楽しい85分。

映画中盤、ある場面に釘付けになった。ドレビンとジェーンが結ばれる場面だ。抱き合う二人はたまに映るだけ。あとは行為や状態を連想させる様々な映像がつなぎ合わされるのだ。花弁がゆっくりと開き、雄しべとと雌しべがあらわになる。建ち並んだクレーンが傾きを、ミサイルの弾頭がゆっくりと向きを変え、ダムからは水が溢れる。最後は夜空に花火が満開となる。ふざけてる。ふざけてるにも程がある😨

でもこれほどアイディアに満ちて、下品なのに美しくて、登場人物そっちのけのラブシーンは見たことがない。こんなの他の誰にも撮れない🤩

映画のパロディ場面は見どころの一つ。特にデビッド・ザッカー監督の弟ジェリー・ザッカーの大ヒット作をネタにした場面はいいね。「カサブランカ」もサラリとネタにする。前作同様に扉にぶつかるギャグがしつこく繰り返される。ここまで徹底されるともう笑うしかない。

政治家のそっくりさん登場も前作同様。大活躍の後で大統領に促されたドレビンのスピーチがナイス。ブッシュ大統領の前で、よりによって民主党を持ち上げるひと言はダメでしょ🤣





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裸の銃を持つ男

2025-05-16 | 映画(は行)


◼️「裸の銃を持つ男/The Naked Gun : From The Files Of Police Squad !」(1988年・アメリカ)

監督=デヴィッド・ザッカー
主演=レスリー・ニールセン プリシラ・プレスリー ジョージ・ケネディ O・J・シンプソン

えーと今回が初鑑賞。公開当時は完全にスルーしていた。レスリー・ニールセンがこんな役を?「禁断の惑星」のハンサムな主人公だぞ。「ポセイドン・アドベンチャー」の(開始早々退場する)船長さんだぞ。何もこんな笑い者にならなくても…と思ってたのだ。

時を経てお気楽な80'sハリウッド映画に寛容になった僕(何様だ)。今回観た理由は、一瞬出てくるアル・ヤンコビックを確認するのと、女優しているプリシラ・プレスリーをちゃんと見たかったからw。なんせプリシラは三船敏郎共演の寝具CM(「うーん、寝てみたい♪」ってヤツねw)しか見たことがないもので(懐)🤣。



もちろんリーアム・ニースン主演でリメイク製作が決まったのもある。

冒頭のそっくりさん首脳会談から楽しい😆ゴルビーの頭拭いたのはいいね。世界情勢も今ほど緊張感なかったんだろか。続くタイトルバックのくだらなさ。パトカーどこ走ってんねん!🤣

エリザベス女王の警備にあたることになった主人公フランク・ドレビン警部。会見から失態続き。同僚役はジョージ・ケネディが不憫で仕方ないけれど、それでもドレビンへの仲間意識は変わらない。怪しい実業家の事務所でのドタバタ劇から、再び忍び込んで火災を起こす。この脱出劇のベタで下品な下ネタにもクスクス。…歳とると笑いのハードル低くなるのかな💧

プリシラとの海辺のデート場面、好き。
安全性交…続く場面に爆笑🤣

映画後半。女王が野球観戦する場面からのしつこくてノリノリのギャグ連発にはさすがに呆れてしまう。くだらねえ、でもなんか楽しいからよし。台詞や小ネタでクスッと笑わせてくれるのが好き。「警官が好きなの♡」のひと言でドレビン以外の警官が浮き足立つギャグ、犯人アジトに踏み込む刑事の失態、ナイスです。

われらがアル・ヤンコビックは、ドレビンと同じ飛行機から降り立つロックスター役。一瞬映るだけなのに「よりによってこいつかよ!」🤣と笑えるのは、彼の替え歌に笑った80年代育ち限定か。







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砲艦サンパブロ

2025-04-20 | 映画(は行)


◼️「砲艦サンパブロ/The Sand Pebbles」(1966年・アメリカ)

監督=ロバート・ワイズ
主演=スティーブ・マックイーン リチャード・クレンナ キャンディス・バーゲン リチャード・アッテンボロー

1920年代の中国は戦乱の時代。国民党と共産党が、軍閥を打倒する戦いが各地で起こっていた。不平等条約による欧米列強の支配はまだ色濃く残り、各地に軍隊が駐留していた。主人公である機関兵ホールマンが赴くガンボート(砲艦)サンパブロ号もその一つ。

艦内にはいつしか中国人が住み着き、厨房から機関室までアメリカ兵の末端の仕事はほぼ中国人が理屈も分からずやっている状況だった。エンジンを動かすことこそ任務とのプライドがあるホールマンは、艦内の風潮や状況に異議を唱え、怠惰な任務にあたる他の兵たちとはなじめずにいた。さらに彼が関係する中国人の相次ぐ事故やトラブルでの死亡。艦長からも転属を勧められる。一方、陸に上がれば欧米列強を排斥しようとする人々との対立は続く。そんな中、兵士の一人が酒場の中国人女性を救おうと行動を起こす。

ロバート・ワイズ監督はミュージカル映画もあれば高度なSF映画もあり、潜水艦ものの名作戦争映画もあれば、反戦映画もある。「砲艦サンパブロ」も「サウンド・オブ・ミュージック」と同時期の作品なので、振り幅の大きさを感じてしまう。だけど異なる考えや文化が接することで起こる出来事、悲喜劇を描いた作品が多いのは、どこか筋が通っているようにも思える。

この映画での中国人との関係は、非常に複雑だ。船内で働く人々、陸で横断幕を掲げる人々、アメリカ兵を慕う人々、憎しみの視線を送る人々。何かよい方向に向かいそうな関係が築かれそうで、それが政局と言う抗い難い時代の空気に押しつぶされていく。マコ岩松演ずる機関室の青年との信頼関係、布教活動をするアメリカ人を慕う若者たち、アメリカ兵と愛を確かめ合う女性。それらは次々と混乱と戦闘の中で失われていく。インターミッション付きの長尺人間ドラマは辛い結末を迎えるが、ここに込められた反戦への思いは十分に伝わってくる。スティーブ・マックイーン主演作といえばアクションを期待されるところだが、ここではシリアスな役柄に徹している。

リチャード・アッテンボロー演ずる兵士が救う中国人女性役はマラヤット・アンドリアンヌという女優さん。後に彼女はエマニュエル・アルサンの名前で、小説「エマニュエル」(「エマニエル夫人」原作)を書く。



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ビリー・ザ・キッド/21歳の生涯

2025-04-11 | 映画(は行)


◼️「ビリー・ザ・キッド/21才の生涯/Pat Garrett and Billy the Kid」(1973年・アメリカ)

監督=サム・ペキンパー
主演=ジェームズ・コバーン クリス・クリストファーソン ジェイソン・ロバーツ ジャック・イーラム

昔から興味はあったけどなかなか観る機会がなかった「ビリー・ザ・キッド/21才の生涯」。今年は、「名もなき者」を観て以来ボブ・ディラン関連作に手が伸びる。今回が初鑑賞。監督はバイオレンス描写で語られることの多いサム・ペキンパー。ディランは音楽を担当し、ビリーの仲間の一人として出演。名前は主役2人の次に映し出され、しかもメインタイトルの前という準主演扱い。ナイフの扱いも得意なガンマンを演じている。

保安官となったパット・ギャレットが友人でもあるビリー・ザ・キッドを追い詰めていく様子が描かれる物語。タイトルこそビリーだが、この映画の主役はあくまでもパット・ギャレット。かつては一緒に悪さもやった仲間を追わなければならない。年齢を重ねて、生き方や立場が変われば、ままならないこともある。ジェームズ・コバーンは、そんなパット・ギャレットの冷静に見える行動とその裏にある心の揺らぎを、無駄口を叩かずに態度で示してくれる。70年代の漢(おとこ)映画は、台詞に頼らずにジワーッと伝わるものが多いが、本作もその一つ。本業は歌手のクリス・クリストファーソンは、逆境に屈しないタフなビリーを演じている。

ビリーがメキシコに向かって逃げる先で起こす騒動やさらなる殺人。それを追うパットが出くわす様々な人々との小さなエピソードが積み重なっていく。ビリーの行方を知るガンマンが立てこもる家を、スリム・ピケンズ演ずる老保安官とそのメキシコ人妻と共に取り囲んで迫る場面。腹を撃たれてヨタヨタと歩く夫を、涙を流して無言で見守る妻の表情が強い印象を残してくれる。妻を演ずるのは名作西部劇「真昼の決闘」のカティ・フラドー。そしてこの場面に流れるのが、ボブ・ディランの名曲Knockin' On Heaven's Door(天国の扉)だからたまらん🥹

西部劇の音楽というと、「荒野の七人」「大いなる西部」みたいな勇壮なオーケストラ楽曲を思い浮かべるが、本作はギターとブルースハープと重なる男声のコーラス。その響きはガンアクションや飛び散る血しぶきの映像と違って激しさはないが、確実に映像を観客の記憶に刻みつける助けになっている。

何よりも素晴らしいのはクライマックス。ビリーが女性と抱き合う家までたどり着いたパット。いきなり踏み込むのではなく、男女の営みが終わるのを待っているかのように、ウッドデッキで座って待っている。そして向き合った2人の間を銃弾が走る。パットはかつての友を撃った自分の姿が映る大きな鏡に向かって、もう一発銃弾を撃ち込む。この一発に込められた気持ちを考えると強烈に切なくなる。そして、殺した証拠にしようとビリーの死体から指を切り落とそうとする助手を銃の台尻で殴り倒す。

ビリーの死体のそばで夜を明かしたと思われるラスト。黙って村を後にするパットに子供が幾度も幾度も石を投げつける。クライマックスからラストシーンまで台詞はほんのわずかしかない。それなのに胸が苦しくなるこの切なさはなんだ。ジェームズ・コバーンの背中に漢(おとこ)の無言の悲しみをみた。サム・ペキンパー監督作でこんな切ない気持ちになるなんて🥺。

法で秩序が作られる時代となる西部開拓時代の終わりと、ビリーとパットが駆け抜けた若き日の終わりでもあるのだ。

ビリー・ザ・キッドの最期を描いた映画というと、僕ら世代は「ヤングガン2」を思い浮かべる。あの映画で富豪で大牧場主のジョン・チザムを演じていたのはジェームズ・コバーン。本作へのオマージュなんだろう。



宅配レンタルDVD、115分のスペシャルエディションで鑑賞。




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フィデリテ 女写真家ソフィー

2025-03-27 | 映画(は行)


◼️「フィデリテ 女写真家ソフィー/La Fidélité」(2000年・フランス)

監督=アンジェイ・ズラウスキー
主演=ソフィー・マルソー パスカル・グレゴリー ギョーム・カネ

アンジェイ・ズラウスキーとソフィーが組んだ最後の作品で、日本は劇場未公開。「女写真家ソフィー」のタイトルでDVDがリリースされている。2025年「不倫 美しき妻の告白」のタイトルで配信が始まった。ソフィー・マルソーファンの私だが、ソフィーを主役に据えたズラウスキー監督作に気に入った映画がない。本作はDVD買ってまで観るか?と敬遠していたので、今回の配信はありがたい。

本作はフランス文学の古典「クレーヴの奥方」の翻案。17世紀に書かれた原作は、貴族階級男女の三角関係ドラマで、これまでも様々に趣きを変えて映像化されている。フランスでは古くさいものの例えとして「クレーヴの奥方」が出されるのか、政治的な発言で引用されたこともある。当時それに対するアンサーとして製作されたのが、現代の学生を主役に改変したレア・セドゥ主演作「美しいひと」。時代を越える普遍的なテーマであることを訴えたかったのだ。アンジェイ・ズラウスキーは現代の出版業界を舞台にして、写真家のヒロインとその歳上の夫、彼女に惹かれる同僚カメラマンの三角関係のドラマに仕上げた。

では本作が文芸作品の映画化らしい"品がある"映画かと言われたらさにあらず。そこはズラウスキー作品らしく、突然誰かが叫び、疾走し、服を脱ぎ、男女が絡みあい、殴り合い、銃撃戦が起こる。複雑な登場人物の構成が、乱れた相関関係でさらにややこしくなり、劇中撮影された写真はやたら陰部を映すからボカシだらけ。しばしば不快にさせられる。

それでも160分強を飽きずに乗り切ることができるのは、原作のストーリー軸がしっかりしてるから。臓器売買やスキャンダル報道の不穏な空気をまとっても、話が破綻せずにちゃんと進行している。そして、これまでのズラウスキー作品ではニコリともしない役が多かったソフィーが、いろんな表情を見せてくれるからだ。

ヒロインのクレリアは、年下の同僚カメラマン、ネモに惹かれながらも自ら夫を裏切る行為はしていない。それを夫に疑われ続けるのは「クレーヴの奥方」通り(ちょっと疑問ではあるが)。しかし夫を心配させる行動をとってるのは確かだし、ネモへの好意はしっかりアピールしている。ネモと2人でスカッシュする場面、胸の汗を拭いたタオルをネモの前に残していく場面なんて、そりゃドキドキさせちゃうよね。

クレリアとネモが写真家としての感性が近いことを作品を示して映画は終わる。男女として惹かれると同時に、表現者として共鳴していたのだ。ズラウスキー作品にしては意外と素直に観ることができる映画でございました。


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ベルナデット 最強のファーストレディ

2025-03-23 | 映画(は行)


◼️「ベルナデット 最強のファーストレディ/Bernadette」(2023年・フランス)

監督=レア・ドムナック
主演=カトリーヌ・ドヌーヴ ドゥニ・ポダリデス ミシェル・ヴュイエルモーズ サラ・ジロドー

政治家を主人公にした映画はあれこれあるが、ファーストレディが映画の主役となるとジャクリーン・ケネディくらいしか思いつかない。本作はフランスのジャック・シラク大統領夫人ベルナデットを主人公にして、"事実を自由に脚色"して製作されたコメディ。

映画冒頭、合唱隊が"事実に基くけども自由に脚色してます〜♪"とナレーションを歌いあげる。ウディ・アレンの「誘惑のアフロディーテ」は、本筋に関係ないギリシア悲劇を演ずる俳優がナレーターと主人公への忠告者となる演出で面白がらせてくれたが、本作では合唱隊がナレーションだけでなく製作の狙いまで歌って説明してくれる。これでツカミはオッケーだ。

シラク夫妻の間に起こった公私様々な出来事をよりドラマティックに、より面白おかしく見せてくれる。パリで重要な事件が起きた時、シラク大統領はイタリア女優と密会していたという現実のエピソードも登場し、笑わせてくれる。シラク大統領を演じたミシェル・ヴュイエルモーズは、かなり本人に風貌を寄せている。しかしカトリーヌ・ドヌーヴは主人公であるベルナデットに全く寄せていない。古風でお堅いイメージと描かれるベルナデットは、僕ら映画ファンがカトリーヌ・ドヌーヴに持つ、おしゃれで進歩的なイメージとは正反対だ。

しかし、大統領夫人という立場は夫の引き立て役になることを求められがち。映画でも前半から目立つな、つまらない事を言うな、黙っていろ、妻の行動で大統領のイメージを壊すな、とあれこれ注文をつけられる。夫たる大統領だけでなく、補佐役の娘クロードからもだ。"時代遅れ"と評された大統領夫人のイメージアップのために顧問としてベルナール・ニケがつけられる。ベルナデットは過去のニケの印象から頼りにならないと決めつけるのだが、次第に2人は互いのいいところを導き出して快進撃を始める。

見た目から始まったイメチェンは、地方議員でもあるベルナデットの評判も上げていく。そんな彼女を好ましく思わない大統領の側近たちは、選挙情勢や政治に対するベルナデットの助言に耳を貸さない。しかしいちばん現実の感覚に近いのはベルナデット。やがて古風と言われたファーストレディは人気を獲得していくことになり、落ち目になりつつあった大統領の立場を救う活躍を見せることになる。

脇に追いやられた女性が自分を取り戻し、大統領と家族を守るために毅然と立ち向かう姿は、とにかくカッコいい。フランソワ・オゾン監督作「しあわせの雨傘」でもドヌーヴは、飾り物の社長夫人から自分にしかできないことを見出して輝くヒロインを演じている。本作のベルナデット役は、そのイメージと重なる。実在の人物を面白おかしく演じるだけでなく、本人のパブリックイメージをアップさせるようないい仕事。これは日本映画ではなかなかできない。

助演陣がみんな素晴らしい。あまり出演作を観ていないのが申し訳ない。顧問ニケ役のドゥニ・ポダリデスのコミカルな働き。娘クロードを演じたサラ・ジロドーは政界で頑張りながらも、自分に無理をしている弱さを感じさせて好演。ひと癖ある魅力的な人々が楽しませてくれる。





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ボブ・ディランの頭のなか

2025-03-16 | 映画(は行)


◼️「ボブ・ディランの頭のなか/Masked and Anonymous」(2003年・アメリカ=イギリス)

監督=ラリー・チャールズ
主演=ボブ・ディラン ジェフ・ブリッジス ジェシカ・ラング ジョン・グッドマン ペネロペ・クルス

南米らしき政情不安な某国。チャリティコンサートが企画されるが当然アーティストが集まらない。そこで服役している伝説のシンガー、ジャック・フェイトに白羽の矢が立つ。コンサート本番が近づく中、大統領には死が迫っていた。

ボブ・ディランが主役のジャック・フェイトを演じ、脚本、音楽を手がけた作品。共演陣がジェフ・ブリッジス、ジェシカ・ラング、ペネロペ・クルス、ジョン・グッドマン、ミッキー・ローク、ヴァル・キルマーなどなど豪華な面々なので、そちらで興味を持つ方もいるだろう。だがとことんカオスな雰囲気の怪作で、フツーの映画を期待すると呆気にとられるかもしれない。

ディランの歌詞と同じく、含みのある表現の台詞が時折挟まれる。原題Masked and Anonymousは、ヴァル・キルマーが喋り倒す台詞の中にチラッと出てきて、顔や名前を出さずに文句や意見だけは言う人々を皮肉るような意味に思えた(違ってたらごめんなさい)。また、主人公がインタビュー嫌い(素のディランぽいw)で、ジェフ・ブリッジス演ずる記者が何か引き出そうと次々に話題を投げかけるが何も答えない。"答えは風の中"ってことなのか。

音楽はディラン自身のライブ演奏もたっぷりあるが、様々なアーティストのディラン楽曲カバーが使われてるいるのが面白い。レゲエぽいLike A Rolling Stone、ソフィー・セルマーニのMost of The Time。オープニングで流れるのは真心ブラザーズのMy Back Pages日本語カバー🤩
あの頃の僕より今の方ずっと若いさ♪

少女がジャックに歌を聴かせたい、とやって来て「時代は変わる」をアカペラで歌う。主人公の過去の作品ということのようだ。政変が今にも起ころうとする中で、この曲が周囲の大人の感情を揺さぶる。大統領の死、側近による武力弾圧が起こるクライマックス。エンドクレジットではアレンジが大きく変わった「風に吹かれて」が流れる。国の行く末が混沌とした映画の結末に、ちょっと投げやりに歌われた"答えは風の中"と歌詞が重なる。不思議な余韻。

メタリカのTシャツ着て高速で十字を切って祈るペネロペ・クルスがきゃわゆい。






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フライト・リスク

2025-03-11 | 映画(は行)


◼️「フライト・リスク/Flight Risk」(2024年・アメリカ)

監督=メル・ギブソン
主演=マーク・ウォールバーグ ミシェル・ドッカリー トファー・グレイス

メル・ギブソンが監督のみを手がける新作。マフィアの金の流れを知る重要参考人を確保した保安官補。セスナ機で移送することとなった。後部座席に繋がれた参考人が、目の前のパイロットとは違う顔写真のライセンスが床に落ちているのを見つけた。果たして無事に目的地に到着することはできるのか。

ワンシチュエーションで引っ張る91分。近頃のハリウッド映画は長尺の作品が多い。中には無駄に長さを感じる映画もあって、イラつくこともしばしば。その中で91分という上映時間は潔い。われわれ観客が観るのは飛行機内の3人芝居、そこに無線で会話する数名が声だけで絡んでくる。それだけで事態が刻一刻と変わっていくからなかなか面白い。全く無駄がないのだ。

これが地上でのドラマが並行していたらどうだろう。きっと間延びして見えたのではなかろうか。この映画は観客を飛行機に一緒にいるような感覚にさせることに面白さがある。情報量は彼らと同じ。いや、ナイフがどこにあるとか、マーク・ウォールバーグが後ろで何やってるとか、観客がちょっとだけ情報量が多いだけに、ハラハラすることになる。

飛行機に乗り込んだ場面での会話で、主人公はフライト時間を尋ねる。
「90分くらいだ」
おっ!上映時間とほぼ同じ!?映画の時間経過と上映時間が同じって、往年の「真昼の決闘」以来じゃないのか?これは無駄がない故にできること。短い尺の中に二重三重のハラハラ、短い会話の中でキャラクターの過去やキャラクターがきちんとが表現されている構成のうまさ。陽気な管制官が好き。窮地に立ったヒロインの緊張を和らげるために軽いキャラを演じてたのかもしれないが、あの話術はいいね。

ハートに残る教訓や感動がある映画ではない。だけど観ている間、ずっとドキドキハラハラさせてくれる映画ではある。映画館の外側のことを忘れさせてくれる91分であることは保証できるかもw。

テレビ放送するならテレ東向きのテイストではあるけれど、91分を侮るなかれ!2時間枠ならノーカット!



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パピヨン

2025-02-08 | 映画(は行)


◼️「パピヨン/Papillon」(1973年・アメリカ=フランス)

監督=フランクリン・J・シャフナー
主演=スティーブ・マックイーン ダスティン・ホフマン ヴィクター・ジョリィ

無実の罪でフランス領ギニアの囚人植民地の刑務所に連れてこられた主人公。過酷な状況、度重なる裏切りに耐えながら脱獄をしようとする物語。

2017年のリメイク版では、囚人となる前に何が起こったかを明確にして、実話であることを強調したつくりになっていた。本作はそうした部分はほぼバッサリ。パピヨンの彼女やドガの妻も出てくるがほんの一瞬。それよりもギニア到着までの道中と獄中の描写に時間をかけている。特にギニア到着までは、金目当てにドガを狙う他の囚人たちの存在が緊張を途切れさせない。パピヨンが彼らからドガを守ったことで、2人は信頼と友情を得ていく。

今回40ウン年ぶりに観て思うのは、とにかく台詞が少なくて映像があまりにも有弁なこと。何が起こっているかが映像だけで納得させてくれる。独房に入れられたパピヨンのひとり言さえ蛇足に思えたほどだ。

映画は活動写真から発達したから映像で物事を示す作り方だが、テレビドラマはラジオがルーツだから説明が多くなる。昔の映画を観るとそれを改めて実感させられる。クラシック映画に出てくる男優って寡黙でカッコいいイメージがあるが、今の映画のように無駄に喋ってないんだろうな。

病院棟から抜け出して脱獄を実行する夜の描写では、所長宅の演奏会を手伝うドガと、逃げ出そうとするパピヨンらを、ひとつの構図の中で映し出す。看守らや人々の目線の位置関係は一目瞭然。見守るドガがいかに緊張しているかを示すカットを入れて、緊張感のある場面に仕上げている。

裸族の村に流れ着いたパピヨンの様子には、もはや言葉など不要だ。村の長がパピヨンの胸にある蝶の刺青を気に入って、自分にも描いてくれと要求する場面。朝目覚めると村人が姿を消している場面。全て無言。でも伝わる。

その後刑務所は閉鎖されたと短い字幕があり、エンドクレジットの背景に刑務所の跡地が映される。最後の最後でシャフナー監督が実話だと映像で示したものだろう。最後まで言葉が少ない映画。それだけにパピヨンの最後の叫びが、ジェリー・ゴールドスミスの音楽と共に心に残る。

「俺は生きてるぜ!バカ野郎!」




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