Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ハスラー2

2021-09-27 | 映画(は行)





◼️「ハスラー2/The Color Of Money」(1986年・アメリカ)

監督=マーチン・スコセッシ
主演=ポール・ニューマン トム・クルーズ メアリー・エリザベス・マストラントニオ ヘレン・シェイヴァー

初めて観たのは大学時代。友達の家で呑みながらビデオで観た。硬派な映画ファン気取ってヒット作を映画館で観るのを避けていた当時の僕は、「トム・クルーズの映画なんて14型のブラウン管で十分」と、この映画のトム君並みに生意気な事言ってた時期。とにかくトム・クルーズ演ずるビンセントの態度や言動にイラついて、今振り返ると僕のトム・クルーズ嫌いを決定的にした作品かもしれない。それ以来観ていなかった。今回30年ぶりくらいに再鑑賞。

生意気なトム君にイライラするのはやっぱり同じ。だけど改めて観ると、ポール・ニューマンが若い頃「ハスラー」で演じたエディ役に再度挑んだ本作は、初老男のカムバック映画としては十分にカッコいい。持論を押しつけたり、今の自分を思い知らされて勝手に落ち込んだりする姿は身勝手にも見える。けれど、エディの年齢に近づきつつある今の自分の歳で観ると、調子に乗ってカモにされてしまった後の落ち込み方も、長い付き合いの女性への振る舞いも、不器用な男の姿として仕方ねえよな、とちょっとだけ理解もできる。それだけに映画後半、若手の胴元ではなく、自らキューを手に大会に挑む姿は実にカッコいい。

(以下結末に触れてます)
そしてクライマックスは、大会での師弟対決。行き詰まる熱戦になると思いきや、ビンセントは賭け金で儲けるためにエディとの真剣な勝負を避けていたことを知らされる。わざと負けることで、後でうまく儲けることをビンセントに指南したのはエディ自身。ビンセントはそれを嫌がっていたのが、映画前半二人の対立の軸だった。しかし、勝利することに気持ちが向いていたエディとの試合で、賭け金のためにそれを実践したビンセント。よりによって自分との試合で手加減をされたエディは傷つくことになる。皮肉な結末。しかし、そこで終わらないのがこの映画。ポール・ニューマンが最後に言い放つ「復活だ!」のひと言。この映画での主演男優賞は"功労賞"とか言うけれど、若い頃じゃ出せなかった深みがあるとも思える。個人的にベストアクトは「評決」だと思ってますが。

ブルージーなロックを中心にした挿入歌たち、80年代的な派手さはないけどいい雰囲気だ。ドン・ヘンリー、エリック・クラプトン、ロバート・パーマー、フィル・コリンズなどなど。音楽担当はザ・バンドのロビー・ロバートソン。マーチン・スコセッシとは記録映画「ラストワルツ」からのご縁。メアリー・エリザベス・マストラントニオがセクシーな彼女役で素敵です。




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グッバイエレジー

2021-09-25 | 映画(か行)


◼️「グッバイエレジー」(2017年・日本)

監督=三村順一
主演=大杉漣 吉田栄作 藤吉久美子 石野真子

故郷と疎遠になっていた映画監督が、友人の訃報を聞いて北九州に戻ってくる。亡くなった友人がその後どう過ごしていたのかを聞き、彼の考えや行動に想いを馳せる。残された友人の妻と息子、仲間たちとの心の触れ合い。年老いた父を励ましながら、街の小さな映画館を切り盛りする幼なじみとの再会。故郷でつながる人と人。亡き友がつないでくれた人間関係。

「ライフ・オン・ザ・ロングボード」で人生の転機に向き合う男を演じた大杉漣が、この映画でも友人の姿を通じて自分の人生を見つめ直す様子が心に染みる。それは多分、この映画を観ている自分自身も年齢を重ねてきているからだろう。若い頃にこの映画を観ていたら、初老男のおセンチな映画だと言い放っていたかもしれない。映画は観る年齢や人それぞれで感じ方が違って当然。吉田栄作演ずる友人の半生は、自分を重ねる程の共通点はないけれど、彼のまっすぐな生き方はいろんなことに日々翻弄されてる観客目線だと、ちょっとカッコよくも見える。

監督の出身地である北九州市ロケ作品。実在の映画館や団体もそのまんま出てきて、小倉や門司港の街並みが映される飾らない現実感がいい。気丈に地上げ屋に立ち向かう映画館主を演じた藤吉久美子、友人の妻を演じた石野真子も違和感なくこの土地の空気に溶け込んでいる役づくり。

「彼の半生を映画にします。彼とまた映画で会いましょう」と宣言する主人公に、遺族の気持ちとか企画通るかとか大丈夫なの…?と最後に冷静な気持ちにさせられた。多少の物足りなさもあるが、全体的には悪くない。「小倉の男やから」「門司の男やもん」とディープな地元愛が込められている。



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殺しのナイフ/ジャック・ザ・リッパー

2021-09-22 | 映画(か行)


◼️「殺しのナイフ/ジャック・ザ・リッパー/Jack's Back」(1987年・アメリカ)

監督=ローディー・ヘリントン
主演=ジェームズ・スペイダー シンシア・ギブ ロッド・ルーミス

切り裂きジャックが現代に蘇る!?。かつてロンドンを震え上がらせた連続殺人鬼の手口を真似た事件が、現代のロサンゼルスで起こる。犯人との疑いをかけられたまま死んだ弟の汚名を晴らすべく、双子の兄が立ち上がる。

ジェームズ・スペイダーが双子の兄弟を演ずるサスペンス映画。精神的な刺激が双子の間で伝わる一種のテレパシーを、サスペンスの材料に用いたアイディアが見どころ。いわゆる"コルシカの兄弟"的なエピソードである。その発想自体は面白いのだが、肝心な犯人像が今ひとつで、映画としては後半に向けてトーンダウンするのが残念。

そこを補ってくれるのが、80年代アイドル女優視されていたシンシア・ギブ。下着姿で逃げまどう姿はきっと心に残る。




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母の恋人

2021-09-19 | 映画(は行)


◼️「母の恋人」(2015年・日本)

監督=上野貴弘
主演=水島裕子 佐々木心音 菅原昌規 鈴木智絵

水島裕子は、80年代グラビアアイドルだった頃大好きだった。主演したロマンポルノ2作も観たし、90年代になって発表した小説も、男と女の体温が伝わるようないい文章で気に入っていた。その後に発表された写真集にも小説めいた文章が添えられていて、表現者を貫こうとしているのは素敵だな、と思うのだ。演技に関しては高い評価はできないけれど、この「母の恋人」でもかつての水島裕子らしさが健在な気がして、ちょっと嬉しかった。

されど。

映画としては物足りなくて仕方ない。この短い尺では、母と娘の葛藤を掘り下げられる余裕がない。Amazon Primeで観たせいじゃないと思うけど、レーティングがPG-12!。佐々木心音も出てくるのに露出そこまで!?えーっ!?😩

娘の同級生と恋してしまう、アラフィフバツイチ女性。彼女の戸惑いは分からんでもないけど、彼女に恋しちゃう大学生男子がお話の上で多くを語られない都合のいい存在に成り下がっているのがなんとも残念。そもそも「母の恋人」ってタイトルが、娘の視点のものに思えた。同じ男性と母も娘も関係しちゃう話なんだから、「桜の樹の下で」的なドロドロを期待した自分が悪かったかも。肩透かしを喰らった感じでさぁ。

それでも、水島裕子の台詞が、若い頃繰り返し見たイメージビデオでのしゃべりそのまんまなの響きだったのは、ちょっと嬉しかったのでした。




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レミニセンス

2021-09-17 | 映画(ら行)


◼️「レミニセンス/Reminiscence」(2021年・アメリカ)

監督=リサ・ジョイ
主演=ヒュー・ジャックマン レベッカ・ファーガソン タンディ・ニュートン クリフ・カーティス

温暖化で海水面が上昇し、多くの陸地が水没。昼間は高温で活動できないので、人類は夜行性になっている…という世界。70年代からダークな未来観のSF映画をあれこれ観て育ったけれど、こういう未来を映画で示されても、なくはないよな、と思ってしまう今日この頃である。

夢に潜入して事件に挑むお話…と聞いていたし、クリストファー・ノーラン弟の製作なので、「インセプション」を期待していた。されど主人公が依頼を受けて事件の為に記憶をのぞき見るのはそれ程長い尺でもなく、彼が執着してしまった女性を他人の記憶の中でただひたすらに追い続ける物語。現実と記憶の映像が入り乱れるのだけど、「TENET」のように時間軸が絡み合うこともなく、「インセプション」のように複雑な多重構造でもない。主人公は危険も冒すけれども、装置を通じて映し出される記憶の映像から真実を見出そうとする物語。

キャッチコピーにある「潜入」めいた話ではない。原題は「回想」の意味だもの。他人の記憶の中を行き来して、バーチャルイメージの中で大活躍めいたことをすると期待してはいけない。見どころはその女性を取り憑かれたように追い続けるヒュー・ジャックマンの狂いっぷり。しかしそれは他人の記憶を再生して見ているだけでしかない切なさ。これは究極のすれ違いラブストーリーだ。

楽しかった記憶にすがって生きたり、装置で追体験を繰り返したりする人間の欲望はよくわかる。この思い出があれば生きていける…って気持ちは誰にでもあること。そこは共感する。「ストレンジ・デイズ」のレイフ・ファインズが、麻薬のように愛の記憶に溺れていたのも思い出させる。人は何かにすがって生きていくもの。

あなたがレベッカ・ファーガソン目当てなら、この映画損はない。



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インタビュー・ウィズ・バンパイア

2021-09-16 | 映画(あ行)


◼️「インタビュー・ウィズ・バンパイア/Interview With The Vampire : The Vampire Chronicles」(1994年・アメリカ)

監督=ニール・ジョーダン
主演=トム・クルーズ ブラッド・ピット キルスティン・ダンスト スティーブン・レイ

この映画のラストシーン覚えてますか?。復活したレスタト(トム・クルーズ)がクリスチャン・スレーターを車中で襲うのだが、その時にカーラジオから流れてくるのが、ガンズ・アンド・ローゼスの「悪魔を憐む歌」。そしてエンドクレッジットに突入、というやたらかっこいい展開。これにはシビれた。

吸血鬼ルイ(ブラッド・ピット)を語り部として展開される壮大な物語も、全編に漂う怪奇ムードもいい。この頃のニール・ジョーダン監督作はどれも面白かったもんなぁ。トム・クルーズ嫌いを公言する僕にとっては、初めてトム・クルーズをカッコいい!と思った記念すべき映画でもある。わが配偶者は”あのコスチュームプレイをカッコいいと思ったのよ”と冷静に言う。一理あるかも。子役時代のキルスティン・ダンストの名演技は、多くの方々も言うように素晴らしい。

でも、僕がこの映画で最も好きなのは、ルイが生きてきた長い長い時間を表現するのに、映画をつなぎ合わせて表現した場面だ。吸血鬼は太陽を見ることができない。しかし、スクリーンに映し出された太陽なら観ることができる。吸血鬼にしかわからない感動。それをリュミエールの時代の映像から始まって「スーパーマン」に至るまでつないで見せたうまさ。ここに惚れたと言っても過言ではない。

さて。冒頭で述べたガンズ・アンド・ローゼスの楽曲。オリジナルは、ローリング・ストーンズ。ケネディ暗殺の年(1963年)発表だけに、当時はこの曲が暗い世相を表現したものだ、と評判になった名曲。ロバート・デ・ニーロの「ザ・ファン」のオープニングでもこの曲が印象的に使われている。ガンズのカバーは、オリジナルの雰囲気を壊さずに、彼ららしい激しさで見事な演奏だと思う。リズムセクションのアレンジも、スラッシュのギターソロも。電子音が鳴り響いていた80年代の最後に音楽界に風穴を開けてくれたバンド。ガンズほんっと大好き。

それにしてもニール・ジョーダン監督作で使われた主題歌(挿入歌)、好みなんですよねー。「クライング・ゲーム」のボーイ・ジョージ、「モナリザ」のジェネシス。








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あなたのトム・クルーズはどこから

2021-09-14 | 映画・ビデオ



Twitterのハッシュタグから。
お題は
#あなたのトムクルーズはどこから

初めて観たのは多分「トップガン」。同時代的に主演作はあれこれ観てるのだが、とにかくええカッコしいで、女優とイチャイチャする印象しかなくて、観れば観るほど嫌いになった。エリザベス・シューと温泉でイチャイチャ、部屋を訪ねてきたリー・トンプソンとイチャイチャ。親の留守中にレベッカ・デモーネイ呼んでイチャイチャ。

あー嫌い😖

「ミッション・インポッシブル」もやっぱりええカッコしいなんだけど、ブライアン・デ・パルマ監督を起用したセンスにオッ?と思った。トムは嫌いだけどこれ、好きだなー。

「インタビュー・ウィズ・バンパイア」は、初めてトムが演じた役をカッコいいと思った。いやいや、俺はあのコスプレ感が気に入っただけだ。決してトムをカッコいいと思ったわけじゃない。

なーんかトム主演のSF映画とは相性がいいみたいで、不思議と嫌いな映画がない。「オブリビオン」も、日本原作の長いタイトルのやつも、みんなが酷評する「宇宙戦争」も。いちばんのお気に入りは「バニラスカイ」かなー。でもこれらは監督の評価が大きい。決してトムじゃない。

でも、今は無茶ばかりやる彼をどこか応援している自分に気づいている。おかしいな。かつて「トムの映画なんて14型テレビで十分」とか生意気なこと言ってたのに、意外と映画館でちゃんと観てたりする。

あれー?
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キネマの神様

2021-09-10 | 映画(か行)

◼️「キネマの神様」(2021年・日本)

監督=山田洋次
主演=沢田研二 菅田将暉 寺島しのぶ 宮本信子 永野芽郁 北川景子 野田洋次郎

最初に申し上げておく。淀川長治センセイの解説映像を切り貼りしたCMを制作したことに、心底怒りを感じた。ネガティブな気持ちは、なるべくネットにアップしないことを心がけているが、
「これはやりすぎ。故人の発言をつなぎ合わせて、本編を褒めてるかのような印象になりかねない。映画愛と作品へのコメントは別もの。」
と思わずツイートしてしまった(RTが僅かだったのにニュース記事に引用されたのには焦った💦)。正直もう観るまいかと思ったのだが、原田マハの原作は泣きながらページをめくっていただけに、やっぱり気になって鑑賞。

さて。登場人物の設定だけいただいて後はまったく別の話になっている、とは聞いていたけどほんとに別な物語。原作が描いているのは、感想を語り合う中で毒舌外国人ブロガーとの間に芽生える友情、シネコン事業の拡大が失わせていく下町映画館の文化、そして家族の再生物語。鑑賞者側の視点であり、
"キネマの神様は映画館にいる"
というものだ。山田洋次監督による今回の映画化は、松竹撮影所が繋いだ男女の青春物語とその懐古、そして家族の再生物語。映画の神様は若き日のゴウが書いた脚本のタイトル。そして、
“カットとカットをつなぐとそこに神様が宿る"
という製作者側の視点が添えられている。

原作で用いられている要素は、2020年代では確かに古い。映画の感想をブログで書き綴る人も絶滅危惧種になりつつあるし(汗)、乱立したシネコンもそのうち淘汰の時代が来るだろう。なので、山田洋次監督が撮影所時代の青春物語に舵を切ったのも、シネコン事業によって下町の映画館が陥る危機をコロナ禍に置き換えたのも、気持ちは分からなくはない。

若きゴウの奮戦記や、テラシンと淑子との三角関係はもっとじっくり観たかった気もする。それでも、短いながらもパンチのあるシーンがあり前半はまずまず好印象。永野芽郁が「余計なお世話ですっ!」と言い放つ場面も、撮影所での生々しい会話も、北川景子演ずるスタア女優も素敵だ。後半、現代パートの家族物語は松竹映画らしい安定感で、わかっちゃいるんだけど心を揺さぶられてしまう。

出演予定だった志村けんがどうしても頭をよぎる。沢田研二が意識的に志村けんに寄せて演技しているからなおさら。あー、ここで「怒っちゃやーよ」とか言うんだろうなとか思ってしまう。何よりも"あの歌"はやめて欲しかった。そこで沢田研二が観たかったんだよ。「カイロの紫のバラ」の露骨な引用はけっこうだけど、バスター・キートンから思いついたんだ、というネタばらしは余計なお世話です。

映画『キネマの神様』【特報】大ヒット上映中!


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ディア・アメリカ 戦場からの手紙

2021-09-04 | 映画(た行)


◼️「ディア・アメリカ 戦場からの手紙/Dear America:Letters Home From Vietnam」(1987年・アメリカ)

監督=ビル・コーチェリー

誰もがベトナム戦争に疑問を抱きながらも、兵士たちは勇敢に戦った。ロック、ポピュラーミュージックにのせて、兵士たちの苦悩、恐怖、家族への思いが本人たちが書いた手紙で綴られていくドキュメンタリー映画。

What's Goin' On
何が起こっているのか。


Change Is Gonna Come
いつかは流れが変わり、戦争が終わる



クリスマスの夜に起きた銃撃戦。暗闇に飛び散る火花が、キャンドルのように美しく見えたという場面がある。人殺しの道具が放った火花にさえ、そんな思いを抱く。なんて悲しいことだ。戦場の厳しさと悲惨さ。

命を散らした何十万人もの若者たち。彼らを戦場に送り込んだアメリカに生まれたことを彼らはどう思ったのか。兵士たちを取材する記者の言葉が重く響く。

Born In The USA が
いつも以上に切なく聞こえる。



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オールド

2021-09-02 | 映画(あ行)





◼️「オールド/Old」(2021年・アメリカ)

監督=M・ナイト・シャマラン
主演=ガエル・ガルシア・ベルナル ヴィッキー・クリープス アレックス・ウルフ トーマシン・マッケンジー

映画ってアイディアだ、と再認識させてくれるM・ナイト・シャマラン監督作。実は「シックス・センス」しか監督作を観ていないから偉そうなことは言えないのだが、限られた舞台と限られた登場人物を知恵と工夫で生かした手腕はさすが。そりゃ細かいことを言えばキリがないのだけれど。

見せ方が上手い。カメラは最初から最後まで、時々左右にゆっくりと動く。ビーチの様子を映しているようでもあるのだけれど、元の位置にカメラが戻った時に、何か動きや変化が起こるのだ。だからカメラの視点が動き始めたら、何かが起こる合図になっている。「はい、なんか来ますよー」と観客に心の準備をさせるのは、スリラー映画としてはよくない演出なんだろうが、その先に起きることがこっちの期待を超えてくるから面白い。

そして、カメラが捉えているフレーム内の映像=観客の視線だから、その外側にあるものをジワジワ見せていくのも巧い。子供たちに起きる異常を少しずつ見せていく場面はそれが冴えていると感じた。

「宇宙戦艦ヤマト2202」好きなもので、あの浜辺だけで起きている超常現象は、コスモリバースの副産物に違いない…とつまらないことを考えるww(わかる人しかわからん表現でごめんなさい)。

砂浜を舞台にした「そして誰もいなくなった」になっちゃうスリラー、と思っていたら次第にヒューマンドラマとしての重みが増してくるのもいい。時間が解決してくれるさ、なんて時々聞く言葉でもあるけど、それって"老い"がそうさせているのかもしれないな、と夫婦の姿を見て思った。そして怒涛の結末。なるほどっ!ツッコミどころはあるけれど僕は満足できました。

「マーロン・ブランドとジャック・ニコルソンが共演した映画が思い出せない」と繰り返すお医者さん。映画ファンが痴呆になるとああいうこと言い出すのかなぁ…と不安になるw

「ジョジョ・ラビット」でユダヤ人少女を演じたトーマシン・マッケンジーが、ちょっと成長して全編ビキニ姿というのもナイス👍



人が急速に老化する奇妙なビーチ…M・ナイト・シャマラン監督『オールド』日本版予告編
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