Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

キスより簡単

2020-07-29 | 映画(か行)


◾️「キスより簡単」(1989年・日本)


監督=若松孝二

主演=原田芳雄 早瀬優香子 石渡譲 河原崎長一郎


早瀬優香子は、当時お気に入りだったんです。代表曲「サルトルで眠れない」「硝子のレプリカント」「セシルはセシル」は大好きだったし、日向敏文、矢野顕子、佐藤隆が楽曲提供した2枚目のアルバム「amino co de ji」は特に愛聴盤だった。アンニュイな女声シンガーは、あの当時なかなかいないタイプだったし。出演してた昼ドラ「華の嵐」もちょくちょく見てた。そして若松孝二監督作に主演したのが本作。彼女にしか出せない雰囲気が素敵。


主人公は、母は同じだが父親が違う四姉妹の三女まあこ。奔放だった母親の3人のボーイフレンドのうち、誰が本当の父親かわからない。まあこ自身も多くのボーイフレンドがいるが、そのうち同じ大学に通う鈴也は実は同じ父親かもしれない。そんな恋愛遍歴の中で、3人の一人であるロクさんに惹かれている自分に気づく。


原作や国生さゆりのテレビドラマ版は知らないのだが、80年代の作品だし性にあっけらかんとしたライトタッチなお話なんだろうな。でも若松孝二監督によるこの映画版は違う。前半はまあこの恋愛模様が描かれるが、後半は一転してロクさん中心に中年男の美学めいた話がこれでもかと語られる。レンタルビデオ借りて初めて観た時は、へえっ?と呆気にとられたのを覚えている。早瀬優香子(の裸)目当てで見始めたのに、徹底的に中年男のカッコいいイメージを植え付けられるという、全体的にはまとまりのない映画鑑賞となったのだが、それでもなんかこの映画憎めない。再び配信で観てしまった次第。


ロクさんが友達のライブにまあこを誘う場面。「人間の証明」のテーマ曲で有名なジョー山中が登場。松田優作も歌った名曲「戦い続ける男達へ」がなんとフルコーラス流れる。この映画に求めていたものとは全然違うのだけど、こんないい曲に出会えたのは大収穫。これが歌える渋い大人になりたいと、今でも思っておりまする。



2018/4/3 『キスより簡単』DVD新装リリース予告編(監督:若松孝二/出演:原田芳雄、早瀬優香子)


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ファイヤーフォックス

2020-07-25 | 映画(は行)





◾️「ファイヤーフォックス/Firefox」(1982年・アメリカ)

監督=クリント・イーストウッド
主演=クリント・イーストウッド フレディ・ジョーンズ デヴィッド・ハフマン ウォーレン・クラーク

公開当時、地元の映画館で二本立てで観ている。今回BSの放送でウン十年ぶりに鑑賞。公開当時は、特撮にキャアキャア言ってたお年頃だったから、お目当てはジョン・ダイクストラが手掛けたクライマックスのドッグファイト場面だった。ところが基地に潜り込むまでのストーリーと、暗い画面が続くのに、若かった僕は飽きしまい、面白かったという印象がなかった。しかし映画館を出た時、すっげえもんを観た…とものすごく感激していた。何故って、同時上映されていたのは、あの「ブレードランナー」だったんだもの。クリント・イーストウッドには申し訳ないけど、あの日は「ブレードランナー」に完全に心がもっていかれた。

ソビエト連邦が開発した最新鋭戦闘機ファイヤーフォックス。ステルス機が世に出始めた時代の作品だけに、レーダーに映らない新型機というのは驚異だったのだ。ステルス機能だけでなく、パイロットの脳波をコンピューターが感じとって、速やかな攻撃ができるという。ファイヤーフォックス奪取のために、アメリカは元パイロットでロシア語が堪能なガントにその任務を命ずる。彼はベトナム戦争で心に傷を負って、時折発作を起こす症状を抱えていた。彼は密売人になりすましてソビエトに入国するが次々と危機に陥る。果たして任務を達成することができるのか。

今観ると、基地に潜入するまでのひたすら隠れて逃げる部分がとても味わい深い。ガントを基地に潜り込ませるまでに、手を貸す人々それぞれに人間ドラマがある。何のためにこの任務を手助けするのか、その理由がそれぞれの口から語られる。
「あなたはアメリカ人で自由がある。私にはそれがないんだ。」
「妻にふさわしい男になりたいんだ。」
主人公が戦場の記憶で悩まされる描写も、今でこそPTSDというひと言で表現できるが、当時はそんな言葉すらなかった。戦火で犠牲になる人々と、冷戦という時代の犠牲になる人々。

まだ小学生だったけど、僕ら世代は、ソビエトの戦闘機ミグ25に乗ったパイロットが函館に強行着陸して、亡命を求めた事件をなんとなく覚えている。ソビエトって謎の国。そんな強い印象があるだけにこの映画は興味深い。初めて観た時、スリリングには思ったが、人間模様まで感じ取れなかったんだろな。

後半の脱出劇はど迫力。水柱をバーンと立てながら低空飛行する場面や、「スターウォーズEP4」を思い出させる2機の戦いはやっぱり楽しい。でも、ソビエト側が作戦の裏を読もうと四苦八苦する様子も、今見るとなかなか面白い。作戦室で意見を戦わせ、書記長にまで歯向かう一人の軍人。プライドってこういうもんだろ。ソビエト側の登場人物に、ドラマ「名探偵ポワロ」でヘイスティングス大尉を演じたヒュー・フレイザーを発見。クリスティ作品好きの方は探してみてね。





Firefox - Theatrical Trailer


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うちで踊ろう iPhoneとiPadで伴奏つけてみた。

2020-07-23 | 音楽
今さら感はありますが、星野源の「うちで踊ろう」コラボ動画、やってみました。

うちで踊ろう iPhoneとiPadで伴奏つけてみた。


コロナウィルス感染拡大による自粛期間中ののこと。楽器メーカーのローランドからメルマガが届いた。タイトルは「うちで踊ろうコラボのやり方」。しばらく音楽活動から遠ざかっているし、なんかやりたいなぁ・・・と思っていた元トロンボーン吹きで鍵盤弾きの僕は、なーんかムズムズしてきたのだった。

よーし、やったるか。

しかし、自宅のエレクトリックピアノの上は配偶者にとって格好の物置と化していて、これを片付けてまで自分の演奏を撮るか?となるとそこまでの気力はない。長年使ってきた愛機のシンセサイザーたちは、今自宅に置いてないし、手元にあるのはiPhoneとiPad、そしてエレクトリックギター。ギターは近頃リスタートしたばかりだから、前面に出すのは不安・・・。実は数年前に、上司の送別会で仕方なくiPhoneアプリのGarage Bandをバックにつけて、ギターの弾き語りをやったことがある。じゃあ、Garage Bandで伴奏つければええやん!。

ところがである。オリジナルの星野源動画はフリーテンポで演奏されており、機械が作った一定のテンポの演奏では合わないことに気づいた。しかもiPhoneアプリ版のGarage Bandではテンポチェンジはできないらしい。えー、どうしよう。あれこれ調べたところ、異なるテンポの演奏を編集でつなぐ方法があることを知った。いろいろ検索するとみなさんこのテンポ合わせに苦労してらっしゃった模様。試行錯誤の末、最初のキメまでは ♩ (四分音符)=123、そのあとは ♩ (四分音符)=127であればおおむね合いそうなところまでこぎつけた。ここがいちばん苦労したかな。

ここでちょっと欲が出てきた。「踊ろう」をテーマになんか遊びが入れられないかな・・・。学生時代にバンドやってた頃、クリスマスソングをライブで演奏するとき、キーボードソロにジングルベルなどおなじみのメロディを組み込んで遊んだのを思い出したのだ。じゃあ、自分が踊りたい曲って何?・・・真っ先に浮かんだのは、80年代の洋楽だった。リック・アストレーなんかいいよな。試しに Never Gonna Give You Up のコードをとってみると、「うちで踊ろう」と同じくサブドミナントのコードで始まるみたい・・・な気がする。いけるやん!(笑)てなわけで手弾きのシンセでイントロのストリングスのフレーズを入れてみた。最後に自分が弾いてますアピールをすべき・・・と考え、つたないギターの演奏を撮影した。本業は鍵盤弾きなので、なんか後ろでバカやってる・・・くらいの気持ちで見守っていただけると幸いです(笑)

これにて完成。 あー、楽しかった。

使用したのは、
iPhoneアプリ
Garage Band
Roland 4XCamera
Garage Bandの映像撮るためにDU Recorder
手弾きのシンセはiPad のGarage Band
ギターはFERNANDES Z-03。
結局ほんとに手近な機材だけで作ってしまいました。

インターフェイスが昔のiRigしかなくて、手弾きシンセは自分の演奏をモニターせずに弾いてます。ちゃんとしたの欲しい(泣)

(おまけ)
iPadのGarage Bandで手弾きを撮影するのに使ったのは、100円ショップの網棚を組んだもの。この上にスマホをのせて撮影するのです。


実は子供がオンラインで遊戯王カードゲームをするときに使うものを拝借。便利だww

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グレース・オブ・ゴッド 告発の時

2020-07-19 | 映画(か行)


◾️「グレース・オブ・ゴッド 告発の時/Grâce à Dieu」(2019年・フランス=ベルギー)


監督=フランソワ・オゾン

主演=メルヴィル・プポー ドゥニ・メノーシエ スワン・アルロー エリック・カラヴァア

映画が公開された現在も訴訟が続いている、神父による性的虐待事件を描いたフランソワ・オゾン監督の新作。オゾン作品の魅力は、独特のユーモアや斬新な切り口の作風。だがこの映画は実話で、しかもその騒ぎの渦中での映画化という普通では製作すら難しいもの。関係者や団体の反対は必至だし、ましてやこのケースでは教会というヨーロッパ社会における強大な存在が相手。上映差し止めの声も挙がったと聞く。「ダヴィンチ・コード」の時にもそんな話があったから、教会の内幕が描かれるのを嫌う層は確実にいる。

オゾン監督のこれまでの作風は封じられたと確かに感じたけれど、人物とその心に深く切り込んでいく演出の力は、これまで以上に発揮されており、神父の行為によって心を傷つけられた3人の男性の心情と行動が深く掘り下げられて、現在の訴訟に至るプロセスが生々しく描かれている力作。

被害者の会立ち上げ、告発、と同じベクトルでいるように見えて、三者三様の思いがすれ違う。この描写が見事だ。最初に神父を訴えようとしたアレクサンドル。彼は神父や事件を見過ごした教会を恨む一方で、「教会を救いたい」と言う。しかし、子供に「まだ神を信じてるの?」と尋ねられて言葉を発することができない。この場面の葛藤を思うと胸が苦しくなる。3人の中で闘士として前面に立つのがフランソワ。捜査に影響があるから、と警察に言われてもマスコミを煽ることを辞さない。過激な言動もあり、被害者の会ではメンバーに諭されることも。そして3人目は法的なら解決を望むエマニュエル。他の二人と違って家族はなく、母親に長年支えられている。事件の影響からか、時折発作を起こして倒れてしまう。フランソワとエマニュエルは復讐心が強く、カトリックの信仰を捨てても構わないとまで言い始める。

彼らをとりまく家族の間にも、事件がきっかけで大きな亀裂が入っている。観ていて辛い場面も多い。それでもこの140分弱の上映時間は、決して飽きさせることはない。スキャンダラスな事件の影で、被害者の男性たちがどんな思いでいるのかが生々しく描かれている。「しあわせの雨傘」や「8人の女たち」のような楽しさはないから、二度三度と観る映画ではないかもしれない。だけど、現在進行形のリアルが描かれる映画なんて少ない。異国で起こっている現実とその渦中で生きる人々を知るという意義はあるはずだ。





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#prayforkyoani

2020-07-19 | Weblog




あれから1年。心に負ったダメージは癒えることなく、京アニ作品への愛着はますます強くなっている。

「ハルヒ」と「けいおん!」がなかったら、長男とこんなに仲良くなかった。「氷菓」と「ユーフォニアム」がなかったら、長女とこんなに仲良くなかった。

エレキギターが欲しいと言い出した長女と協議の結果、レスポール(ギー太)を買った。読書嫌いだったはずの長女はアニメにどハマりして「氷菓」原作シリーズを読破した。

アニメを見せたがらない義理の親に、NHKがやってるんです、何が悪い?と「日常」を見せて反抗した。

異動した部署が「けいおん!」ファンだらけだった。まさかねと思ったら、僕が京アニ好きと知ったムギちゃんファンの係長による人選だった。

小さな幸せの影に京アニ作品があった。

そして僕は、「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」劇場版公開を待っている。改めてご冥福をお祈りします。

#prayforkyoani
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2000年代の好きな映画ベストテン(日本映画篇)

2020-07-18 | 映画・ビデオ







外国映画篇に引き続き、
2000年代日本映画の私的ベストテン。

「千と千尋の神隠し」
「クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」
「GO」
「スウィング・ガールズ」
「アイデン&ティティ」
「パプリカ」
「下妻物語」
「おっぱいバレー」
「サマーウォーズ」
「南極料理人」

「ウォーターボーイズ」を選べないところで、女優で映画を選んでるのがバレバレ?
当然アニメ率高しww


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オーシャンズ8

2020-07-13 | 映画(あ行)

◾️「オーシャンズ8/Ocean's Eight」(2017年・アメリカ)


監督=ゲイリー・ルイス

主演=サンドラ・ブロック ケイト・ブランシェット アン・ハサウェイ ヘレナ・ボナム・カーター


「40代になった途端に女優の仕事はガクッと減るのよ」と、かつてダリル・ハンナはハリウッドの現実をそう語った。若さと美貌でチヤホヤされる時期はあっという間。その年齢だからこそできる役柄はあるけれど、その争奪戦となるのは必至。そんな現状を考えると、この「オーシャンズ8」って製作されるべくして製作された映画だと思うのだ。それぞれの持ち味がきちんと表現されていて、世間の求めるエンターテインメントにも沿っていて、しっかり楽しめる良作。


正直言うと、ジョージ・クルーニーの「オーシャンズ」シリーズは1作目しか観ていない。だってねぇー、ソダーバーグ監督がコテコテの娯楽作撮る時点でそれはナイと思ったし、男ばかりのクライムサスペンスは確かに楽しいけれど、フランク・シナトラ主演の1960年版オリジナルの小気味良さとはどこか違うんだもの。


そこへ妹に代替わりしてのこの企画。これはアリだと思う。こういうベテランが活躍できるエンターテインメントは作り手にとっても、観客にとっても必要。サンドラ・ブロックもケイト・ブランシェットもヘレナ・ボナム・カーターも撮影当時50代。「スピード」「エリザベス」ましてやお姫様みたいだった「眺めのいい部屋」の頃とは違う。でも今の年齢だからこそ着こなせる衣装も、こなせる役柄もある。濃いめのアイメイクのサンドラ・ブロックも、ロックスターみたいな衣装のケイト・ブランシェットも、CGでデフォルメされない(笑)ヘレナ・ボナム・カーターもみんな輝いている。あの頃を知る同世代の観客は、この映画の活躍を観て、オレもアタシも頑張ろうという気持ちをもらえるはずだ。映画ってそういう力がある。


そりゃね、複製したネックレスの留め金がオリジナルとは違うのにもっと早く気づくだろうとか、アン・ハサウェイに気づかれて当然だろう、とツッコミどころはある。でも楽しんだが勝ち。この映画は、大黒摩季や久宝瑠璃子の歌を聴いて、そうだよそうだよ、オンナって大変なんだよ、と共感していた世代の女子にこそ観て欲しい。アタシもまだまだ輝いていいはずだ、と思えるから。そして僕ら同世代男子は、カッコいい女性たちの活躍をとにかく楽しみましょ。


映画『オーシャンズ8』本予告【HD】8月10日(金)公開



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レイニーデイ・イン・ニューヨーク

2020-07-11 | 映画(ら行)



◾️「レイニーデイ・イン・ニューヨーク/A Rainy Day In New York」(2018年・アメリカ)


監督=ウディ・アレン

主演=ティモシー・シャラメ エル・ファニング セレーナ・ゴメス ジュード・ロウ


「マンハッタンを案内してくれるのね」

そう言って微笑むエル・ファニング嬢。そう、彼女と銀幕のこっち側にいる僕らを案内してくれるのは、われらがアレン先生だ。ニューヨークにまつわる映画、とくればアレン先生かマーチン・スコセッシ。本作でもセントラルパークを中心に街並みと人間模様が描かれる。


学生新聞の記者であるアシュレーは、映画監督ローランドとのインタビューでマンハッタンへ。ニューヨーク出身の彼氏ギャツビーは、彼女に街を案内するデートプランを練っていた。ところが、インタビュー中に、撮影中の作品への不満から脚本家テッドとローランド監督にトラブルが発生。彼を追いかけるテッドとアシュレーだが、その二人も次々と騒動に巻き込まれる。一方、母主催のパーティから逃げるつもりだったギャツビーの身にも予想しなかった出来事が。


古巣ニューヨークに戻ったアレン先生の映画はやっぱり他とは違う。ここ数年の作品は男と女について考えさせてくれる秀作なんだけど、どこか重苦しくビターな味わいで、いわゆるロマコメの良作はしばらくなかった。「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」は、「ミッドナイト・イン・パリ」以来のロマコメの快作だと僕は思う(その間の「マジック・イン・ザ・ムーンライト」はどうも苦手)。


若手キャストを起用したフレッシュさもあるのだが、登場人物それぞれがアレン映画の登場人物らしい屈折したクセ者ばかり。ギャツビーは親に押し付けられた生き方に反発を感じているし、アシュレーはアルコールを口にして歯止めのきかない本性を露わにしてくる。業界人のローランドとテッド、さらに人気俳優フランシスコは世間知らずのアシュレーに癒されたり、励まされたり、さらには口説いたり…。そんな人間模様の面白さに僕らクスッと笑いながらも、自分に正直でいるって難しいんだよねとビターな気持ちを少し抱えながら、ロマンティックなラストシーンを迎える。うまい。ただの色恋沙汰で終わらせない。


ジャズのスタンダードナンバー、Everything happen to meを弾き語りするシャラメ君、ファッションも前髪垂らしたロン毛もカッコいい。若かったら絶対真似してるな、オレ。セレーナ・ゴメスと車の中でキスして、フロントガラスに雨が落ちる場面のゾクッとする美しさ。名作「マンハッタン」を思い出させる街並み。ビットリオ・ストラーロのカメラは素晴らしい。


iPhoneの着信音が響く今どき男女のお話なのに、フランク・シナトラも歌ったスタンダードナンバー歌ったり、「恋の手ほどき」のGigiでも歌う?、ビットリオ・デ・シーカと同格です…とか出てくるものがいちいち古くて通好み。確かに違和感…とも思うけど、シャラメ君は「ふさわしいもの」を教え込まれた結果なんだろうし、チャンはそんな通好みなミュージカルの知識がある都会育ち、アシュレーは台詞にもあるように映画オタクなんだろう。うん。


雨が降って、男女が惹かれあって…って、「マジック・イン・ザ・ムーンライト」や「ミッドナイト・イン・パリ」でも出てくるシチュエーションだけに、「またかい!」と映画館の暗闇でツッコミを入れた。まあ何にしても、雨降って、地固まる話です…?

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2000年代の好きな映画ベストテン(外国映画篇)

2020-07-10 | 映画・ビデオ





キネ旬の2000年代ベストテンは、アジア勢とイーストウッド作品が目立つ順当な結果でした。

では不肖、私takが選ぶ2000年代ベストテン。
まずは外国映画篇から。

「あの頃ペニーレインと」
「アメリ」
「キル・ビルvol.1」
「エターナル・サンシャイン」
「善き人のためのソナタ」
「マイ・ブルーベリー・ナイツ」
「パイレーツ・ロック」
「(500)日のサマー」
「きっと、うまくいく」
「リトル・ダンサー」

フランソワ・オゾン監督作がないのが心残り。音楽映画が3本、オールタイムで好きな恋愛映画でも選んでしまう3本、ヨーロッパ映画やインド映画、アジア人監督も含んでいるから個人的には納得の10本かな、と。

半分は地元のある映画館で観てることにわがことながら驚く。素敵な作品との出会いに感謝。

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バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3

2020-07-07 | 映画(は行)






◾️「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3/Back To The Future Part3」(1990年・アメリカ)




監督=ロバート・ゼメキス


主演=マイケル・J・フォックス クリストファー・ロイド メアリー・スティーン・バージェン リー・トンプソン トーマス・F・ウィルソン 




前作のラストで稲妻に打たれて1885年に飛ばされてしまったドク。マーティは彼を1985年に連れて帰るべく、彼を追って西部開拓時代へ。しかしことは簡単ではなく、マーティはビフの先祖に決闘を申し込まれ、ドクには突然のラブロマンスが。生きるか死ぬかの時代、さらに科学技術もまだ未発達だけに、形勢が二転三転するハラハラドキドキは「PART2」以上だ。




「PART3」が面白いのは、複数の要素が見事に絡み合うこと。追いつ追われつのサスペンス映画はそんじょそこらにあるけれど、それは単なる追いかけっこにすぎない。未来に戻ることができるのか、追いかけてきたクララを救うことができるのか、二人の愛の行方はどうなるのか、これらがわずか数分間のクライマックスに見事に絡み合っている。だから他の映画よりもワクワクする。仮に、追ってきたのがビフ(の先祖)でそれを振り切って未来へ戻りましたとさ、というただの追いかけっこだったらこのシリーズはこんなに愛されただろうか。




ロバート・ゼメキス監督は西部劇を撮ってみたかったらしい。だからこの映画のトリビアを知れば知るほど、ここに映画愛が詰め込まれていることを思い知る。セルジオ・レオーネ監督と同じカメラワークで撮った場面や、往年の西部劇俳優を酒場のシーンに登場させているとか知ると、今さらながらそのルーツとなった映画たちを追いかけたくもなる。




そもそも僕は「スターウォーズ」にジョージ・ルーカスが込めた過去の映画への愛とその面白さを知り尽くしたい!と思って、こんな映画ファンになっちまった人間だ。もし似たような気持ちをこの「BTTF」で感じた若い子が少しでもいてくれたら、映画の未来はきっと明るい。白紙の未来を切り開いてくれるだろう。1作目、2作目で描かれたカルチャーや音楽に興味をもつのもいい。でも手始めは「荒野の用心棒」かな(笑)





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