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キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ドラえもん のび太のワンニャン時空伝

2013-07-25 | 映画(た行)

■「ドラえもん のび太のワンニャン時空伝/Doraemon : Nobita with Wan Nyan Time Space Tradition」(2004年・日本)

監督=芝山努
主演=大山のぶ代 小原乃梨子 野村道子 たてかべ和也 肝付兼太  

 2005年4月、25年間続いた「ドラえもん」の声優がメンバーチェンジすることになった。かつて清水ミチ子に「ぼく、大山のぶ代の声を出しているドラえもんです。」とネタにされたこともあったけど、ここまで国民的に愛され、また声のイメージも定着しているものもないだろう。もし孫悟空の声優が野沢雅子からほかの人になったってここまで話題にはならないだろうしね。そんな「ドラえもん」の劇場版は25年間数々の名作を送り出してきた。「のび太の恐竜」は傑作だったし、「のび太の結婚前夜」や「ぼくの生まれた日」など忘れがたいサイドストーリーもあった。この「ワンニャン時空伝」は代替わり前の声優陣による劇場版最終作となる。

 劇場版「ドラえもん」の魅力はTVシリーズよりも格段にスケールアップしている点だ。けっこう高度なSF的設定が大人の鑑賞に耐える作品にしてくれている。本作もタイムマシンを使った伏線の張り方にしても、3億年前に超古代文明を生み出すきっかけを作るストーリーにしても見事。さらに悪党ネコジャラ(声・泉谷しげる!)との息詰まる攻防、カーチェイスにしてもエンターテイメントとして誰もが楽しめる映画になっている。僕はそれ程多くを観ているわけではないけれど、本作は間違いなく「ドラえもん」劇場版の中でも屈指の傑作であることは間違いない。ペットを平気で捨てる人間の傲慢さに対する憤りがこの物語の根底にある。そのメッセージが未就学児童たちにも伝わればいいな。1000年で他の惑星への移住が可能なほど高度な文明を築いた犬猫たち、「明日また来るからね」の言葉を信じてイチが待ち続けた気の遠くなる時間、しかしのび太たちにとってはたった1日の冒険でしかない・・・。時間の重みを感じさせるラストが何ともいえない余韻を残してくれる。

(2005年筆)



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