Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

80年代の好きな映画ベストテン

2018-12-28 | 映画・ビデオ



キネマ旬報の80年代映画ベストテン、日本公開本数が70年代の比ではないから、多様性が際立ってきた時代の結果ですな。聞いたことないソビエト映画が上位に入ってたし、黒澤明と伊丹十三の意外なランキングの低さに驚いた。
んで、70年代編に続いて、不肖わたくしも80年代ベストテン選出してみました。

【外国映画】
アマデウス(ミロス・フォアマン)
カイロの紫のバラ(ウディ・アレン)
恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズ(スティーブ・クローヴス)
ストリート・オブ・ファイヤー(ウォルター・ヒル)
ニュー・シネマ・パラダイス(ジュゼッペ・トルナトーレ)
バック・トゥ・ザ・フューチャー(ロバート・ゼメキス)
薔薇の名前(ジャン・ジャック・アノー)
ブレードランナー(リドリー・スコット)
レイダース/失われたアーク(スティーブン・スピルバーグ)
セックスと嘘とビデオテープ(スティーブン・ソダーバーグ)

【日本映画】
うる星やつら2ビューティフルドリーマー(押井守)
お葬式(伊丹十三)
風の谷のナウシカ(宮崎駿)
戦場のメリークリスマス(大島渚)
Wの悲劇(澤井信一郎)
転校生(大林宣彦)
ドグラ・マグラ(松本俊夫)
北斎漫画(新藤兼人)
魔界転生(深作欣二)
乱(黒澤明)

ロブ・ライナー、キューブリック、森田芳光が入ってない!斉藤由貴の「恋する女たち」、「アンタッチャブル」「隣の女」が捨てがたい!サントラでキャアキャア言ってた映画が少ない!…10本なんて絞れないよぉー(^^;)

アニメ入れすぎとか言わないでっ!
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殺しのドレス

2018-12-20 | 映画(か行)


◼︎「殺しのドレス/Dressed To Kill」(1980年・アメリカ)

監督=ブライアン・デ・パルマ
主演=マイケル・ケイン アンジー・ディッキンソン ナンシー・アレン

ごめんよ、ネタバレ覚悟で書く。ブライアン・デ・パルマ監督作品にたまに出てくる夢オチ場面。「キャリー」とか、「ファム・ファタール」とか、本作「殺しのドレス」にもショッキングで意味深な夢オチ場面が出てくる。僕らは普段嫌な夢をみても現実に戻ってこられる。しかし。デ・パルマが描く夢オチの恐怖感は、その後もずっと引きずりそうなものばかり。「キャリー」のラスト、ベッドで泣き叫ぶエイミー・アービングは、あの後同じ夢を繰り返しみたかもしれない。それはスクリーンのこっち側にいる僕らも同じこと。デ・パルマ映画で感じた恐怖感や戦慄や映画的興奮は、しばらく、いや度々思い出して引きずることになる。デ・パルマが描く夢は映画の中でも外でも冷めないのだ。

その冷めない恐怖を感じる映画って、そもそもヒッチコックがその最たるもの。ヒッチ映画を観た僕らは、現実世界でカラスが群れているのを見るのが怖くなったり、静まり返った夜中にシャワーを浴びるのがなんか落ち着かなかったり、窓から見える他の家の様子が変に気になったり。デ・パルマが受け継いでいるのはテクニックや作風だけじゃないのだ。

「殺しのドレス」は、ブライアン・デ・パルマ監督がヒッチコックの「サイコ」へのオマージュを込めたサスペンス。冒頭の刺激的なシャワーシーン、台詞なしにグイグイ引っ張る美術館の謎の追っかけ、行きずりの男性との情事、殺人、それを目撃したコールガール、事件の真相を探ろうとする彼女と少年、そして真相へ。犯人探しの謎解きだけを考えれば「先が読めた」という方もあるだろう。でもデ・パルマ映画の楽しみは次の展開がどう描かれるのかワクワクしたり、ドキドキすること。撮影テクニックでキャアキャア言うのは、玄人映画ファンに任せとけばいい。「殺しのドレス」は予想を超える展開こそを楽しむ映画だ。ナンシー・アレンが真相に迫るクライマックス。あのお姿はずっと観ていたくなる。大人こそ楽しめる傑作サスペンス。
コメント (2)
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譜めくりの女

2018-12-15 | 映画(は行)



◼️「譜めくりの女/La Tourneuse De Pages」(2006年・フランス)

監督=ドゥニ・デルクール
主演=カトリーヌ・フロ デボラ・フランソワ パスカル・グレゴリー グザヴィエ・ドゥ・ギュボン

音楽学校の試験に挑む少女メラニー。練習を重ねて臨んだ実技試験の真っ最中、失礼な女が審査員のピアニストにサインを求めて部屋に入ってくる。ピアニストはそれを応じ、メラニーは集中力を失ってしまう。「どうしてやめるの?続けなさい」とピアニストは冷たく彼女に言った。結果は当然・・・メラニーはピアノに鍵をかけ封印してしまう。数年後、メラニーは実習生としてある法律事務所に勤務していた。弁護士のジャンが休暇の間子守をしてくれる人を探していて、メラニーはそれを引き受ける。メラニーを迎えたジャンの妻アリアーヌは、他ならぬあのピアニスト。精神的な問題を抱えていたアリアーヌは、時折不機嫌な態度をみせる。メラニーが楽譜を読めることで、演奏の補助である譜めくりを頼んだ。アリアーヌは次第にメラニーに信頼とそれ以上の気持ちを抱くようになっていく・・・。

演奏で両手がふさがっている時に楽譜のページをめくる為の補助者。ただページをめくればいい訳ではない。演奏者とのタイミングや呼吸が合わなければそれで演奏は台無しになってしまう。それだけに演奏者が任せられると思える人であることが必要だが、アリアーヌはそれだけでなく、メラニーの若さに憧れにも似た感情があった。しかし映画ではアリアーヌにそんな感情が芽生える瞬間は描写されない。だから息子とかくれんぼする場面でいきなり手を握ろうとしたり、水着姿のメラニーに意味ありげな視線を送るのが、ちょっと唐突に映る。それは仕方ない。映画を音楽に例えるならば、アリアーヌの感情を描写するのは対旋律で、この映画の主旋律ではないからだ。

この映画の主旋律は、メラニーがアリアーヌに近づいて個人的な復讐を遂げようとするのか?というミステリアスなもの。スリラーと呼ぶ程怖くもなく、サスペンスと呼ぶ程の緊迫感はない。でもアリアーヌの日常に少しずつ足を踏み込んでいき、彼女の心を静かにかき乱していく。大事な演奏の場で姿を消すクライマックス、取り乱すのをグッとこらえたアリアーヌだが散々な演奏になってしまう。そこに黙って戻ってくるメラニー。職場放棄を罵られてもいいくらいの行為なのにアリアーヌは何も言わない。最近のフレンチスリラー映画「告白小説、その結末」でも、散々な目に遭わされながらもその相手を受け入れてしまう主人公に驚かされたが、根底にあるのは同じような心情なのだろう。

観ている僕らには、表情を変えないメラニーの狙いが何なのかとにかく不気味で仕方ない。アリアーヌの息子に、指を痛めるからと禁じられている早弾きの練習をさせる。練習の様子を尋ねられて「順調です」と答えるメラニーの静かなる悪意。映画のところどころで際立ってくるメラニー側の復讐という旋律。映画のクライマックスでは、アリアーヌ側の感情という対旋律が再び描写されて、見事に絡み合いながら静かなる幕切れが訪れる。ジワっとした怖さが、ピアノのサスティンペダルの余韻のように、観終わってしばらく続く。

「タイピスト!」でキュートだったデボラ・フランソワがクールな魅力を発揮し、「大統領の料理人」などで表情豊かなカトリーヌ・フロもこの映画では抑えめの演技。陰気臭い役柄になりそうなところだが、それでも目が離せないのは二人の演技あってこそ。弁護士ジャン役は、「クララ・シューマン 愛の協奏曲」で音楽家ロベルト・シューマンを演じたパスカル・グレゴリー。
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機動戦士ガンダムNT

2018-12-04 | 映画(か行)



◾️「機動戦士ガンダムNT/Mobile Suit GUNDAM Narrative」(2018年・日本)

監督=吉沢俊一
声の出演=榎木淳弥 村中知 松浦愛弓

「機動戦士ガンダムUC」の続編にして、久々の劇場用新作。かつてジオンが地球に対して行った卑劣なコロニー落としを予言して多くの人々を救った"奇跡の子供たち"。地上にいたニュータイプ少年少女3人の子供が巻き込まれた過酷な運命。生きるためにそれぞれがした選択。そしてニュータイプの意思に反応するサイコフレームが魂と融合するのか、というかなりオカルトな領域に本作は踏み込んでいく。

行方不明になっていた第3のユニコーンガンダム、フェネクスを捜索する"不死鳥狩り"の一員である、軍人ヨナと大企業ルオ商会の特別顧問ミシェルは、かつての"奇跡の子供たち"。そしてもう一人のリタがフェネクスのパイロットで、MSと共に行方不明になっている。ユニコーンガンダムのストーリーが政治色が強く複雑に感じていた人は多いという思うのだが、この「NT」はヨナもミシェルが抱える個人的問題にが基軸なので、それ程めまぐるしくも感じられず、90分の上映時間にうまく収めらめれていると感じた。そこに同じくフェネクス捕獲を狙うジオン側の強化人間ゾルタンと、前作で登場したネオジオング後継機が"あってはならないもの"として立ちはだかる。スピード感あるMS戦は見応えがあるし、澤野弘之の音楽もよい。今回はボーカルにLisaが迎えられているが、澤野色に普段のアグレッシブさが封じ込められた印象。

映画館の観客、オッさん率極めて高かった(笑)。日々のお仕事頑張りながらユニコーンガンダムに熱くなり、若い世代に若い頃から見ている宇宙世紀ガンダムを語ってる人々なんだろか。近頃は中高年ガノタのおすすめ発言が"ガンダムハラスメント"などと呼ばれることも多い。「NT」観て若い世代との接点になればいいよね、と思う。でもオールドファンだからグッとくる旧作の場面がかなり挿入されてるから、またこの世代が語っちゃうかもww。オレ?えーと…(^-^;>




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