Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

マッドマックス 怒りのデス・ロード

2016-01-14 | 映画(ま行)

■「マッドマックス 怒りのデス・ロード/Mad Max : Fury Road」(2015年・オーストラリア)

●2015年LA批評家協会賞 監督賞・撮影賞・美術賞

監督=ジョージ・ミラー
主演=トム・ハーディ シャーリーズ・セロン ニコラス・ホルト ヒュー・キース・バーン

 とりあえず昨年見逃してた「マッドマックス 怒りのデスロード」からスタートした2016年のわが映画生活。80年代の三部作からウン十年経って、まさかの続編。しかもオリジナルのジョージ・ミラー監督というのが驚きだし、何よりも評価が高い。バイオレンス映画好きのタランティーノがベストワンに選ぶというのは納得できるんだけど、お堅い評論家やあのキネマ旬報までもがベストワンって言うもんだから…どんな映画になっているんだ。自分の目で確かめないと、とDVDで鑑賞。

 おぉー…確かにすごい。というか、問答無用、単刀直入なオープニングから、全編見せ場だけで構成されたようなハイテンションムービー。それなりの高齢になってるミラー監督が描く、大暴走の怒涛のアクション。細部までこだわったキャラクターのつくり込み、母乳の搾乳やギター弾くだけのウォリアー、シルク・ド・ソレイユか!?と思えるアクロバティックな棒を使った攻撃などなどディテールの面白さが実に楽しい。説明くさい部分を徹底的に省いて、バトルシーンに費やしたいのだろう、とにかく無駄がない。

 上手いなぁーと思ったのはイモータン・ジョーの砦の描写。支配層と被支配層を空間的に砦の上下で分けて、誰の目にもわかりやすくしている。また、自分の子供を産ませるための女たちが奪われたと知った彼が出撃するまでのシーンは、砦の中を歩き回って、水耕栽培されているような農場や支配層の様子が黙って示される。この独裁者が、この荒廃した世界の中でいかに立派な仕組みを備えているのか。この無言の冒頭で示されていて、その後で荒れた大地や汚染された街が映され、クライマックスでマックスと女戦士フュリオサらがたどり着く無謀とも思える決断に観客か違和感なく納得できるのだ。

 メル・ギブソンをスタアにした第1作が公開された80年代初めは、アクション映画といえばバイオレンス描写がつきものだった。親がこうした映画を毛嫌いしたせいもあって、正直なところ第1作に僕は心踊らなかった。しかし。第2作を観たときに、他のバイオレンスアクション映画とは違う何かを感じた。あ、これは西部劇なんだ!タンクローリーは駅馬車、襲いかかる荒くれパンク野郎は、馬で追ってくる先住民族たち。そう思えたとき、第2作に昔ながらの活劇のルーツが生きてるのだ、と感じられる嬉しさと面白さを感じたもんだ。中学生のはずだが…オレ(汗)。

 時代が変われば、その映画に込められるメッセージも変わってくる。混沌とした世界情勢の現代に、ジョージ・ミラー監督は、あの頃とは違うどんなメッセージを示したかったのだろうか。そういえば、主人公マックス自身もこの映画の中では、かなり良識派として描かれる。少なくとも復讐に燃えるマッドな元警官ではない。そこが残念といえば残念なところだが、年月を経て最もマッドになっちゃったのは、実はジョージ・ミラー監督自身かもしれない。映画館で観たら、ドッと疲れてただろうな。



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追悼 デビッド・ボウイ

2016-01-12 | Weblog
訃報を伝えるニュースの中で、デビッド・ボウイは多くの人々のイマジネーションをかき立てたアーティストだと評された。まさにその通り。

あの容姿がなければ、ニコラス・ローグは宇宙人役を、大島渚はストイックな日本兵の心を揺さぶる英国兵役を、トニー・スコットは吸血鬼を、クリストファー・ノーランはマッドサイエンティストを演じさせはしなかっただろう。

タランティーノのCat People、ベン・スティーラーのSpace Oddity、カラックスのModern Love。「ウェディングシンガー」のChina Girl、「パイレーツ・ロック」のLet's Dance。名曲は映画作品にも数多く引用された。セルジュ・ゲンスブールはLet's Danceを気に入り、同じミュージシャンを使ってアルバムを発表。そして、現役宇宙飛行士が宇宙ステーションで撮ったSpace Oddityの素晴らしい動画。楽曲の魅力がなければ、こうした引用や創作は生まれなかっただろう。

グラムロック後の世代である僕らは、誰にも真似できない美学をもったアーティストとしてボウイに憧れた。ご冥福をお祈りします。


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tak's Movie Awards 2015

2016-01-03 | tak's Movie Awards
2015年に観た映画から、takが選んだベスト作品。・・・というものの、下半期に映画館になかなかいけず、大好きな「007」も「SW」も年末に間に合わず。ここ数年でワースト2位の年間鑑賞本数で、他にも見逃し作品多数・・・というやや悔いの残るアワード(泣)。しかし、上半期に出会えたパワフルで新たな試みに挑む意欲作たちは、まさに2015年を代表する秀作ぞろい。あくまでわたくしtakが何を観たかが基準なので、あしからず。

★対象は2015年に観たすべての映画(劇場、DVD、VTR、地上波、BSすべて含む)。新作、旧作を問わない。
★劇場公開することを前提に撮られた映画を対象とする。いわゆるVシネマ、OVAなどビデオリリース目的のものは含まない。

■作品賞=「セッション/Whiplash」(2014年・アメリカ)
僕の周囲では、教授の役柄が受け入れられなくて賛否まっぷたつ。でもこんなカッコいい映画はないよ。音楽と映像が一体化した見事なクライマックスは鳥肌もん。音楽スポ根映画みたいに世間では言われたが、要は昔からある"鬼軍曹"ものなのだ。


今年の10本
・「アリスのままで」(2014)
・「海街diary」(2015)
・「おみおくりの作法」(2013)
・「キングスマン」(2014)
・「ゴーン・ガール」(2014)
・「ストックホルムでワルツを」(2013)
・「セッション」(2014)
・「はじまりのうた」(2014)
・「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(2014)
・「6才のボクが大人になるまで。」(2014)

■監督賞=アレハンドロ・G・イニャリトゥ「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(2014)


今年の10人
・アレハンドロ・G・イニャリトゥ「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(2014)
・ウディ・アレン「マジック・イン・ムーンライト」(2014)
・クリント・イーストウッド「アメリカン・スナイパー」(2014)
・サム・ペキンパー「戦争のはらわた」(1977)
・ジョン・カーニー「はじまりのうた」(2014)
・デイミアン・チャゼル「セッション」(2014)
・デビッド・フィンチャー「ゴーン・ガール」(2014)
・ピーター・チャン「捜査官X」(2011)
・リチャード・リンクレイター「6才のボクが大人になるまで。」(2014)
・ロマン・ポランスキー「毛皮のヴィーナス」(2013)

■主演男優賞=コリン・ファース「キングスマン」(2015)


今年の10人
・ウディ・アレン「誘惑のアフロディーテ」(1995)
・エディ・マーサン「おみおくりの作法」(2013)
・コリン・ファース「キングスマン」(2015)
・ジェームズ・コバーン「戦争のはらわた」(1977)
・ブラッドリー・クーパー「アメリカン・スナイパー」(2014)
・ベン・アフレッック「ゴーン・ガール」(2014)
・マーク・ラファロ「はじまりのうた」(2014)
・マイケル・キートン「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(2014)
・マイルズ・テラー「セッション」(2014)
・マチュー・アマルリック「毛皮のヴィーナス」(2013)

■主演女優賞=キーラ・ナイトレイ「はじまりのうた」(2014)


今年の10人
・綾瀬はるか「海街diary」(2015)
・エッダ・マグナソン「ストックホルムでワルツを」(2013)
・エマ・ストーン「マジック・イン・ムーンライト」(2014)
・エマニュエル・サニエ「毛皮のヴィーナス」(2013)
・エレン・ペイジ「JUNO」(2007)
・キーラ・ナイトレイ「はじまりのうた」(2014)
・シェイリーン・ウッドリー「きっと、星のせいじゃない。」(2014)
・ジュリアン・ムーア「アリスのままで」(2014)
・ソフィー・マルソー「恋するパリのランデヴー」(2012)
・ロザムンド・パイク「ゴーン・ガール」(2014)

■助演男優賞=J・K・シモンズ「セッション」(2014)


今年の10人
・アダム・レヴィーン「はじまりのうた」(2014)
・アラン・リックマン「暮れ逢い」(2013)
・アレック・ボールドウィン「アリスのままで」(2014)
・イーサン・ホーク「6才のボクが大人になるまで。」(2014)
・エドワード・ノートン「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(2014)
・サイモン・ペッグ「ミッション・インポッシブル ローグ・ネイション」(2015)
・J・K・シモンズ「セッション」(2014)
・J・K・シモンズ「JUNO」(2007)
・ピーター・コヨーテ「チャップリンからの贈り物」(2014)
・マクシミリアン・シェル「戦争のはらわた」(1977)

■助演女優賞=ロザンナ・アークエット「6才のボクが大人になるまで。」(2014)


今年の10人
・アンドレア・ライズボロー「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(2014)
・エマ・ストーン「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(2014)
・キアラ・マストロヤンニ「チャップリンからの贈り物」(2014)
・広瀬すず「海街dairy」(2015)
・ヘイリー・スタインフェルド「はじまりのうた」(2014)
・ミア・ワシコウスカ「嗤う分身」(2013)
・ミラ・ソルビーノ「誘惑のアフロディーテ」(1995)
・レベッカ・ファーガソン「ミッション・インポッシブル ローグ・ネイション」(2015)
・ロザンナ・アークエット「6才のボクが大人になるまで。」(2014)
・ローラ・ダーン「きっと、星のせいじゃない。」(2014)

■音楽賞=ペーター・ノーダール「ストックホルムでワルツを」(2013)


■主題歌賞=Lost Stars (Adam Levine) / Tell Me If You Wanna Go Home (Kiera Knightley)「はじまりのうた」(2014)


2015年は、音楽を題材とする映画に秀作が多い年だった。
映像と音楽が一体となるときの感動。映画だから味わえる至福の瞬間。

2016年は昨年見逃したものを追いかけることから始めたいと思います。

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コメント (2)
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