Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

2月のBGM

2013-02-28 | 音楽
2013年2月に聴いていた愛すべき音楽たち。

■ねぐせ/北白川たまこ(CV:洲崎綾)
京都アニメーションの新作「たまこまーけっと」が好き。京アニ作品はとにかく見る!が習慣になってしまった。音楽がいつも素晴らしいのだが、今回はエレポップ風なエンディングテーマ「ねぐせ」がお気に入り。シンプルなメロディと抑えめのボーカルが心地よい。本編で毎回少しだけ登場する喫茶店。マスターがかけるレコードが、フレンチありジャズありでまたいい雰囲気。このコンピ盤が出ないかな。


■イーハトーブ交響曲/冨田勲feat.初音ミク
宮沢賢治の世界を音楽で表現したい・・・御年80となる冨田勲大センセイの大仕事。賢治作品に登場するこの世のものではないような不思議な存在を表現する為に、ソリストとして初音ミクを起用したというのは驚きだが、ニッポン電子音楽の開拓者であるセンセイだからこそ!という気もする。オーケストラと電子の歌姫をいかに共演させるのか。NHK教育のドキュメントで感激した。CDはコンサートの様子を収録した盤で、アンコールはなんと「リボンの騎士」!


■100 Classics/Various
avexがリリースした廉価版10枚組クラシックBOX。小説「さよならドビュッシー」を読み終わってから数日間、小説の余韻に浸るようにドビュッシーの「月の光」や作品中に登場した曲を聴いていた。このコンピ盤、ついつい繰り返し聴くのはピアノ、ショパン、モーツァルトが中心で交響曲はあまり手が伸びない。メジャーな曲は網羅されているので、子供とクラシックの話になったときに「これ」とすぐ示せるのにも重宝してまっす。


■おんなになあれ/水樹奈々
飛鳥涼が森川美穂に提供した80年代の楽曲を水樹奈々がカヴァーしたもので、シングル「Power Gate」にも収められている。中古盤を衝動買い。だって、この曲好きだったんだもん。森川美穂のヴォーカルは力強く、飛鳥さんの女子目線の歌詞が絶妙。奈々さん、それを上手に歌いこなしている。


■10 Stories/甲斐よしひろ
甲斐よしひろは、小学校高学年の頃から男として憧れたアーティスト。カヴァーアルバムは甲斐バンド時代にも「翼あるもの」があるが、これは最近のJ-POP楽曲をセレクトしたもの。椎名林檎、エレファントカシマシ、一青窈、オリジナル・ラヴなどなど、こっちも歌いたくなるいい曲ぞろい。こういう作品を出せるのは”歌うたい”としての本領。ロックだけに偏らない、こういう姿勢が好きなんだ。



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ダイ・ハード ラスト・デイ

2013-02-27 | 映画(た行)

■「ダイ・ハード ラスト・デイ/A Good Day To Die Hard」(2012年・アメリカ)

監督=ジョン・ムーア
主演=ブルース・ウィリス ジェイ・コートニー センバスチャン・コッホ ラシャ・ブコヴィッチ

第1作を観たのは大学生のとき。高所恐怖症の僕は映画館の椅子にへばりついていた。あれ程ミニシアター浸りだった僕が「これがアクション映画だ!」と大絶賛した傑作。アラン・リックマンがその後お気に入りの男優になる。前作を超えてド派手な映画になった第2作。それでも70年代のパニック映画「大空港」を思わせるところも好きだった。ジェレミー・アイアンズの知的な悪役と、マクティアナン監督の上手さに感激した第3作。時が流れて、スキンヘッド状態になったマクレーン刑事が、パソコンヲタクと大活躍する4作目。テイストは変わったが、マクレーンが語る英雄像にちょっと感涙。・・・1作目から20年以上経ってるのか。

しばらく会っていない息子がロシアでトラブルを起こして裁判にかけられる、と聞いて休暇をとったジョン・マクレーン刑事。ところが裁判所に行けば爆破事件、息子は被告人を連れて脱出、迫る追っ手・・・ジョンは息子を助けようと大追跡。大渋滞の道路で大量の車をブチ壊すカーチェイスがド派手に展開される。・・・すげぇ。問答無用な荒っぽさ。息子は実はCIAのスパイ。武器商人と通じているらしい大物政治家の裏を暴くデータを持っているというコマロフを保護しようというミッションの最中だった。マクレーンはそれを邪魔する結果となったのだ。ところが次々に現れる追っ手たち、コマロフの娘イリーナの裏切り・・・と話をひっくり返すような展開が相次ぎ、あれよあれよという間に親子は窮地に立たされる。そこは出たとこ勝負のマクレーン刑事。用意周到なミッションを心がけていた息子とともに大立ち回りを演ずることに。そして事件の真相に迫るべく、二人はチェルノブイリに向かう・・・。

父と息子の物語は好きなだけに、きっとそれなりに気の利いた台詞もあったのだろうけど、爆破、破壊、高所からのダイブ、銃撃・・・の展開で気付くと頭に残っていない。カーチェイスというかカーアクションシーンはたっぷり時間をかけて撮ったのだろう。トラブルに巻き込まれる運の悪いマクレーン刑事・・・というのがこのシリーズの導入なのだが、こりゃ周囲に居合わせたロシアの人の方が運が悪い・・・と言えるかも。それぞれの場面に見どころはあるのだけれど、どうも何かが足りない。それは役者でもなければ、演出でもない。脚本じゃないだろうか。どんでん返しの連続になる面白さはよしとしても、腑に落ちない展開が多い。何故息子と疎遠だったのか説明不足に感じるし、入念に準備を重ねるタイプの息子と出たとこ勝負の父親という対比が今ひとつ生かされないのがもったいない。何よりも不満なのはチェルノブイリの扱い方だ。日本の原発事故が念頭にあった上で、チェルノブイリをクライマックスの舞台に選んだのであろうが、放射能に関する描写が甘いにも程がある。いや、このご時世だからこそなおさらだ。ガイガーカウンターらしき計器が振り切りそうな数値を示す中、ガスらしきものをまき散らしたらあっという間にレベルが低下してマスクが外せるほどに。えー!?イスカンダル製じゃねぇのか?と言いたくなる効果。それ、日本に今すぐ持って来い!。それにチェルノブイリはウクライナにあるのだが、二人は無事に国境を越えられたということなんだね?。ソビエト領だった時代と勘違いしてない?。

そんな悶々とした気持ちを吹っ飛ばしてくれるのは、エンドクレジットで流れるローリングストーンズ!。アナログ人間の象徴のようなマクレーン刑事を表現するのに、前作「4.0」もCCRを流していたっけ。



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クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲

2013-02-26 | 映画(か行)

■「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」(2001年・日本)

監督=原恵一
声の出演=矢島晶子 ならはしみき 津嘉山正種 

 「クレヨンしんちゃん」シリーズの最高傑作と名高い第9作。今まで断片的に観ていて、すごい作品なのはわかっていたけど、子供と一緒じゃなくて改めてじっくり観てみたかったのだ。いや、やっぱりすごいわ、この映画。一人でじっくり観たら心底泣けた(いい年しておバカな)。本格時代劇に挑んだ第10作「戦国大合戦」も完成度の高い傑作。だけど「オトナ帝国」は本来のファミリームービーのフィールドで最大限のチャレンジだったと思うのだ。これを劇場で観たら腰抜かしてただろうな。

 20世紀博なるイベントに大人たちは懐かしさで夢中になっていた。しかしそこは”イエスタデイ・ワンス・モア”を名乗る集団の拠点であり、彼らは日本を懐かしさで満たして20世紀に引き戻そうとしているのであった!。未来をつかむべく我らが野原一家が大活躍するというお話。銀幕のこちら側でも”懐かしさ”に大人たちは踊らされている(僕もそうした流れに巻き込まれている一人だ)。アクション仮面のビデオを見せずに往年のヒーローものを見て一人喜んでいるひろしの姿は、そんな僕らをあざ笑っているかのようではないか。当然次々に懐かしいフレーズや音楽が流れてくる。70年代にどっぷりリアルタイムでない世代にしてもその雰囲気は十分に伝わることだろう。それに悪役ケンの声に津嘉山正種を充てる見事さ!。これを鑑賞する大人たちは、あの声を聞くだけで、もう”クロスオーバーイレブン”の頃の自分に戻されてしまう。あの声で「今の日本にあるのは、汚い金と燃えないゴミくらいだ」と言われたら、もう納得しちゃうんだよね。そして20世紀博の”匂い”に取り憑かれた大人たちは子供を置いて町を去っていく。この辺りの描写はまるで侵略SFの雰囲気だ(ここは子供にとってはかなり怖いらしく、うちの子は「オトナ帝国」は嫌いだと言う)。

 しかし忘れちゃいけない。この映画最大の魅力はファミリームービーであることなのだ。野原一家の家族の絆が随所に感動的に描かれ、泣かせる台詞が次々と出てくる。「オレの人生はつまらなくなんかないゾ!」と叫ぶひろし、クリフハンガー状態でひまわりを守る決死のみさえ。ひろしの回想シーン、僕はもう泣かずにはいられなかった。つーか子を持つ父親はこれ見たらたまらんだろう。「オラがわかる?」って子供に抱きつかれてごらんよ・・・これ書いていてまた泣けてきた(爆)。そしてクライマックス。傷だらけのしんちゃんの叫び。「オラはおとなになりたいんだゾ!」・・・もう我慢できなかったよ。一人でこれ見て泣いている僕の姿を、うちの家族はどう思っただろね?。いいの、いいの。これ見て家族のありがたみを再度噛みしめた人、絶対いるはずだもん!。

 話は変わるけど、ハリウッドでさえリメイク流行りの時代。リトールドの時代として温故知新的発想で考えれば肯定されるものだろう。でもね、この映画が言うように懐かしさに浸っているだけでは未来はないんだよ。ラストに流れた ♪今日までそして明日から(吉田拓郎) と ♪元気でいてね(こばやしさちこ) を聴きながらそこまで考えてしまった僕でした。アツくなりすぎ?



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怪盗ブラック・タイガー

2013-02-25 | 映画(か行)

■「快盗ブラック・タイガー/Tears Of The Black Tiger」(2000年・タイ)

監督=ウィシット・サーサナティヤン
主演=チャッチャイ・ガムーサン ステラ・マールギー スパコン・ギッスワーン

 こ、こ、これは面白い!。カンヌに正式出品もされたメイド・イン・タイランドの大活劇(タイからの出品はこれが初めて)。西部劇調の演出に切ない悲恋物語も織り込まれ、映画の楽しさが凝縮されたエンターテイメント。見終わったらもうお腹いっぱいだ。監督はこれがデビュー作となるそうだが、独特の色彩感とスピード感にグイグイ引き込まれてしまう。美しい緑の風景に赤い屋根が印象的なオープニングや、ピンク色の豪邸など、元来ビビッドな色彩がわざと発色を抑えて撮られ、往年の”天然色映画”の雰囲気を出したのは見事。さらに主人公ダムが一人ハーモニカを奏でる場面のチープなセット撮影も笑ってしまうくらいに印象的。この奔放さ、監督が意識したのかどうかは知らないが、鈴木清順監督作に通ずるものがあるのでは・・・とも思えてくる(的はずれな指摘ならゴメンなさい)。

 主人公ダムは父親の復讐のため盗賊団の一員になり、ブラック・タイガーと異名を取る銃の名手となる。この一味が出てくる度に、映画は一転してウエスタンとなる。盗賊団のボスであるファーイの風貌はどこかチャールズ・ブロンソンを思わせるし、マカロニ・ウエスタン調の音楽が流るわ、サム・ペキンパー監督作のような血まみれスローモーションも出てくるわ・・・当てずっぽうだけどこの監督は本当に研究熱心な方とお見受けした。クライマックスの元相棒との一騎打ちにしても、目のクローズアップと、頭からしたたる雨の粒を追うカメラ・・・うーん、セルジオ・レオーネかっ!?。

 二人の身分違いの恋は成就せぬまま終わるのだけれど、これがまた切ない。故に活劇だけで終わらないのね。夕陽がハイスピードで沈むのをバックにした海辺での愛の告白は本当に泣かせる。最後に繰り返される「人生は長い苦しみです。だから一瞬の幸福を求めるのです。」という台詞にまたグッとくる。また胸ポケットに入れていたハーモニカで一命をとりとめながら、ラストではフォトフレームを弾丸が貫通してしまう対比の見事さ・・・。二人の関係を最初からすべて見せずに、少年時代のエピソード、再会、告白、”乙女を待つ場所”での約束・・・と少しずつ二人の関係を明らかにしていく構成がまたこの物語をスリリングにしていく。くーっ、好きだ!これ。




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SPY_N

2013-02-24 | 映画(さ行)

■「SPY_N/雷霆戦警(China Strike Force)」(2000年・香港=アメリカ)

監督=スタンリー・トン
主演=アーロン・クォック 藤原紀香 ワン・リーホン マーク・ダカスコス

 これは意外に面白かった。藤原紀香目当てでしょ?と言われたら否定しませんが。もちろんこの映画の紀香はかっこいい!。最初のイブニングドレス姿からもう視線釘付け(笑)。でも、それ以上に、僕はこの映画のアクションに魅了されたんだ。嘘じゃないもん!(汗)。

 近頃のアクション映画は、技術の多用で演じている俳優の力量や技がいかほどのものなのか全くわからなくなってきた。申し訳ないけど「HERO」だって、ジェット・リーやドニー・イェンの実際の力量がどうこう言っても、あれだけCGやら技術で飾り立てられたらどこまでが生身のアクションなのかわからないのが現実だ。この映画は生身でこなすアクションの醍醐味を満喫させてくれる。活動屋精神と言ってもいいかもしれない。妙な邦題がついているけれど(配給会社は本当に本編を観て決めているのだろうか?)、それで損していると思うよ、絶対。

 この映画のスタンリー・トン監督はスタントマン出身。成龍の「レッドブロンクス」でもそうだったがアクションのアイディアが素晴らしい。他の映画では絶対にお目にかかれないものばかりだもの。本作の見どころは地上170メートルに吊されたガラス板の上での格闘というクライマックス。本業は歌手のアーロン・クォックが見事なカンフーを見せるし、我らが紀香もよく頑張っている。高所恐怖症気味の僕は劇場で観ていたらかなりビビっていたに違いない。他にも男のネクタイつかんで飛び降りたり、バイクが宙を舞うのは当たり前。ランボルギーニ・カウンタックを追いかけるカーアクションも激しい!「ドリブン」が霞んで見えるね。筋の荒さはあるし、ツッコミ入れたいところもあるけれど、でもこの映画で見るべきはそっちじゃない。目が離せないよ、アクションからも、紀香からも(やっぱりそこかい!)。
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グッバイ、レーニン!

2013-02-23 | 映画(か行)

■「グッバイ、レーニン!/Good Bye Lenin!」(2003年・ドイツ)

●2004年セザール賞 最優秀EU映画賞
●2004年ヨーロッパ映画賞 作品賞・主演男優賞・脚本賞他

監督=ヴォルフガング・ベッカー
主演=ダニエル・ブリュール カトリーン・サーズ チュルバン・ハマートヴァ

 大学時代に、熊本市立図書館で催された「ベルリン・シネマ・ウィーク」と題された上映会に足を運んだことがある。もちろん壁が崩れる前だ。そこで観た映画はすべて日本未公開作ばかり。派手なスターも名の知れた監督もなかったが、僕はスクリーンに映し出された異国の現実に釘付けになった。そこに描かれていたのは、今まで知らなかったドイツ人の本音。同じ民族が東西に分かれたという悲劇の下なれど、やはり人間は人間。車のトランクに隠れて国境を越え、西側でデートする女の子。何をするにも時間がかかる東側の生活事情。西と東のカルチャーギャップ。ナチス時代の子供たち。壁で隔てられた街で、それでも人間は健気に生きている。何よりもそれが強く印象に残った。

 壁が崩壊した後の現在。統一後のドイツでは東西経済格差が問題・・・などと教科書的には言われている。この「グッバイ、レーニン」でも東ドイツに急速に資本主義経済が押し寄せてくる様子が描かれている。すみずみに生活の変化が感じられて実に興味深い。この映画のラストは母親の”愛した東ドイツという社会主義国”を称えるエピソードで幕を下ろす。だが、それは社会主義そのものを称えるのとは違う。社会主義教育に没頭した母が理想とした東ドイツを、主人公アレックスが自分の思いを込めてでっちあげたもの。政治的なことよりも、この映画のテーマは母親への愛情という世界共通のこと。壁の崩壊を知らずに昏睡していた母親。精神的なショックを与えないために、息子ら家族は右往左往する。その様が何ともおかしいのだけれど、それもみんな愛のせい。最期に息子が大嘘をついて親と子の関係が深まって・・・おぉ!今年まさにティム・バートンが「ビッグ・フィッシュ」で扱ったことではないか!。

 ヘリで輸送されるレーニン像を呆然と見上げる母親の表情、廃墟となった建物で二人が見上げる夜空、少年時代のエピソードや劇中登場する可愛らしいアニメーション。映画狂の友達がウンチクを語るところもおかしかった。父親の家で再会する夜、憧れだった元宇宙飛行士と出会うエピソードも、厳しい現実とファンタジーが同居する印象的なシーンだ。そしてそれらを飾る「アメリ」のヤン・ティルセンの音楽がまた素晴らしい。政治はいろいろあるけれど、それでも人は皆一所懸命生きている。それは何も変わらない。チェコ映画のヤン・スビエラーク監督作が好きな僕だけど、それらと共通する感動がこの映画にはある。予告編でビビッ!ときた予感を裏切らない秀作でした。いや~劇場で観られてよかった!。

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マリー・アントワネットに別れをつげて

2013-02-22 | 映画(ま行)

■「マリー・アントワネットに別れをつげて/Les Adieux A La Reine」(2012年・フランス=スペイン)

監督=ブノワ・ジャコー
主演=レア・セドゥ ダイアン・クルーガー ヴィルジニー・ルドワイヤン ノエミ・ルボフスキー

※注意・結末に触れている部分があります。
世界史を履修していた高校時代。中国史は大の苦手でヨーロッパ史が大好きだった。おそらく親父から「ベン・ハー」やら「カサブランカ」やら歴史がらみの映画を見せられたせいだろう。「ベルばら」にハマった訳でもないが、フランス革命は好きな単元のひとつだった。昨年の日本公開から観たかった「マリー・アントワネットに別れを告げて」がやっとわが街の映画館にやってきた。待ってました!。観たかったのには理由がある。歴史好きだから?いえいえ、好きな女優さんが出演してるからっす!(正直者)。お目当てはレア・セドゥ嬢。「MI4」の冷酷な殺し屋役で強烈な印象が残っていたのだが、「ミッドナイト・イン・パリ」で演じたパリジェンヌ役の素敵な笑顔にやられた。雨に濡れて歩くラストシーン。彼女の主演!そりゃ観なきゃ。王妃は「イングロリアス・バスターズ」でも美しかったダイアン・クルーガー、「8人の女たち」ではオードリー・ヘップバーン風のいでたちで可憐だったヴィルジニー・ルドワイヤン。

世間では退屈な映画と評する人もいるようだ。そういえば、僕の前の席で観ていた女性は半分近く寝ていた。ソフィア・コッポラの「マリー・アントワネット」のように派手なロックや衣装に彩られた映画でもない。この映画が興味深いのは侍女の視点で描かれている点だ。レア・セドゥ演ずる主人公シドニーは王妃の朗読係。他の侍女たちとは違ってすぐそばでお仕えし、王妃の好みや振る舞いに日々接する立場。王妃も時折彼女に打ち明け話をしたり、虫除けになるからと香油を塗ってくれたりする。シドニーは誰よりも王妃に心酔し、憧れていた。そこにフランス革命勃発(バスチーユ襲撃)という大事件が起こる。襲撃シーンもなければ、逃げまどうパリ市民が映し出されることもないが、宮廷の中の人々がどれくらい動揺し、不安にさらされていたかが細やかに描かれる。襲撃当日、宮廷の記録には「特になにもなし」と記されていたと聞くが、それは表向きの話。外で起こっている事を知りたいと右往左往する場面は緊張感にあふれている。手持ちカメラが廊下にひしめく人々の間を主人公とともに動き続けるから、観ているわれわれもその場にいるかのような臨場感がある。それでも、興味は観る人次第だもんね。

王妃アントワネットには愛する人がいた。それは友人のポリニャック夫人。王妃にとっては恋人と言ってもいいくらいに愛情を感じている存在。王妃はその気持ちをシドニーに打ち明ける。やがてルイ16世は国民議会と話し合う為にパリへ。市民の間で処刑すべき人物の名を記した「ギロチンリスト」なるものが出回り、そのリストには王妃の名とともにポリニャック夫人の名も。危険が身に迫るに至り、王妃はシドニーを呼んである命を言い渡す。それは王妃を慕い、憧れていた彼女にとって実に残酷なものだった・・・。

予告編がストーリーをほぼ網羅してしまっているので、ある意味結末はわかった上で観ている。だが、そこに至るまでの心のドラマがこの映画の魅力。ハリウッド映画に毒されていると、わかりやすくストーリーを追うことができるかが映画の価値のように思われがちだ。別な言い方をすれば、どのように事件が起こって次にどうなるかに興味が向いている。だから説明くさくなるし、凝り性監督のちょっとひねった展開の映画はすぐに「わからん」と言われがち。「マリー・アントワネットに別れをつげて」の宣伝は、身代わりを頼まれるという残酷な結末をほぼ提示している(しかも予告編はラストシーンの台詞まで引用)。観客がこの映画で感じ取るべきは出来事の推移ではない。残酷な申し出に至るまでの、王妃の、シドニーの、宮殿の人々の心理こそが感じ取るべきものである。クライマックスでのレア・セドゥ嬢の表情や開き直ったような振る舞いは、言葉数こそ少ないが見事にシドニーのあきらめ、失意、それでも愛する王妃様・・・そんな気持ちを表現している。ポリニャック夫人のドレスを身につけて身代わりになれ、と迫る王妃を睨むようなシドニーの視線。粗末なドレスを脱がされ、銀幕に映されたレア・セドゥの美しいヌードとともに、その表情は目に焼き付いて離れない。全編ヴェルサイユ宮殿でロケをした映像は、映画を単に絢爛な絵巻物にしていない。ひどい衛生環境だった様子や侍女たちの生活なども描かれており、そこもこの映画の見どころ。



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さよならドビュッシー / 中山七里

2013-02-21 | 読書

話題のミステリー小説に挑戦。クラシックを弾きこなす腕はないがこれでも鍵盤弾きのはしくれだし、荘厳な交響曲よりもピアノ曲を好む僕としては、平積みされていたこの本に興味をそそられていた。

「聖夜 School and Music」もそうだったが、どちらの小説も多少なりとも演奏の経験がある人なら引き込まれる要素を持っている。それは演奏場面の描写の緻密さだ。指がうまくまわらないもどかしさや、これ以上ないくらいに演奏できた瞬間の恍惚とも言える快感。クラシックでなくともバンドでもいい。音楽を通じて得られる幸福感や、練習で苦しむときのやりきれなさは、この文章から痛いほど伝わってくるだろう。ピアニストを目指すヒロインのお話だから、スポコンドラマ的にも感じる練習シーンも面白い。全身火傷からリハビリ真っ最中のヒロインが、懸命に立ち向かう姿。クライマックスのコンクール場面は圧巻だ。

そしてわすれちゃいけない。このお話はミステリーである。資産家の孫娘が火災で重傷になり、莫大な金額の相続をめぐる事件に巻き込まれる。相続の条件が明かされてから、険悪な雰囲気になる家族、次々に起こる事件。そんな彼女を救うのはこのシリーズの探偵役であるピアニスト。ちょっと浅見光彦的な人物設定が気にはなるけど、それも必要な要素なのかな。ネタバレになるのですべては書かないが、最後の結末、もう少し早く気づけたような気もするな。でも文章だからこそできたものかとも思えた。これ、映画ではどうなっているのだろう。

んで、読み終わってから数日間ピアノ曲ばっかり聴いてた。この廉価版クラシックBOXにも、「月の光」「ラ・カンパネラ」などなど収められている。やっぱり映画、気になるなぁ。

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キューティーハニー

2013-02-20 | 映画(か行)

■「キューティーハニー/Cutie Honey」(2004年・日本)

監督=庵野秀明
主演=佐藤江梨子 市川三日子 村上淳

※すんません映画評とは言えないかも(汗)

この際だから白状するよ。永井豪作品が幼い頃から大好きだった。きっかけは「マジンガーZ」だ。折からの巨大ロボットアニメのブーム。「ゲッターロボ」にも夢中になったもんさ。そうしているうちに、幼い僕は永井ワールドには巨大ロボットアニメ以外の世界があることに気づいた。性や暴力に関わる作品群だ。でもそれらは性に閉鎖的?だった僕の家では読むことを許されなかった。「あばしり一家」を母親に「お父さんが喜びそうな本」(笑)と言って没収された。「ハレンチ学園」は友達の家で読んだ。散髪屋に行ったら「けっこう仮面」や「イヤハヤ南友」が読めるのが楽しみだった。「デビルマン」や「バイオレンス・ジャック」を読んだ日は怖くて眠れなくなった。今にして思えば異性への関心を高めてくれたのは、おそらく永井豪作品のせいなのだ。・・・それって、女のコが好きなのを永井豪のせいにしているだけか?。でも同じような経験を持つ人、絶対いると思うのだ。

さぁ本題に入ろう。「キューティーハニー」だ。土曜の夜8時、あれ程大好きだったドリフの「全員集合!」を捨てて、家族とは別室でテレビにかじりついて見たアニメ。母親が「ハニーちゃん見るの禁止しようかな」と言うので、シスタージル並に怖い顔のお面を作って驚かして復讐したのは僕です(大恥)。そんな思い入れのある「キューティーハニー」が実写で映画化されるなんて思いもしなかった。原作と設定は大きく変わっている劇場版。団兵衛爺ちゃんが出てこない寂しさを始め、商品名や協賛各社のロゴが画面のあっちこっちで目に付くことなど、文句を言うならばいくらでも言うところはある。だがなかなかどうして面白いのよ!。原作は親の仇という憎しみが戦いの根底にあった訳だが、今回の劇場版のいいところは人を愛する心が主題となっているところ。永井ワールドとは全く違うし、やたらマンガっぽい画面づくりをやり過ぎ?とも感じた。。だけど、サトエリの明るいキャラや随所にみられる70年代テイスト、映像的冒険の楽しさでそんな思いはすぐにどこへやら。

音楽とのマッチングも見事。シスター・ジルを称える歌を倖田來未が歌う場面は実にかっこいいし、♪参上~と歌いながら登場するミッチーも楽しい。そして孤独感に悩むハニーのバックに、アニメのエンディング曲だった ♪夜霧のハニー が流れた瞬間は鳥肌モンだったよ。役者陣の頑張りは印象的。特にほとんどあしゅら男爵だったミッチーと市川三日子。サトエリも大健闘だ。君がまぶしくて仕方なかった!。この映画から僕はすごく元気をもらった。映画館をそんな思いで出ることは滅多にない。



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スウィング・ガールズ

2013-02-17 | 映画(さ行)

■「スウィング・ガールズ/Swing Girls」(2004年・日本)

●2005年毎日映画コンクール 新人賞

監督=矢口史靖
主演=上野樹里 貫地谷しほり 本仮屋ユイカ 竹中直人

 そりゃぁね、細かいこと言えばキリがない。楽器の上達は難しいものでこの映画はそのプロセスを無視しているとか、スピーカーが落ちるギャグや映画史上に残るパンチラ場面での自転車のギャグはあまりにもコケているとか。そりゃごもっとも。僕もそう思う。でも「マトリックス」を模したお手軽静止画のギャグは認めてもいいんじゃない?(でもなんで音楽がサッチモなのか?)。僕は兄弟フォークデュオに爆笑した。この映画はギャグが笑えるかどうかはどうでもよくて、音楽の素晴らしさをいかに観客に伝えられたかが重要なんだ。観客が映画館出るときに「なんかえぐねぇ?」って言わせたいのだ。「ウォーターボーイズ」のときも思ったことだけど、どんなおバカなことでもいいからひとつの事に夢中になった経験って、きっと人生で役に立つ。今ドキの若者どもは果たして胸張って誇れる経験があるのだろうか。そんな連中をこの映画はきっとムズムズさせてくれるはずだ。

 吹奏楽部全員ダウンという危機的状況を作り出すドラマも無理がないし、登場人物のキャラがうまく描かれている脚本がうまい。脇役の一人一人がきちんと生きている。ジャズ好き数学教師役、竹中直人の好助演も素晴らしい。音楽聴くのは好きだし、知識もマニアックな程あるけれど、演奏はからっきし・・・そんなどこかにいそうな人物だけに、シンクロ教える調教師やバタフライジョーなんかよりも、ずっと愛すべきキャラクター。

 僕は中高6年間吹奏楽部に所属していた。劇中マウスピースで音出す練習するところや、川原で練習するところ、初めて管楽器さわった連中がおもちゃにする様子など妙にリアルでおかしかった。僕は吹奏楽やりながらも、実はクラシックや吹奏楽の為のオリジナル楽曲はどうも苦手であった。それよりはポピュラーやジャズっぽい曲をやる方がずーっと楽しかった。だからこの映画はもうツボ!だったのね。クライマックスの演奏会でベニー・グッドマンを演奏する場面、僕の右手は映画館の暗闇でトロンボーンの運指(?)を追っていたんだ。出演者たちは今年10月にセントラルパークでゲリラライブも敢行したとか。そんなニュースまで聞くと血が騒ぐ。あーっ!音楽活動したいっ!

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